カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
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49 巻, 1 号
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原著
  • 尾野 裕美
    2016 年 49 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,若年就業者において「キャリア探索の停滞」「所属組織からの低い評価」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」という状況におけるあせりやすさが,「切迫感」「キャリア構築への衝動」「キャリアの懸念」というキャリア焦燥感を介して,離転職意思へとつながるという仮説モデルに従い検討した。20代の就業者256名を対象としたインターネット調査を実施し,共分散構造分析を行った。その結果,(1)「キャリア探索の停滞」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」が「切迫感」を介して離転職意思につながっていること,(2)「所属組織からの低い評価」「友人・知人のキャリアとの上方比較」「ワークライフバランスの欠如」が「キャリア構築への衝動」を促していること,(3)「キャリア探索の停滞」が「キャリアの懸念」を促していることが明らかとなった。以上より,キャリア焦燥感のネガティブな側面である「切迫感」のみが離転職意思を促すという新たな知見が得られた。
  • 上條 菜美子, 湯川 進太郎
    2016 年 49 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,ストレスフルな出来事に遭遇したときに生じるネガティブ感情がその後の意味づけ過程に及ぼす影響と,その意味づけ過程がストレスフルな出来事の種類によって異なるかどうかを検討することを目的とし,場面想定法による質問紙調査を実施した。大学生351名を対象に,原因の所在を操作した仮想場面(自己原因場面・他者原因場面・曖昧原因場面)を提示し,仮想場面に対する原因帰属の対象,ネガティブ感情,脅威評価,反すう(侵入的熟考と意図的熟考),意味づけを測定した。多母集団同時分析の結果,出来事の種類によって諸変数間の関連の強さが異なることが示されたが,全出来事に共通して,自己帰属から悔恨,悔恨から意図的熟考,そして意図的熟考から意味づけに,それぞれ正のパスが示された。また,落胆から脅威評価,脅威評価から侵入的熟考にも,全出来事においてそれぞれ正のパスが示された。考察では,本研究で得られた結果に関する基礎的知見,および本研究の限界と今後の展望について議論した。
資料
ケース報告
  • 首藤 祐介, 山本 竜也
    2016 年 49 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル 認証あり
    近年,うつ病に対する社会的関心は高く,重要なトピックになっている。うつ病に対する認知行動療法の有効性が示されているが,現状ではニーズに十分応じることができていない。この問題に対応するため,より有効な手続きの確立と,その効率化が必要である。これを満たす手続きとして,集団行動活性化療法が考えられる。本報告ではうつ病男性に対して集団行動活性化療法を適用し,その有効性について検討した。集団行動活性化療法の参加者は7名であり,完遂したのは5名であった。セッションは8回で,前半は単純活性化,後半は回避パターンへの介入を目的としたプログラムによって構成されていた。介入の結果,単純活性化の実施のみで抑うつ気分および社会適応状態が改善することが明らかになった。これらの結果に基づいて,集団行動活性化療法のあり方について議論した。
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