通水性を持った有孔の船首状カバーが水産施設の構成要素になりうるものと考え,同カバーの船首角度と開口部の大きさを変化させたときの流水抵抗を調べた。縦33cm,横20cm,厚さ2mmの鉄板を2枚,ちょうつがいで船首状に接合させて模型を作製した。船首角度すなわち展開角度を, 60度から180度まで30度ずつ5段階に変化させた。ドリル直径を順次変化させて(4.0mm-10.0mm)鉄板に孔を開け,孔の総面積と元の板の面積との比を開口比とした。孔を開けない状態の0%から37.2%まで,開口比を8段階に変化させた。開口比ごとに展開角度を変化させた模型を,大型回流水槽中に設置し,流水抵抗を測定した。船首状有孔板においても一般物体と同様にニュートンの抵抗則が確認できた。測定値より各開口比における展開角度ごとの抵抗係数を得た。開口比の増加に対応して,流水抵抗の増減があることも示した。特に,展開角60度や90度の場合には,開口比15-20%で孔を開けない場合の抵抗の1割余の増加であった。しかし,この抵抗の増減の要因については,今後の検討を要する。
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