回流水槽は船舶試験のみならず,漁具の設計や開発,沿岸域造成等の研究に広く利用されてきた。東京海洋大学海洋科学部に国内初の水平循環型回流水槽が水圏科学フィールド教育研究センター・館山ステーション(旧館山実習場)に設置されたのは1951年である。その後, 1978年にベルト回転式移動底付きの回流水槽が作られ, 2年後の1980年には底面境界層吸込装置付きの大型回流水槽が建造された。また,田内の漁網の模型比較則が公表された翌年の1935年に旧東京水産大学前身の水産講習所に流水式試験水槽が設置され, 1945年の米軍による接収とともに廃棄されるまで漁具の模型試験に活用されていた。ここでは,昨年3月に建造された本学海洋科学部における4代目の新しい回流水槽の概要と主な特徴を述べるとともに,測定部の流速分布と自由表面の平滑性,表面および底面の加速装置による流速分布の改善効果,加速度流および往復振動流などの計測結果について論ずる。
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