我が国では現在,中波ビーコンを送信するDGPS局が整備運用されている。このDGPS局のサービスエ
リア内で得られたDGPS位置の精度は2σで約4-5mであり,通常の航海における船位測定では十分な精
度である。しかし,これ以上の精度を要求する場合には, RTK-GPS装置や高精度のDGPS装置が必要であ
る。本研究では,中波ビーコンを受信できるDGPS受信機を2台利用し,一方を基地局として経緯度誤差を
求め,これを補正値として他方のDGPS位置の経緯度を補正し, DGPS位置精度を向上させる簡易な手法の
有効性を検討した。結果は次のように要約された。
(1) DGPS位置を補正して得られた位置(以後, D-DGPS位置という)誤差の分布範囲はDGPS位置誤差
の分布範囲の約1/2になった。
(2) 2局で測定されたDGPS位置誤差の相関係数はほぼ0.8以上であった。
(3)両局の擬似距離補正データ受信後の経過時間の差が約10秒以下なら,補正効果に及ぼす影響は小さい。
(4) DGPS位置誤差とD-DGPS位置誤差はGPS衛星の配置に影響される。
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