小型漁船「サバニ」はカヌーに船型及び船体構造がよく似ている。そこで,サバこの耐航性について,実船実験を行い検討した。横揺れ運動は横波及び斜め追い波状態で,縦揺れ運動は向い波状態で大きく,横揺れは縦揺れの3倍であった。従って,荒天時には向い波状態で航行するのがよい。横波状態の横揺れに関して,波と横揺れのスペクトルの卓越範囲は2~6秒,ピーク値は3~4秒で両者はよく一致している。周期1~4秒の範囲でコヒーレンシーは0.5,相対誤差は0.5以下であり,周波数応答答関数の推定精度は良好と考える。両者の関係は0.44deg/cmである。向い波状態の縦揺れに関して,波と縦揺れの両スペクトルのピーク値は1.5秒,コヒーレンシーは0.9以上,相対誤差は0.1以下である。また,両者の関係は0.07deg/cmである。サバ二はトリム零で航走するときが運動量が少なく,安全性から見て最も良い状態であると考える。従って,漁具や漁獲物の積み付けには十分注意し,トリム零を保つよう心がけることが大切である。
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