穀類蛋白質の澱粉ゲル電気泳動の利用 ELTON, G.A.H, and EwaxT, J.A.D.: S. Sci. Foo Agr., 13, (1), 62~72 (1962). 澱粉ゲル電気泳動は穀類蛋白の研究に応用して価値のあることがわかった。8種の小麦についてpHの低い乳酸アルミニウム緩衝液を用いて比較した。アルブミンおよびグロブリンのパターンは非常ににているが,グルテン蛋白から生ずるパターンの間には有意の差があり,この差は蛋白の性状のちがいを示すことになる。大麦,トウモロコシ,エン麦,ライ麦と小麦を比較したときに,パターン間に著しい差のあるこれらの穀類蛋白は大部分溶解性が少ない。小麦グルテンに対応する易動度域にある帯は,ライ麦では余りはっきりせず,大麦ではごく少量あらわれ,トウモロコシおよびエン麦では確認できない。(三浦洋) 振動式粉砕機による,澱粉,アミロース,アミロペクチンのmechanochemical分解 AUGSTAT S.:Die starke, 14, (2), 39-49. (1962). 高分子物質の化学構造の解明,または分解反応の研究に際しては,現在は,化学的方法および酵素反応,熱反応のいずれかが用いられることが多い。しかし近年高分子の分解に,.連の新しい処理方法が発展して来た。ここでは分子破壊に機械的なエネルギーが利用されているところに特徴がある。化学反応,熱反応と区別して,この反応はmechanochemical degradationと呼ばれている。著者らはバレイショ澱粉およびそのアミロース,アミTーペクチンについて,風乾品に対して,実験室用振動粉砕機で粉砕を行ない,この機械につめる試料とガラス玉の比が1%以下のときにはアミロース,アミロペクチンの高分子はかなり粉砕されることを1忍めた。この反応は“粉砕限界”と呼ばれる点があり,これは別条件により決まるもので,時間延長によっても増加しない。粘度計によって測定してみると,原料が重合度が1330(AGU)位のアミロースの場合には75(AGU)位であった。この反応のボールミルやフラワーミルなどと異なる点は,-15℃,室温の両実験の結果から,2次的な熱の影響のない点にあることが明らかになった。種々の実験の結果にもとずくと,つぎのような仮定ができる。すなわち振動粉砕機で起こる澱粉巨大分子の崩壊は,機械的に活性化された加水分解と考えられ,基礎的な化学結合が切れ,還元性および非還元性末端の形成などが認められる。化学結合の切断数は19のバレイショ澱粉について,10
19~10
20の間にあることが過沃素酸酸化により知られている。メタノールで脱水した澱粉の場合には典型的なメタノリシスをおこし,C
-1にメトキシルがあるので還元性を示さない。振動粉砕による巨大分子の崩壊は,高い再現性で,希望する粘度の分子量の製品を作ることができ,一定品質の澱粉崩壊物を作る際に興味のある問題である。(貝沼圭二)
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