本研究の目的は,精神科看護師に対して,認知行動療法や心理教育的手法を利用した構造化されたストレスマネジメント・エンパワメントプログラムを行うことで,それらのプログラムを受けない群に比べて気分や精神的健康度などの心理的負担が軽減するかを実証的に示すことである.同意が得られた30名の対象者は,介入群14名,対照群16名に割り付けられた.主要アウトカムの介入後1ヶ月後の精神的健康度を評価するK6については,介入後時点も1ヶ月後時点でも有意差は認められなかった(P=0.834, 0.598, ANCOVA)が,気分を評価するPOMSにおいて,「合計点」,「緊張-不安」,「抑うつ-おちこみ」について,介入後の時点で対照群に比較して介入群の方が有意に改善していた(それぞれP=0.011, 0.003, 0.008, ANCOVA).また,「怒り-敵意」については,介入後1ヶ月の時点で,対照群に比較して介入群の方が有意に改善しており(P=0.046, ANCOVA),このプログラムは精神科看護師の気分の改善については,一定の効果が期待できることがわかった.
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