シミュレーション&ゲーミング
Online ISSN : 2434-0472
Print ISSN : 1345-1499
25 巻, 1 号
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特集論文:ロールプレイング
査読論文
  • 広瀬 幸雄
    2017 年25 巻1 号 p. 3-10
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,震災がれきの処理受け入れの是非に関する住民と行政の共通理解を目指すリスクコミュニケーションゲームを作成し,リスクコミュニケーションの学部演習の教材として使用可能か否かを検討することである.東日本大震災により大量の震災がれきが発生したが,政府が復興を早めるために策定した被災地以外での広域処理の政策は,多くの住民の反対で実施が困難となった.受け入れ反対の理由は,がれきに含まれる放射能物質による健康リスクや風評被害への懸念など多様であった.そこで,ゲームの目的として,住民と行政職員の役割を交互に演じることで,震災がれきの受け入れの是非についての住民の多様な態度やその根拠になる社会的背景を理解し,それぞれの態度や背景に応じたリスクコミュニケーションが必要だと理解することとした.参加者の大学生にはゲーム作成についてのレポートを作成させた.レポートの中でのゲーム作成と実施についての学生自身の感想に関する記述を整理したところ,リスクコミュニケーションでの知識や共通理解が重要であること,役割交替による他者理解が深まること,問題自体への理解が深まることの3つをゲーム体験の効果としてあげていた.それを受けて,ゲーム後のディブリーフィングでは,役割を交替したことによって震災がれきの受け入れへの複眼的な見方ができるように促すことが重要であることについて検討した.

  • 小山田 晋, 木谷 忍, 阿部 はるか
    2017 年25 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

    地域のあり方を損なわずに住民に納得のいく形で地域PRを行うためには,住民に対する共感を生む物語を消費者に提示することが必要である.そこで本研究では,地域特産品を題材とした物語を消費者に提示する実験を行うことで,住民に対する消費者の共感を促す物語提示方法を明らかにする.山形県最上町において,大冷害をきっかけにアスパラが導入されたプロセスを物語として提示する実験を行った.被検者を2つのグループに分け,物語内容伝達を重視した「文章提示」と,コミュニケーション重視の「素話」のいずれかの方法で物語を提示した.文章提示と素話のいずれでも,物語提示により消費者にとってのアスパラの妥当価格は増加するが,増加に至るまでのメカニズムが文章提示と素話とで異なることが確認された.また,現実の登場人物に会いたい気持ちの強さは,物語のコミュニケーション面に関心のある人に限って,素話で効果的に高められることが明らかになった.これは,被検者が物語の登場人物に共感したためであると解釈できる.

閲読論文
  • 長谷部 正, 安江 紘幸, 森 繁哉, 村松 真
    2017 年25 巻1 号 p. 21-27
    発行日: 2017/04/10
    公開日: 2019/10/08
    ジャーナル フリー

    本稿では,ロボット工学者の森政弘が提唱する「非まじめ」の発想を考慮して授業担当教員による創作舞踊を取り入れた授業実験を実施するための方法論的な検討を行い,併せて学部1年生を対象とした実験を試みた.今回の授業実験結果より,平均的にみて男子学生よりも女子学生の方が創作舞踊を演ずる踊り手である教員の身体の動きを,身体で受けとめ,さらに同調することを通して創作舞踊を理解している可能性があるということが示された.以上の結果をふまえて,筆者らは,講義を通して知識を学生に習得させることの重要性を認めつつも,講義における多様性の確保の観点を考慮して,様々な授業体験ができるように工夫された学部・大学院教育の試みを追及していく必要があると考える.

報告
編集後記
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