認知心理学研究
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17 巻 , 1 号
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原著
  • 楠瀬 悠, 日野 泰志
    2019 年 17 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/09/14
    ジャーナル 認証あり

    提示時間が50 ms未満のマスク下のプライムを伴う語彙判断課題を使った多くの研究では,直接的に関連のあるプライム―ターゲット・ペアに対して有意な意味的プライミング効果の観察に失敗しているが,プライムが持つ形態隣接語とターゲットとの間の関連性によるプライミング効果は繰り返し報告されている.そこで,提示時間が50 ms未満のプライムを伴う語彙判断課題において観察されるプライミング効果を規定するのはどのような要因なのかを明らかにするために,類義語ペアを使って33 msのマスク下プライムを伴う語彙判断課題を行った.実験では,類義語ペアに対して,プライムとターゲットの意味数を操作したところ,少意味語プライム―多意味語ターゲット・ペアには有意なプライミング効果が観察されたが,多意味語プライム―少意味語ターゲット・ペアには観察されなかった.さらに,いずれの語ペアに対しても,反応時間のデータは,プライムの形態隣接語とターゲットとの間の意味的関連性の程度に依存していることが明らかとなった.これらの結果は,語の読みの初期段階には,提示された語ばかりでなく,その形態隣接語の意味も活性化されることを示唆するものであった.

  • 田中 孝治, 三輪 穂乃美, 池田 満, 堀 雅洋
    2019 年 17 巻 1 号 p. 11-25
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/09/14
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,一般的な知識として適切な行動を問う知識課題と自身が実際に選択する行動を問う意図課題を用いて,大学生を対象に知識と行動意図の不一致について検討を加えた.実験1・2では,実験参加者が適切な知識を有しているにもかかわらず情報モラルに反する行動意図が形成されることが示された.実験1では,大学生のほうが高校生に比べて知識保有の割合は高く,適切な行動意図形成の割合が高かった.実験2では,計画的行動理論の要因(行動に対する態度,主観的規範,行動コントロール感)から検討を加えた.意図課題で遵守行動を選択した場合は,要因にかかわらず,肯定的に評価する行動を選択していることが示された.一方,不遵守行動を選択した場合は,要因ごとに異なる結果が得られた.態度については,遵守行動を肯定的に,不遵守行動を否定的に評価しており,行動コントロール感については,不遵守行動は容易であり,遵守行動は困難であると評価していることが示された.主観的規範については,遵守行動と不遵守行動を同等に評価していることが示された.

  • 小手川 耕平, 寺本 渉, 積山 薫
    2019 年 17 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/09/14
    ジャーナル 認証あり

    リハビリテーションでは運動イメージを用いた介入の有効性が報告されている.しかし,高齢者において運動イメージ能力を測定する方法は確立されていない.そこで本研究では,特に若齢者を対象とした研究でよく用いられる運動イメージの主観的な質問紙評価であるJMIQ-Rと,より客観的な評価法の一つであるFittsの法則を用いたポインティング課題を用いて,評価法としての有効性と評価法どうしの関係性を明らかにするための実験を行った.若齢者12名(平均年齢24.17歳)と高齢者12名(平均年齢73.67歳)が実験に参加した.JMIQ-R,ポインティング課題のほか認知機能検査,運動機能検査を実施した.その結果,JMIQ-Rには若齢者と高齢者に有意差は認められなかった.対照的に,ポインティング課題では,若齢者は運動イメージと実際運動が一致している一方で,高齢者は難易度の高い条件で運動イメージ能力の低下が認められた.また,JMIQ-Rとポインティング成績(運動イメージ時間と実際運動時間の差分)の間には相関が認められなかった.このことは,JMIQ-Rとポインティングは運動イメージの異なる側面をとらえている,もしくは,運動イメージに対して異なる感度を持っていることを示唆する.以上の結果より,高齢者の運動イメージ能力の低下はJMIQ-Rのみではとらえきれない可能性が示唆された.

  • 重森 雅嘉
    2019 年 17 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/09/14
    ジャーナル 認証あり

    認知スリップは知覚,思考,行為のそれぞれの情報処理段階において生じる.そして,私たちは,これに同じような原因,例えば,思い込み(不適切なスキーマの活性化)や適切なスキーマへの注意欠陥を想定することが多い.3つの実験で,不適切なスキーマの活性頻度とタイムプレッシャーが異なった情報処理段階の認知スリップに与える影響をテストした.実験では認知スリップを誘発する課題が用いられた:見間違いを誘発する数字書き写し課題(実験1),思考の固着を誘発する水がめ課題(実験2)および書き間違いを誘発する反復書字課題(実験3)であった.これらのすべての実験では,参加者の半分は不適切なスキーマを活性化する先行試行を行い,残りの半分は特別なスキーマを活性化させないような試行を行った.また,参加者の半分はタイムプレッシャー下で試行を行い,残りの半分はタイムプレッシャーなしに試行を行った.結果は,どの実験においても不適切なスキーマの活性頻度が高く,かつタイムプレッシャーのある条件においてのみ,認知スリップの発生率が高かった.これらの結果からさまざまな情報処理段階における認知スリップのメカニズムについて議論した.

資料
  • 瀧川 真也, 横光 健吾
    2019 年 17 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/09/14
    ジャーナル 認証あり

    これまでの研究により,嗜好品の摂取には心理学的効果があることが確認されている.本研究は,嗜好品の自伝的記憶に着目し,嗜好品に関する回想機能の特性とその加齢の影響について検討を行った.日常的に嗜好品を摂取している20歳から79歳までの1,800名(平均年齢=49.49歳,SD=16.32)を対象にオンライン調査を行った.調査協力者は,コーヒー,茶,タバコ,酒のうち最も好んで摂取している嗜好品に関する記憶について回想機能尺度に回答した.分析の結果,年代間で,“アイデンティティ”や“辛い経験の再現”などの回想機能に差があることが確認された.また,“退屈の軽減”や“会話”などの回想機能では,嗜好品の種類により回想機能が異なることが明らかとなった.

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