認知心理学研究
Online ISSN : 2185-0321
Print ISSN : 1348-7264
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8 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
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原著
  • 湊 美智子, 服部 雅史
    8 巻 (2011) 2 号 p. 89-98
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    感情と認知の関係を調べる際,音楽を用いた気分誘導が行われることがあるが,その効果には疑問の余地がある.特に,あらかじめ音楽を聴取させることを教示することが,実験参加者による気分評価に影響を与える可能性がある.その結果,音楽が本当に気分の変化をもたらすのか,聴き手が音楽を評価したものなのかの区別があいまいになっていると言える.そこで,本研究では,音楽を意識させることなく聴取させる群を設け,従来の方法,および統制群に評価群を加えて比較検討した.その結果,ポジティブな気分について,参加者が気分と音楽自体の評価とを混同している可能性が示唆された.実験結果を踏まえ,従来の音楽による気分誘導法に関連する問題について考察した.
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  • Tadamasa NARIMOTO
    8 巻 (2011) 2 号 p. 99-108
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,心的に構築した視覚的イメージの貯蔵に実行系資源が必要であるのか否かを検討した.実験1では,視覚的イメージに対するリハーサル維持が困難な事態において,その記憶痕跡の貯蔵可能時間がどのくらいであるのかを検討した.保持時間を1秒,6秒,11秒として実験を行ったところ,11秒条件の記憶成績のみが有意に低い結果であった.この保持時間を利用して,実験2では,イメージ課題(心的に構築した視覚パターンの貯蔵)と知覚課題(知覚した視覚パターンの貯蔵)における記憶成績を比較検討した.両課題の難度は予め統制されていた.実験参加者は,保持期間に言語情報の保持に干渉する構音抑制課題もしくは実行系資源を必要とするRNG課題を行った.その結果,両記憶課題の遂行に対する構音抑制の干渉効果は認められなかった.他方,知覚課題と比較して,イメージ課題の遂行がRNG課題により強い干渉を受けることが示された.これは,構築された視覚的イメージの保持が実行系資源を必要とする機能であることを示している.
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  • 小林 正法, 松川 順子
    8 巻 (2011) 2 号 p. 109-117
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究はThink/No-Thinkパラダイム(Anderson & Green,2001)を用いて,ポジティブ画像記憶の意図的抑制が可能かを検討した.方法は学習段階,Think/No-Think段階,最終テスト段階の3段階から構成されていた.学習段階において,実験参加者(N=34)は手がかり(ニュートラル単語)とターゲット(ポジティブもしくはニュートラル画像)の刺激ペアを学習した.その後,正解率が80%を超えるまで手がかり再認テストを行った.Think/No-Think段階では,手がかりのみが反復して提示された(0回,6回,12回).0回反復のペアは記憶の促進と記憶の抑制を評価するためのベースラインとして使用された.赤色の手がかりに対して,実験参加者はペアとなっていたターゲットを思い出した.緑色の手がかりに対しては,ペアとなっていたターゲットを抑制した.最終テスト段階では,手がかり再生テストを行った.結果,ポジティブ,ニュートラル画像共に,抑制されたターゲットはベースラインのターゲットよりも記憶成績が低かった.画像記憶の抑制が頑健であること,そして感情価によって抑制中の主観的体験が異なることが示唆された.
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  • 矢口 幸康
    8 巻 (2011) 2 号 p. 119-129
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    共感覚的表現とは異なる感覚に属する語を組み合わせた表現である.共感覚的表現の理解は感覚の組み合わせによって変化することが知られているが,共感覚の言葉であるとされるオノマトペを修飾語としてもちいて検討した例はない.そこで,本研究はオノマトペを修飾語とした共感覚的表現における理解可能な感覚の組み合わせを検討した.研究1では,参加者に47語のオノマトペの感覚関連性の評定を求めた.結果,39語のオノマトペが,視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感のいずれかと関連した.研究2では,195種類の共感覚的表現がどの程度理解可能であるか評定を求めた.評定の結果,原則として低次感覚から高次感覚への修飾が理解可能であることが示された.また,修飾構造内で聴覚が他の感覚から独立した.
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  • 高橋 麻衣子, 田中 章浩
    8 巻 (2011) 2 号 p. 131-143
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究は日本語単文の読解過程において求められるさまざまな語順の処理と保持に,音韻表象が必要であるかを検討したものである.実験参加者には7文節からなる課題文を読み,その文に関する質問課題と再認課題に回答することを求めた.課題文は動作主,被動作主,それぞれに対する修飾語を含むものとし,SOV語順とOSV語順の文を設定した.質問課題は動作主判断,修飾語判断とし,それぞれ「名詞+助詞」,「形容詞(形容動詞)+名詞」,そして課題文中の二つの名詞の語順の処理と保持の指標とした.再認課題においては内容語と助詞の語順を操作した文を使用して,「名詞+助詞」と文中の二つの名詞の語順の保持について検討した.実験1においては課題文を黙読する統制条件と,音韻表象の生成と利用を阻害する構音抑制を行う条件を,実験2においては構音抑制の替わりに認知資源を剥奪するだけのタッピング条件を設定した.二つの実験の結果,文の読解において音韻表象は「名詞+助詞」,「形容詞(形容動詞)+助詞」の処理と保持を支える役割を持つことが示された.
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資料
  • 杉本 崇, 高野 陽太郎
    8 巻 (2011) 2 号 p. 145-151
    公開日: 2011/06/28
    ジャーナル フリー
    従来アンカリング効果は数的な過程によって起こるとされていたが,近年ではアンカーによって実験参加者の持つ知識が選択的に活性化されるために起こるという意味的過程モデルが提唱されている(Mussweiler & Strack,1999a).この研究では意味的過程モデルの妥当性を検討するために,推論対象の知識が少ないときにアンカリング効果はどのように現れるかを調べた.実験参加者は徳川家康,あるいは徳川家綱の身長についてアンカーを提示された後に値を推測した.意味的過程モデルに基づけば徳川家綱という,実験参加者が非常に乏しい知識しか持ち合わせていないことが予測される人物の場合はアンカリング効果が弱くなることが予想される.しかし,本研究ではそうした結果は観察されなかった.一方,Epley & Gilovich (2006)の提案した歪み値の測定の結果,知識のないときのアンカリング効果には数的な過程が関与していることが示された.
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特別寄稿
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