多摩川河川水について, 流域環境からの有機化学物質の影響を調べるためにGC/MSによる検索を行った結果, 脂肪族炭化水素類, 多環芳香族炭化水素類, 可塑剤, 脂肪酸類, 農薬等81種の化合物が同定された。その中から有機リン酸トリエステル類 (TCEP, TBXP, TBP, TPP) , 農薬 (CAT, IBP, ダイアジノン, アトラジン, MBPMC, クロルピリホス, プロマシル) , 香料 (ガラクソリド) について, 5地点で固相抽出法による定量をおこなった。その結果, 有機リン酸トリエステル類ではTCEPの濃度が高く (7.3~370ng/l) , TPPで低かった (1.0~6.0ng/l) 。農薬ではCATが高く (不検出~110ng/l) , ブロマシルは全地点で不検出であった。ガラクソリドは全地点で検出され, その濃度範囲は0.7~100ng/lであった。下流に向かっての濃度変化はガラクソリドが生活雑排水の指標化合物となる可能性を示唆した。
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