環境化学
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4 巻, 3 号
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  • 益永 茂樹, 米澤 義堯, 漆川 芳國, 福井 学
    1994 年 4 巻 3 号 p. 619-629
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    伊勢湾全域でクロロベンゼン類の表層海水での分布を調査した。ろ過海水中の溶存態のジクロロベンゼン, トリクロロベンゼン, および, テトラクロロベンゼンの湾内の分布は, 湾奥西側から対岸の常滑の前面にかけて高濃度で, 四日市港付近から流入した汚染物質が木曽三川からの流れに乗って表層を流れていると考えられた。懸濁態のクロロベンゼン類は溶存態のようなはっきりした分布をとらず, 溶存態濃度との相関は低かった。有機炭素で補正した分配係数 (log Koc) の湾内分布は, 四日市港から常滑前面にかけて低く, その周囲で高かった。log Kocの低い地域は, 四日市港付近から流入し溶存態と懸濁物に分配された汚染物質が比較的希釈を受けない状態で表層を流されている水塊で, その周囲の高い地域は拡散により溶存態濃度が下がっているが, 脱着が十分に進行していない水塊と解釈された。伊勢湾内での化学物質の分配はこの脱着の遅れに起因すると見られるかなりの変動があるものの, 各異性体の水域内平均の分配係数はそれらのオクタノール/水分配係数 (log Kow) と相関し, 大枠としての分配は化合物の性質であるlog Kowに支配されていることがわかった。
  • 後藤 純雄, 大久保 忠利, 渡辺 悦夫, 遠藤 治, 望月 宏明, 溝口 次夫, 峯木 茂, 田辺 潔, 松下 秀鶴
    1994 年 4 巻 3 号 p. 631-636
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ガス状癌・変異原性物質に関する研究の一環として, ガス曝露 (バブリング) 法による揮発性物質の変異原性簡易測定法を検討した。この検討には, Salmonella typhimuriumTA1535/pSK1002によるumu試験法を用いた。作成した方法を用いてPropylene imine, N-Nitrosodiethylamine及びBenzotrichlorideの変異原性を測定した結果, Propylene imine及びBenzotrichlorideに明らかな変異原性が認められた。また, 複数のインピンジャーを用いれば水溶性変異原物質ばかりでなく疎水性の変異原物質についてもその変異原性の測定が可能であることが示唆された。
  • 橋本 俊次, 脇本 忠明, 立川 涼
    1994 年 4 巻 3 号 p. 637-646
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ベトナム南部から採取された層位別土壌試料及び底質コアを用い, ダイオキシンによる過去からの汚染の調査を行った。調査地点付近には, ベトナム戦争当時, 大量の枯葉剤が散布されているにもかかわらず, そこから採取された試料からは, 枯葉剤の不純物であるTCDDは検出できなかった。一方, ほとんどの試料からOCDDなどの高塩素化ダイオキシンを検出した。検出した濃度は0.069~1.1ng/g dryで, そのうち約80%がOCDD, 約15%がHeptaCDDs, 約5%がHexaCDDsであり, この組成は全試料で確認された。今回検出されたこれらのダイオキシン類は, 周囲の状況などから, 自然生成したものであることが類推された。しかも, 以前我々が調査した日本沿岸底質深層部から発見したものと全く同じ組成をもつことが分かり, 自然生成するダイオキシンの存在が示唆された。
  • Ken-ichi AKIYAMA, Kazuhiko SAKAMOTO
    1994 年 4 巻 3 号 p. 647-654
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Gas chromatographic method has been developed for determination of nitro polycyclic aromatic hydrocarbons (nitro-PAHs) in automobile exhaust.
    Nitro-PAHs are determined by gas chromatography (GC) using a flexible fused silica capillary column and splitless injection with a surface ionization detector (SID), which is a sensitive and selective detector for GC.
    It has been shown that the GC in combination with SID provides a selective and sensitive method for determination of nitro-PAHs in diesel exhaust particulates after the HPLC fractionation as a pre-treatment.
  • 森山 登, 川田 邦明, 北嶋 永一, 村山 等, 笠原 貢, 漆山 佳雄
    1994 年 4 巻 3 号 p. 655-664
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    都市部郊外の水田地帯において, 殺虫剤の空中散布区域内とその付近で, 大気中における殺虫剤濃度の推移を調査した。対象とした殺虫剤はCVMP, BPMC, マラソン及びMEPである。
    散布区域内では, CVMPでは1.8μg・m-3, BPMCでは18μg・m-3, マラソンでは2.4μg・m-3, また, MEPでは11μg・m-3となった。そして, いずれも散布開始から3時間以内に最高濃度となったことから, ミスト状の殺虫剤の影響を強く受けたものと考えられた。散布区域から45~750mの地点では, 最高濃度は0.02~9.3μg・m-3であり, 散布開始から3時間以内に最高濃度となる例が大部分であった。そして, 大気中の殺虫剤濃度は明確な距離減衰を示した。また, 散布区域内を含む大部分の測定地点で, 散布の5日後以降には<0.01μg・m-3となった。
    大気中の殺虫剤濃度を重回帰分析で解析した結果, 散布区域内では気温, 散布開始からの経過時間, 風速等で, また, 散布区域外では散布境界線からの距離, 気温, 散布開始からの経過時間, 散布区域内の濃度等で, 各々, 良好に回帰できた。
  • 松居 正巳, 西川 雅高, 森田 昌敏
    1994 年 4 巻 3 号 p. 665-670
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    HPLCにおけるフッ素イオンの選択的な検出方法を開発するためにランタン・アリザリンコンプレクソン反応を利用したポストカラム法により分光光度計を用いて, 反応温度や反応コイルの長さについて検討した。
    反応温度は40℃, 反応コイルの長さは150cm以上が適していた。リン酸, 蟻酸, コハク酸, 乳酸イオンを含む試料を分析し, 本法が選択的にフッ素イオンを検出することがわかった。
    この方法を河川水や湖沼水中のフッ素イオン分析に応用し, 従来のイオンクロマトグラフィと比較検討した。その結果, 本法が環境試料中のフッ素イオン分析に有効な手段であることが示唆された。
  • 今川 隆
    1994 年 4 巻 3 号 p. 671-676
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ヘキサクロロナフタレン (HxCN) には, 蓄積性や毒性の面で最も注目される異性体があるが, まだ全異性体が同定されていない。このため, 未同定異性体4種類のうち3種類を合成することにより, 文献データとあわせて全異性体の溶出順序を明らかした。合成した異性体のうち1, 2, 3, 4, 5, 8-HxCNは6置換ナフタレンを五塩化リンと加熱して得られた。1, 2, 3, 4, 5, 7-HxCNは1, 2, 3, 4-テトラクロロナフタレン (TeCN) を塩素化して得られる4種類のHxCNの中から, 他の3種類の異性体以外のピークを同定した。1, 2, 3, 5, 6, 8-HxCNは, 1, 2, 3, 6-TeCNを酸化して得られるテトラクロロナフトキノンを経由して合成した。1, 2, 3, 5, 7, 8-HxCNは, クロマトグラム上でただ一つ不明ピークとして残ったため同定された。ここで得られた溶出順序から焼却炉フライアッシュを分析した結果, 蓄積性の高い1, 2, 3, 4, 6, 7-/1, 2, 3, 5, 6, 7-HxCNの含有率が高い試料が多いことが分かった。
  • 全 浩, 黄 業茹, 西川 雅高, 森田 昌敏
    1994 年 4 巻 3 号 p. 677-682
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    黄砂エアロゾルの発生源地帯と考えられている中国の表層土を10カ所 (黄土地域から5カ所, 砂漠地域から5カ所) から採取した。黄砂エアロゾルと比較するとき重要な約1-10μmの範囲にある土壌粒子の割合は, 以外に少なくて黄土で1-3%, 砂漠土で1%以下であった。黄砂エアロゾルの大きな特徴は, 炭酸塩が多量に含まれていることである。その炭酸塩は, 粒径の小さい土壌粒子中に多く含まれていること, 鉱物種としてはカルサイトであることを確かめた。ところが, アルカリ元素は, 土壌粒子が小さくなるとアルミニウムに対する比が小さくなり, 風化過程で溶脱し易い元素であることがわかった。
  • ―超音波ネブライザーについて―
    西川 雅高, 熊田 玲子, 高野 美代子
    1994 年 4 巻 3 号 p. 683-688
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    環境水質基準や排水基準が1993年に大幅に改正され, 従来の基準値に比べ10倍も厳しくなった。分析方法についても, 新たにICP発光分析法が加えられるなどの改正が行なわれた。超音波ネブライザーをICP発光分析法に用いれば, 鉛の検出感度が1μg/1のレベルまで下がり, 基準値近傍の元素が効率よく測定することができるけれども, 分光干渉の存在など無視できない妨害があることもわかった。
  • 彼谷 邦光
    1994 年 4 巻 3 号 p. 689-691
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    最近, 諸外国ではミクロシスチンを始めとする藍藻毒の基準値設定の準備に入っている。ここでは, 基準値設定に関連したアオコ毒ミクロシスチンの生物分解とリスクアセスメントについての最近の知見を紹介する。
  • 安原 昭夫, 川田 邦明
    1994 年 4 巻 3 号 p. 693-695
    発行日: 1994/09/20
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Studies on collection of polynuclear aromatic hydrocarbons (PAHs) in air with denuder tubes are introduced. Vaper-particle partition of PAHs in air has been measured by using the denuder/filter/polyurethane-foam systems.
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