パッシブサンプラーを用いて静岡市25家庭で, 8種の有機ハロゲン化合物の屋外, 室内および個人曝露濃度の測定を行い, 検出された化合物に対し, 化合物ごとの特性, 地域ごとの特性や推定される汚染源について検討し, 以下の知見が得られた。
1) 一般家庭の屋外, 室内および個人曝露試料からトリクロロエチレン, 1, 1, 1-トリクロロエタン, 四塩化炭素, p-ジクロロベンゼン, テトラクロロエチレン, クロロホロム, ジクロロメタンの7化合物が凡ての家庭から検出され, また, 25家庭中15家庭の屋外試料, 22家庭の室内試料および16家庭の個人曝露試料からプロムジクロロメタンも検出された。
2) トリクロロエチレン1, 1, 1-トリクロロエタン濃度は, 室内, 屋外, 個人曝露濃度がほぼ等しく, 四塩化炭素, ジクロロメタンは室内濃度が屋外濃度に比べ同等か低濃度となっており, これらの化合物の室内およびあるいは個人曝露濃度に対し, 大気汚染の影響が大きいことが判った。
3)
p-ジクロロベンゼン, テトラクロロエチレン, ブロモジクロロメタンの濃度は室内濃度が屋外濃度より高く, これらの化合物はそれぞれ下記の特定の室内でのみ濃度が高かった;
p-ジクロロベンゼン, テトラクロロエチレン (寝室) , ブロモジクロロメタン (浴室) 。このうち
p-ジクロロベンゼンは防虫剤, テトラクロロエチレンはドライクリーニング, ブロモジクロロメタンは水道水がそれぞれ主な室内発生源となっていることを認めた。
4) 静岡市におけるVOHCsの個人曝露濃度の最大値と最小値の値の比は, 勤務先での職業曝露の恐れのある場合を別にしても52.8 (1, 1, 1-トリクロロエタン) から3160 (p-ジクロロベンゼン) と非常に大きく, 生活場所やライフスタイルの相違により個人曝露量が大きく変化することが明らかとなった。また各化合物の個人曝露濃度は各人が日常生活を営んでいる場所の影響を最も大きく受けることが示唆された。
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