ラベンダー・アロマセラピーがいかなる条件で鎮静効果を有するのか,いっそう理解すべく,局所麻酔下で手術を受ける患者において,その効果が調べられた.心臓血管系および自己報告式の測度が,手術直前(PRE)および開始後約10分の時点(DUR)で,25名の入院患者から得られた.13名の実験群患者には,DUR時にラベンダーの香りをしみ込ませた枕が用いられたのに対し,12名の対照群患者には,普通の枕が用いられた.収縮期並びに拡張期血圧,および,心拍数は,実験群の患者の方が対照群の患者よりも,PREとDURいずれの期間においても,値が低かった.両群とも,収縮期並びに拡張期血圧はPREからDUR期間へと低下した.心拍数は,両期間のあいだで変化を認めなかった.賦活-脱賦活形容詞チェック・リストにおける「緊張」と「鎮静」は,期待された通りの対照を示した.すなわち,「緊張」はPREからDUR期間へと低下し,「鎮静」はその反対であった.血圧変化に関する血行力学的機序の視点を,自己報告データで補足したところ,ラベンダー・アロマセラピーの鎮静効果は,少なくとも本研究においては実証されなかった.
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