本稿は,プーチン政権下における国家産業支配と企業管理のうごきについて,「インフォーマル・ガバナンス」を手がかりとして考察する.資源など戦略的分野に焦点をあて,国家コーポレーションやロスネフチェガス(RNG)に注目し,インフォーマル・ガバナンスが,国家主導型経済のツールとして利用価値がみとめられる戦略的企業体の支配・管理・運営にみられる動作原理となっていることを示す.
本研究は,2015年第2四半期に実施されたアンケート調査の対象企業742社に関して,2022年夏までの経営状況を追跡し,その発動からコロナ禍を挟む8年間において,対ロシア経済制裁が企業に与えた影響の有無とその効力の持続性について,生存時間分析のアプローチを用いて検証を行った.分析を通して経済制裁の初期の影響は時限的であり,2017~2018年頃には消失したと考えられること,また,政府支援の有無で評価した政府・企業間関係の強さと,制裁の影響を受けた企業の生存確率が相関関係にないことが,示された.
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