比較経済研究
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55 巻, 2 号
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特集Ⅰ:現代ロシア企業の組織と経営―ERINA企業調査に基づく東西比較
特集Ⅱ:ロシア革命100周年を迎えて
  • ―社会主義経済体制と社会主義的民主主義に注目して―
    松戸 清裕
    2018 年 55 巻 2 号 p. 2_71-2_83
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    20世紀の世界に大きな衝撃を与えたソ連社会主義について,社会主義経済体制と社会主義的民主主義に注目して再考する.社会主義経済体制は一時は大きな成果を挙げたが,体制構築時の犠牲には見合わず,非効率的で,もはや発展途上国にとってさえモデルとはならない.社会主義的民主主義は,非自由主義的で自由が制限されるため採用されるべきではないが,直接民主主義的な制度の重視と個別救済の制度化という点では参照に値しよう.

  • ―マルクス,レーニン,スターリン,毛沢東,鄧小平に見られる社会主義像の変遷―
    中兼 和津次
    2018 年 55 巻 2 号 p. 2_85-2_98
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    現代中国政治・社会の統治構造の柱が,1)権力主義(権力の維持,拡大を最高目的とする思想と政策),2)エリート主義(意思決定は少数の選ばれた人間・集団によってなされるべきだとする思想と政策),そして3)実用主義(目的のためには手段を択ばないという思想と政策)という3つの大きな原理だと私は考えるが,それは空想から現実へと社会主義像が変転する中で生まれ,確立してきた原理であった.そのことを立証するために,1)ロシア革命とマルクス・エンゲルス,レーニンの空想的社会主義構想,2)スターリンによって実施されたソ連型社会主義経済の実態,3)中国に輸入されたソ連型モデルと毛沢東による修正,4)毛沢東の空想的社会主義理念とそれがもたらした結末,5)鄧小平による現実的経済体制の選択といった,社会主義像が空想から現実へと転換していく一連の過程とその結果について考察する.

  • ―生活改善要求の承認と表出―
    森岡 真史
    2018 年 55 巻 2 号 p. 2_99-2_107
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/28
    ジャーナル フリー

    「雪解け」に伴う転換の一つは,ソ連政府が重工業・軍需産業強化のために国民に耐乏を求めるのをやめ,消費生活の急速な改善を前面に掲げたことである。国民は種々の経路で生活上の具体的な要求を表明することを許され,地方機関はそれらへの対応を義務づけられた。この転換は多数の国民に発言の機会と動機を与えたが,長期的には,不足の解消が困難であったために,計画経済の優位性への確信を浸食する方向に作用した。

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