日本鳥学会誌
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37 巻, 3 号
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  • 大迫 義人, 山岸 哲
    1989 年 37 巻 3 号 p. 89-101
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1)1983年から1986年に,京都市大原地区でセグロセキレイの配偶行動について調査した.
    2)225回の繁殖試みのうち,多くの雄は一夫一妻であったが,4羽の雄は計5回(2.2%)一夫二妻で繁殖した.
    3)一夫二妻は,配偶雄をなくした雌が隣のペア雄に囲まれて起こる場合(3例)と,ペアなわばり内に新しい雌が入うてきて起こる場合(1例)との,2つのパターンがあった.
    4)一夫二妻の2羽の雌を同時に観察すると,各々の雌が空間的•時間的に排他しあっているか,第一雌が第二雌に優位な行動をとっている,ことがわかった.
    5)一夫二妻の雄は,各々の雌と交互に連れ添って他の雄から護衛していたが,第一雌とより長く連れ添っていた.
    6)一夫二妻の雄は,第二雌の雛への給餌を殆ど手伝わなかったために,第二雌の繁殖成功度が低かった.これが,セグロセキレイで一夫多妻が起こり難い理由の1つであろう.
    7)雌同士は,雄からの子育ての投資を得るために,排他的になると考えられる
  • 細野 哲夫
    1989 年 37 巻 3 号 p. 103-127
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1)1983-84年に長野市日詰で,また1962-65年(および1983年冬)に長野市川中島で,オナガの個体相互の関係や群れの関係などその社会構造を,全季節を通じて調べた.
    2)番いや家族群がみられる時期を繁殖期(4月-9月)とし,それ以外を非繁殖期とした.
    3)非繁殖期の群れは20羽内外でまとまりをもって移動し,1日の群れの大きさは終日変らなかった
    4)塒はつねに群れの全構成員でとられ,冬から春にかけては2-3群の合同した複合塒が形成されることがあった.この場合塒での群れ間の闘いはみられなかった.
    5)非繁殖期の日詰の群れの行動圏は東西約1.2km,南北約0.9kmであり,18個の屋敷林を含んでいた.屋敷林ごとの滞在時間や利用頻度は,屋敷林の環境条件と密接に関連していた.
    6)非繁殖期の群れ間には,行動域のごく一部しか重複がみられず,またここでは回避や追払い行動がみられた.すなわち群れの行動圏は群れなわばりである.
    7)日詰群では各番いの巣は特定の屋敷林一か所に集中していた.非繁殖期の群れなわばりを構成した各個体は巣の間を自由に行動し,個体相互間に問おきや敵対行動はみられなかった.
    8)群れなわばりを構成している異性個体が番いになり,営巣期は4月末から9月初めまでで,巣立率はほぼ50%弱であった.また,家族群は5月半ばから9月半ばにみられ,巣立ら後の約1か月は巣の周辺の屋敷林でのみ過し,夜はまとまって塒をとった.
    9)家族群同士が出会っても相互に排他行動はみられなかった.家族群には,繁殖失敗の成鳥が付随したり,亜成鳥による雛への給餌の手伝い行動がみられた.
    10)家族群以外にも,繁殖期を通じて移動時や外敵出現にあたっては,全群とは限らないが群れで行動した.また,繁殖期にも塒は全員によるとは限らないが集団でとられ,巣中の片親あるいは両親が,繁殖ステージによってこの集団塒に参加した.
    11)以上をもとに,オナガの生活形態や社会構造などを,他の群れ生活をする鳥類と比較した.その結果オナガは,確実な資料を持って論じられた鳥の中では,群れ生活を年間を通して行なうもっと.も典型的なものであることが判った.
  • 香川 敏明
    1989 年 37 巻 3 号 p. 129-144
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    1) 1982-87年の繁殖期に,本州中央部の菅平湿原(北緯36°20′,東経138°20′)において,同所性 のオオヨシキリとコヨシキリの種間関係を調べた.とくに1987年には,両種の繁殖,行動圏,種間関 係の行動を詳しく調べた.
    2) オオヨシキリはコヨシキリより早く渡来した.渡来の順はまずオオヨシキリの雄,次いでオオヨシキリの雌とコヨシキリの雄,最後がコヨシキリの雌の順であった.
    3) 調査地における番い雄の滞在期間は,両種とも平均60日間であった.コヨシキリはオオヨシキシより定住性が弱く,行動圏の移動がよく見られた.
    4) 繁殖成功率(産卵数に対する巣立ちひな数の割合)は,オオヨシキリが40.4%,コヨシキリが61.1%であった.
    5) 行動圏が確立していく過程で,両種の間に時間と場所の分離があった.コヨシキリはオオヨシキリと時間をずらせて,オオヨシキリのすき間やオオヨシキリのいない場所に行動圏を定めた.
    6) 両種の生息環境の選択に垂直的な分離があったが,ヨシは両種が共通に選択した.巣位置の平均の高さは,オオヨシキリが1.02m,コヨシキリが0.63mで,有意差が認められた.
    7) 両種のなわばり行動に,鳴き合い,追いかけ,戦いの3つのタイプがあり,とくに,オオヨシキリには鳴き合いが多く見られた.囀り地点として,オオヨシキリは高い樹木をよく利用し,コヨシキリはヨシをよく利用した.
    8) 行動圏と囀り地域の大きさとは,オオヨシキリの方がコヨシキウよりかなり大きかった.コヨシキリの雄の中に遠出をしたり,複数の行動圏を持つ個体があった.
    9) オオヨシキリは,コヨシキリが行動圏へ侵入すると,攻撃性を示し,常に優勢であった.いっぽう,コヨシキリはオオヨシキリの侵入に対して,これを効果的に追い出すことができなかった.
    10) オオヨシキリとコヨシキリの混在地では種間なわばりによる共存ではなく,コヨシキリの方が時間をずらせてオオヨシキリの行動圏の境界へ入り,オオヨシキリとの種間なわばりによる対抗をさけて,植生を利用してかくれひそみながら,繁殖成功をとげる方法で共存している
  • 飯嶋 良朗
    1989 年 37 巻 3 号 p. 145-146
    発行日: 1989/03/25
    公開日: 2007/09/28
    ジャーナル フリー
    A single White-breasted Waterhen Amaurornis phoenicurus was observed and photographed at a pond near the mouth of the Rekifune River at Taiki, Hokkaido on 30 September 1988. The bird was an immature. This was the first report on the occurence of the species for Hokkaido, although there was an unauthentic record of its occurence in Tomakomai in December 1983.
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