化学装置用鋼溶接構造物は,高温,腐食性雰囲気,高圧水素雰囲気など使用環境条件によって脆化,腐食減肉あるいは割れなどの損傷を受けるが,装置の安全性を確保するためには,これらの損傷を正しく把握・評価し,適正な対策をたてることが必要である.これに関連し,各種化学装置の製作者にとっては,これらの損傷情報を解析し,環境損傷を受けにくい材料の開発,溶接施工法の確立と,製作時品質管理の徹底をはかり,信頼性の高い装置を供給することが必要な責務と考える.
本講座では,代表的な化学装置で発生しやすい各種の環境損傷を招介し,それらの発生原因と,防止のための現状での技術を述べることにしたい.
なお,本講座を通じ,溶接技術者がこの分野に於ける技術問題に関心を抱いて頂くことが,筆者の意図するところである.
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