平成4年度から小学校を皮切りに実施されている学習指導要領では,学習内容の改変に加えて,学習の評価方法も大きく変化してきている.今までの評価方法は相対評価が主流であったが,現在では,絶対評価がすべての教科で中心の評価として適用されている.しかし,この絶対評価では,評価の到達基準が教師一人一人の感性に基づいた主観に委ねられるので,客観性を維持しにくいという難点がある.そこで,正当でかつ公平な評価を行うために,絶対評価を客観的に行う評価法の開発が必要とされている.本研究では,絶対評価における評価の客観化を図る具体策の一例として,ファジィ推論を応用した書写の評価法の具体的な構成法,および初等教育の書写の評価に適用した事例について述べる.その結果,(1)今までの教師の主観に任されていた絶対評価にファジィ推論を応用することにより,定量的な評価が可能になる,(2)熟練教師の理論と経験に裏付けられた評価のノウハウなどを導入することにより,教師の感性に基づく評価の変動を抑えることができる,等の効果が認められた.
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