土木学会論文集F1(トンネル工学)
Online ISSN : 2185-6575
ISSN-L : 2185-6575
69 巻, 1 号
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和文論文
  • 小西 真治, 仲山 貴司, 田村 武, 豊田 浩史, 松長 剛, 井浦 智実
    2013 年 69 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
     高い地下水位を有する未固結地山で山岳工法(NATM)によってトンネル掘削を行う場合,切羽の安定は地下水の状況に大きく左右される.このため,施工に際しては地下水位低下工法の併用や地下水位の常時観測などが重要となる.著者らは,このような現場でより安全かつ合理的な施工管理を行うためのツールとして,数値解析による新しい切羽安定性評価法を研究開発した.本論文では,この手法の妥当性を施工事例を基に検証した結果を述べ,切羽安定性評価,補助工法選定が簡易に行える指標を提案する.
  • 八木 弘, 浅野 剛, 安井 義則, 土門 剛, 西村 和夫
    2013 年 69 巻 1 号 p. 10-28
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
     本論文では,事前補強ケーブルボルトの作用効果の概念を提示し,この概念の正当性を現地試験により検証した結果について報告する.現地試験では,亀裂性地山の大断面トンネルにおいて,天端崩落を防止するための事前補強ケーブルボルトを施工し,拡幅掘削後に施工するロックボルトに替わる機能を持たせた.ケーブルボルトはロックボルトに比べて軸剛性や付着力が小さいことから,軸力がケーブルボルト全体に分散しやすく,比較的均等な軸力が発生する.さらに,ケーブルボルトと地山との付着力の違いによって,ケーブルボルトの作用効果のメカニズムが異なり,そのメカニズムは3つのタイプに分類できることを示した.
  • 岡野 法之, 仲山 貴司, 津野 究, 小島 芳之, 西藤 潤, 朝倉 俊弘
    2013 年 69 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     筆者らは,鉄道トンネルで現在でも数多く供用されているブロック積み覆工の耐力評価法の確立を目的として,鉄道単線トンネルのアーチ部を対象に,縮尺1/2のれんが積み覆工模型実験を実施し,その結果を梁-ばねモデルによる骨組解析でシミュレートした.そして,その骨組解析手法を用いて,実際のれんが積み覆工トンネルを対象とした耐力評価を試みた.得られた結論は以下の通りである.1) 層間目地を法線ばねおよびせん断ばねとしてモデル化したひび割れ進展骨組解析により,れんが積み積層構造をシミュレートすることが可能である.2) その手法を用い,鉄道単線断面のれんが積み4層巻きのトンネルについてパラメータスタディを実施し,欠陥の有無がトンネルの耐力に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.
  • 小林 俊一, 松本 樹典, 西岡 勉, 篠原 聖二, 譽田 孝宏, 長屋 淳一
    2013 年 69 巻 1 号 p. 39-53
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     日本の開削工事のうち,大深度掘削に対する土留め設計には,梁ばねモデルを用いたフレーム解析(土留め弾塑性解析)が通常よく用いられる.この方法で予測した土留め壁変位量は,実工事での実測変位量よりも大きく,変位モードも異なり,結果として安全設計になる場合が多い.本研究では,地盤と構造物間の相互作用を考慮した土留め設計法を新たに開発することを最終的な目標とし,実際の開削工事現場で計測した土留め壁変位量と比較し,その妥当性を検討した.その結果,従来モデルや提案モデルによる水平変位量は,実測値より概ね大きい傾向にあるが,提案モデルの方が実挙動をより精度よく表現できることが分かった.またこの傾向は,砂卓越地盤よりも粘土卓越地盤の方で顕著であった.以上のことから,提案モデルの優位性を示すことができた.
  • 嶋本 敬介, 野城 一栄, 小島 芳之, 中西 祐介, 塚田 和彦, 朝倉 俊弘
    2013 年 69 巻 1 号 p. 54-72
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/03/19
    ジャーナル フリー
     山岳トンネルにおいて,供用開始後に路盤隆起が発生し,何らかの対策が必要となることがあるが,その設計は経験的な手法に頼ることが多く,合理的な対策工の選定法は重要な課題となっている.そこで本論文ではまず,路盤隆起が発生した山岳トンネルの事例を分析し,路盤隆起のメカニズムを推定した.そして推定したメカニズムを再現する模型実験とその数値解析を実施した.その結果,路盤部地山の塑性化に伴う路盤隆起に対して,インバートが非常に効果的であることを確認した.また,下向きロックボルトの作用メカニズムを確認し,配置や長さ,打設角度といった下向きロックボルトの設計諸元が路盤隆起の抑制効果に与える影響を検討した.
  • 木股 浩孝, 仲山 貴司, 津野 究, 粥川 幸司, 小西 真治
    2013 年 69 巻 1 号 p. 73-88
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     供用中のシールドトンネルに見られるひび割れの発生原因を選別することを目的として,施工時にシールドテールとセグメントの接触により発生したひび割れを特定する手法を検討した.これは,シールド機のテールとセグメントリングをモデル化した二次元接触解析で接触による作用荷重を算出し,これを複数のセグメントリングをモデル化した三次元FEMに入力することにより,セグメントに発生する応力の分布やひび割れの発生位置を把握するものである.要素実験のシミュレーションを通して三次元FEMの適用性を確認するとともに,実トンネルを想定したパラメトリックスタディを行い,裏込注入材の介在によるテールシールの剛性の違い,ジャッキパターン,地盤反力係数がひび割れ発生位置に及ぼす影響を把握した.
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