近年, 流通業界でのコンピュータネットワークインフラが整備されるにつれて, 「顧客ID」に基づくデータ(FSPデータ: Frequent Shopper Program, 顧客IDを伴ったPOSデータとの意味合いから以降「ID付きPOSデータ」と記す)を収集する機能が急速に上昇している.この時系列に整備された大規模データベースに対して顧客のセグメンテーションを実施する際に, 従来型属性別「マス・マーケティング」に代えて, 顧客個別の商品購買行動をもとにセグメンテーションを行う手法(「ターゲット・マーケティング」)が主流になりつつある.本論文では, ID付きPOSデータに対して制約付き潜在クラスモデルを適用し, 顧客の購買行動パターンをもとにした同質と異質の新たな顧客セグメントの創出方法を提案する.ブランド別応答頻度を多項分布からの実現値とみなして, ブランド購入回数に関する確率変数をポアソン分布とする仮定のもとで, EMアルゴリズムを用いて潜在クラスパラメータの推定を行った.創出されたセグメントは所属する顧客の各プロダクト選択行動確率での特徴づけが可能である.
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