計算機統計学
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原著論文
  • 阿部 興, 伊加田 恵志, 作村 建紀, 鎌倉 稔成
    2023 年 36 巻 2 号 p. 83-97
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/11
    ジャーナル フリー
     本体の性能を維持するために, 付属する消耗部品 (以降単に部品とする) の定期的な交換が必要な製品は数多い. 我々はこのような部品の交換を再発事象という観点でとらえ, 連続時間の確率過程として非定常ポアソン過程, 離散時間の確率過程としては状態空間モデルを用いた分析を行う. 解析対象は製品本体とそれに対応する部品の出荷数のデータである. 連立方程式を用いることで, 未観測の状態である本体の稼働台数を考慮した部品の需要予測モデルを提案する. 本体の稼働台数の情報は商品のライフサイクル設計に活かすことができ, 経営上の戦略にとって有益である. パラメータの推定量に関しては, シミュレーションによりバイアスと標準誤差を明らかにする. 事例研究では, 予測精度の点において, 提案モデルが既存のモデル (バスモデルとARIMAモデル) より優れていることを示す.
  • 石田 明日香, 高柳 昌芳, 保科 架風, 岩山 幸治
    2023 年 36 巻 2 号 p. 99-126
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/11
    ジャーナル フリー
     現在, バスケットボールの選手評価に使われる指標には, 評価値の信頼性に関する情報を得ることや選手同士の相乗効果に関する評価が難しいという問題がある. これに対し本論文では, チームメイトや対戦相手など同時に出場している選手の能力や, チームメイトとの相乗効果を考慮に入れたモデルをベイズ推定することでそれらの問題を解決する選手評価が可能になることを示した. また, 選手の攻撃・守備能力などの事後分布を解析的に導出することで, 選手の能力評価値やそれらのアフィン変換で得られる指標のベイズ信用区間を構築し, 能力値の推定の不確実性についても評価できることを示した. これは, マルコフ連鎖モンテカルロ法を利用するよりも計算コストを抑えることが可能である. また, アメリカ National Basketball Association (NBA) のデータを利用し, 既存手法との比較検証を実施し, 提案手法は既存手法よりも妥当な選手評価を提供することを確認した.
総合報告
  • 川村 陸哉, 山本 義郎
    2023 年 36 巻 2 号 p. 127-144
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/11
    ジャーナル フリー
     ハンドボール競技の各国代表チームのランキングは2010年から更新されず, 国際大会の予選グループ分けにも利用されていないため, 無気力試合などの問題が見られる. 更に, 2010年以前のランキングは統計的根拠に欠けている. 本論文では, 男子ハンドボール競技に対して, 試合の結果から各チームの実力を算出するレーティング手法を提案する. このレーティングに基づいてランキングを行うことで, 無気力試合の防止とメディアによるランキングの取り上げを通じてハンドボール競技への興味・関心の喚起に役立つことが期待される. ランキングの活用例として世界選手権の試合結果をもとに提案手法によるレーティングを算出し, オリンピック大会において各大陸に与えられる出場国枠数について議論する. また, ユースアジア選手権での大会形式の不備に起因する無気力試合について, レーティングをもとに指摘する.
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