群逐次決定方式は反応が1変量正規分布に従うと仮定したとき,その群観測値をもとに,2処置間の差の検定を行う.いくつかの臨床試験では,1反応よりむしろp反応で処置の効果を評価した方が有効である.この多変量観測値をもとに群逐次検定を実行するためには,X^2統計量またはHotellingのT^2統計量を用いることが考えられる.しかし,これらの統計量は2次形式で与えられるため,直接p反応中のいくつかの反応の寄与を調べることはできない. 本論文では,2つの処置のp反応ベクトルが多変量正規分布に従うものと仮定し,この2つの平均ベクトルの差をもとに,p反応中のいくつかの反応の寄与の有無を検定するための群逐次検定方式を導く.この群逐次検定を具体化するために,Raoによるadditional informationの検定理論(1952)の中で述べられているのT^2統計量を用いて群逐次T^2統計量を提案する.さらに,平均検査個数を少なくする群逐次検定を実現するために,Jennison-Turnbull(1991)の方法を拡張した修正群逐次T^2統計量を提案する.この2つの統計量を使い,繰り返し信頼限界を設定した後,検出力,平均観測個数に関して,2つのT^2検定統計量にもとづく群逐次検定手法を比較する.
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