廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
選択された号の論文の289件中151~200を表示しています
D2 熱分解・炭化・ガス化
  • 安田 肇, 村上 高広
    セッションID: D2-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    ガス化装置内部の粒子の形状および場所を維持しながら粒子を修正するための開口システムを装備するガス化装置を設計した。実験/操作の途中でガス化炉を急冷することにより、固体粒子の状態を任意の時点の状態に保つことができる。固定床反応器の底部は急冷後に開放することができ、透明な円筒体で覆うことによって固体粒子を回収する。また、反応器下部のみを開放しているので、反応器本体の運搬、横向き、分割等の作業を必要とせずに、回収・可視化作業に要する労力を効果的に削減することができる。さらに、円筒体内に保持・回収された粒子の集合体を円筒体の境目に沿って切り開くことにより、縦横の断面を観察できる。試料や条件によるガス化性能の違いを調べ、本手法を用い観察した炉内の粒子の状態・分布と対比し考察を深めた。

  • 清水 正也, 横路 尚人, 森永 友一郎, 宇山 伸宏, 谷口 暢子
    セッションID: D2-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    環境省により、100t/d以下の中小規模処理施設におけるエネルギー回収の一つの選択肢として炭化燃料化施設が挙げられており、昨年度川崎重工業(株)は炭化燃料の利用拡大の開発を先進的取組み事業として申請し、環境省の委託事業に採択された。本事業で行っている、高水分炭化燃料を簡易に利用可能とする2種類のバーナの開発において得られた結果を報告する。

    炭化燃料の燃料特性は、一般的に発電所で使用される瀝青炭や亜瀝青炭と比較すると、燃料比や着火温度、反応速度は近い値を示している。また、粒子径が100μm程度であれば、火炎内で必要な蒸発完了時間を確保できるという結果が得られた。その結果を踏まえ、炭化燃料の噴霧試験を行い、目標とする粒子径を得られた。さらに、実際に燃焼試験を行う試験炉・ごみ焼却施設で燃焼解析を行った結果、開発するバーナで高水分炭化燃料が問題なく蒸発後、チャー燃焼状態となることが確認できた。

  • Tsamara Tsani, Baskoro Lokahita, Muhammad Aziz, 高橋 史武, 吉川 邦夫
    セッションID: D2-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本研究はパーム核殼のカリウムの存在形態を調査し、異なる温度での水熱処理によるカリウム除去のメカニズムを予測することを目的とする。水熱処理は100、140、180および220℃でバイオマス対水の比1:10および保持時間30分で行われた。カリウムがPKS中にKClおよびK2SO4および長石機として存在することを見出した。カリウム除去率は温度と共に上昇し、220℃で最高の除去率60.11%に達した。140℃で水熱処理した後、無機形態のカリウムがPKSから完全に除去された一方、有機形態のカリウムは220℃で水熱処理した後でも存在することを確認した。水熱処理中に発生する亜臨界水がイオン交換プロセスを促進し、無機形態のカリウムを除去する薬剤であることを示唆している。しかし、有機形態のカリウムを希釈するためには他のイオン交換剤が必要とされる。

  • 佐藤 邦彦, 立野 雄也, 奥山 幸俊, 坂口 貴啓, 近藤 笑加, 肴倉 宏史
    セッションID: D2-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    近年、間伐材等の未利用材や製材端材等の一般木材を利用した発電所の増加に伴い、発生する焼却灰についても増加しており、適正処理及び有効利用が求められている。また、建設廃材由来の焼却灰について、鉛、六価クロム等の重金属が検出される事例報告があるが、自然木由来の焼却灰については、利用時の安全性に関する知見があまり見当たらない。

     そこで、著者らは前報で、木質バイオマスボイラー焼却灰の有害物質の挙動について、溶出試験、環境最大溶出可能量試験等を実施した。本研究では、さらに詳細な溶出特性を把握するため、実際の利用形態を模擬したカラム通水試験を実施し、得られた結果について地下水への影響評価を行ったので報告する。

  • 藤森 崇, 西田 崇矩, 高見 侑佑, 高岡 昌輝
    セッションID: D2-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    短鎖塩素化パラフィン類(SCCPs)およびデカブロモジフェニルエーテル(BDE-209)は、POPs条約において附属書A(廃絶)への追加が決定した。今後、各締約国において新規POPs自体やそれらを含有する製品や廃棄物については、可能な限りその量を低減させる必要がある。従来から低濃度のポリ塩素化ビフェニル類(PCBs)の廃棄物に対して適用されてきた低減技術として焼却処理が挙げられる。同法では、対象のPCBs自体を熱分解させ無害化する方法であるものの、対象物質由来の熱分解生成物が複数発生する。しかし、新規POPsに関する熱分解生成物の知見は限定的である。本研究では、SCCPsおよびBDE-209を850℃で焼却した際に発生する熱分解生成物を、パイロライザーを組み込んだガスクロマトグラフ質量分析計(PyGC-MS)を用いて定性分析することを目的とした。

  • 津村 歩希, 川本 克也
    セッションID: D2-9-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    近年、バイオマスのガス化等で製造された水素が次世代のエネルギーとして期待されている。しかし、水素は貯蔵や運搬が困難であるという欠点を持つ。また、廃棄物焼却施設や他の産業プロセスで必然的に発生する二酸化炭素の直接排出は、地球温暖化の原因となる。そこで、種々の工程から排出される水素と二酸化炭素を反応させ、利用価値の高いメタン等として、高効率に回収できる触媒変換プロセスの開発が望まれる。以上を背景に、本研究はガス組成の変換反応を促進させ得る触媒の開発、およびその最適適用条件を見出すことを目的とした。触媒は、比表面積が大きくかつ規則的構造を持つメソポーラスシリカSBA-15の構造を基礎に、有効成分としてニッケル(Ni)を用い、これに他の金属種を組み合わせる複合触媒化により性能向上を目指した。温度や触媒の種類等を変化させて、メタン化反応特性を明らかにし、とくに低温での触媒の適用性を評価した。

  • 劉 志翔, 川本 克也
    セッションID: D2-10-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    化石燃料の枯渇問題と地球温暖化対策の一つとして、バイオマスからのエネルギー回収技術は現在世界的に注目されている。バイオマスガス化は、液体燃料や水素リッチなガスが得られる技術として、多くの領域で高い関心が持たれている。このガス化によりH2のほかCOや炭化水素など種々の可燃性ガスが発生する1)。これら有用なガスの収率を高めるため触媒の適用が検討される。今回筆者らは、ガス化の触媒能力を持つと考えられる天然鉱石に着目し、ガス化プロセスへの適用性を評価した。発生ガスの組成を把握し、ガス中水素濃度およびH2/CO比の変化を評価した。天然物鉱石に有効性が認められるならば、ガス化プロセスの普及が期待できる

D3 ガス化溶融・灰溶融
  • 德川 暁大, 名間 瑞樹, 髙田 純一
    セッションID: D3-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    「東部知多クリーンセンター(愛称:エコリ)」は、東部知多衛生組合(大府市・豊明市および東浦町・阿久比町の2市2町で構成)の一般廃棄物を処理する施設で、老朽化した既設施設に代わる新施設として、2019年3月に竣工し、本格稼働が開始した。本施設は「低炭素型シャフト炉」を適用し、シャフト炉式ガス化溶融炉の特徴である①幅広いごみ質のごみを確実に溶融・スラグ化。②最終処分量を極小化する機能を保ちつつ、CO2削減実現した最新型の施設である。低炭素型シャフト炉の導入により、幅広いごみ質に対して安定溶融が可能で、無害で高品質な溶融物を生産する従来型シャフト炉の特長を継承しつつ、コークス使用量を大幅に削減できることを、引渡性能試験を通じて確かめた。今後も、廃棄物処理システムにおけるプロセス開発や設備要素技術の革新に取り組み、循環型社会及び低炭素社会の形成に貢献していく所存である。

  • 釜田 陽介, 倉田 雅人, 寶正 史樹, 岡市 真司, 後藤 謙治, 上林 史朗
    セッションID: D3-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    溶融技術は、放射性物質汚染廃棄物に塩化物を添加して1,300〜1,400℃で溶かすことで、廃棄物中のCsを塩化揮発させて少量の溶融飛灰に分離濃縮することができる減容化技術である。揮散促進剤としてCaCl2や再生塩ビを添加するが、塩素は一定割合がHClとなって排ガスに移行する。二段BFを用い、No.1 BFでは溶融飛灰のみを捕集し、No.2 BFでCa(OH)2を噴霧して酸性ガスの中和を行えば、No.2 BF灰は溶融炉で揮散促進剤として循環活用できる。そこで、本報では、仮設焼却炉の焼却灰模擬物にNoを処理対象物として、No.2 BF灰を添加した条件で溶融テストプラントでの実証試験を行い、Csなど各元素の揮散挙動について調査を行った。その結果、No.2 BF灰添加時のCs揮散率は未添加時と同程度に高く、No.2 BF灰は揮散促進剤として有効であることが実証された。

  • 松下 晴樹, 福田 尚倫, 佐藤 暁, 川田 一輝
    セッションID: D3-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    2019年3月に竣工した「東部知多クリーンセンター(愛称:エコリ)」は「低炭素型シャフト炉」が導入されており、シャフト炉式ガス化溶融炉の特徴である ①幅広いごみ質のごみを確実に溶融・スラグ化し、②最終処分量を極小化する機能を保ちつつ、③CO2削減も実現した最新型の施設である。本施設のNOx除去方式には、エネルギー回収効率向上に寄与する無触媒脱硝(SNCR)を採用しており、従来型の施設にて開発を進めてきた低NOx燃焼技術との組み合わせにより、排ガス再循環を使用せず排出NOxを安定的に低減することができた。素反応解析をベースとした燃焼室の空気配分設定により低NOx燃焼を実現し、発生NOx濃度の平均値は59 ppmとなった。無触媒脱硝により煙突NOx濃度は平均33 ppmとなり、安定して排ガスNOx基準値の70 ppmを大きく下回った。

  • 寳正 史樹, 辻 英一, 仲井 文彦, 杉村 裕康, 佐藤 淳
    セッションID: D3-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    「焼却残さの資源化」は、最終処分場の確保が困難な国,地域において特に重要である。溶融技術は1,300℃の高温処理により焼却残さをスラグ、精錬原料(メタル、溶融飛灰)に転換する資源化技術である。溶融炉の燃料費低減は,「焼却残さの資源化」コスト低減に向けた重要な課題である。

     一方,海洋プラスチック(プラ)問題,プラ輸入国の禁輸政策,バーゼル条約改正により「廃プラの国内処理・資源化」は各国共通の課題となった。高塩素濃度,複合材料,頑固な汚れなど材料リサイクルが困難な廃プラの有効利用は重要な課題である。

     焼却残さ溶融炉における廃プラの助燃材利用は,「廃プラの国内処理・資源化」及び「焼却残さの資源化」コスト低減を同時に実現する技術である。浦添市クリーンセンターでは2017年より実証試験を経て廃プラの助燃材利用を開始した。本報では廃プラ助燃材利用前後の延べ308日間の実炉操業データを評価したので報告する。

  • 有馬 謙一, 山田 一夫, 大迫 政浩, 保高 徹生, 芳賀 和子
    セッションID: D3-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    福島県内の仮設焼却施設で発生する放射性物質に汚染された焼却残渣(主灰とばいじん)は、2020年3月より減容化施設での熱処理が始まるが、副産物である溶融飛灰については放射能濃度が高く、最終処分に向けた様々な研究開発が進められている。その中心となるのは飛灰中の放射能物質をさらに濃縮して減容化する技術であり、例えば洗浄により放射性セシウムを水中に溶出させ、吸着剤により選択的に吸着して濃縮し、吸着剤を固化して廃棄体とする方法等について基礎的な検討が進められている。その必要性や適用する放射能濃度を把握して技術開発の要点を抽出し、技術的に合理的なシナリオを検討するためには、全体のマスバランスの把握が必要である。

     本報告では、マスバランス計算方法を概説してその計算例を示し、運転パラメータが各発生物の量と放射能濃度に与える影響を検討した。

  • 釜田 陽介, 黒石 智, 永山 貴志, 上林 史朗
    セッションID: D3-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    溶融技術は、放射性物質汚染廃棄物に塩化物を添加して1,300〜1,400℃で溶かすことで、廃棄物中のCsを塩化揮発させて少量の溶融飛灰に分離濃縮することができる減容化技術である。本報では、再生塩ビの薬剤適用可否判断を目的とし、国内で実際に排出されている再生塩ビ7種類について模擬焼却灰を処理対象物としたCs揮散試験を行い、アルカリ金属(Cs、K、Na)、重金属(Pb、Zn)の揮散促進効果について調査した。その結果、再生塩ビの種類による大きな違いは見られず、アルカリ金属、重金属の揮散率はいずれの再生塩ビを添加しても高かった。したがって、国内で廃棄されている再生塩ビもCaCl2と同程度以上のCs揮散促進効果を有しており、二成分塩基度及びCl濃度を指標として添加量を調整すれば、双葉町減容化施設でも薬剤として適用可能であると判断された。

D4 排ガス処理・監視
  • 徐 嘉星, 早川 健一
    セッションID: D4-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    医療系産業廃棄物の焼却施設において、バグフィルタの入口と出口で廃ガス中の水銀濃度を測定し、バグフィルタでの水銀除去挙動について調査した。2015年に行った測定では、廃ガス中の水銀はバグフィルタにより90%以上が飛灰として除去されていた。また、バグフィルタ前後での水銀減少量と飛灰としての水銀排出量はよく一致し、焼却施設に流入した水銀は、ほぼ全量が飛灰へ移行する傾向が示された。一方、2019年に行った測定では、廃ガス中の水銀濃度は1/10に低下していたが、バグフィルタでほとんど除去されていないという、大きく異なる傾向が得られた。この3年間で施設に変化はない。仮説の域を出ないが、廃棄物中の水銀の化学形態が変化してきたのかもしれない。水銀除去のメカニズムにおいて、水銀の化合物形態は重要な因子である。今後は、飛灰あるいは煙突排ガスにおいて、水銀の化合物形態ごとの詳細な検討が必要であろう。

  • 森川 徹也, 坂本 博
    セッションID: D4-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    ごみ焼却施設から発生する酸性ガスの除去には、比表面積等を増大させ酸性ガス除去性能を向上した高反応消石灰が用いられることが多くなってきている。高反応消石灰はJIS特号消石灰に比べて使用量が少なくなり、排ガス処理コストの低減や飛灰発生量の減少といったメリットがある。一方で、最終処分場において飛灰からの有機成分溶出が問題となっている。その主たる要因は重金属溶出抑制のために添加される有機キレート剤であるが、高反応消石灰中に含まれる有機成分も溶出することが報告されている。そこで、本研究では従来の高反応消石灰と同等の優れた酸性ガス除去性能を有し、JIS特号消石灰のように有機成分がほとんど溶出しない新たな高反応消石灰を開発した。開発品が排ガス処理に使用されることで、飛灰の再利用や最終処分場での環境負荷が低減されることを期待したい。

  • 矢野 亮, 福田 尚倫, 永田 俊美, 阿部 夏季
    セッションID: D4-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    当社シャフト炉式ガス化溶融システムでは、施設の経済性の観点(高効率発電、消費電力削減等)から、水銀の大気排出対策として、主に粉末活性炭吹込みによる吸着除去方式を採用しており、本方式における「利用可能な最良の技術(BAT:Best Available Techniques)」、「環境のための最良の慣行(BEP:Best Environmental Practices)」に積極的に取り組み「高温排ガス中水銀除去用粉末活性炭」を開発した。本稿では、開発試験(ラボ試験)以後に実施した「高温排ガス中水銀除去用粉末活性炭の実機実証試験」について報告する。

  • 高橋 由莉子, 内田 大貴, 亀田 知人, 熊谷 将吾, 斎藤 優子, 水品 恵一, 伊藤 一郎, 韓 田野, 吉岡 敏明
    セッションID: D4-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    ごみ焼却場で発生する排ガス中にはHCl、SOx、NOxが含まれる。現在、乾式法では消石灰噴霧と触媒脱硝により処理されているが、飛灰埋立による最終処分場の短命化や高コストな触媒脱硝設備が課題となっている。そこで再生利用可能で環境負荷の少ない吸着剤として層状複水酸化物に着目した。CO3型Mg-Al系層状複水酸化物(CO3型Mg-Al LDH)は、HCl、SO2およびNO2を同時処理することができたが、NOXの95%以上を占めるNOの除去が不可能であった。一方マンガンは高価な典型金属に代わるNOの酸化触媒として高い活性を持つ。そこで本研究では、NO処理プロセスとして二酸化マンガンとCO3型Mg-Al LDHを組み合わせた2段階プロセスを検討した。また、MnO2とLDHを複合したMnO2/Mg-Al LDHを創製し、MnO2とLDHの混合体またはMnO2/Mg-Al LDHによる1段階プロセスを検討した。

  • 權田 恭平, 黄 仁姫, 松藤 敏彦, 松尾 孝之, 東條 安匡, 木下 亮
    セッションID: D4-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    消石灰(Ca(OH)2)は、都市ごみ焼却炉から発生する排ガス中の塩化水素及び硫黄酸化物を中和除去するためのアルカリ材として使用されている。そして排ガス処理薬剤の中で消石灰は最も使用量が多く処理コストに及ぼす影響も大きいことが問題である。そこで、焼却施設現場で安価な生石灰(CaO)から消石灰を製造する“オンサイト製造”が検討されている。しかし、実証試験に用いた際にBF下部のホッパにて集じん灰の排出不良(ブリッジング)が発生した。そこで本稿では、消石灰の流動性評価手法を開発した。多種のオンサイト消石灰を製造し流動性を評価することで、製造条件、物性、流動性の関係を明らかにし、製造条件を最適化することを目的とする。

  • 黄 仁姫, 二上 雄斗, 松尾 孝之, 松藤 敏彦, 東條 安匡, 山田 裕史
    セッションID: D4-6-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    竪型ストーカ炉は,一定高さで堆積させたごみを炉下から低空気比の一次燃焼空気を供給することで熱分解し,発生した熱分解ガスを二次燃焼空気より効率よく燃焼するものである。消石灰による処理前から排ガス中塩化水素濃度が低く,炉内のごみ層の中でアルカリ金属より捕捉された可能性が考えられた。しかし,竪型ストーカ炉の主灰への塩素移行量を調査した結果,30%程度であり,従来ストーカ炉との差は認められなかった。一方,竪型ストーカ炉の排ガス中塩化水素濃度の測定結果から,塩化水素の捕捉は主に焼却炉と再燃焼室,さらには減温塔の間で起こっていると示唆された。そこには,ばいじん中の酸化カルシウムと塩化水素の反応が関与している可能性が考えられた。本現象が竪型ストーカ炉特有のものであるかは今後の課題である。従来ストーカ炉においても同様の調査を行い,炉内での塩化水素低減メカニズムを明らかにする必要がある。

  • 寺嶋 有史, 飯野 成憲, 辰市 祐久, 小泉 裕靖
    セッションID: D4-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    『水銀に関する水俣条約』の発効(2017年8月)に伴う大気汚染防止法及びその関連法令の改正において、水銀排出施設からの大気への水銀排出基準が初めて設定され、その遵守と排出濃度の測定・記録・保存が平成30年4月1日から義務付けられている。今後、大気への水銀排出においては、より確実で効果的な技術的リスクマネジメントが求められる。本研究ではバグフィルターにおける水銀の活性炭処理に注目して、はじめに実験室レベルにおける活性炭等の吸着・反応処理実験装置を開発した。本装置では、ガス状水銀と代表的な共存ガス(水蒸気、塩化水素及び二酸化硫黄)が簡便な操作により供給可能となった。開発した装置を用い、ガス状水銀と共存ガス存在下において各種活性炭に対する基礎的吸着・反応挙動を検討した結果、金属水銀における水銀除去では、塩化水素の影響が水蒸気・二酸化硫黄に比べて顕著であることを確認した。

  • 小島 啓輔, 加藤 雄大, 隅倉 光博, 川口 正人
    セッションID: D4-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    本報では、窒素を含む有機物を亜臨界水酸化処理した際に発生するアンモニアを排ガス中に含まれるNOxの脱硝に適用可能かについて基礎検討を行った。無触媒選択還元法よりも低温度で反応させ、その際の脱硝率について評価した。その結果、窒素を含む有機物を亜臨界水酸化処理する際に排ガスを導入することで、有機物由来のアンモニアを用いて窒素酸化物を脱硝できる可能性が示された。また、従来の無触媒選択還元法の脱硝率に比べて低い処理温度でありながら、高い脱硝率を示すことできた。

  • 高倉 晃人, 増田 淳二
    セッションID: D4-9-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    一般廃棄物焼却炉2施設の排ガス処理フローに沿って水銀を形態別(粒子状Hg、ガス状Hg0、ガス状Hg2+)に調べ、有効な水銀除去法について考察した。ガス冷却過程では、BF前温度が低い程ガス状の多くが煤塵に凝縮したことから、その後のBFにてより高効率に除去されると考えられた。なおガス状Hg0とガス状Hg2+の除去率に大きな違いは見られなかった。BFではガス状Hg0とガス状Hg2+の除去率が施設間で異なっており、BF灰組成に起因すると推測された。触媒反応塔では水銀の酸化および捕捉が確認され、塩化水素濃度との関連が推測された。洗煙装置では水溶性が高いガス状Hg2+が除去された一方、ガス状Hg0が大幅に増加した。増加の原因究明については今後の課題とする。

  • 侯 建偉, 川本 克也
    セッションID: D4-10-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    焼却等の熱的過程において、排ガス中の有害物質は分解・除去されるが、廃棄物の種類、焼却施設の燃焼状態により濃度が大きく変化することがある。吸着処理は、比較的高濃度の対象には物質回収プロセスとして機能し、低濃度で有害な物質に関しては、排出基準を十分に満たすことを確実にするための言わば安全確保のプロセスとして位置づけられる。これらのプロセスにおいては、規制対象のダイオキシン類以外に多種類の有機化合物が存在し、さらに近年、2015年の大気汚染防止法の改正を受けて水銀に関する大気排出規制が新たに実施されることとなった。水銀も吸着処理で除去できるので、この吸着特性を明らかにする必要がある。本研究では、これまでの研究からさらにデータを蓄積し、温度に加えて水蒸気共存時の吸着挙動の違い、吸着剤が材料として備える物性と吸着質に対する吸着能力との定量的関係等を明らかにした。

  • 渡辺 信久
    セッションID: D4-11-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    排ガス中の汚染物質を捕集する新規な方法を開発した。オフガス採取部をルアーコネクターで接続し、ガラス管で作成した水平部分の長いU字管、ガラスコイル管、固相抽出用フリットつきリザーバ(同⑤)に接続し、リザーバのキャップに接続したチューブからガスを吸引捕集する。U字管には、0.8 〜 1 mLのオフガスと反応させる水溶液を注入する。サンプリング終了後には、リザーバ精製水を注入し、オフガス採取部ルアーコネクターに接続したシリンジで内容水を引き抜く。オフガス吸収液を回収する際に、装置を取り外す必要はなく、また、計測直前まで精製水をサンプリングトレインに通過させて洗浄することで、ブランク値を下げることができる。ガラスコイル管以外に、ステンレス管も十分に使用できるものと考えている。

D5 発電・熱利用
  • 篠 靖夫
    セッションID: D5-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    2012~17年度の東京都区部ににおいて稼働実績のある可燃ごみ焼却処理施設(以下「系」という。)は22あり、この期間中に3系が廃止され、新設3系が稼働開始している。

    本研究では、現稼働系(2017年度の稼働19系)における発電端効率ηG上位6系の経年度実績に加え、その展開としてタービン発電機の稼働実績を調べた。その結果、ηGが19% を超えている新設3系は、ηGの3因子のうちボイラ効率とタービン蒸気使用率において従来の系より優れた性能を示しているが、発電機稼働時利用率においては現稼働系の平均値61.4% には届いていないことが分かった。

  • 神山 直樹, 長 洋光, 野口 学
    セッションID: D5-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物発電に対する社会的ニーズの高まりから、ボイラ蒸気条件のさらなる高温化の取り組みがなされており、これを実現するためには従来よりも高温の環境における過熱器の減肉速度の予測が必要となる。日本国内のプラントにおいて、蒸気温度400℃を超える腐食環境での過熱器の減肉データは多くは存在しない。そこで、過熱器減肉速度の予測精度向上のため、実機にてプローブを用いて、従来よりも高温の過熱器を想定した腐食試験を2年間実施した。

    2年間の実機プローブ腐食試験結果から、メタル温度と腐食減肉量に相関性があることが確認された。メタル温度が大きい条件であれば、減肉量が増加するため、メタル表面の腐食環境がメタル温度条件によって変化している可能性が考えられる。そこで、メタル温度条件毎の腐食環境を調べるため、プローブに付着した灰の分析およびプローブの断面分析を実施した。

  • 菅原 秀雄, 池田 和樹, 加藤 政一, 増田 倹吾, 鮫島 良二
    セッションID: D5-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    ストーカ式ごみ焼却炉の燃焼制御(ボイラ蒸発量制御)の技術開発が盛んにおこなわれているが、自動制御を行う際には炉の燃焼部、廃熱ボイラ部のプロセス特性の把握が必須である。本研究では、竪型ストーカ炉にボイラを設置時の熱回路を電流源RC並列回路に類推し、その微分方程式により解析する手法を検討した。これらは、1次遅れの縦続回路であり、全体として2次遅れになる。制御系の時定数を求め、ボイラ入口部の熱量把握により、制御性が向上することを立証した。

  • 岩本 敬弘, 工藤 隆行, 藤田 泰行
    セッションID: D5-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    都市ごみ焼却施設における熱利用率の向上を目的に、フッ素樹脂を用いた耐腐食型でコンパクトな熱交換器を特徴とする低温熱回収システムを開発した。耐食性の高いフッ素樹脂を用いることで低温腐食の問題を回避することができ、煙突出口の排ガス温度を従来より低減させることが可能となる。そのため、施設全体での熱利用率を向上でき、発電効率が増加する。本報では低温熱回収システムについて説明するとともに、都市ごみ焼却排ガスを用いた長期耐久性評価試験について報告する。

  • 高田 康寛, 亀井 裕次, 東 誠, 竹田 航哉, 田中 宏史
    セッションID: D5-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    当社は廃棄物発電ボイラ伝熱管の腐食状況をリアルタイムで測定できる高温腐食センサ(以下、腐食センサ)の技術を保有している。腐食センサを用いた測定では、各測定時間内における温度変動の影響を受ける。そのため、従来は試料電極温度とガス温度から算定した腐食反応界面温度(有効温度)と、インピーダンス計測結果を用いて腐食反応に対する抵抗である分極抵抗を求めて腐食速度を算定している。その際、付着灰厚さは不変と仮定して有効温度を算定している。一方、実際には付着灰厚さは測定ごとに変化するため、腐食センサの測定精度向上のために付着灰厚さの変化を考慮して有効温度を算定する必要がある。そこで今回、付着灰厚さの変動を考慮した有効温度の算定方法の検討および、実炉試験結果を用いた検証の結果について報告する。

  • 池田 和樹, 菅原 秀雄, 加藤 政一, 増田 倹吾, 鮫島 良二
    セッションID: D5-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    ごみ発電は中型炉以上には多く施設されるが100t/d以下の小型炉ではあまり普及していない。これは、ごみ発熱量が一定ではないためボイラ蒸発量の変動が生じ、小型炉では特にこの傾向が顕著に表れ、有効な発電出力を得にくいことが理由の一つである。

    本研究では、小型竪型火格子式ストーカ炉で採用されているガス冷却室をボイラに置き換えた場合を考え、燃焼室出口の熱量を先行要素として検出することでボイラ蒸発量の変動を抑制する制御系を検討した。燃焼部出口熱量を先行要素として用いた外乱の単位ステップ応答では、単純フィードバックと比べて振幅が大幅に小さくなっていることから、この先行制御系は有効であると考えられる。また、先行制御はPD動作とした場合もP動作と大差はないという結果が出たが、PD動作についてはさらに検討が必要である。

D6 焼却主灰・飛灰
  • 由井 和子, 倉持 秀敏, 大迫 政浩
    セッションID: D6-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    熱力学平衡計算を用いた廃棄物の焼却における重金属挙動の解析はこれまでいくつか実施されているが、一部の重金属について実際の揮発特性が表せない場合があった。原因として、廃棄物が単一の物質ではないことや、処理中に平衡にならない等の理由が考えられたが、計算で用いる熱力学データにおいて一部の重金属については十分整備されていない可能性も考えられた。本研究では重金属(Cd,Cr,As,Cu,Pb,Zn)について文献情報をもとに熱力学データを適宜評価・改訂し、昨年度に本学会で報告したロータリーキルンを用いたRDF燃焼試験の系に適用した。

  • 久保田 洋, 繁泉 恒河, 永山 陽裕, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 佐藤 研一, 肴倉 宏史, 藤田 大吾
    セッションID: D6-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    清掃工場から発生するCO2を有効利用した焼却残渣の炭酸化技術の開発を目的として、佐賀市清掃工場の排ガス及び排ガスから分離回収されたCO2を用いて、焼却主灰・飛灰の炭酸化処理を行い、供給ガスの違いによる溶出液中pHやPb濃度への影響について検討を行った。あわせてそれぞれの灰のCO2吸収量の推定も行った。炭酸化処理により、主灰では灰中のTC(全炭素量)や溶出液中pHに供給ガスの違いによる顕著な差は見られなかったが、飛灰では回収CO2区上層のTC増加がほとんど認められず、上層におけるCO2供給量不足が示唆された。Pb濃度については、主灰では回収CO2の方が炭酸化後の溶出低減効果が高かったが、飛灰では供給ガスの影響は見られなかった。またCO2吸収量は、主灰では24-28g/㎏DW、飛灰では約48g/㎏DW(回収CO2区上層除く)であり、飛灰が主灰に比べてCO2との反応性が高いことが示唆された。

  • 藤田 尚輝, 熊谷 将吾, 亀田 知人, 齋藤 優子, 吉岡 敏明
    セッションID: D6-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    焼却飛灰の再資源化手法としてセメント原料化が検討されているが、飛灰はセメント原料化の忌避成分である重金属を多く含んでいる。当研究室では、それら重金属の除去手法として、飛灰に塩素化剤を添加し重金属を金属塩化物として除去する塩化揮発法に着目している。本研究では、マテリアルリサイクルに適さないポリ塩化ビニル(PVC)の有効活用が求められていることを踏まえ、廃PVCを塩素化剤としたCr、Pb、Zn、Cu、およびMnの塩化揮発法による除去を検討した。合わせて、組成の異なる様々な焼却飛灰を対象に実験を行うことで、重金属の除去に及ぼす飛灰に含まれる共存元素の影響も検討した。HCl流通条件とPVC添加条件の比較から、飛灰内のCa分によってPVC由来のHClが補足され、CaCl2を形成すると重金属の塩素化が阻害されることやPVC由来の炭素分によりCuの除去が阻害されることが示唆された。

  • 尾方 優士, 平良 誠, 鮫島 良二, Putri Mustika Widartiningsih, 酒井 幹夫
    セッションID: D6-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物の焼却に伴い発生し、主にバグフィルタで捕集される飛灰は、特別管理廃棄物として扱われるため、安定化処理をした上で管理型の最終処分場への埋め立てが必要であり、飛灰量が少ないほど経費の節減となる。竪型火格子式ストーカ炉は従来型のストーカ炉と比べ、バグフィルタ入口ダスト濃度が低く、その理由のひとつとして、ガス混合を目的とした整流装置が飛灰量抑制にも寄与していると考えてきた。本研究は最先端粉体シミュレーション技術(Advanced DEM-CFD法)を用い、竪型火格子式ストーカ炉の廃棄物層表面から吹上げられる粒子挙動を解析するものである。これまでに単一粒子径での解析結果を報告してきたが、本発表では複数の粒子径が混合した条件での解析を行った。解析の結果、整流装置によって形成されるガス流れにより、飛灰量が抑制されていることが確認できた。

  • 趙 基雲, Patcharanat KAEWMEE, DAHLAN Astryd , 高橋 史武
    セッションID: D6-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    日本でごみ焼却のために使われている焼却炉はストーカー式と流動層式に大きく分かれ、本研究では流動層焼却炉から燃やされた飛灰のリサイクル方法について研究をしてる。生活廃棄物からの飛灰は重金属流出の危険性でキレート処理法を利用し、重金属を化学的に安定化させた後埋め立てをする過程が一般的である。しかしキレート処理の場合、長時間が経つと有機炭化水素流出など環境汚染の可能性が高いと報告されてる。したがって本研究では流動層焼却炉砂と飛灰との物理と化学的組成が類似なことを着眼して、流動層焼却炉砂の代わりに飛灰を熱媒体として使う用とした。そのため、物理的な要件を満たすためにはジオポリマー工法を使用し理想的なサイズを取得しようとした。その結果、溶出試験ではの結果ジオポリマーの構成は高い温度で変わる可能性があったため、流動層焼却炉砂を置き換えるには高い温度での安定性がさらに必要と思われる。

  • 飯野 成憲, 辰市 祐久, 肴倉 宏文
    セッションID: D6-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    近年、欧州では物理選別による都市ごみ焼却主灰からの有価金属の回収が実施されている。物理選別による有価/有害金属の回収技術は焼成や溶融等に比べエネルギー使用量が格段に低く、金属回収後残渣の有害金属の含有量低減や溶出抑制により環境負荷を低減させ、土木資材等としての利用が期待できる。本研究では、物理選別のうち比重差により粒子を選別するエアテーブルに着目し、これを焼却主灰に適用して有価/有害金属の最適選別条件を検討した。

  • 辰市 祐久, 飯野 成憲, 寺嶋 有史, 小泉 裕靖
    セッションID: D6-7-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    焼却主灰をセメント原料化する場合に、焼却主灰中の塩素によってセメント工場の受入量が制約を受ける。このため、焼却主灰を水洗して脱塩処理を行う際、フリーデル氏塩が生成していると脱塩素効率が低下する。水洗の際に炭酸ガスを吹き込むとフリーデル氏塩が分解する可能性がある。効果的な脱塩条件を検討するため、焼却主灰を粒径別に分けて、フリーデル氏塩を生成した試料と生成しない試料について、水による水洗、炭酸ガスを吹き込んだ水洗を行って残留した灰中の塩素量を測定した。また、同様な方法で50℃の水温での塩素量を測定した。さらに残留した灰中のフリーデル氏塩のX線回折による積分強度を求めた。

  • 繁泉 恒河, 久保田 洋, 永山 陽裕, 藤川 拓朗, 古賀 千佳嗣, 佐藤 研一, 肴倉 宏史
    セッションID: D6-8-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    最終処分場の新規建設が難しい現在において焼却残渣のリサイクルは喫緊の課題である。筆者らは焼却主灰のリサイクル促進を目的として、散水・炭酸化処理の効果および処理後焼却主灰の力学特性の検討を行っている。しかし焼却残渣は廃棄物組成、焼却施設、焼却方法等によりその性状が異なる。そこで本研究では、性状の異なる全国6カ所の一般廃棄物焼却施設の焼却主灰を対象に散水・炭酸化処理を行った際の溶出特性への影響について検討を行った。本研究において、シリアルバッチ試験でのPbの溶出濃度は、焼却主灰のPb含有量に関わらず、湿灰よりも乾灰で高くなる傾向が得られた。また、カラム試験の炭酸化処理により、乾灰、湿灰ともにPbの溶出抑制効果が確認された。Clは湿灰において難溶性塩の溶解と推定される溶出促進効果が確認されたが、乾灰ではほとんど見られなかった。

  • 水谷 聡, 堀家 隼, 貫上 佳則
    セッションID: D6-9-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    都市ごみ焼却施設のボイラーやエコノマイザ,減温塔などの装置に付着して捕集された灰は化学的性状が明らかになっていない。本稿では実際の焼却施設で採取されたボイラー灰及びエコノマイザ灰・減温塔灰・バグフィルター捕集灰を対象としてPb,Cr,Zn,Ca,Mn,Feの全含有量を調べた。各灰に含まれる元素の全含有量は異なっているものが多く,いずれも同一の灰とは見なせなかった。また,主灰と一緒に処理されているボイラー灰・エコノマイザ灰は,飛灰と一緒に処理されている灰と比べ,ばらつきが大きいものが多かった。焼却炉の型式の違いに着目すると,ストーカ炉とガス化溶融炉とでは,各々の灰に含まれる金属類の全含有量が異なっていた。環告13号法による溶出試験におけるpHは概ね高いアルカリ性を示したが,エコノマイザ灰のみpHが1〜2程度低い試料が散見された。

E1 最終処分場の構造・設計
  • 松藤 敏彦, 東條 安匡
    セッションID: E1-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    覆蓋型(屋根付き)処分場は,降雨による浸出水発生量変動をなくし,定期的散水によって浸出水処理量が安定する。悪臭,ごみの飛散,カラスの飛来などがなく,景観にも配慮できるため住民への受け入れが容易になる。こうした利点のため,選択する自治体が増加している。しかし規模,立地場所,埋立廃棄物の種類,浸出水の放流先などが処分場によって異なり,その実態は明らかとなっていない。そこで、本研究では、アンケート調査を行い、覆蓋型最終処分場の運転管理状況の特徴や採用理由を把握することを目的とした。

  • 柴田 健司, 日笠山 徹巳, 杉江 茂彦, 鈴木 和明
    セッションID: E1-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    汚染した地下水が、敷地内から周辺地盤に拡散するのを防止するために、敷地周辺に鉛直遮水壁を設置する対策がある。筆者らはこれまで、汚染地下水の敷地外流出を防止するために、効果的な鉛直遮水壁の設置位置や、不連続位置からの地下水の流出を防止するための補助工法として、揚水井戸を併用する対策を解析的に検討した結果、下流側に鉛直遮水壁を設置し、鉛直遮水壁の両端および中央に揚水井戸を設置することが有効であることを示した 。 

    本報告は、敷地内の中央1箇所(10m×10m)に特定されていない汚染源があると仮定し、これまでに検討した揚水井戸の対策が妥当か、解析的に検証した結果を報告するものである。

  • 嶽本 政宏, 阿部 和久, 森 拓雄, 黒岩 正夫
    セッションID: E1-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    鋼矢板の遮水性を高める既存技術として、鋼矢板の継手部へ水膨潤性樹脂等を塗布して地盤中へ打設する工法がある。しかしながら、鋼矢板を打設する際に遮水材が土砂と接触し継手と継手の間に土砂が挟まると、遮水性が劣るなどの課題があった。そこで、鋼矢板打設時に遮水材が土砂と接触せず、継手内に土砂が挟まらない、遮水性の高い継手構造を開発した。本報文では、室内透水試験により、土砂の流入を防止する継手の遮水性能を評価した結果を報告する。

  • 三浦 拓也, 遠藤 和人, 東海林 俊吉
    セッションID: E1-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
    会議録・要旨集 フリー

    海面処分場の内水ポンドへどうやって保有水が集まるのかを確認するためにトレーサー試験の適用性を評価した。Hoの測定は内標準法によりICP-MSにて0.01ppbまで測定可能であった。Ho-CyDTAの分配係数はバッチ、カラム試験ともに真砂土、O主灰、N飛灰の順に高くなった。分配係数はHoのキレート化により低下させることができた。また、Ho-CyDTAは高pH条件でもトレーサーとして適用可能であることがわかった。灰試料の分配係数は灰由来の溶出物質による影響を受けたため高くなったと考えられた。カラム試験の結果、灰試料はバッチ試験よりも分配係数が小さくなった。試料と供与液との接触面積が小さく、接触時間も短いことが一因として考えられる。実際の海面処分場では保有水と埋立物の接触面積がカラム条件に近く、キレート化したHo-CyDTAの分配係数は低くなるためトレーサーとして適用が可能であると考えられた。

  • 李 桐, 為田 一雄, 樋口 壯太郎
    セッションID: E1-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    最近の地球温暖化の影響により世界各地で異常気象が多発し、特に昨今のゲリラ豪雨の多発は、過去に記録しない短時間降水量が出現するようになった。このため、過去に計画設計した最終処分場については、既存の浸出水処理施設規模及び浸出水調整池規模では対応が困難となり浸出水管理に支障を来すケースも現れている。このような背景下、地域別に気象台開設以降の降水量を調査し、長期的年降水量変動、日降水量、時間最大降水量等の変動を調査し、現在の浸出水処理システムに与える影響と対策を考察した。今回の検討について、最大年降水量の変動がない地域と減少した地域では、ゲリラ豪雨の原因で調整池規模を超える浸出水が発生する可能性があることが確認できた。

  • 金 相烈, 岸田 闘志
    セッションID: E1-6-P
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    面埋立地は埋立終了後も長期間にわたりpHが高く(11前後)、有機物の溶出や分解が緩慢となる。それに伴い、環境汚染のリスク及び水処理等の維持管理費用の負担が大きくなる問題があり、早期安定化が重要な課題である。

    そこで、本研究では高アルカリの焼却残渣を前処理として二酸化炭素(CO2)と反応させ、pHを低減した焼却残渣を用いて海面埋立地を模擬した結果、pH及びTOCについて初期の段階(12週目前後、L/S3前後)で大きな効果が見られた。

    炭酸化処理によるTOCの低減効果は、TOC炭酸化前処理により生成された焼却残渣表面の被膜(カルシウムスケール)が、有機物の溶出を物理的に抑制したことによるものと考えられる。

E2 最終処分場の維持管理・モニタリング
  • 竹崎 聡, 佐波 弘一朗, 田島 僚, 黒岩 正夫, 柴田 健司
    セッションID: E2-1-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    廃棄物処分場の埋立管理や土壌汚染対策における掘削床付け管理などでは、形成された地盤の形状を明確にする必要がある。旧来の測量方法は結果が得られるまでに多くの時間を要するなど、日常管理での手間となっていた。一方、近年、3Dスキャナ等の点群情報で網羅的に地盤の形状を明らかにする手法も開発されている。しかし、専用機材が高価であるなど、特に小規模な土工事への適用は費用面において困難であった。そこで、筆者らは、3Dスキャナ等の測量機材に対し安価な、赤外線距離計測センサーを搭載したスマートフォン(以下、「スマホ」)を利用した、短時間で掘削出来形の3D点群情報を取得するシステムを構築した。本報では、提案手法の現場適用試験により精度、ならびに至適な測量規模を評価した結果について報告する。

  • 田中 宏和, 石井 敦, 香村 一夫
    セッションID: E2-2-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    最終処分場安定化における塩類洗い出しにおいて、これまで層内環境の影響を受けにくいとされていた一価イオンについても、陰イオンに比べて陽イオンの溶出が遅れることが分かってきた。その原因の一つとして、埋立廃棄物は陰イオン交換容量に対して大きな陽イオン交換容量(CEC)を有し、イオンの電荷と廃棄物の親和性が影響している可能性が高いと考えられる。また、自然土壌ではCECの発現因子として腐植が大きく作用していることが分かっている。そこで、腐植の代替指標として全炭素量とカルボキシル基を採用し、埋立廃棄物のCECとの関連性を評価した。埋立時期が新しい区画では、これらの代替指標とCECとの関連性はみられず、腐植以外の炭素やカルボキシル基の影響を受けていると考えられた。一方、古い区画ではこれらの指標と関連性が示唆され、埋立廃棄物のCECの発現因子として腐植が関係していることが示唆された。

  • 土井 麻記子, 草野 輝彦, 樋口 壯太郎
    セッションID: E2-3-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    最終処分場浸出水は高度処理を行い、放流されるケースが多いが、浸出水処理施設稼働が停止される場合に、水質規制項目等、基準を満足していても、放流に反対されることが多い。本研究では、埋立が終了し、廃止を待つ最終処分場の浸出水および処理水及び上流の池の水を対象に、メダカを用いた生物毒性試験を行った。その結果、浸出水試料において、CODMn濃度換算で、半数致死濃度(LC50)は、10.4〜17.5mg/L、無影響濃度(NOEC)は、5.6〜8.5mg/Lであり、処理水と上流の池の水では毒性は認められなかった。遺伝子発現解析結果も同様の結果となり、発現変動が把握され非常に毒性が強い結果となった。また、それぞれの遺伝子発現レベルの特徴が把握できた。遺伝子解析の、生態毒性の簡易法としての今後の活用が期待される。

  • 吉川 倫太郎, 東條 安匡, 松尾 孝之, 松藤 敏彦, 山田 正人
    セッションID: E2-4-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    我が国では産業廃棄物処分場は三類型に分類される。その一つである遮断型最終処分場は、廃棄物の周囲をコンクリートで囲った強固な構造であるため、特別管理産業廃棄物のうち重金属等の判定基準を上回るものを処分対象としている。環境省により、遮断型処分場は全国に24施設存在すると報告されている。しかし、過去に遮断型処分場の調査は殆ど実施されておらず、埋立物の性状や処分の状況等が殆ど不明である。そこで本研究では、搬入される廃棄物を始めとする遮断型処分場の稼働実態を明らかにすることを目的とした。遮断型処分場に廃棄物処理を委託していた事業者にヒアリング及びアンケート調査を行った結果、最も多く処理されていたのは廃棄物の熱処理施設の材料として使われた耐火物であった。炉内の高温に耐えるためにクロムを含有した耐火物が使用されているためである。また、家電リサイクル施設から発生する残渣も、遮断型処分場にて処分されていた。

  • 瀬戸口 正海, 古閑 貴浩, 牛木 裕, 溝口 新二, 辻本 宏, 小澤 一喜, 古野間 達, 出納 由美子
    セッションID: E2-5-O
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/20
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    最終処分場の適切な維持管理には、搬入される廃棄物や埋立状況の情報が必要であり、一般的に日報で順次記録、蓄積している。これらのデータは、供用中や供用終了後にも重要であり、いつでも容易に出力可能な長期保管方法を確立する必要がある。

    しかし、これらの情報はデータベースとして蓄積されているものの必要な情報を容易に抽出できない状況であり、適切な維持管理を実施するうえで必ずしも有用なものになっていない。そこで、埋立残余容量測定の3Dレーザースキャナによる測量結果に、埋立状況等を反映させることで廃棄物層内の”3次元的な見える化”を行い、両者のデータを一元的に管理し、視覚的に把握し易い表示の実施を試行した。

    本報では、3Dレーザースキャナによる測量結果をもとに、廃棄物層内の組成の3次元的な可視化と安定化の可視化について検討した結果について報告する。

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