目的:本研究はJIS 4種チタンを強ひずみ加工した材料を用い,実験用インプラントの製作を行い,両者の機械的性質およびカラー部のひずみ量について比較を行うことを目的とした.
材料および方法:強ひずみ加工したチタン材を用い,カラー部の厚み0.7 mm(CFT)に加工を行った.一方,JIS 4種チタン材を用い,カラー部の厚み0.7 mm(T7S)と0.9 mm(T9S)に加工を行い実験に供した.各インプラントを傾斜角度30°の治具に固定し,曲げ荷重,たわみ量およびカラー部のひずみ量の測定を行い,その後,エックス線CTによる観察を行った.結果:曲げ荷重はCFTの1,124.6±6.3 Nで最も大きく,次いでT9Sが957.8±24.4 N,そしてT7Sの878.9±17.1 Nの順であり,有意差(p<0.001)が認められた.たわみ量はCFTが最も大きく,T7S-CFTおよびT9S-CFTの間に有意差(T7S-CFT:p=0.0141,T9S-CFT:p<0.001)が認められたが,T7SとT9Sの間には有意差が認められなかった.
結果:曲げ荷重はCFTの1,124.6±6.3 Nで最も大きく,次いでT9Sが957.8±24.4 N,そしてT7Sの878.9±17.1 Nの順であり,有意差(p<0.001)が認められた.たわみ量はCFTが最も大きく,T7S-CFTおよびT9S-CFTの間に有意差(T7SCFT:p=0.0141,T9S-CFT:p<0.001)が認められたが,T7SとT9Sの間には有意差が認められなかった.
カラー部のひずみ量は荷重550 NまでT7S,T9SとCFTの有意差が認められなかった.しかしながら,荷重600 NにおけるT7S-T9S間(p=0.0351),荷重650 NにおけるT7S-T9S間(p=0.0227)およびT7S-CFT間(p=0.0430),荷重700 NにおけるT7S-T9S間およびT7S-CFT間(それぞれp<0.001)で有意差が認められ,T7SがT9SおよびCFTより大きい値を示した.一方,T9SおよびCFTとの間には有意差が認められなかった.600 N負荷後のCT観察において,T7Sは嵌合部に隙間が認められた.700 N負荷後においてはすべての試験片の嵌合部に隙間が観察された.
結論:強ひずみ加工したチタン材を用い製作したインプラントはJIS 4種チタン製より機械的性質に優れ,カラー部のひずみ量が小さいことから,偶発症の防止に有効であることが示唆された.
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