Journal of Traditional Medicines
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22 巻, 5 号
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Award of Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU, 2004
  • 山田 陽城
    2005 年 22 巻 5 号 p. 263-277
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/17
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    As medical science has progressed, the profile of illness has changed greatly : disease related to aging and inappropriate lifestyles is increasing. Because it is difficult to cure patients with these diseases using only modern medicine, Kampo medicine, which tends to regulate homeostasis, has an increasing role in medical practice in Japan.
    Although Kampo medicines have had a long clinical history to support their efficacies and safety, efficacy of Kampo medicine requires scientific clarification of action mechanism and active ingredients in nonclinical studies and objective clinical evaluations as an evidence-based medicine. Because Kampo medicines contain many active ingredients due to the several component herbs, clarification of such combination effects, and standardization are also very important in order to understand the mechanism of action and supply quality-controlled materials. In this review, our basic approaches on elucidation of action mechanism and active ingredients of Kampo medicines are described.
Regular Article
  • Hwa-Jin CHUNG, Ying LIU, Ikuro MARUYAMA, 谿 忠人
    2005 年 22 巻 5 号 p. 278-283
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル 認証あり
    ヒトの動脈硬化病変には内皮細胞傷害に続く血管内皮細胞の遊走と増殖が含まれている。ラットの頸動脈を擦過した後の内膜肥厚 (neointimal formation) を評価する実験は, この過程を10日間で再現できるので “accelerated atherosclerosis” modelといわれている。コレステロールを負荷すると内膜肥厚は増大する。今回この病態モデルにおいて, 黄連解毒湯 (OGT) はラットにおける内膜肥厚と血管内皮細胞の増殖を用量依存的に抑制した (in vivo)。さらに黄連解毒湯を10日間経口投与した後のラット血清が血管内皮細胞の遊走を抑制することも明らかになった (in vitro)。なおこの実験ではLDL-cholesterolなど血清脂質の改善作用は認められなかったので, 黄連解毒湯の内膜肥厚は血管内皮細胞の増殖と遊走の抑制にあると考えられる。
    動脈硬化病変は内皮細胞傷害後のサイトカインや酸化ストレスが関与する慢性の炎症性病変であることから, 黄連解毒湯やその配剤生薬の抗炎症作用や抗酸化作用に関する文献に基づいて考察した。黄連解毒湯の作用機序の解析は今後の課題であるが, 今回の実験結果は黄連解毒湯が動脈硬化病変の一部を担う内膜肥厚を抑制し生活習慣病に伴う血管病変を予防する可能性を示唆している。
  • 馬場 達也, Takao NISHINO, Tadato TANI
    2005 年 22 巻 5 号 p. 284-289
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル 認証あり
    4種類の生薬末 (阿仙薬, 黄柏, 甘草, 陳皮) を配合したwood creosote丸剤は下痢の治療薬として古くから用いられている。この報告ではこれら生薬末の配合意義をcastor oil処理したラットを用いて検討した。
    ラットに経口投与できる大きさに調製したwood creosote丸剤 (P4Rx5) は投与3時間後まで有意な止瀉作用を示し腸蠕動運動も抑制した。この止瀉作用と腸蠕動運動抑制作用は, P4Rx5と同量のwood creosote (11mg/kg) を単独で投与した群では認められなかった。これらのことからP4Rx5に配合されている4生薬末がこれらの抑制作用に関与していることが明らかになった。次にP4Rx5から1生薬末を抜いた丸剤で同様の検討を行った結果, 陳皮末 (CUP2) が元のP4Rx5の止瀉作用の持続性を高め, さらに腸蠕動運動の抑制に寄与していることが明らかになった。
    さらに配合された生薬末はguaiacol (wood creosoteの主要な止瀉成分) のAUCを増加させ, P4Rx5の腸蠕動運動の抑制作用に寄与していることが明らかになった。今回の結果は4種類の生薬末を配合したwood creosote丸剤 (伝統薬 : 正露丸) における配合生薬の意味を解析し有用性を支持する証拠となる。このような評価方法はwood creosote丸製剤の配合生薬を改変する指標となる。
  • 金子 仁
    2005 年 22 巻 5 号 p. 290-295
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル 認証あり
    薬用人参, 特に高麗紅参が生体に加えられる内的, 外的な環境ストレスを緩和し, 生体を保護するという事実は多くの研究者により, 様々な手法によって解明されている。筆者は以前よりそのメカニズムが自律神経・内分泌系を通しての, 紅参のホメオスターシス維持作用によるものであると提唱し, 基礎的あるいは臨床的にこれを証明してきた。今回6人の健康な女性に紅参末を急性投与した上で運動負荷試験を行い, 血圧・心拍数・脈圧・エネルギー消費量・心電図のST低下度などをプラセボと比較した。また運動負荷及び回復期を通じての自律神経変動の時系列エネルギースペクトルを求め, これをフーリエ解析によって時間領域のパワースペクトル密度 (PSD) に変換し, プラセボと比較した。その結果, 紅参末がプラセボに比較して運動中の循環動態を適切にコントロールして運動中のエネルギー効率を高め, また自律神経バランスを安定化させることによって生体をストレスより保護していることを本論文において報告した。
News Letter
  • Eduardo Massao N. NAKASHIMA, Mai Thanh Thi NGUYEN, Quan Le TRAN, 門田 重利
    2005 年 22 巻 5 号 p. 296-300
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/11/17
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    沈香は, 東南アジアの熱帯雨林での貴重かつ希少な産物である。良質な沈香の資源が豊富であると考えられているベトナムではAquilaria crassna (ジンチョウゲ科) の心材から採集される。ベトナムにおける沈香の調査で, 今回, Phu Quoc (フーコック) 島でのプランテーションについて実現し, 地元の人々に対する面談により栽培に関する情報が得られた。その結果, 島民による沈香の栽培が毎年増加していることがわかった。各地のプランテーションは, 種, 苗木, あるいは若木から行われており, 将来の利益のために他の作物とともに育てられている。プランテーションを振興および開発することは, 野生の沈香原木の保存を率先することになり, また世界市場での高い需要に対応することになるであろうと思われる。
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