日本LCA学会誌
Online ISSN : 1881-0519
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19 巻, 2 号
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目次
巻頭言
特集「サーキュラーエコノミーとライフサイクル思考」
解説
  • 村上 進亮
    2023 年 19 巻 2 号 p. 58-63
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

    本稿ではサーキュラーエコノミー(CE)化の進展を図る評価手法であるサーキュラリティ評価に関して、現在の議論を概説した。CE 化が枯渇性資源の利用量削減効果をもたらすであろうことを前提にすれば、昨今よく話題に上るクリティカルメタル等の使用量もまた減少することが考えられる。そこで、サーキュラリティとクリティカリティの関係についても整理を行った。その結果、CE 化の進展、すなわちサーキュラリティの向上がクリティカリティの削減に必ずしも繋がるとは限らないこと、またサーキュラリティ評価の一部にクリティカリティ評価を入れるまでは現状では拙速であることなどを示した。他方で、クリティカルメタルの利用量の変化をサーキュラリティ評価に用いるような事例があることや、少なくともクリティカリティの変化の理解のためにはサーキュラリティは有用であることなどを示した。

総説
  • 醍醐 市朗
    2023 年 19 巻 2 号 p. 64-71
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

    製品 LCA では、製品システムで消費あるいは回収する二次資源の入出力を環境影響評価にて考慮するに際して、異なる複数の手法があり、画一的な手法はいまだ確立されていない。実際には、製品で用いる材料が異なればリサイクル性が異なり、製品の設計が異なれば使用済み製品に含まれる材料の回収性が異なる。二次資源の入出力による環境負荷の計算方法が異なれば、ライフサイクルを通して環境負荷の少ない材料の選択や、環境負荷の少ない製品設計の開発に対して、異なった結論を与えることが危惧される。そこで、本稿では、consequentialアプローチに則って、製品ライフサイクルにおける二次資源の消費ならびに回収にかかる環境負荷の追加や回避に関する考え方を示し、それに基づく評価式について概説した。続いて、欧州委員会が公表している製品環境フットプリントカテゴリールールガイダンスに CFF としてとりまとめられた評価式と比較した。その結果、CFF では、リサイクルにより回避される廃棄段階の負荷が適切に評価されていないことが明らかとなった。これは、CFF が実質的に負担の要素を積み上げているためと考えられた。本稿では、理論式と実務的な積み上げに基づく計算式の違いについても理論的に説明した。

解説
  • 原 辰徳
    2023 年 19 巻 2 号 p. 72-78
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

    本稿では、サービス研究からみた循環経済のシステム理解を提示する。具体的には、消費側の活動、生産側の活動、およびデータ利活用それぞれに関する循環に新たに注目する。消費行動に関わる従来の取り組みとしては、システム思考の一部である因果ループに組み込まれた行動変容の理解、使用や所有形態の変化を要因とするバックファイア効果の分析、および循環型ビジネスの受容性のシミュレーションなどがある。本稿が注目する消費側の活動における循環では、そうした消費行動の背後を読み解いていくための概念として、“excite the loop”とロイヤルティループの二つを紹介する。これらはいずれも、顧客体験と顧客ロイヤルティを高め、価値創出という新たな質のループの実現に貢献する。生産側の活動における循環を考えると、消費者側の行動変容と対になる、リニア経済ではなく循環経済を前提としたビジネスモデルや製品の変革を組み込んだ研究の必要性が示唆される。データ利活用に関わる循環では、デジタル政策と循環経済の政策とを連動させた欧州における技術的・法制度の整備の他、日本における最近の取り組みを説明する。これら 3 つの循環とその相互関係は、今後の循環経済における消費形態の変化を分析していくことに役立てられる。

  • 小野田 弘士
    2023 年 19 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

    本報では、Circular Economy(CE)に貢献するデジタル技術の具体的な事例として、ライフサイクルにおける情報共有につながるトレーサビリティシステム、AI・IoT を活用した静脈物流の効率化、AI 画像診断技術の応用、スマートシティと連動した次世代モビリティについて紹介する。AI 画像診断技術の応用例としては、技術熟度別に、自動車リユースパーツの画像診断、廃棄物の選別ロボット、リチウムイオン電池(LiB)に由来する火災検知システムを挙げている。また、スマートシティにおける次世代モビリティは、シェアリングを念頭においた検討が進められていることから CE との親和性が高いといえる。こうした取り組みを動静脈連携で進めることが重要であり、デジタル化による LCA の高度化に期待したい。

  • 柳田 康一
    2023 年 19 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/25
    ジャーナル フリー

    地球規模で拡がる海洋プラスチックごみ問題の解決には、プラスチック製品や容器包装などで恩恵を受けるすべてのステークホルダーの貢献が求められている。とりわけ、それらを提供あるいは活用することで現代社会の様々な市場を開拓し、ビジネスを発展させてきた産業界には、中心となって課題解決に取り組むことが期待される。素材、加工、食品やトイレタリー製造、小売、リサイクル等多くの企業が集まる企業アライアンス CLOMAは多様な技術や知恵を結集し、国や自治体、そして生活者とともに未来を拓く持続可能な社会システムやライフスタイルを提案し、さらに世界へ発信していくことを目指している。

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