震災による家屋やライフラインの破壊,損壊が,衛生・不快害虫の発生を助長するのではないか,との懸念から2007年7月16日に起きた中越沖地震後に,衛生・不快害虫の発生状況を調査した.
蚊は震災後11日目の調査で,4日目の調査時よりも発生箇所が増えた.しかし,震災後1カ月半を過ぎると,溜水環境は減少し蚊の発生箇所数も減少した.一方で,様々な物への覆いに使用されているブルーシートが,新たな溜水環境を提供し蚊の発生を助長することが確認された.
ハエ類は既存公衆トイレの放置汚物や生ゴミに少数認められたが,比較的迅速な清掃により,大きな懸念材料にはならないと思われた.
水田および水路にも地震による損壊がみられたが,今回のわずかな調査ではそれらが直接水田発生性の蚊に対する影響の度合いを明らかにすることはできなかった.
本調査は厚生労働科学研究費補助金,新興・再興感染症研究事業「節足動物媒介感染症の効果的な防除等の対策研究」(H18-新興-一般-009)の助成を受けて行われた.
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