ペストロジー
Online ISSN : 2432-1540
Print ISSN : 1880-3415
37 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
短報
  • 佐藤 秀美, 三宅 定明
    2022 年 37 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー
    1.定点調査の結果2014年~2019年に捕集した蚊は5,059個体で,8属15種に分類された.上位の8種は毎年捕集され,蚊総数の98.2%を占めた.なお,残りの7種も6年間のうち3年以上捕集され,全15種は現在の埼玉県の自然観察公園の蚊相と考えられる.
    2.捕集した蚊の個体数および季節消長を,自然観察公園に近い熊谷市気象庁のデータ(気温および雨量)との関連性を見た結果,夏季の気温が非常に高かった2018年の蚊総捕集数は少なかった.また,オオクロヤブカおよびコガタキンイロヤブカは,2016年夏季の局地的大雨で,発生数が増加したと推定された.
    3.自然観察公園の6年間の調査では,ヒトスジシマカが優占種で捕集割合は28.2%であった.公園内でヒトスジシマカの発生源を調査したが確認できなかった.なお,森内の調査は立ち入り禁止のため実施できなかったが,隣接での人囮調査やオビトラップの結果から,森の東側にある樹洞等で発生していると推定された.
     また,公園内の小水路および堰でアカイエカ群の幼虫を採集したが,それ以外の蚊幼虫は確認できなかった.
  • 今井 利宏, 岩本 啓秀
    2022 年 37 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー
    加熱空気の送風によるダクト内熱駆除の実現可能性について,除塵系ダクトを用いた試験によって検証した.その結果,ダクト加熱に必要な熱量やファンの能力の計算には,ダクトおよびヒーターの一般的な設計モデルを適用できることがわかった.試験結果の解析で得られたパラメータに基づいたシミュレーション計算により,ダクトの加熱にかかる熱量の大半は放熱によって失われることがわかり,効率的な加熱のためには,加熱温度や風量を上げて投入熱量を上げることよりも,ダクト表面からの放熱を抑制することが重要であることが示唆された.
  • 牛頭 夕子, 梶山 知代, 安藤 真奈実, 田辺 堅太郎, 佐々木 均
    2022 年 37 巻 1 号 p. 13-15
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー
    コクヌストモドキへ食塩濃度を,8,4,2,1,0.5,0%に調製した小麦粉飼料を与えて,成虫の生存と幼虫の発育,蛹化におよぼす食塩の影響を調査した.その結果,飼育30日後,食塩濃度4%区と全て死亡した8%区では,2%区以下の各区と対照区に比べ有意に全てのステージの次世代合計個体数が少なかった(p<0.05).また,食塩が0.5%含有するだけで老熟幼虫に発育するのを60%,蛹化を65%それぞれ阻害された.
事例報告
  • ―ⅩⅦ 超高層ビルの公開空地と都市公園の樹木で捕獲されたゴキブリの種類と個体数,2011年と2020年の違い―
    中野 敬一
    2022 年 37 巻 1 号 p. 17-18
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー
    2020年5月~2021年5月に,東京都港区にある超高層ビルの公開空地と都市公園の樹木の樹洞において,粘着トラップによるゴキブリの捕獲調査を行った.クロゴキブリだけが両調査地で捕獲された.しかし,その捕獲数は2011年より減少した.
  • 白井 正樹, 太田 文彦, 菅野 純弥, 伊藤 憲彦, 中島 慶人, 竹内 亨
    2022 年 37 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー
    太陽光発電所では,カラス属の落石によるものと思われる太陽光パネルの破損が確認されており,パネル破損の発生メカニズムを理解するために,米倉山太陽光発電所(山梨県甲府市)でカラス属の飛来頻度とパネル破損の関係を調査した.ビデオカメラによるカラス属の飛来観測を2つの調査区画(区画A,B)で,2期(第1期:2017年10月24日-2018年1月18日, 第2期:2018年1月19日-3月9日)に亘ってのべ3,792時間行った.調査の結果,飛来頻度が最も多かった第2期・区画B(41個体/時)でのみパネル破損が確認され,パネル破損やパネル上の石の残留の発生確率はカラス属の飛来頻度と正の相関関係が認められた.本研究から,カラス属の飛来頻度が増加すると太陽光パネルの破損するリスクが上昇することが示唆された.
  • 牛頭 夕子, 梶山 知代, 川口 侑子, 安藤 真奈実, 田辺 堅太郎, 田原 雄一郎
    2022 年 37 巻 1 号 p. 25-27
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー
    薄力小麦粉とビスケット,スパゲッティ,パン粉,乾うどん,乾そうめんの小麦製品,米粉と白玉粉,ビーフン,せんべいの米製品,および乾そばを飼料として給与した場合の,世界的貯榖害虫であるコクヌストモドキの幼虫の成育を,飼育実験によって調査した.その結果,次世代個体数は薄力小麦粉と米粉で多く,乾そばや乾うどんで少なかった.老齢幼虫(体長 6 mm以上)以後の発育段階にある個体数でも薄力小麦粉,米粉で多く,乾そうめん,乾うどん,せんべい,乾そばで少なかった.この原因として,小麦粉や米粉を加工する際に,成長に何らかの影響をおよぼす成分が入ったか,成長に必要な成分が除去された,もしくは変質した可能性や,飼料に含まれている塩分が抑制的に影響している可能性が示唆された.
  • 山内 健生, 開澤 菜月, 十河 香奈
    2022 年 37 巻 1 号 p. 29-31
    発行日: 2022/03/25
    公開日: 2023/03/25
    ジャーナル フリー

    In June 2021, two engorged nymphal Amblyomma testudinarium obtained from human bodies in Toyama Prefecture, Japan, were reared in total darkness at room temperature, and their morphological changes over time were recorded. The ticks were observed and photographed almost every day. The engorged nymphal ticks molted into adult male ticks in an average of 29.5 days after they were detached. After more than a week, a liquid oozed out in dots from the ticksʼ body surface, and the amount of liquid increased with time. After the liquid dried up, a cleft appeared on the side of the body, from which the adult male A. testudinarium emerged.

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