1.定点調査の結果2014年~2019年に捕集した蚊は5,059個体で,8属15種に分類された.上位の8種は毎年捕集され,蚊総数の98.2%を占めた.なお,残りの7種も6年間のうち3年以上捕集され,全15種は現在の埼玉県の自然観察公園の蚊相と考えられる.
2.捕集した蚊の個体数および季節消長を,自然観察公園に近い熊谷市気象庁のデータ(気温および雨量)との関連性を見た結果,夏季の気温が非常に高かった2018年の蚊総捕集数は少なかった.また,オオクロヤブカおよびコガタキンイロヤブカは,2016年夏季の局地的大雨で,発生数が増加したと推定された.
3.自然観察公園の6年間の調査では,ヒトスジシマカが優占種で捕集割合は28.2%であった.公園内でヒトスジシマカの発生源を調査したが確認できなかった.なお,森内の調査は立ち入り禁止のため実施できなかったが,隣接での人囮調査やオビトラップの結果から,森の東側にある樹洞等で発生していると推定された.
また,公園内の小水路および堰でアカイエカ群の幼虫を採集したが,それ以外の蚊幼虫は確認できなかった.
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