ペストロジー
Online ISSN : 2432-1540
Print ISSN : 1880-3415
30 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 小松 謙之, 川上 泰, 坂西 梓里, Hong-Kean Ooi, 内田 明彦
    2015 年 30 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2015/05/25
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    2010年7月~2011年2月までの間,広島県内のビルのゴキブリ類の生息調査をおこなった.その結果,トビイロゴキブリ,チャバネゴキブリ,クロゴキブリの3種が捕獲された.その内訳はトビイロゴキブリ399個体,チャバネゴキブリ1,170個体,クロゴキブリ6個体であった.各階層での生息は,トビイロゴキブリは地下1~3階と屋上階,チャバネゴキブリは地下1~3階と5~屋上階,クロゴキブリは屋上階と地下3階であった.

    施設名称別の捕獲種は,飲食施設でトビイロゴキブリは1個体,チャバネゴキブリが881個体,給湯室等(SK・洗濯場・冷蔵庫周り含む)では,トビイロゴキブリは40個体,チャバネゴキブリ190個体,クロゴキブリは3個体でチャバネゴキブリが優占種であった.バックヤード(従業員通路)は,トビイロゴキブリ219個体,チャバネゴキブリ52個体,自動販売機周辺は,トビイロゴキブリ1個体,チャバネゴキブリ2個体.トイレは,トビイロゴキブリ,クロゴキブリが各3個体,チャバネゴキブリ15個体で,チャバネゴキブリが他種に比べ,多く捕獲された.荷捌場は,トビイロゴキブリのみ35個体,機械室はトビイロゴキブリ85個体,チャバネゴキブリ3個体,ゴミ置場はトビイロゴキブリ15個体,チャバネゴキブリ27個体であった.

    トビイロゴキブリの初夏から冬期における消長は,初夏から初秋は成虫および幼虫がみられたが,冬季には成虫は見られず,わずかに幼虫が捕獲された.

  • 川口 侑子, 牛頭 夕子, 水原 寛美, 田原 雄一郎
    2015 年 30 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2015/05/25
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    シリカゲルのゴキブリに対する効果は,粒子径の大きさに左右された.470 meshであれば,1m2あたり3gの処理で感受性系統ならびに抵抗性系統のチャバネゴキブリに対して,24時間で85%以上の個体が死亡した.30 mesh, 40 meshの粒子径のシリカゲルでは殺虫効力が見られなかった.トビイロゴキブリ老齢幼虫に対する殺虫効果 は劣った.470 meshのシリカゲルを室内に7日間放置した時の吸湿の程度は低く,殺虫効力には大きな影響をもたらさなかった.シリカゲルで死亡したゴキブリの肢や触角は硬直し,時間とともに脱落した.一連の試験から,処理面が乾いている場所でのシリカゲル微粉末処理は,チャバネゴキブリ駆除に対し有効で,現場での実用性が期待される.
  • 川口 侑子, 牛頭 夕子, 田原 雄一郎
    2015 年 30 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2015/05/25
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    プロペタンホス20%MC剤希釈液のシェルターへの付着量は,タイル,ベニヤ板,コルクシートとアルミシート,プラスチックシートの順となった.80倍のベニヤ板への付着量は,0.45mg/100cm2で,基準散布量(80倍,50ml/m2)の36 %程度にとどまった.シェルターに付着したMC剤の粒子は,2ヵ月後まで破壊されなかった.感受性系統に対する薬剤の初期効力は,全ての材料で320倍まで有効であり,抵抗性系統に対しては80倍まで有効であった.各材料の感受性系統に対する効力持続性は,雌雄とも40倍では全ての材料で4ヵ月有効であった.80倍ではコルクシートを除き,雄で4ヵ月有効,雌でアルミシート,コルクシートを除き,4ヵ月有効であった.抵抗性系統の雄では,40倍のアルミシートで2ヵ月,タイル,ベニヤ板,プラスチックシートでは3ヵ月有効であった.しかし,雌ではベニヤ板以外での効力は不十分であった.80倍以上の希釈では,雌雄に対し十分な効力持続は得られなかった.プロペタンホス20%MC剤の付着性と効力持続性は,処理面の材料に大きく影響されることから,本剤の現場での使用に際しては,散布面の材料を考慮する必性が示された.
短報
  • 川口 侑子, 若井 孝洋, 田原 雄一郎
    2015 年 30 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2015/05/25
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    殺虫剤含侵ネットにチャバネゴキブリを強制接触させた時,感受性系統(SS系)では100%死亡したが,有機リン 系抵抗性系統(RR系)での死亡率は1.7%に留まった.RR系チャバネゴキブリの餌場を無処理ネットおよび殺虫剤含侵ネットの中央に置いても,設置48時間後の両区の餌の消費量に差が見られなかった.RR系は殺虫剤含侵ネットで作成したシェルターや,このネットを内貼りして作成したシェルターへ侵入することを嫌った.

    これらの結果から,殺虫剤含侵ネットは飲食店等のチャバネゴキブリに対して殺虫効果は認められないが,チャバネゴキブリの潜伏場所となりやすい所に取り付け,定着を防ぐために使用できる可能性が示唆される.

事例報告
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