富山県の立山山麓の2地点で(「風土記の丘」,「家族旅行村」)で1995年から2019年にわたって,クサギとスコットの越冬飛来の観察を行って来た.本報では,クサギおよびスコットの越冬飛来の季節消長について報告した.
クサギの「風土記の丘」における壁飛来は9月16〜20日から始まり,12月1〜5日に終息する消長を示し,その間の頂点は10月6日から10月31日にみられ,トラップへの潜みも9月16〜20日に始まり,10月9日から11月10日までの間に頂点がみられた.「家族旅行村」のスコットは10月16〜20日から飛来が始まり,12月6〜10日に終息する消長を示し,その間の頂点は10月24日から11月25日にみられた.トラップへの潜みは10月21〜25日から始まり,10月26日から12月4日までの間に頂点がみられた.これらの季節消長の平均を求め,さらに,標準季節消長(例年の季節消長)を求めると,「風土記の丘」のクサギの壁飛来は9月20日頃に始まり,頂点を10月13日頃に形成し,12月3日頃に終息する消長を示し,越冬飛来期間は約75日間,最盛期は10月中旬の10日間ほどとなった.「家族旅行村」のスコットの飛来は10月18日頃に始まり,11月5日頃に頂点を形成し12月8日頃に終息する消長を示し,越冬飛来期間は52日間ほど,最盛期間は11月初旬の10日間ほどになった.さらに,「家族旅行村」のクサギの飛来は9月23日頃に始まり,頂点は10月8日頃に形成し,12月3日頃に終息する消長を示し,飛来期間は72日間,最盛期間は10月初旬の10日間ほどになった.結果,「家族旅行村」におけるスコットはクサギに比べ,25日ほど遅れる季節消長を示した.
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