ペストロジー
Online ISSN : 2432-1540
Print ISSN : 1880-3415
36 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 小松 謙之
    2021 年 36 巻 2 号 p. 57-58
    発行日: 2021/09/28
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    建築物内で捕獲した19頭のクマネズミについて飼育下における飲水量を調べた.その結果,体重(X)と1日の飲水量(Y)との間にはY = 9.58 + 0.074X (r = 0.61)の回帰式が成り立ち,また体重(X)と体重100 gあたりの飲水量(Y)との間にはY = 28.3 - 0.061X (r = 0.55)回帰式が成り立ち負の相関がみられた.なお1日の平均飲水量は18.9 ± 5.8 ml(平均体重125.9 ± 47.8 g)であった.したがって体重が重いほど飲水量は多いが,一定体重あたりの飲水量で見ると,体重が重いほど飲水量は少ない.

  • IV.クサギカメムシとスコットカメムシの越冬飛来の季節消長
    渡辺 護
    2021 年 36 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2021/09/28
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    富山県の立山山麓の2地点で(「風土記の丘」,「家族旅行村」)で1995年から2019年にわたって,クサギとスコットの越冬飛来の観察を行って来た.本報では,クサギおよびスコットの越冬飛来の季節消長について報告した.

    クサギの「風土記の丘」における壁飛来は9月16〜20日から始まり,12月1〜5日に終息する消長を示し,その間の頂点は10月6日から10月31日にみられ,トラップへの潜みも9月16〜20日に始まり,10月9日から11月10日までの間に頂点がみられた.「家族旅行村」のスコットは10月16〜20日から飛来が始まり,12月6〜10日に終息する消長を示し,その間の頂点は10月24日から11月25日にみられた.トラップへの潜みは10月21〜25日から始まり,10月26日から12月4日までの間に頂点がみられた.これらの季節消長の平均を求め,さらに,標準季節消長(例年の季節消長)を求めると,「風土記の丘」のクサギの壁飛来は9月20日頃に始まり,頂点を10月13日頃に形成し,12月3日頃に終息する消長を示し,越冬飛来期間は約75日間,最盛期は10月中旬の10日間ほどとなった.「家族旅行村」のスコットの飛来は10月18日頃に始まり,11月5日頃に頂点を形成し12月8日頃に終息する消長を示し,越冬飛来期間は52日間ほど,最盛期間は11月初旬の10日間ほどになった.さらに,「家族旅行村」のクサギの飛来は9月23日頃に始まり,頂点は10月8日頃に形成し,12月3日頃に終息する消長を示し,飛来期間は72日間,最盛期間は10月初旬の10日間ほどになった.結果,「家族旅行村」におけるスコットはクサギに比べ,25日ほど遅れる季節消長を示した.

事例報告
短報
  • 渡辺 護
    2021 年 36 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2021/09/28
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    富山県の北東部のO川沿いのO温泉旅館においてクサギカメムシの飛来を2008年から観察を行っている結果を報告した.飛来数には明らかな年次変化が観られ,2010〜12年と2017〜19年が多く,2009年,2013年,2016年が少なかった.それらには飛来期の9月中下旬から10月上中旬の気象と幼虫の発育期の6月から8月の気象が少なからず関与している事が示唆された.また,前年12月から当年4月の降雪量が秋の飛来数に影響を与えていることが推測された.

  • ―ライ麦粉,小麦粉との比較において―
    牛頭 夕子, 梶山 知代, 安藤 真奈実, 田辺 堅太郎, 義平 大樹, 佐々木 均
    2021 年 36 巻 2 号 p. 77-80
    発行日: 2021/09/28
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    国産ライ小麦粉を給与した場合のコクヌストモドキの成育を,小麦粉やライ麦粉を給与した場合と比較し,国産ライ小麦粉のコクヌストモドキの餌としての適性を評価する事を目的として,小麦粉,全粒小麦粉,ライ麦粉,ライ小麦粉と,それらにエビオス末を加えたもの(エビオス末添加区),およびエビオス末のみの9飼料区を設定して,飼育実験を行った.その結果,平均総個体数では,エビオス末無添加区の中ではライ小麦粉区が一番多かったが,エビオス末添加区では全粒小麦粉区が一番多かった.また,老熟幼虫以上に成育した個体数および,蛹以上の個体は,エビオス末添加区のみで見られた.また,親世代成虫の生存率は,エビオス末区とライ麦粉を除く全ての穀粉区で75%以上と高率であった.以上のことから,国産ライ小麦粉は,コクヌストモドキにとって全粒小麦粉とともに好適な餌となると判断できた.

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