ペストロジー
Online ISSN : 2432-1540
Print ISSN : 1880-3415
24 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
短報
  • 春成 常仁, 谷川 力, 二瓶 直子, 駒形 修, 小林 睦生
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 2 号 p. 47-50
    発行日: 2009/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    地理情報システム(GIS)によって得られたデータ を利用して,ネズミの広範囲にわたる生息状況を推測できないか東京都大田区のデータに基づいて検討した.GISで解析した面積指数,戸数指数とアンケート,生息調査に基づく生息指数を比較したところ,家屋戸数の密度が高い地区ほど,ネズミの生息指数が高くなる可能性が示唆された.ネズミの発生予測には様々な要素が必要であり,50 m× 50 m程度の狭い範囲の区画では,補足的な調査が必要ではあるが,GISデータは地区ごとのネズミ生息予測に利用できる可能性が高いと考えられる.
  • 青山 修三
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 2 号 p. 51-54
    発行日: 2009/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    札幌市内で採集したワラジムシの木部および蟻土喫食性,日周行動,糞への集合性,ならびに繁殖期間の推定と雌雄別個体数の消長に関する調査研究を行った.

    本種を3日間絶食させた後,スクリュー瓶内で,腐朽木,古木,蟻土(札幌産ヤマトシロアリ),ペーパータオル,対照としてジャガイモの5種類を5日間与え,糞数をカウントしたところ,古木だけ全く喫食しなかった.雌雄ともに蟻土,ジャガイモに対する喫食性の高いことが判明した.

    本種の活動を24時間観察したところ,雌雄ともに夜間活動性であることが確認された.

    雌雄ともに同性糞への集合性が非常に高く,いずれも100%であった.

    札幌市豊平区での抱卵雌の存在は,6月上旬から9月中旬まで観察された.この期間が繁殖期間であったと推定された.

  • 辻 英明
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 2009/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    2006年6月に,コクヌストモドキ,Tribolium castaneum (Herbst)新成虫の日周活動を調べるためのアリーナ内実験を行った.成虫は夜行性を示し,昼間シェルターに定着した成虫は毎晩シェルターを離れて餌のトレイに侵入,あるいはシェルター表面を含む床上を俳徊したが,昼間の静止区域が(最初のシェルターでなく)しだいに餌近くの範囲になる傾向を示した.また,シェルターを離れた成虫はアリーナの明るい側に多く分布した.

    2006年6,7,8月のそれぞれ1回(2昼夜),空室床面の中心から周囲の壁沿いに並べた12個の餌入りトラップへの成虫移動を観察した.室温が26〜33℃の範囲にあった6月および8月の実験では,2日で約30%の成虫がトラップに捕獲され,22~27℃の範囲にあった7月の実験では7%しか捕獲されず.本種の活動には高温が必要であることを示唆した.室内での捕獲個体の数も明るい方向のトラップに多い傾向を示した.
  • 神谷 桜, 水間 夕貴, 牛頭 夕子, 田原 雄一郎
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 2 号 p. 61-63
    発行日: 2009/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ドッグフード,マウス飼料,米ぬか,全粒小麦粉の4種餌材に対するチャバネゴキブリ雄成虫の嗜好性試験では,感受性系統とフィールド採集の3コロニーともドッグフードを最も好んだ.特に感受性系統での消費割合は70%に達した.感受性系統の米ぬかに対する嗜好性は,ドッグフードに次いで高かった.一方,フィールド採集の3コロニーでは,米ぬかは小麦粉よりも劣った.家庭にあってもゴキブリの餌材となりやすいドッグフードの管理の重要性を指摘したい.
事例報告
  • 中野 敬一
    原稿種別: 本文
    2009 年 24 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2009/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    東京都港区内の雨水枡36ヶ所(ピリプロキシフェン処理)について,2007年3~11月および2008年4~7月の間に月1回の頻度で,粘着トラップを用いて雨水枡内の昆虫相を調査した.また,港区外の雨水枡15ヶ所(無処理)についても2007年8~11月および2008年4~7月に同様に調査を行った.調査では,双翅目,膜翅目,鞘翅目,半翅目,粘管目,直翅目,革翅目,噛虫目,総翅目,脈翅目の昆虫が捕獲され,その多くは双翅目であった.捕獲個体数の多い双翅目昆虫は,チョウバエ科,ユスリカ科,クロバネキノコバエ科であった.港区内の雨水枡では,蚊類の捕獲は少なかったが,港区外の雨水枡では5~11月にアカイエカ群,ヒトスジシマカが捕獲された.港区内の雨水枡で蚊類の捕獲が少なかった原因のひとつに,蚊の発生時期にピリプロキシフェン剤の定期的な施用が考えられる.
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