ペストロジー
Online ISSN : 2432-1540
Print ISSN : 1880-3415
23 巻, 2 号
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原著
  • 小泉 智子, 武藤 敦彦, 橋本 知幸, 佐久間 玲良, 安藤 洋志, 種倉 績
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 39-45
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    3種のエアーカーテンに対する昆虫類の侵入抑制効果を実地試験によって評価したところ,飛翔性昆虫では,昼間,夜間ともに高い侵入抑制効果が得られたが,昼間はニクバエ科やクロバエ科のハエ類,夜間はチョウ目やコウチュウ目など大型の一部の昆虫で,侵入抑制効果が低下する傾向がみられた.俳徊性節足動物では,全体的に侵入数が少なく,エアーカーテンの効果は飛翔性昆虫に対する侵入抑制効果よりも低い傾向がみられた.
  • 小曽根 惠子, 伊藤 真弓, 金山 彰宏
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    横浜市内の2住宅(中区・南区)および横浜市衛生研究所構内(磯子区)において,2006年3月から2008年1月までに捕獲されたアカイエカ群について,アカイエカとチカイエカ亜種を同定した.中区住宅では,2006年,2007年ともに雌ではチカイエカが優占した(2006年:72.5%,2007年:65.3%).一方,雄ではアカイエカの割合が多く,チカイエカの割合は2006年:12.3%,2007年:9.3%であった.南区住宅で捕獲されたアカイエカ群雌成虫におけるチカイエカ混在率は,2006年32.2%,2007年25.7%であった.衛生研究所で捕獲されたアカイエカ群雌成虫におけるチカイエカ混在率は,2006年は,雌23.8%,雄5.9%,2007年:雌13.5%,雄2.4%であった.いずれの年も,中区住宅ではチカイエカが優占し,南区住宅および 衛生研究所ではアカイエカが優占した.チカイエカ雄は,地上においてドライアイストラップに捕獲される個体がきわめて少ないことから,アカイエカ,チカイエカ両亜種の同定を行うには雄のみではなく,雌も用いる必要があると思われた.
  • 武田 昌昭, 平林 公男
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    ユスリカ類の新たな物理的防除法を確立するために,さまざまな条件で電気刺激を幼虫に与え,その死亡率を検討した.その結果,(1)直流,交流ともに,通電時間が長くなるほど死亡率が上がった.(2)180 Vの場合,交流と直流とで比較すると,直流のほうが交流に比べ,幼虫の死亡率が有意に高かった.(3)死亡率において,同じ実験条件下であれば,幼虫と蛹とでは,統計的に有意な差は認められなかった.(4)交流の場合,周波数は幼虫の死亡率に影響を与えない,などが明らかとなった.以上のことより,ある一定の電気刺激をユスリカ幼虫に与えることにより,幼虫の死亡率が上がり,ユスリカ幼虫の物理的防除対策に応用できることが示唆された.
事例報告
  • 青山 修三
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 59-62
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
    水で湿らせたバーミキュライトを入れたペトリ皿へ,札幌産ヤマトシロアリまたはトビイロケアリの職蟻をそれぞれ50個体放ち,約4ヵ月間冬季低温条件下で死亡虫数を観察した.実験期間中0℃以下の低温日数が23日間もあった1月に,トビイロケアリとヤマトシロアリ無給餌区の死亡個体数が増加した.実験終了時の平均累積死亡率はトビイロケアリが最も高く,50.4%,ヤマトシロアリ給餌区は37.6%,無給餌区が26.2%であった.ヤマトシロアリ区では不明虫が多く,平均不明個体数は給餌区,無給餌区でそれぞれ17.0(34.0%),7.2(14.4%)であったが,トビイロケアリ区では0%であった.集合様式別に実験終了時の死亡率を見ると,集合型を示したヤマトシロアリ無給餌区では3.7%,トビイロケアリではすべて生存,死亡率は0%であった.一方,非集合型を示したヤマトシロアリ給餌区での死亡率は37.6%,トビイロケアリでは84.0%と集合型に比べ極めて高かった.
  • 元木 貢, 佐々木 健, 楠木 浩文, 水谷 澄
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    1.ウエストナイル熱等の昆虫媒介性疾病が日本に侵入したときに備えるため,家屋周辺のオープンスペースを対象とした蚊成虫対策を検討した.

    2.屋外開放環境下に薬剤処理する方法として,動力噴霧機を用いた低濃度多量処理およびULV機による高濃度少量処理を採用した.薬剤は,前者にクロルピリホスメチル10%乳剤を,後者にはフェノトリン10%ULV用乳剤を選定した.

    3.クロルピリホスメチル10%乳剤を用いた低濃度多量噴霧の用量は,250倍と500倍希釈液・250ml/m2処理が,フェノトリン10%乳剤のULV噴霧は,2〜4倍液・2ml/m2処理が適した用量であることがわかった.

    4.同時に検討した植物に対する薬害試験は,2種の観葉植物の鉢植えを供試した.殺虫剤製剤に対し敏感に反応することが考えられたスパティフィラムは,前述した希釈倍率の高い用量区でも,若干の影響が認められた.

    5.この結果,実際に屋外開放環境下で噴霧処理する際は,観葉植物などに対し,できる限りあらかじめ被覆すること,もしくは,噴霧に暴露されない安全な場所に移すことを考慮すべきである.

    6.低濃度多量処理は作業性に若干問題があり,ULV処理はコスト高になることがわかった.どちらの方式を採用するかは,実施場所の地形,対象面積および水源の有無などにより選択する必要がある.しかしながら,公園や住宅地など広域に薬剤処理する場合には,大型機器が必要である.

  • 谷口 隆敏, 黒田 昭吉, 渡辺 護
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 71-74
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー
  • 尾崎 慶太郎, 西出 慎吾, 肥田 良一, 橋本 知幸
    原稿種別: 本文
    2008 年 23 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2019/04/10
    ジャーナル フリー

    2006~2007年にかけて,住環境における一般居住者と建築関係者の害虫に対する認識や対応を比較するために,ア ンケート調査 を実施した.害虫6種の カ ラ ー写真 を示し,語群から種名を選び出す虫に対する認識度を見ると,平均正解率は種類によって大きく変動し たが,一般居住者と建築関係者との間に正解率の大きな差は認められなかった.虫の対処方法について,一般居住者は被害を受けたとき,76%が自分で対処し,PCOに依頼するケースは10%未満であった.建築関係者が仕事上で虫の相談 を受けると,67%がPCOにその対応を依頼した.また,一般居住者が受けた虫の被害は,不快感,人体,衣類に関する被害が多く,被害を受けた虫としては,ゴキブリ,ア リ が多かった.一方,建築関係者が相談を受けた内容は,住宅に起因する内容が多 く,虫の種類はシロアリ,アリが多かった.また,一般居住者でPCOに依頼した人は,住宅被害とシロアリによる被害を挙げる人が多かった.建築関係者でPCOに相談する人は,住宅被害とシロアリ,アリを挙げる人が多かった.このことから建築業者は,相談の多い被害項目や害虫について,あらかじめ知識を得ておくことによって,相談者に対 して具体的な改善策を示したり,より適切な助言を行うことが期待できる.

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