人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第32回 (2018)
選択された号の論文の753件中201~250を表示しています
  • 杉浦 孔明, マガスーバ アリー, 河井 恒
    セッションID: 2A3-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    本研究の対象は,日常環境でユーザに指示された物体を適切な場所に移動させるタスクを行う生活支援ロボットである.特に,「ペットボトルを片付けておいて」等の曖昧な命令のマルチモーダル言語理解を扱う.具体的には,曖昧な命令を入力として,ロボットがオブジェクトを置く対象領域の尤度を予測する手法を提案する.提案手法では,マルチモーダル入力から潜在表現を抽出し,Generative Adversarial Nets (GAN)によるデータ拡張と分類を同時に行う.ロボティクスにおいては教師データ収集が高コストであるので,Deep Neural Netork (DNN)における精度向上においてデータ拡張が重要な役割を果たし得る.実世界状況と曖昧な指示を収集して構築したデータセットにおいて,提案手法とベースライン手法を比較した評価実験について述べる.

  • Namiko SAITO, Kitae KIM, Dai Ba NGUYEN, Shingo MURATA, Tetsuya OGATA, ...
    セッションID: 2A3-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    We propose a tool-use model that robots choose and use tools to carry out tasks. In these days, research on the tool-use by robots have been done aiming at robots that are useful in daily life. However, conventional research has two problems. (1)experimenters need to label tools or environment. (2)it is impossible to perform a series of operation from tool selection to task execution. In this research, we propose a model which can solve the two problems, we let a robot select a tool, hold it and perform the task, and have a series of experiences. Then, train the sensory-motor data that acquired during the experience and task command with deep learning. At last, to evaluate the model, we confirmed the ability of motion generation in the untrained situation.

  • 森川 優, 中西 波瑠, 稲村 直樹, 近藤 伸明, 小渕 浩希, 大澤 輝夫, 松原 崇, 上原 邦昭
    セッションID: 2A4-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    海上気象観測は安全な航海に不可欠であり、日本では一般船舶において観測結果を気象庁に報告することが求められている。しかし、雲の観測は気象測器での自動観測が困難なため、画像から自動識別する要求が生じている。これまで多くの研究で雲の種類(雲形)と雲量の分類に取り組まれてきているが、日本の海上気象観測で必要となる雲の状態までは研究されていない。そのため当研究では雲の雲形と状態を分類するための機械学習システムを開発した。まずはじめに全天球画像を撮影してデータサンプルを収集するための撮影デバイスを開発し、雲の層(下層、中層、上層)ごとに雲形と状態をラベル付けした。このデータセットをもとに、深層畳み込みニューラルネットワークを構築し、ResNet50学習モデルをfinetuningして分類した。結果として、雲形・状態ともに0.9を超える精度を達成した。

  • 渡邊 千紘, 平松 薫, 柏野 邦夫
    セッションID: 2A4-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    多層ニューラルネットは様々な実データに対し,高い予測性能を実現しているが,その内部表現を人が理解することは難しい.我々はこれまで,データから学習された多層ニューラルネットに対し,ネットワーク解析を適用することにより,各層において隣接する層のユニットと似た結合パターンを持つユニットのグループ(コミュニティ)を推定する方法を提案してきた.これらの研究においては,ニューラルネットから抽出された各コミュニティ間に存在する複数の結合を,閾値処理に基づいて1本の結合束として表現することにより,構造の単純化を行っていたが,コミュニティ間がどの程度強く結びついているかを知る方法は存在していなかった.本研究では,多層ニューラルネットから抽出されたコミュニティ構造に対し,新たな結合束の定義法と可視化手法を適用することにより,各コミュニティが入力側の層におけるどのコミュニティと最も強く結びついているかを知ることを可能にした.また,実際に図形認識のデータセットを用いて学習した多層ニューラルネットに対し,提案法を適用することにより,各コミュニティの役割について考察を行った.

  • 大野 啓介, 高屋 英知, 松本 洋, 森田 哲郎, 栗原 聡
    セッションID: 2A4-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    近年のITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)の著しい発展により,道路交通情報や車両の様々な情報を容易に収集することが可能になっている.交通流を把握・予測するために収集される情報には,路上に設置されたセンサにより得られる観測情報と道路上を走行する車両から収集されるプローブ情報がある.プローブ情報によって,センサが設置された地点の観測情報に加えてより広範囲の道路交通情報が得られるようになっている.本研究では,プローブ情報を用いて一般道における交通流予測手法を検討する.交通流は複雑であるが,特徴量を自動的に獲得できる深層学習によって,現場の特性といった事前知識を把握していなくても交通流の特徴を表すことができ,交通流予測においても精度が向上すると期待される.そこで,本研究では,深層学習を用いた交通流予測モデルを検討する.また,他の交通流予測手法と比較を行う.

  • 中川 大海, 岩澤 有祐, 那須野 薫, 松尾 豊
    セッションID: 2A4-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    近年,オンライン教育サービスの発展に伴い,知識獲得予測の研究が活発化している.知識獲得予測は,生徒の学習行動ログに基づいて,各生徒が知識をどの程度習熟しているかを予測するものであり,深層学習を活用することで効果的な予測が可能になることが報告されている.こうした深層学習を用いた知識獲得予測の手法の発展は,これまで所与とされてきた「知識」の定義自体も見直す必要性を示唆するものでもある.近年では,知識獲得予測を行う上で効率的な知識タグ自体を,生徒の学習行動から学習する手法が提案されており,機械の予測に基づいた学習内容の個人最適化が普及していく中で,機械にとってより予測しやすい知識表現を設計することの重要性が高まっている.本研究では,知識獲得の予測性を最大化するように学習された知識タグの性質を分析することで,機械にとって予測しやすい知識構造についての分析を行う.実験の結果,学習されたタグは,既存のタグに比べて生徒の問題回答の情報を効率的に表現する構造を獲得していることが確認され,また,既存のタグと組み合わせることでより高い予測性能を発揮する,相互補完的な性質を有することが検証された.

  • 池野 光一, 原 聡, 鷲尾 隆
    セッションID: 2A4-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    近年の機械学習技術の研究では,特に認識・予測の精度の高さに注目が集まっている. しかし,実応用の場面においては,単に精度だけでなくあわせてモデルの説明性が必要とされることがある. 本研究では,画像認識のための深層学習モデルであるConvolutional Neural Network (CNN)を対象に,その説明性を高める方法を提案する. CNNの説明性を高める方法として,モデルが入力画像のどの部分を根拠に認識を行っているかを特定してハイライトする方法が研究されている. このような説明法を用いることで,モデルの認識根拠を人間が視覚的に検証できるようになる. 提案法では,モデル説明のための新しいハイライト法として「モデル出力に寄与しない入力画像の非貢献部をハイライトする」方法を提案する. 従来の手法では,モデル出力と関連が強い入力画像領域を貢献部としてハイライトする. これに対し,本研究では非貢献部に着目することで,これら従来の手法とは逆のアプローチを取る. 提案法は従来法のようにモデル線形化のような粗い近似を必要としないという点において,モデルのより本質的な情報に基づいたハイライトを生成できると考えている.

  • 川瀬 千晶, 小林 一郎, 西本 伸志, 西田 知史, 麻生 英樹
    セッションID: 2B1-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    本研究では,ヒトの動画視聴時の脳活動データと意味表象を対応付け、これに対して辞書学習を行った。この手法により、脳活動と意味表象が対応した基底で構成される辞書を獲得し、この辞書基底について分析を行ったところ、スパースコーディングにより得られた意味表象基底は、さまざまな意味表象を表現するのに効率の良いような特徴を捉えていると考えられる.

  • 小田 輝王, 工藤 卓
    セッションID: 2B1-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    EEGは外部の影響により大きく変化することが知られており,実験の参加者の健康状態や環境によって同じ認知行為でも誘発される脳波が大きく変動する.あらかじめ想定された周波数帯域および測定部位から得られた脳波信号に基づくBCIは,同一の認知課題に対しても安定して再現性の高い脳波特徴を呈するユーザのみに適合する.この問題を解決するため,学習型ファジーテンプレートマッチング(L-FTM)法を用いたBCIを開発した. また,タスク状態と非タスク状態の両方に高い適合度を持つ不適切なファジールールを削除するプルーニングを実装した. 我々は本BCIシステムに実験参加者が実際の運動を行うときの脳波を学習させ,使用者が運動をイメージするときの脳波特徴を検出することが可能であることを確認した.

  • 張 嘉瑩, 小林 一郎, 西本 伸志, 西田 知史, 麻生 英樹
    セッションID: 2B1-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    近年,脳神経科学分野において脳神経活動を定量的に理解する研究が盛んに行われている.また,近年の深層学習の成果を取り入れて脳活動データを解読する研究も報告されている.そのような深層学習を用いて脳活動データを取り扱う際,学習のために大量のデータが必要である.一方,functional Magnetic Resonnance Imaging (fMRI) を用いた脳活動データは機械学習のために使用できるデータ数が不足するといった問題が生じる.これらの背景を踏まえて,本研究では異なる被験者の脳活動データ同士の対応関係を学習し一つの形に統一することで,データを擬似的に増やし,それを実際に深層学習に使用できるようにすることを目指す.

  • 寺島 裕貴, 古川 茂人
    セッションID: 2B1-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    聴神経フィルタ特性を理解するための計算モデルとして、自然音の教師なし学習モデルが提案されてきた。本研究では、より自然な音として自然環境下における音の変調を考慮に入れると、教師なし学習よりも音響課題に最適化された深層ニューラルネットワークがより良いモデルであることを示す。

  • Taku HAYAMI, So NEGISHI, Rintaro KOMORI, Haruo MIZUTANI, Hiroshi YAMAK ...
    セッションID: 2B1-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    The Whole Brain Architecture (WBA) is considered to be a strong candidate for the computational cognitive architecture of an artificial general intelligence (AGI) computing platform which includes empirical neural circuit information of the entire brain. The WBA is constructed with the aim of developing a biologically plausible general-purpose artificial intelligence with can exert brain-like multiple cognitive functions and behaviors in a computational system. In this study, we created Whole Brain Connectomic Architecture (WBCA), which is based on the datasets of quantified experiment results in mouse brain provided by Allen Institute for Brain Science to construct a unified platform of WBA. Strengths and hierarchies of connections between brain areas were computed to the provided data and confirmed the consistency in well-studied connections with previous studies. We suggest that computational cognitive architecture defined by connectomic data can enhance the development of AGI algorithms.

  • 益川 弘如, 遠藤 育男
    セッションID: 2B2-OS-19a-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    本研究は、2人の学習者の協調問題解決(CPS)能力の発揮と認識を、その学年時々経験する学習環境との相互作用の関係と共に追った。結果、CPS能力が発揮しやすい学習環境で学んだことが、必要な学習環境の構築のすがたの意識を持つことを、それぞれなりに持っていると共に、発揮しにくい学習環境ではこれまでの個々人の特性に依存する相互作用の関係にあることが見えた。 対象学習者は、2018年3月現在中学3年生のAさんとBさんで、2人の小学3〜6年生の授業中の発話データ、そして中学進学後の2015年11月にインタビューデータを用いた。対談インタビューでは、Aさんが「同じH小の子が一人でもいれば、なんとかいける」、Bさんが「H小出身者が一緒にいる今の班なら平気」と発言するなど、H小学校の学習環境を卒業した生徒同士であれば、CPS能力を発揮できると指摘していた。良質な発言チャンスのある学習環境であれば、AさんもBさんも質の高いCPS能力を発揮することができていた。しかし、中学校のそうでない学習環境下に戻ってしまうと、小学校3年生の初期のときに見せていたような個人の特性が戻って出てくることが見えてきた。

  • 児玉 謙太郎, 安田 和弘, 牧野 遼作
    セッションID: 2B2-OS-19a-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    本研究では、リハビリテーションの実践的・臨床的なフィールドにおける身体知、スキルへ如何にアプローチできるか議論する。これらに科学的にアプローチし、研究しようとする際、ある種のジレンマがある。つまり、伝統的な科学の枠組みの中で、研究者が現実世界の特定の対象や現象を仮説検証的に解明しようとしたら、一見無関係にみえる他の要因を剰余変数として排除しなければならない。しかし、実際には多くの現実の自然現象は、それを取り囲む環境や状況と分離することが難しい。言い換えれば、それらは環境や状況に埋め込まれていると言えよう。このジレンマは、実践や臨床の現場における身体知、スキルを明らかにする際の難しさを示している。そこで、本研究では関連する問題を挙げ、我々の研究、アプローチについて述べる。

  • 藤井 晴行, 篠崎 健一
    セッションID: 2B2-OS-19a-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    デザインはものごとのありたき姿やあるべき姿を描いてそれらを実現させる方法を考案する行為である。この行為には客観的な知識に基づく合理的な思考だけではなく主観的な信念に依拠する直感的な判断がともなう。本報告は伝統的な様式を継承する民家が多く現存する沖縄離島(伊是名島)の集落(伊是名区)を<臨床>のフィールドとする「空間図式の探究」とそこから発展した地域創生デザインの課題デザインのプロセスを事例として、空間図式探究という研究から地域創生デザインという実践に至る経緯、主観性と客観性が共存するデザイン・プロセスを独善に陥らないように進める方法として筆者らが構築しつつある写真日記の作成と構造化という発想法の適用の実際について述べるものである。写真日記は写真、事実の記述、事実に関連して考えたり気づいたりしたものごとの記述、写真日記作成者の経験の記述からなる臨地調査の記録である。写真日記をできるだけボトムアップで構造化する過程で新たな気づきが生まれたり潜在的な問題意識が顕在化されたりする。この過程を通して客観的な事実と主観的な考えから<臨床の知>が顕在化されていると実感している。

  • 宮本 一巧, 塩瀬 隆之, 阪上 雅昭
    セッションID: 2B2-OS-19a-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    理学療法士,作業療法士が治療の中で行う「ハンドリング」は,経験主義的な部分が多く,その技術を他者に伝達していくには困難を伴う.本研究は,リハビリテーション領域での患者の起立動作の治療に対するハンドリングにおいて,熟練者が持つ特徴と,そこから推測可能な「コツ」を検討した.対象はセラピスト役として18年目の作業療法士 (以下,熟練者)と作業療法学科学生の2名,患者役として仮想片麻痺者を想定した健常者2名とした.熟練者は患者との距離を大きくとりながらも,終始,セラピストと患者の距離間を一定にすることで起立動作に重要な前方への運動を誘導していたことが示唆された.その特徴を支持していたのは上肢運動の自由度を抑え,下肢運動の自由度を大きくするという全身の協応構造にあった.一方,このような身体構造は古武術などの武術的な身体運動の特徴にも見られる.そこで,古武術的な要素を取り入れた他者の上体起こしと一般的なそれを比較した結果,古武術の方が,頭と肩・肘・手との距離を小さくして身体操作を行っていた.

  • モノをとおしてコミュニケーションを理解する
    加藤 文俊
    セッションID: 2B3-OS-19b-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    筆者は,ワツラヴィックらによるコミュニケーションに関する「試案的公理」を参照しながら,さまざまな実践の文脈における「場づくり」やファシリテーションのあり方に関心を寄せてきた.とくに「コミュニケーションしないことの不可能性」という言明は,きわめて示唆に富んでいる.私たちは,しゃべることをコミュニケーションだと考えがちだが,黙っていることも,さらに他の非言語的,身体的ふるまいもふくめて,絶え間なくお互いの状況を伝え合っている.つまり,私たちはコミュニケーションせざるをえないのである.さらに,私たちが日常生活においてさまざまなモノや道具を必要としていることから,モノの成り立ちやモノ自体をとおして,人びとのコミュニケーションの痕跡やありようについて洞察を加えることもできるだろう. 本論文では,「うごけよつねに」というプロジェクトを事例として紹介しながら,モノ(移動体)をとおしたコミュニケーション過程を理解する試みについて論じたい.モノは,私たちのコミュニケーションの契機(始まり・終わり)となるばかりでなく,時間,空間の構成・再構成に関する身体的な理解の創造に役立つ.

  • 桑山 菊夏, 小関 美南, 諏訪 正樹
    セッションID: 2B3-OS-19b-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    「跡」や「痕」について、思いを馳せたことがあるだろうか。わたしたちはこの言葉を、ときに何気なく、いつのまにか口にする。 紙につけた折り目、窓ガラスについた指紋、さら地、古本にある走り書き。すべては「跡」のようで、過去を思わせる。また、私たちは、さまざまな方法で残された「跡」を、利用したり、消したり、作り出したり、解釈したりする。 「跡」を見つめると、そこには“だれかが居た”、“なにかが動いた”物語が見えてくる。そのとき、私たちは、「跡」のどんな要素に気づき、その要素をどう解釈してその物語にたどり着いたのだろうか。私たちは、何を「跡」と感じているのだろうか。どのように「跡」が残され、私たちは「跡」にどんなふうに出会うのだろうか。 本研究は、このような、日常における「跡」との出会いと「跡」の持っている物語性に惹かれて始まった。 「跡」との出会いの研究を行う上で、第一著者と第二著者の2名が様々な「跡」に着眼して具体的な「跡」の体験を集め、自分自身の世界の捉え方についての問いや気づきを生むことを目指した。

  • メタ的な知の表現と認識
    樽田 泰宜, 柳原 敏, 井口 幸弘, 北村 高一, 手塚 将志, 香田 有哉
    セッションID: 2B3-OS-19b-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    人工知能研究の一つに,特に産業ドメインを対象にした「知識・技術・技能の伝承支援研究会」(SIG-KST)が行われている.これは団塊の世代の大量退職による知識・技術・技能(知識等)の喪失課題が背景にある.団塊の世代は,産業ドメインに長く従事しており熟練・熟達した知識等を保有しているが,うまく伝承する仕組みがない.一方,伝承研究にはナレッジマネジメント(Knowledge Management; KM)の側面もあり,対象となる知識や情報を形式知(Explicit knowledge)として明確に表現することが進められている.そこには暗黙知(Tacit knowledge)と呼ばれるような属人的な知識も含まれている.先行研究では,身体知の可視化や産業ドメインの知識を明示化してきている.しかし,伝承研究をメタ的に捉える研究は少なく,議論の余地も多い.そこで本研究では,伝承研究と人工知能研究の発展を射程に,この研究領域をメタ的に認知するためのモデルを提案する.

  • 奥村 美奈代, 保科 智治, 木村 健一
    セッションID: 2B3-OS-19b-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    博物館において、ヴィジブル・ストレージで試みられてきた方法を資料陳列型展示とハンズ・オン展示を組み合わせた展示手法に用いる「構成展示法」を提供した。制作した展示空間は、共同鑑賞による鑑賞者間の相互触発が生ずる場になっており、展示物に関する気づきの変化が複数回現れていたことがわかった。

  • 鳥居 拓馬, 日高 昇平
    セッションID: 2B4-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    身体の動きを計測するモーションキャプチャでは人体を点の集まりとして記録する.異なる時点の人体の姿勢を表す2つの点集合を見たとき,人間ならばある時点の点が別の時点のどの点だったかをある程度まで判断できるだろう.この点の対応づけを推定する問題は対応問題と呼ばれる.対応問題は実際にはどの時点を比べても存在するが,微小時間などの仮定が成立する場合には最近傍点を選ぶなどの方法が効果的になる.しかし,人体のような複数の剛体的単位をもつ被写体や任意の時間間隔を考えた場合,この対応問題を計算機に解かせるのは案外難しい.本発表では点集合の対応問題に関する既存の研究を紹介しながら,点集合の対応問題が孕む3つの基本的な問題を指摘する.これら3つの問題はニワトリとタマゴの関係にあり,そのため対応問題を解くのが難しいと著者らは考える.さらに,うち2つの問題に関して,被写体を単一の剛体と仮定した場合に,等長変換の不変量に基づいて対応づけを求める著者らのアルゴリズムを示す.

  • 作田 尋路, 工藤 卓
    セッションID: 2B4-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    脳の情報処理機序の解明には,非線形な神経電気活動パターンのダイナミクスを理解することが重要である.また,近年ディープラーニング(DL)が多分野で高い識別精度を発揮している.そこで本研究では,ラット海馬から調製した生体神経回路網に対して,電気刺激を印加することで観察される誘発応答電位を含む神経電気活動を計測し,異なる刺激に対する応答パターンの識別に対するDL手法の有効性を検証した.時空間的情報の連続性を保持するようにしながら,入力データを画像として作成し,事前学習手法として積層オートエンコーダを用いた積層人工ニューラルネットワークで,神経電気活動パターンの特徴抽出を試みた.その結果,パターン識別の精度は充分ではなかったが,刺激直後2秒のデータのみを識別対象とすることで,識別精度は刺激直後10秒のデータを対象とした場合と比較して約2倍に向上した.神経電気活動のように「ゆらぎ」の大きい現象について,DLの手法によってパターン識別を行う場合は,分類判別基準に対するデータのゆらぎに応じた相当数の入力データが必須であることが確認された.

  • 田和辻 可昌, 松居 辰則
    セッションID: 2B4-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    脳機能と脳の構造との関係を理解することは,人間の認知活動のメカニズムを理解する上で重要な課題である.定性推論は,この問題に取り組むための有効なアプローチであると考える.本発表では,先行研究に基づいて構築した定性ニューロンモデルを用いて,衝動性眼球運動を支える神経基盤の構造記述,脳の情報伝播に関する挙動解析を行った結果について述べる.シミュレーションの結果,衝動性眼球運動の制御に重要な役割を果たすと考えられている橋網様体におけるバースト発火が確認された.したがって,本定性ニューロンモデルは,衝動性眼球運動に関連する現象に対して高い発現力を有することが示唆された.

  • 犬塚 慎也, 松崎 拓也, 佐藤 理史
    セッションID: 2B4-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    本研究では,「ロボットは東大に入れるか」 (略称:東ロボ) プロジェクトの一環として開発されたセンター試験「数学I・A」整数問題の自動解答システムにおける探索空間の削減に取り組んだ.センター試験の問題はマーク式であり,論理式に翻訳すると空欄部分のみを自由変数とする論理式になる.そのため,このような問題を解くことは,論理式から限量子を除去し,自由変数のみからなる方程式・不等式を解く処理だと見なせる.整数領域においては限定的な体系の式を除いて限量子の除去は一般には不可能であり,これを行うアルゴリズムは存在しない.そのため,整数問題に対する解答システムにおいては問題の論理表現方法の工夫や逐次的な式変形探索を通じた発見的な方法による限量子の除去を行っている.しかし,式変形探索においては探索空間の増大という課題があり,問題によってはこれを原因として解答が不能となる部分が存在した.この課題を解決するために,論理式を正規化して保持し,マッチングの際にはこの正規化された式に対してマッチングを行うことを前提とし,また交換律や対称律を考慮するようにマッチング規則を拡張し,探索空間を削減することを試みた.

  • 奥村 嶺, 奥村 紀之
    セッションID: 2B4-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    本研究ではテキストベースのコミュニケーションで活用される顔文字に着目している。 顔文字は大量に存在しているため、顔文字の辞書を保持するだけでは不十分である。 我々は、顔文字をある文字列(原形)から派生したものであるとみなして解析を試みている。 この解析を行うためには、顔文字から原形を推定すること(顔文字の原形推定)が必要である。 本稿では、顔文字の原形推定をニューラルネットワークとEmbeddingを用いて行い、従来手法よりも少ない学習回数で、優良な正解率(0.746)が得られていることを示す。

  • 今野 陽子, 中村 拓哉, 吉田 優之, 川村 秀憲
    セッションID: 2C1-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    組織の営業活動における掲示板や日報などの蓄積文書について,有効利用して知識を獲得する方法を検討する。 アプローチとして,実際の掲示板データを用いて,文書の自動要約による知識提示を行う。 質問文に対して,意図する情報と結ぶため,文書分類と特徴語に基づいて検索,自動要約を行い,獲得した情報を提示する。

  • 東中 竜一郎, 杉山 弘晃, 成松 宏美, 磯崎 秀樹, 菊井 玄一郎, 堂坂 浩二, 平 博順, 喜多 智也, 南 泰浩, 風間 健流, ...
    セッションID: 2C1-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトの英語における意見要旨把握問題の解法について述べる. 具体的には,RACEと呼ばれる大規模な英語問題のデータセットを用いた 深層学習の手法により,Word2vecの類似度に基づく手法よりも高精度に意見要旨把握問題が解けることを示す. 今回,30%の正解率を44%まで改善することができた.

  • 岡田 真, 柳本 豪一, 橋本 喜代太
    セッションID: 2C1-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
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    カスタマーレビューなど大量の文書データから有用な情報を引き出したいという要求に答える手法の一つとして,それらを対象にした評判分析手法の重要性は非常に高まっている.本論文では Gated CNN を用いた評判分析を提案する.Gated CNN はゲート構造を通常の畳み込みニューラルネットワーク構造に組み込んだモデルである.Gated CNN は言語モデルを構築する際に用いられることがあるが,提案手法では Gated CNN を入力データから特徴ベクトルを生成する際に用いる.さらに,プーリング手法の一つである Spatial Pyramid Pooling を組み込み,その有効性を実験により検証した.

  • 赤井 龍一, 渥美 雅保
    セッションID: 2C1-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    リカーシブニューラルテンソルネットワーク(RNTN)は、構文木に沿った単語の分散表現から様々な長さや構文タイプの句の合成分散ベクトル表現を再帰的に計算するニューラルネットワークモデルである。分散ベクトル表現はセンチメント分析における句のセンチメントを分類するための特徴として使用される。本論では日本語文のセンチメント分析にRNTNを適用する。そのために、センチメント分析のためのStanford Sentiment Treebankコーパスに基づいて、まず単語と文のみの教師ラベルで日本語文コーパスを作成する。次に、単語と文章の教師ラベルのみから学習したときの日本語文に対するセンチメント分析の精度を評価する。また、自分で決めたルールで句に対して教師ラベルを付けた時の効果も考慮する。

  • 内田 脩斗, 吉川 大弘, ジメネス フェリックス, 古橋 武
    セッションID: 2C1-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    文書分類は,現代の情報化社会において重要な技術である. また,Word2vecを用いて単語の意味関係をベクトルへ埋め込む分散表現が近年注目を集めており,文書分類へ適用する手法も報告されている. 分散表現は一般的にWord2Vecと呼ばれるツールを用いて生成される.そして,Word2Vecはニューラルネットワークを用いた学習構造をしており,ネットワーク内の入力側の重みを分散表現として利用している.しかし,Word2Vecでは,分散表現とは別にネットワーク上で学習される出力側の重みが存在し,異なる性質を持っていると考えられるが一般的に利用されていない. そこで本稿では,分散表現と出力側の重みを利用したアンサンブル学習による文書分類手法を提案し,提案手法の有用性を示す.

  • 榊 剛史, 鳥海 不二夫
    セッションID: 2C2-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.我々は,それらの現象を引き起こす原因の一つとして,ソーシャルポルノという仮説を提案する.ソーシャルポルノとは,「特定のコミュニティに属するユーザが、脊髄反射的に拡散・共有してしまいたくなる情報」を意味する. 本論文では,ソーシャルポルノの観測を行う前段階として,ユーザ反応時間という尺度を定義し,いくつかのツイートについて,ユーザ反応時間分布の違いを考察した.結果として,特定のコミュニティのユーザが拡散する投稿とランダム抽出した投稿には,ユーザ反応時間の分布に違いが生じる可能性が示唆された.

  • 浅谷 公威, 川畑 泰子, 鳥海 不二夫, 坂田 一郎
    セッションID: 2C2-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    オンラインソーシャルネットワーク(OSN)上の友人関係やその中での会話のネットワーク構造は,同類選好と優先的選択によりその多くの部分が説明される.しかし,これらのメカニズムには特定の属性を持つ人間への別の属性を持つ人間からの一方的な選好は想定されていない.OSNには地理的制約がなく検索性も高いため,一方的な選好によるコミュニケーションが起こりやすいと考えられる.我々はTwitterにおける家出に関するツィートとそれに対するリアクションを抽出し,ユーザー間のネットワークを分析することで,OSN上に数千人単位の一方的な選好によるコミュニケーションが存在すること確認した。そこでは,お互いに関係が疎な2つのグループ間(誘い出す側と,家出を表明する側)で一方向のコミュニケーションが存在する.さらに、前者のグループのユーザーの2割程が後者への一対多のコミュニケーションをとっており,明確な一方的な選好が存在することが想定される.また,そのような一対多のコミュニケーションをとるユーザーからのツィートは誘い出しの意図が想定される割合が非常に高いことが分かった.

  • 赤崎 智, 吉永 直樹, 豊田 正史
    セッションID: 2C2-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    現実世界では日々新しい事物や概念が誕生しており,それらの情報を網羅したデータベースは文書理解や情報検索,ウェブの監視など様々な場面で必要不可欠なものとなる.しかし,これら全てを人手で発見し補完することはもはや不可能であるため,計算機により自動でかつできる限り迅速に収集することが望ましい. そこで本研究では,事物のデータベース構築の支援のため,リアルタイムに次々と新しい情報が発信されるソーシャルメディアストリームを対象とし,そこから新しい事物や概念を指す新固有表現を精度良く発見することを目指す. 提案手法は新固有表現が最初に出現する時にその新規性を示唆するような文脈で出現することに着目し,そのような文脈を含むツイートをWikipediaを用いたDistant Supervisionで自動的かつ大量に獲得し,それらのツイートから新固有表現を発見する系列ラベリングモデルを学習する. 実験では実際の一週間分のツイートに対して,辞書に未登録のものを新固有表現と判定するベースラインと提案手法を適用し,後者がより精度良く新固有表現を発見できることを示す.

  • 津川 翔
    セッションID: 2C2-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    人と人との関係を表現したソーシャルネットワークの多くは、互いに密に接続されたノードのコミュニティと、それらのコミュニティ間を接続する少数のリンクで構成されるというコミュニティ構造を有している。このようなソーシャルネットワークのコミュニティ構造は、人と人との交流のパターンに影響を与えることが知られている。本稿では、ソーシャルメディアユーザ間の関係を表現したソーシャルネットワークのコミュニティ構造が、ソーシャルメディア上での投稿の拡散に与える影響を分析する。代表的なソーシャルメディアである Twitter のデータを用いる。分析の結果、コミュニティをまたがるツイートの拡散は、最終的なツイートの拡散規模を増加させる影響を与えること、その影響の強さは、ツイート本文の URL やハッシュタグの有無と比較可能であることを示す。さらに、ツイートの拡散規模を予測する実験により、コミュニティに関する特徴量が拡散規模の予測に有用であることを示す。

  • 加藤 尚輝, 山崎 俊彦, 相澤 清晴, 大浜 毅美
    セッションID: 2C3-OS-17-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年のE-commerce(電子商取引)の発展の中,日用品や本などの量産品のみでなく量産されていないような特殊なものに対する推薦も重要な課題となっている.本研究ではその一例として不動産物件を取り上げる.物件は基本的に世界に一つしか存在しないものであり,既に契約が済んだ物件を推薦することもできない.そのため,物件の自動推薦は難しい課題となっている.物件の自動推薦の第一歩として,コンテンツベースフィルタリングとMLPを組み合わせたシステムによる,ユーザの物件に対する嗜好予測を行った.MLPではユーザ・物件の属性データだけでなく物件の間取り画像データから抽出した深層特徴を用いた.その結果,予測精度60.7%で嗜好予測を行うことに成功した.

  • 池上 顕真, 伊藤 博典, 野村 眞平
    セッションID: 2C3-OS-17-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年,車の購入や,不動産契約などの耐久消費財の商取引において,ユーザがウェブ上の情報を元にして購買の意思決定を行う機会は増加している.一方で,不動産契約は頻繁に行う取引ではないため,消費者であるユーザが十分な知識を持っていないことも多い.その結果,知識が十分でないことにより適切な探し方できず,特に賃貸物件においては選定期間に制約があることが多いため、妥協した選定をせざるを得ない場合がある.この問題を解決するためには個人に応じた検索条件や、物件の推薦をより適切に行う必要がある。今回の分析では,これらを実施するためにユーザの潜在的嗜好の抽出を行ったのでこの結果について報告を行う.

  • アパートローンリスク計量モデル構築のための予備解析
    渡邊 隼史, 一藤 裕, 鈴木 雅人, 山下 智志
    セッションID: 2C3-OS-17-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    アパートローンは,賃貸物件に関するローンであり,銀行が貸し出す全与信額の10%を超える巨大な融資であるにもかかわらず,これまで空室データベース等の不足により国内では十分な精度のリスク計量化モデルが考案されてこなかった.そこで,本研究では,アパートローンリスク計量モデル構築の予備研究として,不動産鑑定士による現地調査データとWeb不動産情報サイトデータという2つのデータについて入退去の観点で解析を行った.結果,主に以下のことがわかった(1)Webデータは不動産鑑定士による現地調査データと統計的性質はほぼ対応している[Webデータのリスク計量への使用への妥当性確認](2)「3か月後の空→占状態を物件の特徴・条件から予測するモデル(今回構築したモデル,簡単なロジスティック回帰モデル)」はバックテストAR値で0.4程度の精度[Webデータによる埋まりやすさの評価モデル構築可能性の確認](3)モデルにおいて埋まりやすさに関して主要な説明力を持つ要因は築年数であった[モデルの妥当性の可否確認].

  • 豊原 優, 門 洋一, 山崎 俊彦, 藤森 進, 太原 育夫
    セッションID: 2C3-OS-17-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    現在、深層学習による技術革新が進み、データ分析の精度が飛躍的に高まっている中、一方で、不動産業界においても大量に蓄積されたデータの活用について、家賃推定や新たな推薦システムの導入など様々に議論が行われている状況である。本論文では、不動産画像データを畳み込みネットワーク(CNN)によるBottleneck特徴量を用いた分類手法を提案し、CNNを利用した際の精度について検証する。

  • 日和 航大, 荒木 健治, 長谷川 大, 芳尾 哲
    セッションID: 2C4-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    従来のヒューマノイドロボットを用いた講義代行システムにおいて用いられるジェスチャは,人手で作成されたジェスチャである.ジェスチャの自動生成を行うことにより,専門的知識や労力を必要とせずにジェスチャを生成することが可能になり,講義代行システムの研究の発展に役立つことが考えられる.本稿では発話内容の意味的考慮が見込まれるジェスチャ自動生成を提案する.提案手法はBi-Directional LSTM,フィルタ補正および座標変換を用いて実装される.

  • 川口 佑希子, 田中 文英
    セッションID: 2C4-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では、コミュニケーションロボットの文脈に依存した視線外しがロボットの印象に与える影響について議論する。特に文脈の中でも質問の難易度と視線外しの関係について注目する。まず人間-人間のデータ収集の予備実験を行い、そのデータに基づいて視線外しパターンをロボットに実装する。また、3つの異なるロボットを用いて人間-ロボットの評価実験を行う。(3条件:難しい質問の際に視線外しを行うRobot(A)、簡単な質問の際に視線外しを行うRobot(B)、対話相手の顔を追跡するRobot(C)) 結果から、Robot(A)がRobot(C)と比較してより良い印象を与えたことが分かった。また、参加者から得られたコメントから、視線外しが文脈に適しているかどうかがロボットの発話のニュアンスに影響を与える可能性が示唆された。

  • 笠井 翼, 田中 文英
    セッションID: 2C4-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    我々は、高齢者の孤立の解決を目的とした巡学ロボットを提案した。巡学ロボットとは、多地点の複数ユーザの下を巡りながら学習するロボットである。予備調査から、ユーザ間の教示量の均等化が重要であることが示唆された。加えて我々は、関係構築において共感が重要だと考えた。そこで、我々は巡学ロボットのためのユーザの感情表出量による対話選択のアルゴリズムを提案する。感情表現語と同文内の自立語数を感情表出量と定義した。提案手法では、まず感情表出量を用いてユーザをクラス分類する。次に、感情表現語と自立語との共起確率から話題を決定する。そして、共感と感想の促しをこれらを基に切り替える。本稿は、ユーザの感情表出量による対話選択のアルゴリズムを提案するものである。

  • 相川 裕哉, 加納 政芳, ジメネス フェリックス, 早瀬 光浩, 田中 貴紘, 金森 等
    セッションID: 2C4-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,在宅時に運転行動の改善を促すロボットシステムの開発を行っている.本システムでは,運転行動改善のための運転振り返り機能を実装するために複合現実技術を用いる.従来の複合現実の入力インタフェースには特殊な入力方法が採用されており,円滑な操作が困難であると予想される.そこで本稿では,スマートフォンのスワイプ動作と,レーザーポインタを参考にした二つのインタフェースを提案する.実験の結果,レーザーポインタを模した入力インタフェースが最も操作しやすいことが示された.

  • 西川 由理, 佐藤 仁, 小澤 順
    セッションID: 2D1-01
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    グリッドマップとグラフ最適化を用いる多人数追跡手法は,人物の顔や色といった画像特徴量や人数や移動方向に関する前提知識を用いず,オクルージョンにロバストな手法として知られる.一方,カメラ数やグリッド数が増えるほど追跡精度が向上する反面,グリッドマップ(POM)生成の処理時間が増加することが課題である.本稿では,POM生成の処理速度を高速化するため、2つの並列化技術を階層的に適用した効果について報告する.結果として,順次実行に比べて20倍以上のスループット向上,約66%のレイテンシ削減を確認した.

  • 佐藤 仁, 西川 由理, 小澤 順
    セッションID: 2D1-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    近年,ImageNetのデータセットに対する一般画像認識を対象に,大規模並列分散環境下での分散深層学習による高速化の取り組みが進んでいる.一般に,分散深層学習を実問題に適用するためには,ドメインに特化した学習モデルを生成する必要がある.しかし,ImageNet以外のデータセットを対象とし分散深層学習を用いた場合,学習率やバッチサイズなどのハイパーパラメタや汎化性能,最適化アルゴリズム,並列化性能などを評価した事例は多くはない.我々は,ドメインに特化したデータセットに対して,YOLOの学習モデルを分散深層学習で行い,高精度な物体検出や物体追跡を目指している.本稿では,この取り組みの概要と多人数追跡動画を対象とした初期の評価について報告する.

  • 秦 希望, 西川 由理, 中山 俊, 小澤 順, 藤澤 克樹
    セッションID: 2D1-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    動体の追跡は困難かつ近年飛躍的に精度が向上してきている問題の1つである. 本論文では並列化された多人数追跡システムを提案する. 追跡においては, 動体検知及びIDの整合性の2つの問題が考えられる. Jeromeらはこれらの問題をK-Shortest Paths(KSP)を用いて解決し, 高精度な多人数追跡を実現した. しかしこの方法では追跡にあたって枝長を変化させながら最短路を繰り返し求めており, 並列化が困難である. そこで私たちは, KSPに用いられるProbability Occupancy Map(POM)というデータを用いてKSPの適用範囲を分割した. 結果として, 従来のKSPと比較して87%の精度を保ちつつ5.4倍の高速化を実験的に示すことに成功した.

  • 村上 奨悟, 矢入 郁子
    セッションID: 2D1-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    現在,日本は超高齢化社会に突入し,高齢者の行動の見守りへのニーズが高まっている.見守りシステムの代表例として,カメラ画像による行動認識が挙げられるが,私的空間でのカメラを利用は,対象のプライバシー保護の点でリスクが高い.筆者らはカメラの代わりに低画素の赤外線センサを用いることで,プライバシーの問題を乗り越えながらも対象の行動を機械学習により認識できるシステムの作成を目指してきた.本稿ではシステムの改良,データ処理の工夫による行動認識精度の向上,センサの取り付け位置の違いによる認識精度への影響の調査について報告する.

  • 加藤 拓也, 稲本 万里子, 小長谷 明彦
    セッションID: 2D1-05
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    源氏絵とは,『源氏物語』を題材とした絵画の総称である.源氏絵の絵師には土佐派をはじめ狩野派,岩佐派,など多数の流派があり,各流派独自の個性がある.これまでに見つかった作品にはどの流派の絵師が描いたかわからないものがあり,美術史の専門家たち中でも意見が分かれている.そのため新たな知見から流派を判断する手法が望まれる.近年,深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークの画像分類能力の向上は著しく,一部の分野では人間よりも高いという報告もある.深層学習では特徴量がデータから学習されるため,これまで人間が発見していない特徴量に基づく分類をすることが期待できる.本稿では,深層学習による物体検出手法を用いて顔を自動認識し,畳み込みニューラルネットワークにより流派を推定する.5分割交叉検証を行った結果,96.5%の精度で分類することに成功した.

  • 橋本 康弘, 岡 瑞起, 池上 高志
    セッションID: 2D2-OS-21a-02
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    ソーシャルタギングシステムではタグの語彙と個々のタグの出現回数が並行して増加していく。新規なタグの生成や生み出されたタグの選択は、サービスを利用するユーザの文化的選好や認知的特性を反映した選択圧の下で進行していく。このようなタグ間の競争的状況は、変異と淘汰が支配する生物システムの生態系になぞらえて考えることができる。実際、語彙とタグの成長過程は、生物種の競争的な増加過程をモデル化した極めて単純な確率過程---Yule--Simon過程---を用いて粗く近似することができる。しかし、実際のウェブサービスから得られたデータを詳細に分析すると、個々のタグの成長がモデルの期待値からは大きく外れるケースが存在することが分かっている。このずれの大きさを定量化するとともに、またこのずれを生み出す社会的、あるいは認知的なメカニズムについて議論したい。

  • 野口 渉, 飯塚 博幸, 山本 雅人
    セッションID: 2D2-OS-21a-03
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    生物は高次元で複雑な生のデータを認識する.近年発展した深層学習はそのような複雑なデータの認識を可能とする.本論文では,深層学習を用いて,従来のミニマルモデルでは扱われ難かった高次元のデータの認識が生み出す生命性を考える.我々は視覚と運動の統合学習を通して空間認識能力を発達する階層型リカレントニューラルネットワーク(階層型RNN)モデルについて研究を行ってきた.階層型RNNはシミュレーション実験において,視覚と運動の主観的な経験のみから空間の客観的な地図である認知地図とみなせる内部モデルを獲得した.さらに,現実のヒトによって取得する視覚と運動の系列を用いた場合にも空間認識能力を獲得することが示された.これらの結果は,深層学習モデルを用いて現実の生命における認識を理解できる可能性を示唆している.

  • チェン ドミニク, 小島 大樹, 岡 瑞起, 池上 高志
    セッションID: 2D2-OS-21a-04
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/30
    会議録・要旨集 フリー

    オンライン空間での静的なテキストによるコミュニケーションには実世界の対面型コミュニケーションにおける身体化された情報に欠けている.本研究では,タイプトレースという執筆プロセスの記録と再生を可能し,そのプロセスの中の時間的なゆらぎを可視化するウェブソフトウェアを用いることで,デジタルな文章のコミュニケーションに生命性を実装しようとするものである.本稿では予備実験の設計と結果について説明し,今後の展望について議論する.

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