人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第35回 (2021)
選択された号の論文の514件中1~50を表示しています
  • 高野 雅典, 小川 祐樹, 高 史明, 森下 壮一郎
    セッションID: 1D2-OS-3a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    動画配信技術の向上によりニュースの映像は従来のテレビ放送だけでなく、メディアのWebサイトなどからオンデマンドで視聴するスタイルも一般的になってきた。前者はメディアに編成された番組を受動的にニュースを視聴するスタイルであり、後者は視聴者が自分で視聴する番組を選択し視聴するスタイルである。本研究では従来のテレビ放送のように編成された番組をリアルタイムに配信する「リニア配信」とユーザが自分で視聴する番組を選択する「オンデマンド配信」の2つの配信形式に関するニュース動画利用スタイルとニュースのタイプの関係について分析する。

  • 神藤 翼, 小川 祐樹, 服部 宏充, 高 史明, 鳥海 不二夫, 吉田 光男
    セッションID: 1D2-OS-3a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年,インターネットの普及によりメディアは一層多様化し,個人が選ぶことのできる情報源も爆発的に増加した.そのなかで,自分の好みの情報だけを選ぶ選択的接触が問題として取り扱われている.もし多くの人が選択的接触を行うと,正しい情報共有がなされなくなり,コミュニティや政治思想の分断が一層進む危険性もある.本研究では,その選択的接触について,2019年の参議院選挙当時の質問紙調査と被験者のTwitter利用データに着目して分析を行った.具体的には、Twitterのフォロー相手やリツイート情報から情報接触の傾向やコミュニティを見出し,質問紙調査での政治態度・意識についての回答をもとに分析を行った.結果,情報接触の偏りから特徴のあるコミュニティを抽出することができた.また、そのコミュニティごとで政治的態度に違いがあることが分かった.また、選択的接触の傾向と政治的無関心との共通性、それらに当てはまるコミュニティについても抽出することが出来た。

  • 石原 祥太郎, 澤 紀彦
    セッションID: 1D2-OS-3a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,ニュース記事を文章選択・圧縮で要約する手法を提案する.具体的には,記事を代表するN個の文章を抽出し,構文解析で各文章を圧縮する.指標としてMMR(Maximal Marginal Relevance)とTF-IDF(Term Frequency - Inverse Document Frequency)を用いた.実験の結果,提案手法は人間の編集者の作業と約26.7%の割合で同一の話題に言及していた.必ずしも高い一致率とは言えないが,それ以外の生成物も日本語として誤りが少なく,候補として採用できるものが多かった.提案手法には特定の語句の重み付けなどで編集者の意図を組み込みやすく,編集者の負担軽減に繋がる利点がある.

  • 久田 祥平, 村山 太一, 矢田 竣太郎, 若宮 翔子, 荒牧 英治
    セッションID: 1D2-OS-3a-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    ソーシャルメディアの時代、私たちはフィルターバブルによって意図せずとも偏った情報にさらされることが多い。 このような偏った情報は、意見の細分化や政治的な二極化を増幅させる。 この問題に対処するために、ニュースメディアのバイアスを分析し、人々がニュースを正しく理解できるようにする。 既存のバイアスに関する調査は、専門家による分析やクラウドソーシングによるメディアへの評価が行われている。 本研究では、ニュースに対するTwitterのコメントに対してトピックモデルを用いることで、階層的クラスタリングによるトピックの推定確率からニュースメディア間の距離を算出している。 基本的な考え方は、トピックの内容とニュースメディアの類似性を分析することでバイアスを測定することである。 この方法を「日本学術会議」問題に関するツイートに適用したところ、朝日新聞などの主流メディアの結果は、政治的バイアスに関する他の研究とほぼ一致していることがわかりました。これまで調査されていなかったメディアのバイアスを捉えることが可能であることがわかりました。

  • 澤 稜介, 木林 威夫
    セッションID: 1D2-OS-3a-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    2020年日本では自動車業界を賑わせるニュースが多数報道された。2050年のカーボンニュートラルに向けた電動化政策など自動車業界に変革を迫る内容が多数を占める。ただし、自動車産業で働いていた当事者として見た自動車産業の従事者は、変革が必要だという自覚がない人で溢れているのが現実である。自覚できない原因は、ニュースで起こる事実を正しく理解できなくなる大衆のリテラシー低下やAIによってユーザーの嗜好に沿った情報、広告を表示するソーシャルメディアによるものであると推測する。自動車産業の従事者が事業変革の必要性を自覚することを目的に、昨今の自動車産業を取り囲む世界情勢を新聞記事から調査した結果、自動車産業が崩壊することは容易に推測することができ、崩壊の事実をソーシャルメディアを通じて伝える必要がある。

  • 藤兼 由生, 風間 一洋, 吉田 光男, 土方 嘉徳
    セッションID: 1D3-OS-3b-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本稿では,マスメディアの報道とソーシャルメディアの意見の偏りを分析するために,任意のトピックに対して,論争や議論を招いているニュース記事を自動的に発見する手法を提案する. まず,ソーシャルメディア上で論争や議論を招くようなニュースは,限られてはいるが,ある程度多いユーザによって長期間言及されると仮定して,ニュースを言及したユーザ数と,ユーザがニュースに言及した日数から論争度を定義する. さらに,そのニュースの内容と,それと同一トピックのメディアグラフとユーザグラフの分極度とクラスタ構成を分析して,論争や議論が起きるニュースやトピックを求められるかを検証する.

  • 園田 亜斗夢, 中島 寛人, 鳥海 不二夫
    セッションID: 1D3-OS-3b-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    フィルターバブルやエコーチェンバーといった現象が社会課題となっている.我々はこれらのユーザ行動をログデータから定量的に評価することを目指している.これまでに,記事のカテゴリ等から得られる情報の多様性に基づき統計的にユーザの行動変容を議論してきたが,フィルターバブル等の課題の本質的な理解のためには,特定の興味を持ったユーザの行動の特徴について解明することが重要であると考えている.本稿では,長期的なデータに対し,新型コロナに関するユーザの興味の大きさと変化を評価し,エンゲージメントに与える影響を分析した.また,単純なクリックログだけでなく時間ごとに変化するタイトル情報を利用することで,ユーザ行動の差異をより詳細に捉えられることを明らかにした.

  • 笹原 和俊, 奥田 慎平, 五十嵐 祐
    セッションID: 1D3-OS-3b-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    ソーシャルメディアでは日々、リアルタイムで様々な情報が投稿・共有され、中には新型コロナウイルス感染症拡大の影響と消費者生活に関する投稿も少なくない。そのような消費者の自発的な「生の声」(テキスト)には、コロナ禍における消費者心理・行動を定量的に理解するためのシグナルが潜在している。本研究では、コロナ禍における転売現象を対象として、Twitterの大規模ソーシャルデータから消費者心理・行動を定量化し、そこから洞察を得るための分析手法と分析事例について議論する。具体的には、われわれが開発した心理学的カテゴリ辞書「J-LIWC」や道徳辞書「J-MFD」を上記データに適用することで、トイレットペーパーやマスクなど転売された商品の種類によって、異なる消費者感情が喚起されたことや、その転売をどのようなモラル違反だと消費者が感じていたのかが可視化された。さらに、単語共起ネットワークを用いた上記データの分析によって、コロナ禍の動向とリンクした転売商品のトレンドや購買行動の変遷が観察された。これらの知見は、ポスト・コロナに向けて社会・経済を再構築していく際のヒントとなる。

  • 松野 省吾, セーヨー サンティ, 榊 剛史, 檜野 安弘
    セッションID: 1D4-OS-3c-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    企業におけるマーケティングコミュニケーションやニュースの発信など,様々な情報を幅広く伝達する上で,ソーシャルメディアによる情報拡散の影響は無視できなくなっている.特にエコーチャンバーやフェイクニュースの拡散などでは,ソーシャルメディアによる情報拡散が主要な役割を果たしていると言われている.本研究では,企業のPRやニュースの発信において,ソーシャルメディア上の情報拡散の規模がどのような要素が影響しているかを明らかにしていきたい.SNSにおいて社会に対して大きな影響力を持つ人物はインフルエンサーと呼ばれる.そこで,筆者らはインフルエンサーの性質を,1)投稿を拡散するユーザを多くもつユーザ.かつ,2)投稿数の多いユーザ(≅拡散を躊躇なくするユーザ)であると定義し,Twitterの記録から構築したソーシャルグラフを用いて投稿拡散への影響を検証した.その結果,いずれかの性質を持つユーザはランダムに選択したユーザよりも投稿の拡散される確率が高く,特に,プライベートグラフの中でフォロー/フォロワー数が少ないフォロワーを多く抱えるユーザの投稿は最も拡散される確率が高くなることが判った.

  • 石原 慧人, 石原 祥太郎, 白井 穂乃
    セッションID: 1D4-OS-3c-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,近年の自然言語処理領域で一般的になっている汎用的な事前学習モデル「BERT」を用いて,日本語ニュース記事の抽象型要約に取り組む.具体的には,3種類のBERTを用いて、BERTを拡張した要約手法「BertSum」のモデルを構築した。実験を通じて、多言語モデルよりも日本語モデルの方が優れた性能を発揮すると分かった。事前学習のコーパスとして日本語のニュース記事を用いたモデルと日本語のWikipediaを用いたモデルでは、性能に有意な差は確認できなかった。日本語のニュース記事を扱う上で重要なトークナイザーや未知語についても議論した。

  • 小川 祐樹, 高野 雅典, 森下 壮一郎, 高 史明
    セッションID: 1D4-OS-3c-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    様々なニュースメディアが存在するなか、人々のニュースに対する意識や行動も多様化してきている。ネット上におけるニュース接触に関しても、新聞社・通信社が運営するニュースサイトや、ポータルサイトからニュースを知るといった場面だけでなく、SNS上でニュースを知るといった場面も一般的になりつつある。一方で、TwitterなどのSNSは同質な情報環境になりやすいことから、利用者が接触できるニュースの範囲や内容が限定的になってしまうことで、多様な情報に接触する機会が低下してしまうことが懸念される。本研究では、Twitter上でのニュースツイートに着目し、このツイートの閲覧者がその後どのようなニュース動画の視聴行動を行ったかを分析することで、Twitter上でのニュース閲覧の効果を考察する。具体的には、ニュースのツイートとそこからリンクされるニュース動画の視聴ログを用いて、ニュースの継続視聴や視聴ジャンルの変化などの行動を分析する。

  • 佐藤 優太郎, 齋藤 五大, 小鷹 研理
    セッションID: 1E2-OS-2-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    自他の指の腹同士が隣接する状態で, 両者の指の背面を自ら同時にストロークすると麻痺感覚(numbness)が生じることが知られている. また, 本研究室は昨年, 自分の指の延長線上に他人の指を配置し, 自他の指の近傍二点を同期的にタップすることで, 他人の指への接触をもセルフタッチに感じられる自己誘導型の錯覚を考案し, その一般性を確認している. 以上の二つの錯覚を統一的な視点で捉えるとき, ダブルタッチの状況で, 自他の指を張り合わせている状態から180度開くことで, numbnessからセルフタッチ錯覚に転じている. すなわち, numbnessとセルフタッチ錯覚の間にトレードオフ性が存在すると推察される. 本研究は, 上記の仮説を検証するべく, 自他の指のなす角度を要因として, numbnessとセルフタッチ錯覚への影響を調べる被験者実験を実施した. 結果は予想に反し, トレードオフ性は確認されなかった. 一方で, 双方の感覚は, 自他の指の角度が90度の際に極小化し, 0度および180度のときに極大化するU字型の特性を持つこと, さらに相互に強力な正の相関がみられることがわかった.

  • 金泉 則天, 伊藤 毅志
    セッションID: 1E2-OS-2-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    Alpha Zeroによって、将棋や囲碁などの二人完全確定情報ゲームは人間より強いプログラムが作られた。ゲームAIの研究は1つの区切りを迎えている。新たな次の課題として不完全情報ゲームである人狼が研究題材として扱われている。人狼知能プロジェクトという人狼に関する人工知能を作成するプロジェクトでは「人間と自然なコミュニケーションを取りながら人狼をプレイできるエージェントの構築」を究極の目標としている。人狼AIの研究は進められているが、人狼において人間がどのようにプレイしているのかに関する認知科学的研究はまだ少ない。本研究では、人間の意思決定過程において「人間はなぜ騙されるのか」に着目する。具体的には、似たようなストーリーでプレイヤの発言を少し変えたゲームを提示して、人間がどのように意思決定を行うのかを調べる実験を行った。その結果、騙されてしまう例と騙されない例を比較して、人間のバイアスが与える影響が示唆された。このことから、人狼ゲームにおいて人間は必ずしも合理的な判断をしないことが確認され、注目する発話内容によって様々な形のバイアスの影響を受けて意思決定を行っていることが明らかとなった。

  • 近藤 大貴
    セッションID: 1E2-OS-2-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    新型コロナウィルスが流行して以降、国家から個人のレベルまで情報の妥当性評価は重要になっている。信念バイアスはそれらを合理的なものから逸脱させる認知バイアスの一つである。先行研究では主に三段論法で確認されているが、実際に人々が評価を行う情報と三段論法には大きな違いがあり、その違いが信念バイアスの個人傾向に違いを生む可能性がある。そこで今回は実際の生活で人々が評価する形式に近い文章課題を作成し、三段論法と合わせて評価をさせることで、信念バイアス傾向に違いが生まれるのかを検証した。結果、三段論法課題と文章課題での信念バイアス傾向の間に関連は見られず、それぞれで信念バイアスが発生するメカニズムが異なることが示唆された。次に文章課題で信念バイアスが生まれるメカニズムを探索するために、人は文章の情報が正しい確率を評価し、その確率を用いてベイズ的に自分の信念の更新を行い、更新後の信念を妥当性評価として回答していると仮定したモデルを立て、実際の妥当性評価や信念バイアスを予測するか検証を行った。モデルは一部必要な情報を暫定的な数値に置き換えているにも関わらず、信念バイアスの50%近くを予測した。

  • 早矢仕 晃章, 永合 由美子, 石川 開, 伊藤 宏比古, 津田 健一郎, 大澤 幸生
    セッションID: 1E3-OS-8a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    AI技術が実社会に浸透しつつあるが、人々のメンタルのケアやこれに踏み込むようなデータ化されていない事象に対して、AIがいかなる寄与が可能であるかについての検討は十分とは言い難い。本研究では、コロナ禍における実社会の動向と生活者のメンタルの変化に着目し、Marketing Research Online Community(MROC)と変数クエストを適用した未踏データ表出化の試みについて議論する。

  • 石川 開, 水上 拓哉, 戸田 聡一郎, 猪口 智広, 前田 春香, 福住 伸一, 佐倉 統, 伊藤 宏比古, 津田 健一郎, 早矢仕 晃章 ...
    セッションID: 1E3-OS-8a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    人の心とAIの相互作用は、社会受容性の理解の足掛かりとなる。人のAIへの期待はその認知のされ方に影響され、AIがデータのある属性に配慮すべきかどうかもその社会での意味に依拠する。また、心を変容する技術の登場は、「迅速更生」という手段を可能にし、更生と社会応報とを根拠とする刑罰の執行との間で新たなジレンマを生じつつある。本発表ではこうした事例分析を通じ、AIの社会実装デザインへの応用可能性を検討する。

  • 関口 海良, 堀 浩一
    セッションID: 1E3-OS-8a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    近年の人工知能(AI)技術の急速な発展を受けて,AI技術も倫理を考慮することが益々求められている.実際すでに多くの倫理原則や,ガイドライン,ケーススタディの結果などが学会,政府,国際機関などから既に提供されている.しかし,AI技術の研究開発の現場においてこれら成果が積極的に活用されているとは言い難く,両者の間にはギャップが存在している.先行研究により,AI技術を用いた設計支援ツールはこのギャップの解消に寄与することが分かってきているが,ひとつの設計支援ツールで十分な支援を行うことは困難であることも明確になってきている.主な理由として,倫理としては社会的なものも含めた価値を扱うことになり,中立なシステムを実現することが望めないからである.そこで本研究では,倫理的AIを含む倫理的な人工物の設計を支援する設計支援ツールを草の根的に作り,ネットワーク化させることで相補的な関係を実現し,この問題の解決を目指す.またフィージビリティスタディとして既存の設計支援ツールを繋ぐ状況を模擬した実験を行い,相補的な関係が築けることを確認する.

  • 松本 敬史, 江間 有沙
    セッションID: 1E3-OS-8a-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    人工知能(AI)サービスの社会実装が進むにつれて信頼性に係る様々な問題が指摘されており、第三者による監査・保証等の必要性が国内外で提起されている。 しかし、AIの判断には不確実性が含まれており、またAIサービスの利活用目的・学習データ・アルゴリズム・人間の介在度合・ユーザーの特徴等によって重要なリスクが異なる。加えて、AIシステム(データ、モデル等)だけではリスクを十分に低減し続けることは難しく、時にユーザーがリスクの要因になり得る。 本研究では、AIサービスに係るリスクコントロールを検討するモデル(リスクチェーンモデル)を用いて、30のユースケースに対してAIサービスに係る「実現すべき価値・目的」と「リスクシナリオ」の識別を行い、有識者とのディスカッションを経て類型化を行った。

  • 石村 源生
    セッションID: 1E3-OS-8a-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    トランスサイエンス問題を市民参加によって取り扱うために、いくつかの手法が試みられてきた。 しかし、これらの手法は多くのリソースを必要とし、また、そこでの議論には多様な選択肢や評価基準が含まれており、議論の参加者が重要な論点を可視化して共有することは困難であった。そこで本研究では、AHP(Analytic Hierarchy Process)に基づいたワークショップ手法を開発し、集団的意思決定、合意形成、コミュニティ形成、市民学習のための新しい方法を提案することを目的とする。本研究により、今回開発した手法により、ワークショップ参加者の価値体系とその多様性が構造的に可視化、共有され、そのことが各参加者の意思決定の確信度に影響を与えることが示唆された。

  • 西村 拓一, 吉田 康行, 押山 千秋, 伊集院 幸輝, 飯野 なみ, 田脇 裕太, 林 侑輝, 小早川 真衣子
    セッションID: 1E4-OS-8b-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    社交ダンスやヒップホップなどの身体の動きによる表現は、学校教育でも取り入れられ認知症予防の効果も高く評価されている。これは、音楽に合わせて心地よく身体を動かすことを、他者とコミュニケーションし一体として行う高次な脳活動も含むためと考えられる。このような身体表現では、運動学習過程は個体差が多く未知であるだけでなく、すでに獲得した運動パターンによる表現力や伝わる内容もその時点のメンタルの状況によって大きく異なることも知られている。本稿では、言語的な知識構造化と非言語的な各種データをグラウンディングし、インタラクティブに協創的に知識を構造化することで、これらの暗黙的、未踏データの収集と分析にチャレンジする。

  • 押山 千秋, 西村 拓一
    セッションID: 1E4-OS-8b-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    臨床とは、医療分野および学問領域において、医療・教育・カウンセリングその他の介入を行う「現場」あるいは「現場を重視する立場」を指す。臨床場面においては発生している問題を解決するために介入が行われる。臨床の専門家は介入を効果的に行うために、目的をもって専門知識を形式的もしくは暗黙的に駆使している。専門家の介入技術は、形式化されていない暗黙知を多く含んでいる。しかしながら、その内容は詳細に可視化されていないため、熟達の度合いが違う専門家の間で、また、分野が違う専門家の間での共有は困難であった。我々はこれまで心理臨床の一つの手法である音楽療法における事例を構造化してきた。最近は、認知症の周辺症状に対する対処法の知識を構造化する作業を行っている。問題解決のための知識を構造化し可視化することで、様々な専門家や支援者の間での情報共有が可能となる。いままで取り出せてもいない様々な方々の様々な状況における知識や実施内容を未踏データとして解決方法を収集し、可視化する。サービス提供者が莫大な問題解決知識にアクセス出来、自分も発信出来、サービス受給者が高度なサービスを気軽に得られる世界を作る提案を行いたい。

  • 三浦 寛也, 飯野 なみ, 浜中 雅俊, 武田 英明, 西村 拓一
    セッションID: 1E4-OS-8b-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    我々は,熟練者観点に基づき,技能の実践現場における判断支援を行う人工知能適用技術の開発に関する研究を行なっている.具体的には,過去知見を有効活用して現場での事象や実際の発話について知識の構造化や要点の集約を行う.特に“指導者観点“に着目し,過去の知見を動的に活用するための知識処理システムの構築を目指している.本稿では,技能のひとつであるクラシックギターを対象として,言語情報と非言語情報を組み合わせた分析から,知識を構造化することで,指導者の指導過程がどのように変化するのかを明らかにする.

  • 渡邊 広基, 大沢 英一
    セッションID: 1F2-GS-10a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    現代社会に存在するインフラストラクチャシステムは相互に依存して機能している.このようなシステムでは,その相互依存性によりあるシステムで発生した障害の影響が複数のシステムに拡散し,連鎖的に障害が起きていく現象であるカスケード故障が発生する可能性がある.そのため,ネットワークの頑健性を向上させることは重要な課題であるが,ネットワークへの障害を完全に防止することは困難である.そのため,ネットワークのレジリエンス性を向上させることが重要である.レジリエンスとは Recovery と Resistance の 2つの意味を併せ持つ単語であり,レジリエンス性を向上させるということは障害への対応力が高まるということである.本研究ではネットワークのレジリエンス性向上を目的としてネットワークの相互依存性を考慮した復旧順序決定手法を提案・検証した.実験の結果,本提案手法は破損したネットワークの復旧順序決定に対して有効であることが示された.

  • 川名 のん, 長沼 健, 吉野 雅之, 太田原 千秋, 冨樫 由美子, 笹 晋也, 山本 恭平
    セッションID: 1F2-GS-10a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    e-KYCとは、インターネット越しの画像/映像で本人確認を行い、金融機関の口座開設の手続きを非対面で行なう仕組みのことである。本稿では、Deepfakeを用いて他人の顔になりすますことで、e-KYCなどの顔画像/映像を用いた本人確認に対してなりすまし攻撃ができるかの実験を行った。本稿の実験では、実システムに対してではなく、OSSをベースに独自に作成したe-KYCシステムに対して、運転免許証の写真とDeepfakeでなりすました人物の顔画像/映像が同一人物かの判定を行うものとした。より具体的には、システム側からe-KYC対象者に対して、顔を傾けるなどのランダムな動作を指示し、顔画像とこれら動作の認証を行い、本人性を確認する。実験の結果、なりすまし攻撃が成功し、これによりDeepfakeによるe-KYCへの攻撃が現実的な脅威であることが判明した。また本稿では、この攻撃に対していくつかの対策技術を検討した結果をまとめる。

  • 小野塚 荘一, 樋口 裕太
    セッションID: 1F2-GS-10a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    先行研究の畳み込みニューラルネットワークによるWeb画面のエラー検出の場合、正常とエラーの教師データへのラベル付が必要となる。Web画面のエラー検出においては、どのようなエラーが発生するが不定となるため、あらかじめエラー画面を想定して教師データを収集することが困難であった。本研究では過去に取得した画像と比較し、類似度を計算することで教師データにラベルを付けることなく、確率的にエラーの検出を行った。 この結果、Few-shot learningとして、より少ないデータで、過去のデータから教師データの特徴を強調し、またグラフ・ニューラル・ネットワーク(GNN)のリンク予測によりWeb画面のエラー候補を検出することができた。

  • 山中 友貴, 山田 真徳, 高橋 知克, 永井 智大
    セッションID: 1F2-GS-10a-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    産業用制御システム(ICS)で用いられる制御命令通信は、ペイロードの内容が1バイト改変されるだけで重大な物理的事故につながる恐れがある。したがって、ICSを対象としたサイバー攻撃検知システムでは、ペイロードの分析が不可欠である。しかし、ICSでは様々なプロトコルが用いられており、ペイロードから監視すべき特徴量を人手で抽出するためには高度な専門知識が必要となってしまう。そこで本論文では、自然言語処理の分野で成功を収めているBidirectional Encoder Representations for Transformers (BERT)をペイロード分析に拡張することで、ペイロード内のバイトの出現位置や前後関係を考慮した高品質な特徴ベクトルを事前知識なしに生成する手法を提案する。具体的には、各バイトを1つの単語とみなしBERTを事前学習に用いることで、ペイロードから1つの固定長の特徴ベクトルの生成を行う。いくつかのトラフィックデータセットに対して、本手法により生成した特徴ベクトルを用い、異常パケット検知実験を行うことで有効性を検証した。

  • 永井 智大, 寺本 泰大, 山田 真徳, 山中 友貴, 高橋 知克
    セッションID: 1F2-GS-10a-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    スマートファクトリーなどの登場により,閉鎖的なネットワークではなくなった産業用制御システムは,サイバー攻撃の脅威から守る必要がある.近年は,通常のトラフィックを模してペイロードの一部の情報のみ書き換えた悪性攻撃が登場している.このような高度なサイバー攻撃を検知するために,ペイロードを対象としたDNNを用いた異常検知が注目されている.これまでの異常検知に関する研究の多くは、異常を検知した根拠情報の提示までは着目していない.DNNの判断根拠を提示する技術にExplainable-AIがあるが,多くは画像データを対象としており,ペイロードを対象とした説明に関する手法は少ない.本研究では,ペイロードを対象とした異常判定の根拠となる情報を示す手法を提案する.具体的には,教師なしDNNを用いた異常検知判定結果を決定木の正解ラベルとして使用し訓練する.そして,決定木で正常と異常を分類するのに重要なペイロード中のバイト箇所を根拠情報として抽出する.本手法は,化学工場シミュレーター上で得られたデータセットを用いて評価し,サイバー攻撃の異常バイト箇所を提示する能力を実証する.

  • 下川 詩乃, 藤岡 実紀, 一山 了, 高屋 葵, 成清 奈々子
    セッションID: 1F3-GS-10b-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本稿の目的は、AIを用いた健康経営の促進について、従業員のワーク・エンゲイジメントを向上させるための要因や施策を明らかにすることである。その健康経営の一つとしてメンタルヘルスケアが挙げられ、従業員のみならず企業にも多大なメリットをもたらすが、実際にはストレスを抱えた従業員が依然として存在しており、我が国はストレス社会の極地に達していると言える。また、コロナウイルス感染拡大に伴い、その問題は更に深刻化してきている。昨今、メンタルヘルス改善の研究は数多くなされており、その中で、ワーク・エンゲイジメントの向上が従業員のストレスを軽減させると報告されている。しかし、労働人口の減少による人手不足のため人員を割くことができず健康経営を取り入れることが難しいというのが大きな課題の1つとされる。そこで我々は、メンタルヘルスケアの一次予防に目を向け、従業員のワーク・エンゲイジメントの向上にAIを用いても人間と同様の効果をもたらすかについて、サーベイ実験を行ったが、有意性は見られなかった。また、補助分析として行った個人特性や仕事内容と自己成長の影響も踏まえて、健康経営の促進について検討している。

  • 佐藤 慧, 酒井 浩之, 高野 海斗, 井上 大輔, 藤野 加奈
    セッションID: 1F3-GS-10b-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    本研究では,その企業の思想や使命、志といった根本の考え方・あり方の特徴を言語化したものである企業理念を含む文である企業理念文と,「〇〇が好調だった」や「低調だった」などの業績につながった要因が書かれた文である業績要因文を自動抽出し,その関連性を推定する.推定した結果を用いることで,企業理念に沿っている業績要因ほど良い業績となっているという相関を得ることができれば,似たような理念を持ちながらも業績の悪い企業が,業績の良い企業からどのようなことをすれば業績が上がるかを参考にすることができる. 本手法ではまず,企業理念文,並びに,業績要因文を深層学習を用いて有価証券報告書から自動抽出する.そして,自動抽出した企業理念文と業績要因文をWord2Vecを用いて文ごとに分散表現で表し,類似度を計測し,それを関連性とする. 評価の結果,企業理念文は約77%の精度で抽出でき,また企業理念と業績要因の関連性を比較的良好な精度で推定することができた.

  • 樋口 旺秀, 大知 正直, 森 純一郎, 坂田 一郎
    セッションID: 1F3-GS-10b-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
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    合併・買収(M&A)は企業が持つ経営戦略のうち重要な一つである。しかし、M&Aの実行は必ずしも買収後の成功には繋がらず、成功させるためにはM&Aについての専門家による分析が必要となるが、網羅的分析は人手では不可能である。そこでM&Aの成功と推薦に関する研究が必要とされる。M&Aの成功に関する先行研究において様々な指標が用いられたが、その目的の複雑さに対して各々を定量的に評価する指標は十分に存在していない。また、ペア予測ではない買収後の成功を予測するようなM&Aの推薦に関する研究は僅少である。本研究では、予期されたシナジーの実現と社会的知名度のシナジーという観点においてM&Aを定量的に評価する指標を提案し、その傾向を分析することでM&Aの推薦への可能性を示した。まず、予期されたシナジーの実現としてはのれんの減損の有無を用いて評価し、自己資本比率についての有意差があるということを示した。また、社会的知名度のシナジーとしては買収前後での買収元と買収先のGoogle Trendsの和の変化を捉えることで指標を算出し、買収前の買収先と買収先の知名度の違いが説明変数となりうることを示した。

  • 伊藤 彰朗, 中川 慧
    セッションID: 1F3-GS-10b-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    世界的な低金利を背景にキャリートレード戦略が注目を集めている。キャリートレード戦略は、配当や利子などのインカムゲインを最大化し、投資対象の価格変動がインカムゲインよりも小さければ収益を上げることができる戦略を指す。実証分析により、キャリートレード戦略は事後的な収益が平均的にみてプラスになっているものの、小さい確率ではあるが、非常に大きな損失を出す(テールリスクが存在する)ことが知られている。 そこで本研究では、このようなテールリスクを抑制するためのリスク指標であるConditional Value at Risk(CVaR)を用いたキャリートレード戦略を構築し、テールリスクを抑制しながら安定な収益を上げることを目標とする。そのために、CVaRの不安定性を解決したRegularized Multiple CVaRポートフォリオに着目し、これに期待リターンとしてのキャリー水準を導入することを提案する。実証分析の結果、ベースライン手法と比較して良好なリスク/リターンかつテールリスクが抑制できることが確認できた。

  • 河村 康平, 高野 海斗, 酒井 浩之
    セッションID: 1F3-GS-10b-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    株価は過去の業績よりも今後の業績予測で動くことが多く,たとえ現在の業績が赤字であったとしても,企業の業績が回復することが企業側から示されれば株価は上昇する可能性が高い.そのため,業績予測の情報は投資判断において重要である.そこで本研究では,個人投資家の投資判断の支援として,上場企業の決算短信から業績予測文(企業の今後の業績予測について述べている文)を抽出する手法を提案する.特に,予想の根拠となる業績要因(例えば「が好調なことから」)を含む業績予測文の抽出を目指した. 本手法では,上場企業の決算短信のテキストデータを入力とし,深層学習により業績要因を含む業績予測文を抽出する.ここで,業績要因を含む業績予測文の抽出を深層学習で行うために必要なデータを手がかり表現等を用いることで自動生成することにより,多くの学習データを作成することが可能になり,これにより高い精度を達成した.

  • 蟹江 巧樹, 小野田 崇, 西垣 貴央, 篠田 幸裕, 宮崎 誠, 中原 健志
    セッションID: 1F4-GS-10c-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    現在、配電線故障時における地絡様相の判別を人が行っており、時間コストや人的コストがかかっている。また、電力システム改革による再生可能エネルギー導入など、送配電関連費用を押し上げる変化が生じており、送配電部門では効率化等によるコスト削減をしなくてはならない。そのため、配電線故障時における地絡様相判別の機械による自動化が求められている。既存の研究では、地絡様相ケーブル劣化とその他の地絡様相との診断の可能性について報告されている。そこで、本研究では既存研究ではその他に分類された5種類の地絡様相の診断を検討する。5種類の地絡様相の電流波形をサポートベクターマシンによって学習し、Leave-one-out交差検証によってその潜在的な診断性能の評価を行った。その結果、すべての地絡様相の診断において、高い正解率を得ることができた。

  • 高橋 悠太, 藤井 純一郎, 天方 匡純, 山下 隆義
    セッションID: 1F4-GS-10c-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    深層学習の発展がありながら,土木分野での適用事例があまり増えていない原因に,解くべき問題の境界条件を規定することが困難であり,また検知すべき異常が多様でありながら,それぞれのデータ自体は僅か,あるいは存在しないことが挙げられる.例えば,河川巡視における不法投棄や不法占有は,文脈によってさまざまな形態を取りうる.今ドローン/AIを用いた河川巡視を考えると,開始段階では,空撮画像が少ない状況を想定できる.本研究では,河川維持管理データベースRiMaDISに登録されている地上で得られた画像と併せて学習することで,学習データを補完可能か,Faster R-CNNを用いて検証を行った.地上画像選定は,空撮画像の持つ特徴量空間に近しい画像を,いくつかの基準・方法に基づいて選出した.提案手法の内,Bounding Boxの占有率およびDeep Network(ShuffleNet,Inception v3)によって選出された地上画像を加えた場合,平均Precisionが上昇することを確認した.

  • 藤井 純一郎, 吉田 龍人, 岡野 将大, 天方 匡純
    セッションID: 1F4-GS-10c-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    河川護岸などの土木構造物の点検は,従来技術者の目視により行われてきた.目視点検は膨大な労力がかかる上に,技術者の主観的な判断が介在するため,点検記録にばらつきがあることが課題であった.これらの課題を解決するため,深層学習による画像認識技術を適用した点検手法が研究されている.しかし構造物の維持管理のためには画像認識結果だけでは不十分であり,それらを構造物の健全度判定の指標となる物理量に変換し,その経年変化をモニタリングすることが求められる. そこで本研究では河川護岸のひび割れを題材に,深層学習によるひび割れ検出結果に対して面積・幅・長さの物理量を算定し,それらを基にした健全度指標による河川護岸のモニタリング手法を提案する.また本手法を実河川で適用した結果について報告する.

  • 石津 尚喜, 楠 研一, 足立 透, 猪上 華子, 藤原 忠誠, 新井 健一郎, 鈴木 博人
    セッションID: 1F4-GS-10c-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    気象ドップラーレーダーを用いた突風探知システムの開発を行っている。竜巻などの突風が発生するとき、竜巻の親雲となる積乱雲の下層に渦状の気流が生じる。この気流はドップラーレーダーによって、ドップラー速度の極大と極小ペアのパターンとしてとして捉えられる。これまで、このパターンの数理モデルを構築し、観測データとのフィッティングを行い、算出された物理パラメーターをもとに観測されたパターンが渦であるか判定を行ってきた。しかしながら、この手法では誤探知や見逃しが非常に多く、両者を同時に改善できないことが課題であった。本研究では、渦パターンの判定を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によって試みた。CNNによる渦判定を適用した結果、判定精度が大幅に向上することが分かった。

  • 小助川 克也, 森 康久仁, 須鎗 弘樹, 川本 一彦
    セッションID: 1F4-GS-10c-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    鉄道事業者にとって,鉄道の軌道形状の変形である軌道狂いの予測は,安全性の確保や保守計画の管理のために重要である.本論文では,新幹線軌道の高低狂いの時空間予測のために, convolutional long short-term memory (ConvLSTM) に基づく深層予測モデルを提案する.提案モデルは,高速検査列車が測定した軌道狂いや動揺などの時空間データだけでなく,軌道構造や地盤などの静的なカテゴリカルデータ,保守作業有無の2値時系列データを用いて学習される.学習では,回帰タスクでは十分な精度が達成できなかったため,高低狂いを2mm単位に量子化したうえで分類タスクとして定式化し,分類精度の観点から予測精度を評価している.実データを用いた実験評価では,高低狂いが進行している要注意地点において,提案モデルは,軌道構造や地盤などの静的なデータや保守作業日記録の時系列データを用いた方がより高い予測性能を示す結果が得られている.

  • 中口 悠輝
    セッションID: 1G2-GS-2a-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年、強化学習の研究が著しく進展し、複雑な意思決定や制御の問題において幅広く高い性能を示すようになった。しかし、適切な報酬関数を指定するのが困難でしばしば意図しない振る舞いが生じてしまい、人手による緻密な報酬関数設計が要求されるのが問題となっている。逆強化学習は熟練者のデモンストレーションから報酬関数を推定することでこの問題を解決するが、逆強化学習の主流の最大エントロピー逆強化学習において推測された報酬関数の性能を理論的に保証する方法が無く、学習結果をどれだけ信頼できるか分からないのが問題である。そこで本研究では、最大エントロピー逆強化学習の性能について理論的な保証を与えるため、その性能について理論的に評価し議論する。

  • 大用 庫智, 和田 拓真, 神谷 匠, 高橋 達二
    セッションID: 1G2-GS-2a-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    強化学習の基本的な問題であるバンディット問題は,インターネット広告配信やゲーム木探索などに幅広く応用されている.とりわけ注目され始めているのが,明示的な報酬の観測が必要な従来の設定と対照的に,一対比較による相対的な報酬を用いる設定に拡張した比較バンディット問題である.その解法の中ではDouble Thompson Sampling (D-TS)が高い性能を示す.これは確率分布からランダムに抽出された行動価値に従うことで最適な行動を探索する手法である.しかし比較バンディット問題は一対比較であるため,いずれの既存手法も必要となる試行錯誤の多さに悩まされる.そこで本研究では,満足化という目標水準を満たす行動を素早く探索する人間の意思決定方法に着目し,価値関数のレベルで満足化を実装したRisk-sensitive Satisficingを活用するアルゴリズムを提案する.既存または乱数によるデータセットで検証した結果,D-TSより性能の劣るデータセットも一部あるものの,比較バンディット問題を解くアルゴリズムの性能指標である弱い後悔の値においては既存手法よりも性能を改善できたことを報告する.

  • 南 朱音, 吉井 佑輝, 甲野 佑, 高橋 達二
    セッションID: 1G2-GS-2a-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    ビデオゲームを人間と同等にプレイするなど深層強化学習の発展は目覚ましい.しかし深層強化学習は連続的な状態行動空間の学習を可能とする一方,強化学習特有の探索とパラメータ学習に必要なデータのサンプリング回数が膨大となる問題がある.そこで膨大な探索回数を抑えるため,従来の最適化とは異なる満足化なる適応手法に着目した.満足化はある一定の目標水準を満たす選択肢を速やかに見つけ出す.この満足化に着目し考案された Risk-sensitive Satisficing ( RS )は,強化学習の中でも単純な問題である K 本腕バンディット問題において,少数の探索で最適な行動系列を学習できることが明らかになっている.その RS の線形近似手法として linear RS ( LinRS ) が考案されたが,各選択肢の試行割合の線形近似方法について十分な議論がなされていなかった.そこで本研究では分析を通じて LinRS の試行割合の近似方法を修正した StableLinRS を新たに提案する.また文脈付きバンディット問題において StableLinRS と既存手法を比較しその有用性を示す.

  • 加藤 暦雄, 甲野 佑, 高橋 達二
    セッションID: 1G2-GS-2a-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    近年の研究では,強化学習に際して,方策と収益推定値(Q値)の関係を考慮することで学習が効率的になることが明らかになっている.その基本的な考え方は,収益が高い行動は多く選ばれ,そうでない行動は探索されにくいという制約の下で学習する,というものである.一方,人間には報酬の目標水準を定めそれを満たす行動を速やかに探索するという性質(満足化)があり,この満足化を応用した探索のための価値関数Risk-sensitive Satisficing(RS)が知られている.RSは一定の基準値ℵ以上の価値を持つ選択肢を速やかに見つけ出すアルゴリズムであり,ℵの値を適切に設定した場合において優れた成績を示している.RSも探索実績と収益推定値から意思決定を行うものであるが,決定論的であるため方策=確率分布として扱われていない.そこで本研究では,エントロピー最大化強化学習におけるsoftmaxな方策関数との対応を調べるため,確率的方策としてRSを拡張したStochastic RS(SRS)を考案した.定常環境・非定常環境におけるRSとSRSの観測実験を通し,その有用性を示す.

  • 秋庭 拓実, 高橋 達二, 浦上 大輔
    セッションID: 1G2-GS-2a-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    社会的強化学習とは他者との情報共有など、人間の社会性を強化学習の枠組みに取り入れることによって効果的な学習の実現を目的とするものである。素朴な方法としては、複数の強化学習エージェントが並行して探索と学習を行う場合に行動価値を共有するということが考えられる。しかし、行動価値の共有は状態行動対でおこなう必要があり、計算量が大きくなることや探索傾向の偏りから準最適解に陥るという懸念がある。これに対して我々はエピソード毎の獲得報酬の最大値を基準値として共有することと(大局基準値共有)、その基準値を各状態における基準値に変換する方法(GRC: Global Reference Conversion)に基づく強化学習法を提案している。本研究では餌場探索タスクにおいて大局基準値共有とGRCを採用した場合に、各状態の基準値を全て共有する場合と比較して、エージェント数と報酬設定という二つの重要な要因についてより広範囲で最適行動を獲得するという結果が得られた。この結果は「より少ない情報共有がより柔軟な探索と学習をもたらす」ということを意味していると考えられ、その解析と考察についても上記の結果と合わせて報告する。

  • 福永 拓海, 笠井 裕之
    セッションID: 1G3-GS-2b-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    確率分布同士の距離を表現可能な最適輸送問題は幅広い分野に応用されている.最適輸送問題では,厳密な質量保存を表す制約条件を有する線形計画問題を解く必要があるが,線形計画問題を高速に解くことが困難であることが一般に知られている.当該問題を解決するため,制約条件の質量保存を緩めた緩和最適輸送問題が提案されており,解法の高速化の実現だけでなく,緩和した制約がより有効に働くいくつかの問題例(色転写問題等)が報告されている.本稿では,そのような緩和問題の中でも凸緩和最適輸送問題に注目し,新たな高速解法を提案し,理論的解析を行う.具体的には,Frank-Wolfe アルゴリズムに基づいた高速最適化手法を提案し,提案した手法の最悪収束反復数の上限値を示す.最後に数値実験から,提案手法が従来手法よりも速く収束することを示す.

  • 方 鐘熙, 黄 健明, 笠井 裕之
    セッションID: 1G3-GS-2b-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    グラフ構造を比較する上で重要なポイントが二つある.一つはノード特徴ベクトルの表現,もう一つは重要な部分構造の抽出である.グラフのノード特徴ベクトルの表現は,Weisfeiler-Lehman(WL)テストを上回るGraph Neural Network(GNN)の構築を目標に,グラフ表現学習で盛んに研究されてきた.一方,後者はグラフ分類タスクの決定基準として用いられることが多く,構造を比較する際には鍵となる部分構造間の比較が非常に重要である.しかしながら,鍵となる構造の抽出は難しい課題であり十分に研究されているとは言い難い.そこで本稿では,重要な構造を直接抽出するのではなく,類似した構造に重みを与えることで,重要視される可能性の高い構造間の比較を行う.具体的には,GNNを含む現在のWL testベースの手法には,ノード特徴ベクトル間にグラフ構造の差異を反映した有意義な距離が定義できない欠点を指摘し,更に弱点を克服する簡単なノード埋め込み手法と質量制御を用いた最適輸送によるグラフ構造比較手法を提案する.グラフ分類問題の数値実験から,提案手法が最新の手法より優れた性能を示すことを述べる.

  • 関口 昌平, 堤 瑛美子, 植野 真臣
    セッションID: 1G3-GS-2b-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    人工知能分野では教育ビックデータを用いて学習過程における学習者の能力値や知識状態を把握し,課題への反応予測を行うKnowledge Tracing(KT)が注目されている.最先端のKT手法ではTransfomerを用いたAttentive Knowledge Tracing(AKT)が提案されている.AKTの特徴は過去の学習データを徐々に忘却し,さらに直近の学習に大きく関係するスキルを考慮して予測を行う.これにより,高い予測精度を示すことが報告されている.しかし,AKTでは単調減少関数に従って徐々に過去の学習データを忘却するため,長時間の学習においては初期の学習データがノイズとして残ってしまう問題点があった.本研究ではAKTにおいて予測精度を最大化するように反応予測に用いるデータ数を最適化する新たな手法を提案する.評価実験では提案手法と既存手法を用いて反応予測精度比較を行い,提案手法の有効性を示す.

  • 江戸 陽向, 濱田 直希, 福地 一斗, 佐久間 淳, 秋本 洋平
    セッションID: 1G3-GS-2b-04
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    進化計算などのように,有限個の解集合を用いた多目的最適化問題へのアプローチでは,目的関数の数が多くなるとパレート解集合の概形さえ得ることが難しくなる.本研究では,弱パレート解集合全体を深層生成モデルを用いて曲面近似する方法を提案する.チェビシェフスカラー化アプローチの有する重み空間と弱パレート最適解集合の対応関係に着目し,標準単体上の点を入力にとり,これを重みベクトルとした場合のチェビシェフスカラー化関数の最適解を出力する深層生成モデルを学習する.実験により,目的関数の数が多い場合に,提案手法はいくつかの従来手法よりも高精度なパレート解集合が獲られることを示す.

  • 阪本 直気, 佐藤 怜, 福地 一斗, 佐久間 淳, 秋本 洋平
    セッションID: 1G3-GS-2b-05
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    制約付きブラックボックス最適化において,制約を満たす実行可能領域が離散的で,かつ制約を満たす実行可能解の獲得すら困難な問題設定では,従来の制約対処法では目的関数の最適化は困難を極める.本稿では,パラメータ空間を殆ど制約の無い単純な空間へと変換する手法を提案する.詳述すれば,入力空間Zから実行可能領域Xへの写像であるDecoder G: Z -> Xを作成し,このGの入力空間Zをパラメータ空間とすることで前述の変換を実現する.空間Zの景観が複雑になることを防ぐために,Decoder Gの訓練に使用する損失関数は,各点の写像前後でそれぞれの位置関係が極力維持されるような設計になっている.多数の離散領域への複雑な写像を実現するために,Decoder GはShortcut Connectionを備えた小さなニューラルネットワークモデル (NN) を複数個繋げた設計になっており,各NNに対して損失関数が定義されている.これにより,深層生成モデルで問題となるモード崩壊が防がれている.実験では,パラメータ空間に対する実行可能領域の体積比が10-7未満であるテスト問題を用いて提案法の有用性を示す.

  • 操 瑞行, 田中 卓磨, 奥野 彰文, 下平 英寿
    セッションID: 1G4-GS-2c-01
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    k-近傍法(k-NN)はクエリ近傍の k 個のデータベクトルを検索し,付随するラベルの平均によりラベル確率を推定する.近年,複数の k1, k2, ... における k-NN 推定量を k=0 に外挿し,k-NN の漸近バイアスを減少させるマルチスケール k-近傍法 (MS-k-NN)が提案された.既存の MS-k-NN では漸近的に導出された回帰関数を最小二乗法により推定するが,(i) その回帰関数の有限サンプルにおける有効性は明らかでなく,(ii) 単純な最小二乗法では各 k での k-NN 推定量の従属性を適切に扱えていない,という問題があった.これらの問題を解決するために,本研究では MS-k-NN の外挿に利用する新たな回帰関数と推定法を検討する.また MS-k-NN に着想を得た Local Radial Logistic Regression(LRLR)を提案し,これらの手法を数値実験により比較する.

  • 山川 将輝, 鷲尾 隆
    セッションID: 1G4-GS-2c-02
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    目的変数値ではなくその一対比較結果のみが与えられた事例データから、目的変数の説明変数への回帰を行う手法を非結合回帰と言う。本研究では、ガウス過程に従う非結合回帰手法を提案する。例えば、多数の既成商品の仕様を基に顧客がより好む新商品仕様を顧客アンケートなどで予測して開発する場合、各商品の選好度を共通した数値指標で答えることを顧客に期待することは難しい。これは顧客個々人の価値尺度が様々であることに起因する。しかしながら、ある商品Aとある商品Bのどちらが良いか、という選好度に関する一対比較結果であれば、共通した数値指標を期待せずに集める事が可能である。先行研究では線形重回帰をはじめとして、目的変数の点推定を行う非結合回帰手法が提案されているのに対し、本研究では、それを目的変数や回帰式の不確定性を評価可能なガウス過程回帰手法に拡張する。さらに数値実験を通じて、目的変数値を用いた教師ありカーネルリッジ回帰結果を比較基準として、提案する手法の精度が実用的であることを示す。これにより、推定選好度の不確定性を考慮した効率的な商品仕様の設計開発など、非結合回帰のより広範な適用が可能となる。

  • 小山 和輝, 切通 恵介, 大川内 智海, 泉谷 知範
    セッションID: 1G4-GS-2c-03
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/14
    会議録・要旨集 フリー

    HSIC LassoはHilbert-Schmidt独立性基準に基づくスパースな非線形特徴選択法で、現時点で最も効果的なフレームワークのひとつである。しかし、従来法の単一の基底カーネル関数に基づいた特徴選択では、サンプル数が少ないと選択結果が不明瞭になる傾向があり、さらに特定の問題設定においては特徴量を取りこぼす場合もあった。本研究では複数の基底カーネル関数と、それらに対して特徴量ごとにグループ構造を設定した非負制約付きGroup Lassoを用いてマルチタスク学習を行い、複数の独立性指標に基づいて有用な特徴量を明瞭に選択可能な手法を提案する。従来法と同様に、提案手法は他のいくつかの独立性指標にも応用でき、超高次元・大規模データセットへの拡張性も持つ。本研究では提案手法の有効性を検証するために、複数の人工データと実世界データに適用し、選択特徴の精度や冗長性、及びそれらを用いた回帰タスクや分類タスクのスコアを比較した。その結果、提案手法はよりスパースに非線形特徴を選択でき、学習モデルに必要な特徴量を適確に拾い上げることが確認された。

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