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奥山 凌伍, 金刺 智哉, 白川 琉叶, 佐藤 央一, 曽根元 直弥, 廣島 蛍介, 池田 慎太郎, 中井 音緒, 吉田 皓平, 伊豆 梨沙 ...
セッションID: 1H4-OS-17a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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ゲーム開発においてシナリオや楽曲,イラスト,3Dモデルなど創造的な種々の要素の作成に必要となる人的・時間的コストは年々増大している.そのため本研究では,ゲームにおける多様な創造的要素作成のサポートを,選択肢の自動生成や自動選別などの技術を用いて実現することを目標とした.具体的には,プロットとセリフの自動生成,楽曲選択,インタラクティブミュージックの自動生成,背景画像生成における人間の補助システムの開発,およびそれらを統合したロールプレイングゲームシステムを作成した.プロットとセリフ自動生成では既存作品のパターン分析に基づいたテンプレート生成システムを実装した.楽曲選択では各シーンの感情特徴に合わせたBGM自動選択システムを実装した.インタラクティブミュージックの自動生成では楽曲分割によりループ素材を作成し,展開に合わせて楽曲が変化するシステムを開発した.背景画像生成補助では室内画像でのオブジェクト配置案の自動生成機構を実装した.またこれらのシステムを活用して実際にゲーム作成を行うことで,ゲーム中に含まれる多様な要素の作成が情報技術によって統合的にサポート可能であることを示した.
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青木 尚人, 森 直樹, 岡田 真
セッションID: 1H4-OS-17a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
深層学習の発展を背景として,人工知能 ( AI ) による小説,イラストの自動生成といった分野の研究が盛んである. しかし, 創作の理解は高次の知的作業であり計算機による理解は困難な課題である. 本研究では人間の創作物の中でも代表的なマルチモーダルな創作物である漫画を扱う. 漫画は絵と字から構成されるため, 画像処理としての側面と自然言語処理としての側面を持っている. よって本研究では漫画の画像とセリフの分散表現を用いた識別問題を解くことで,画像と自然言語を結びつけて,AIに理解させることを目的とする. 画像の分散表現化の手法には Vision Transformer ( ViT ) を用い,自然言語の分散表現化には Bidirectional encoder representations from transformers(BERT) を用いた. それぞれから得られた分散表現を組み合わせて識別器に入れることで作品識別した. 結果として Vision Transformer のみを用いた画像識別,BERT のみを用いた自然言語処理の両方の結果を上回る高精度な結果が得られた.
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伊藤 薫, 森 直樹, 岡田 真
セッションID: 1H4-OS-17a-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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だまし絵のような複数の解釈が可能な多義図形に対して人工知能による画像生成を適用した研究はほとんどない. そこで本研究では, 人工知能による多義図形理解および生成を目的として, 画像識別モデルおよび画像生成モデルを用いて生成された画像から多義図形らしさを獲得し, それを用いて多義図形の識別および生成について数値実験をした. その結果として, 生成画像に対して人工知能が多義図形と識別した判断根拠の視覚化をすることで生成画像が多義図形であることを示すことに成功した. また, 多義図形生成手法を風景画, 肖像画生成手法へと拡張可能であることを確認することで, 提案手法の有効性を示した.
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灘本 紗也佳, 森 直樹, 岡田 真
セッションID: 1H4-OS-17a-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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近年, 機械学習の急速な発展を背景にして, 人工知能による生成物が注目を集めている. 特に画像分野においては, 敵対的生成ネットワークの登場により, さまざまな領域において高品質な画像編集や画像生成が可能となった. しかしながら天体を対象とした星空写真においては, 写っている星の並びが重要な要素の一つである一方で, 各星の位置関係に関するデータセットが十分に存在せず星の並びを正確に生成するのは難しいため, 人工知能による星空写真の編集, 生成は非常に困難なタスクとなっている. そこで本研究では, 人工知能による星空写真の自動編集を最終目標とし, その前段階として敵対的生成ネットワークとこれまでに提案した星図の作成方法を用いることで実際の星空写真と類似した画像を生成する手法を提案する. 生成された画像は人間の目から見ても実際の星空写真と遜色ない出来であることが確認されている.
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岩岬 潤哉, 豊澤 修平, 村井 源
セッションID: 1H5-OS-17b-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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展開に意外性のある物語を自動生成するため,先行研究ではオチの構造と物語の展開の関係を明らかにする取り組みが行われてきた.しかし読者に意外性を提示するうえでは,オチの構造に加えて,あらかじめオチを示唆する伏線とオチの関係性も重要な機能を果たしていると推測される.そこで,本研究では意外性のあるオチで定評のある星新一のショートショート作品中の一ジャンルを対象として,オチと伏線の関係性を明らかにするためデータ化と統計的な分析を行った.まずオチとオチに対応する伏線のそれぞれをKJ法に基づいて分類しカテゴリ表を作成した.次に作成したカテゴリ表に基づき各作品で共起するオチと伏線をベクトル化した.得られたベクトルを因子分析した結果,冒頭に示唆された謎がオチで発覚する「種明かし型」,一時的な利益を提示された後に暗転する「転落型」,最終的に元の状態への回帰や努力が徒労であったと明らかになる「無駄骨型」の3種類のパターンが得られた.本研究で得られたオチと伏線のパターンを用いることで,オチのある物語の自動生成に合わせて,オチに適切な伏線を物語中に付与するシステムが構築可能であると考えられる.
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福元 隆希, 白鳥 孝幸, 豊澤 修平, 吉田 拓海, 石川 一稀, 岩岬 潤哉, 斉藤 勇璃, 中村 祥吾, 大田 翔貴, 大場 有紗, ...
セッションID: 1H5-OS-17b-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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近年様々な物語ジャンルにおいて物語構造分析に基づいた自動生成が実現されつつある.しかし,感動により読者の涙を誘う「泣ける」物語の構造分析および自動生成はほとんど行われていない.また人気のある作品が「泣ける」と評価されることや,「泣ける」物語を心理学の面から研究した例もあり,「泣ける」物語の構造分析,自動生成は学術的意義や産業応用可能性が高いと考えられる.そこで本研究では「泣ける」物語の自動生成に必要な物語的特徴の抽出を行った.まずWeb上の投票サイトに基づき,多くの人が「泣ける」と評価した物語作品を選別した.次に選別された物語作品に対して構造分析と,「泣ける」シーンについて涙を誘う手法を分類しデータセットを構築した.また,選別した物語作品と同ジャンルの一般作品と比較することで「泣ける」物語の特徴抽出を試みた.結果として「泣ける」シーンは登場人物の隠された情報の提示や困難克服のための決意表明などと共起しやすいことが明らかになった.「泣ける」物語では読者の共感を誘う構造が重要であると考えられる.本研究の結果を物語自動生成などに応用することで「泣ける」物語の生成が可能になると期待される.
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小田 淳一
セッションID: 1H5-OS-17b-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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本報告はインド洋西域に位置するフランス共和国海外県のレユニオン島で専門的な民話の語り手から採話したテキストの分析によって語り手のスタイルを計量的に比較することを目的とする。まず採話時の音源データを翻刻した文字テキストの分析から個々の物語の表層テクストを,物語の内容に関わる要素と,それには直接的に関与しない語り手特有の表現に関わる要素に分離して双方の分布を図示すると共に,後者の要素をさらに複数の下位カテゴリー(民話の語りにおけるローカルな慣用表現や,より一般的な修辞技法に還元されるものなど)に分け,最終的にはテキスト全体を要素の性質が視覚的に捉えられるような連鎖構造とした。このように視覚化された語りの構造を,今後予定している現地調査において,それぞれの語り手にフィードバックすることによって物語要素の配置構造の再考など様々な意味におけるパフォーマンスの支援に資するものとなろう。
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斉藤 勇璃, 村井 源
セッションID: 1H5-OS-17b-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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登場人物は,物語を面白くするのに不可欠な要素の一つである.魅力的な登場人物は登場する作品に良いイメージを与え,読者をより惹きつける要因となり得る.その為,現在に至るまで物語論や自然言語処理の分野では,登場人物の役割や人間関係等に関する多数の研究が行われてきた.しかし,どのシーンにどのような役割を持つ登場人物が何人出てくるのか等,登場人物単体ではなく,その他の要素と複合的に計量的な分析を実施した研究はほとんど行われていない.そこで本研究では,バトル系とスポーツ系の少年漫画の物語をシーン単位で分割と分類を行い,登場人物の人数と役割に関するデータセットを構築した.また,構築したデータセットに基づき,物語機能,登場人物の役割と人数の3種類の要素の関係性抽出やジャンル間比較をχ二乗検定や因子分析を用いて行った.結果として,バトル系では「強敵出現」,「修行」,「戦闘」,スポーツ系では「試合」,「敵味方対立」,「ライバル視点」因子などの特徴的なパターンが得られた.これらは該当ジャンルの典型的物語構造に合致している.本研究の成果は物語自動生成や創作者のサポートシステム構築などに応用可能と考えられる.
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笹嶋 宗彦, 石橋 健, 山本 岳洋, 加藤 直樹
セッションID: 1I1-OS-6-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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兵庫県立大学社会情報科学部では,実践力のあるデータサイエンティストの育成を目標に,学部1年生,2年生を対象として,連携企業の実データを用いた課題解決型演習(PBL)を実施している.本学部が育成を目指すデータサイエンティストとは,ITスキルを用いてデータを分析する力だけではなく,実社会において課題を発見・定式化し必要なデータを収集する力や,分析の結果を用いて社会をよくする提案が出来る社会実装力を備えた人材である.低学年は,データ分析力も,ITスキルも持っていないが,スキルに合ったやり方でデータを分析し,実店舗へ向けた販売施策を提案する過程を体験することで,経営を改善することへの興味を持たせることや,データだけでなく,現場を見て考えることの重要性を学ばせることを狙いとしている.2019年の学部創設以来,1年生向けのPBLを3回,2年生向けを2回実施し,それぞれ事後に学生アンケートを取ることで,演習を評価してきた.本稿では,今年度実施したPBL演習の概要と,これまでのPBL演習を通じて得られた,実データを利用するPBLの長所と課題について述べる.
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山上 遼馬, 柴田 祐樹, 高間 康史
セッションID: 1I1-OS-6-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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本発表では,対話型遺伝的プログラミングを利用して,対話的に可視化を生成するシステムを提案する.近年,機械学習の適用により,データから可視化を自動生成する研究が取り組まれている.適切な可視化表現を選択するなどの知識・スキルが不要となること,可視化生成作業の負担が軽減されることなどの利点から,データサイエンスでの活用が期待できるが,ユーザの意図や選好を反映できる半教師ありアプローチも可視化生成において有効と考える.提案手法では,Vega-liteのコードを対象として対話型遺伝的プログラミングを適用することにより,コードを進化させて新たな可視化を生成するシステムを提案する.実際に生成した可視化例を示し,生成される可視化の特性などについて考察する.
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安藤 雅行, 砂山 渡
セッションID: 1I1-OS-6-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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近年,深層学習を用いたAIシステムが急速に活躍の場を増やしている.画像認識や自動車の自動運転などさまざまな分野において,活用が進められている.一方で,深層学習には学習による予測・分類の基準が不明で人間に理解できないという大きな問題が存在している.また,この問題に対しては,XAIと呼ばれる分野で深層学習モデルの理解や評価を行う研究が進められている.しかし,現状ではまだ深層学習の出力にいくつかの追加情報を提示する程度であり,まだ深層学習モデルへの理解を支援する体制は不十分である.そこで本研究では,文章の分類問題を題材として,学習済みの深層学習の重みによって深層学習の分類根拠である特徴を分類パターンとして抽出し,可視化するインタフェースの構築を行う.また,可視化した分類パターンの役割や,その分類パターン中の単語が持つ意味をシステム利用者が理解しやすくするための,いくつかの解釈支援機能の実装も行う.解釈支援システムの評価実験では,被験者に商品レビューなどの文章集合を解釈させ,その妥当性を評価する実験により,解釈支援インタフェースによる分類パターン解釈支援の有効性の検証を行う.
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宮本 誠人, 松下 光範, 高岡 良行, 堀 寛史
セッションID: 1I1-OS-6-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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高齢社会における高齢者の自立した生活の支援に向けて医学的リハビリテーションの専門職である理学療法士の育成が求められている.その育成においては,理学療法熟達者の臨床経験から獲得された実践知の活用が重要である.本研究では,理学療法初学者の観察能力や論理構成力の評価支援を目的として実践知を獲得・共有する枠組みの提案とその過程における実践知の構造化・可視化を行った.提案手法では,理学療法士が患者の歩行を観察し問題点の分析を行う動作分析のテキストを対象とする.そこから実践知を表出するために,理学療法の診断における知識の最小単位をPBPU(Problem-based Physiotherapy Unit)と定義して抽出し,観察と推論の因果関係に着目して構造化した.得られた因果関係をネットワーク表現により可視化することで動作分析テキストに含まれる知識の関係を把握できるようにした.得られたネットワークを経験豊富な理学療法士に提示し定性的評価を行った結果,PBPUを用いて観察と推測の因果関係を可視化することで,動作分析における実践知の有無により生じる論理構成の差分把握に有効であることが示唆された.
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西原 陽子, 大山 稜平, 山西 良典
セッションID: 1I1-OS-6-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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本研究では,慣れ親しんだ馴致場所の観光地図を作成する課題において、実空間と仮想空間と2つの空間が与える影響の違いを分析する。 実空間では作成者は馴致場所を実際に歩いて観光スポットを探すのに対し、仮想空間ではWebの地図サービス上を歩いて観光スポットを探す。 同一の馴致場所であるが、作成者たちの居る空間や為されるインタラクションにより出来上がる地図は異なるものとなる. 異なる点として、得られた観光スポット数、魅力的な観光スポット数に着目し、2つの環境が与える影響を分析した。 分析の結果、仮想空間環境で作られた地図は、実空間環境よりも観光スポット数が多くなることが分かった。一方で、魅力的な観光スポット数については差がなかった。
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早矢仕 晃章, 石川 開, 伊藤 宏比古, 津田 健一郎, 柏谷 篤, 亀田 義男, 佐藤 誠, 永合 由美子, 大澤 幸生
セッションID: 1I4-OS-14a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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国内外でAI技術の倫理課題が検討され、法規制やガイドラインが整備されつつある。しかし、社会一般の倫理課題や受容性については議論されているものの、それらの技術がコミュニティまたは個人に受け入れられるきっかけ及びその過程で考慮すべき課題のほとんどが未踏の問題である。本研究では、Variable Questを用いて個人のAI製品受容性に着目した未踏データを設計し、実際に取得したプロセス及びその結果について考察する。
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猪澤 也寸志
セッションID: 1I4-OS-14a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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今現在, 広大な国土を有する米国等ではDAC(Direct Air Capture)が実用段階に入っている. 日本では陸域CCSが実用段階だが, 狭い国土ゆえ回収後の貯蔵スペースに窮している. しかし視点を海に転じると, 島国日本の優位性が際立つことになる. なぜなら,太平洋に面した沖縄から関東までの沿岸2,000kmがサンゴの生息域であり,ブルーカーボン(生態系によるCO2吸収)の生成ゾーンとなりうるからだ.そこで本発表では, 機械学習を活用した①サンゴブルーカーボン実証, ②フラグサンゴ増殖手法の最適化, ③生物模倣によるサンゴ礁回復技術の開発, ④前項技術等を研修できるワーケーションサービス開発の検討を行う. 本発表では, 海域の未踏データに焦点を当て, 機械学習を活用して, サンゴブルーカーボンの脱炭素可能性を検討する.
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邵 騰飛, 寺岡 文寿, 石﨑 桂司, 菱山 玲子
セッションID: 1I4-OS-14a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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中古ブランド品市場では,企業はブランド品の所有者から不要になった品物を買い取り,必要なメンテナンスを施した後,それを中古品として販売する.この売買市場は不用品を廃棄せずにリユースする点で,循環型社会の実現に有効である.更に,消費者はブランド品を安価に販売でき,不要品を売りたい消費者とそれを買い取り販売したい企業の双方の利害が一致し,双方が経済的メリットを享受できる.この中古ブランド品売買データを活用できれば,更に新たな経済的価値を見出すことができる可能性があるが,これまではそうしたデータが十分に活用されてこなかった.そこで,本研究ではまず,企業が所有する中古ブランド品売買データを活用し,それを企業の戦略立案に役立てることをめざす.どのような売買パタンが消費者や買取・販売企業の双方にとって経済的に優位なのかを分析するため,この研究ではネットワークモチーフによる分析モデルを適用し,消費者と買取対象となる品物の組み合わせに注目した分析を行った.これにより,企業収益が高く見込める売買パタンをクラスターとして抽出することができた.これらの知見から,企業の取引戦略の立案にも貢献できた.
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川崎 雄太, 小穴 温子, 羽泉 喬平, 石井 透
セッションID: 1I4-OS-14a-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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地震動解析は建設設計での安全性向上に重要である。しかし、地震動データにはノイズなどの影響により解析に適さないものがあり、膨大なデータに対して利用可否を手作業で判別する作業コストが課題となっている。そこで、地震動データの利用可否の自動判別を行い、作業の効率化を目指した。 本実験では、地震動の加速度時刻歴グラフを画像化したものに対してResNet34を適用し画像分類を行なった。分類ラベルは1.正常な地震動、2.主要動と別の事象が発生した場合(別事象)、3.主要動に対しノイズが大きい場合(SN不良)、4.主要動の立ち上がりおよび収束の確認が困難な場合(記録時間不足)の4つとした。 画像分類の正解率は97.3%であった。また、クラスアクティベーションマップを算出し結果に寄与するピクセルを調査したところ、正常な地震動は主要動付近に高いアクティベーションを示したが、別事象の場合はピーク間の谷形状に、SN不良および記録時間不足の場合はデータ全体に高いアクティベーションを示し、各事象の特徴を捉えていることを確認した。
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石川 開, 伊藤 宏比古, 前田 春香, 水上 拓哉, 佐藤 誠, 津田 健一郎, 戸田 聡一郎, 猪口 智広, 佐倉 統, 早矢仕 晃章, ...
セッションID: 1I5-OS-14b-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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今日、AI事業において倫理規範に抵触しかねないことが大きなリスクとして顕在化しつつある。こうしたリスクに対処するためには、起こり得る問題を事前に予測できることが望ましい。しかしながら、前例の無いAI製品・サービスでは、データの無いところからの予測となり容易ではない。一方、AI倫理に関する理論や概念枠組みが構築されつつある。そこで我々は「AI倫理の概念枠組みが、AIによって引き起こされる未踏の問題を予測するのにどの程度役立つか」という疑問に行き着く。本稿では、前田と水上が応用的に着目している「差別の規範理論」と「道徳的行為者性の虚構性」という2つの概念的枠組みに焦点を当てる。いくつかのAIユースケースにこれらの枠組みを実験的に適用し、潜在的な倫理的リスクを予測することを通じ、応用倫理の概念フレームワークが前例のないAIユースケースの倫理的リスクを予測することの有用性と、適切な適用範囲を見極める事の重要性について議論する。
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小川 亮
セッションID: 1I5-OS-14b-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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この報告では、法・裁判における未踏データの活用可能性を示す。第一に、判例や学説においては、社会通念が実証的根拠を欠いた形で、論者の主張を支えるために恣意的に援用される。そのため、社会通念の内実を解明する経験的研究が急務である。第二に、そのような研究の一つとして、報告者は、世界的な議論の対象となっているAIシステム規制に関する日本市民の受容性を明らかにするために、まず市民がAIシステムに対してどのような評価軸を有しているかを明らかにする質問紙調査を行った。この調査によって、日本人は、欧米と異なり、AIシステムの使用者が公共団体である場合には受容し、逆に私企業等である場合には受容しない傾向があることが明らかになった。
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山田 誠二
セッションID: 1J1-OS-21-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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人間-AI協調意思決定の実現を目指して,人間がAIの性能を適正に評価した上での信頼関係である最適信頼を構築するための適応的信頼較正理論を提案する.信頼は,AIのタスク実行の成功確率を人間が推定した推定値として定義され,人間が自らその推定値を真値に近づけることを信頼較正とする.本枠組みでは,信頼較正AIが過信/不信状態を判定して,較正キューを表出することで,適応的に信頼較正を促すことができる理論的枠組みを示し,その応用について触れる.
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日紫喜 祐也, 境 辰也, 堀井 隆斗, 長井 隆行
セッションID: 1J1-OS-21-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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自律ロボットが説明能力を持つことは信頼性の点で重要である.著者らはこれまで「自律ロボットの説明性」として,人から求められたタイミングで説明する手法を検討してきた.しかし説明は必ずしも求められた時に行うものではなく,必要と判断した際にすべき能動的なものでもある.そこで本稿ではまず,人間はどのような他者のふるまいを観測した際に説明の必要性を感じるかを,シミュレーション実験を通して考察する.そして,ユーザーが明示的に説明を要求しなくても,自律ロボットが説明の必要性を能動的に判断可能な手法を提案する.グリッド環境上のシミュレーション実験によって,提案手法の結果と人間が説明の必要性を判断した結果が類似していることが確かめられた.このことから,提案手法が説明の必要性を自律的に判断可能なことが示唆された.
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井上 雅史, 三瓶 綺斗
セッションID: 1J1-OS-21-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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ロボットが他のロボットに対して動作によりメッセージを伝達している際に,それを観察する人間が動作をどのように解釈するかを調査した.車輪で走行する地上ロボットにおいて,様々な動作パターンを生成し,それらの動作の人間にとっての解釈の容易さを評価した.
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寺田 和憲, LI Yang
セッションID: 1J1-OS-21-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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本稿では,なぜAIに対して信頼という言葉を使わなければならないかを信頼の定義,事象の理解と予測のための2つの様式である目的論的説明と機械的説明の観点から検討した.検討の結果,Trustworthy AIの要件である透明性,説明可能性,補償する責任者の明示,説明責任を充足した場合にはAIは信頼という言葉を使わずに使用できる機械となり得る可能性があるという結論を得た.
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小野 哲雄
セッションID: 1J1-OS-21-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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PAIA (Personal AI Agent)の利活用に関する議論がさかんに行われている。本発表では、PAIAにおける人間の意思決定および行動変容を支援するという側面に注目する。具体的には、エージェントを環境知能システムとして実装し、そのシステムが備えているナッジ(Nudge)やブースト(Boost)の機能を用いることにより、人間の意思決定や行動変容を促し、人間とAIが協調して意思決定ができることを示す。
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安藤 晶, 宇野 裕, 矢田 竣太郎, 若宮 翔子, 荒牧 英治
セッションID: 1J4-OS-13a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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看護記録は看護実践の一連の過程を記録したもので,看護実践を証明するだけでなく,情報抽出に基づく看護行為分析,現場へのフィードバック,看護業務効率化に向けたシステム開発,といった二次利用が期待されている.そのためには,看護記録中に記載される看護行為や患者状態に関する表現を抽出する必要がある.しかし,医師によって書かれた医療文書に基づく既存の医療表現抽出器ではこれらの表現を捉えることが難しい.そこで本研究では,患者自身による訴えなど既存の医療表現抽出器では抽出できない患者状態表現を抽出するため,患者状態アノテーション仕様を提案し,模擬看護記録1000件からなるコーパスを構築した.更に,BERTベースの固有表現抽出モデルを用いて,本コーパスにおける性能評価を行った.
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髙信 寿明, 川上 舜太, 内山 清子
セッションID: 1J4-OS-13a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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現在日本では高齢化社会に向けて、医療情報の整備が急務となっている。医療情報の範囲は医学用語辞書や教材だけではなく、看護記録、電子カルテ、SNSの投稿など多岐にわたっている。その医療情報を二次利用したテキストマイニングや情報抽出などの研究がとくに盛んになってきている。 本研究では、語彙・語用・文脈レベルの情報を付与して医学用語を構造化することと、その構造化データに基づいて造語力、学習頻度、説明力の観点から学習難易度を設定し、その有効性を検証することを目的とする。 今回は看護教科書をデータとして収集し、医療用語の抽出および出現頻度の計算を行った。その際、「実践医療用語‗語構成要素語彙試案表 Ver.1.0」に含まれる合成語、語構成要素、意味ラベルを用いて抽出および比較を行った。この結果から構造化に必要な要素について考察する。
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柴田 大作, 河添 悦昌, 篠原 恵美子, 嶋本 公徳
セッションID: 1J4-OS-13a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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【背景】希少・難治性疾患の研究や診断に必要な表現型は診療テキストに自由記載されるため、計算機による情報抽出が可能となれば様々な応用が期待される。本研究は、希少・難治性疾患の症例報告テキストからなるコーパスの構築と機械学習による情報抽出の精度を報告する。【方法】指定難病333疾患を対象としJ-STAGEで検索された151疾患362症例報告を材料としてコーパスを構築した。このうち、著作権処理を行い公開したコーパスを対象としてTransformerをベースとするモデルにより情報抽出精度を評価した。【結果】公開コーパスは102疾患179症例報告あり、70種の固有表現タグと35種の関係がアノテートされた。1症例報告の平均文字数は1,917、固有表現タグ数の平均は361、関係数の平均は347であった。5分割交差検証によるマイクロF1の平均は、固有表現抽出では0.931、関係抽出は0.826であった。【考察】本コーパスは複雑で密なアノテーションを有するが、先行研究と遜色ない精度で情報抽出された。今後の課題として、表現型を用語集に対応付けることと、実診療テキストでの精度評価を行うことがあげられる。
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高須 遼, 中村 啓信, 岸本 泰士郎, 狩野 芳伸
セッションID: 1J4-OS-13a-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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メンタルヘルスは社会的に重要な問題である。近年、メンタルヘルスの問題はインターネット上の活動と密接に関係している。そこで我々は、Twitterユーザーがメンタルヘルス問題を抱えているかどうかを分類するシステムを開発した。特定のパターンに合致するアカウントはメンタルヘルス問題を抱えている可能性が高いと仮定し、この仮定に基づいてポジティブな例とネガティブな例を100万件規模で収集した。また、キーワードに依存する先行研究とは異なり、メンタルヘルスに特化したキーワードを含まないユーザの発話を分類する可能性を検討するため、そのようなキーワードを含むツイートはデータセットから排除した。BERT、LSTM、SVMを学習させ、分類性能を比較した。BERTについては、大規模ツイートデータを用いた事前学習を行った。BERTが最も高い性能を示し、Accuracy 0.83, Recall 0.8, Precision 0.88,F1-score 0.84という実用レベルの高い分類性能を達成した。文脈情報の重要性とともに、一般的な発話からメンタルヘルス不調を推測しうることを示した。
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石田 真捺, 谷中 瞳, 戸次 大介
セッションID: 1J4-OS-13a-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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高度な意味解析・推論システムであるccg2lambdaを用いた症例検索の研究が行われているが,ccg2lambdaでは,症例テキストにおける複合語の意味表示の導出が課題となっている.本論文では,ccg2lambdaの複合語解析モジュールを改良し,複合語の構成要素に系列ラベリングモデルを用いて意味現象タグを付与した.その情報を元にCFG木構造,さらにはCCG統語構造を復元することによって,論理推論が可能な意味表示を導出した.さらに,症例テキストを用いて,複合語を含む推論テストセットを作成し,論理推論の評価を行った.深層学習モデルとの比較実験を行い,本論文で提案する手法の有効性が示された.
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井関 雄太, 三輪 玲佳, 杉原 太郎, 土方 嘉徳
セッションID: 1J5-OS-13b-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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医療や介護の分野においても,看護や介護の記録をコンピュータを使って有効活用し,業務の効率化やサービスの質の向上に役立てることが望まれている.しかし,医療機関や介護施設の中には,手書きの記録を行っているところは少なくない.本研究では,ある介護施設の手書きの介護記録を基に,介護分野での記録の内容の構造化を行い,利用者(施設を利用するお年寄り)の体調や処置の時間的な変化を簡単に把握できるようにするための可視化システムを開発した.基本的なバイタルの数値情報を可視化するだけでなく,頻出するキーワードも時間軸にリスト形式で配置し,一覧性の高い情報提示を実現した.
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山口 大地, 德永 陽子, 戸嶋 巌樹, 小澤 史朗, 中村 高雄
セッションID: 1K1-GS-6-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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複数人からなるグループでの合意形成を目的とした対話において,合意結果や成果物に基づいて対話を総合的に評価する研究が行われてきた.しかし,参加者個人がその対話にどの程度満足しているのか,合意結果に納得しているのかは対話のどの要素を重要視するかという個々の価値観によって異なると考えられる.本稿では,グループ対話における発話の書き起こしを用いて参加者個人の対話に対する主観的な評価を推定することを目的とする.対話参加者の積極性と影響度に着目し,個々の対話に対する主観評価を推定する技術を提案する.実験では,4名の初対面どうしの参加者で模擬対話を行い,対話に対する主観評価アンケートを正解として提案手法の評価を行った.その結果,対話の序盤では参加者の積極性が,対話の中盤以降では参加者の影響度が,それぞれ対話に対する主観的な評価に影響していることがわかった.このことから,対話開始からの経過時間や合意形成の段階を考慮した上で,個人の積極性と影響度を用いることで,参加者個々の対話に対する主観的な評価を推定できることが示された.
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甲斐 啓, 李 嘉誠, 能登 正人
セッションID: 1K1-GS-6-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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近年、5Gの普及が進み屋外でのスマートフォンの利用が加速する一方、得られる情報量の多さにより咄嗟の状況把握の難しさが懸念される。また、その内容の信憑性なども考える必要が出てくる。BERTは双方向TransformerのEncoder部分を利用した事前学習モデルであり,入力文を単語埋め込み表現列に変換する自然言語処理モデルである。BERTを利用することで,各種の自然言語処理システムの性能が大きく向上しているが,実際のタスクに対して,BERTをどのように利用するかは個々のタスクに応じて考える必要がある.本研究では、現代社会のネットワーク情報をTRPGの世界に置き換えてその際のするべき行動をBERTを使用して単語埋め込み表現列より判定する手法を提案する。結果として、この手法の利用が縮尺された舞台ではなく現実での有用性が期待される。
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中嶋 秀治
セッションID: 1K1-GS-6-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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漢字で書かれた日本語単語は複数の読みを持つ場合がある。正確な読みの識別は例えば音声合成などでは重要となる。そして、読み分け規則を人間が考案したり機械学習するためにはデータ収集が必要となる。そのため我々は効率的なデータ収集手法を提案した。しかし、既報では収集効率の評価に留まった。更なる詳しい評価のために、我々の提案手法で集められたデータの有用性について読みの分類精度の観点から深く評価を行なった。その結果、比較的最新のBERTを用いた分類手法においても、我々の手法で集めたデータが有用であることを確認できた。また、この手法では集められた文に対する人手での採否判定過程を含むが、その過程を省略しても分類精度がほぼ変わらないことも確認できた。
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沖村 樹, 河野 慎, REID Machel, 松尾 豊
セッションID: 1K1-GS-6-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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機械学習では,モデルのパラメータ数に対してデータ数が不足すると,モデルがデータに過剰に適合してしまい,汎化性能が低下する過学習が発生することがある.過学習を避ける有力な正則化戦略の一つが学習に用いるデータを人為的に増やすデータ拡張である.データ拡張は画像認識の分野では広く活用されて成果を上げている一方で,自然言語処理の分野においてはデータ拡張の利用は限られたものとなっている.この理由として,自然言語処理の分野でのデータ拡張手法が性能に対してどのような影響を与えるかが統一的に評価されておらず,それぞれのタスクにとっての有効なデータ拡張手法が不透明になっていることが挙げられる. 本研究では,いくつかのデータセットを用いて,従来のデータ拡張手法が自然言語処理の性能に与える影響を調査した.その結果,事前学習モデルを用いて少量のデータで学習する場合,データ拡張が有効となる場合があることが明らかになった.また,データ拡張の強さを示す指標を定義し,その指標と学習後の性能との相関関係についても評価した.
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金子 淳, 大槻 恭士, 坂口 隆之
セッションID: 1K1-GS-6-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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作家が作品の中で使っている言葉の意味やイメージは、私たちが普段使っている言葉のそれとは微妙に異なっている。その差異を明らかにすることは、作家固有の思想・世界観を解明するきっかけになる。この点につき、すでに「含意分析」として単語ベクトルの類似度を用いて数値化する試みを行なった。これを踏まえ、今回は、作家の同一の言葉でも、書かれた年代によって、あるいは作品によって、その含意が通時的にどのように変遷しているかを、文学研究者の直観や主観に依拠していた従来の方法ではなく、単語ベクトルの類似度によって数値化、分析し、明らかにした。具体的には、アメリカの作家ハーマン・メルヴィルの作品を複数取り上げた。Project Gutenbergで公開されているテキストを年代順にいくつか取り上げ、fastTextで単語ベクトルを生成、重要度の高い単語に焦点を絞り、それらの類似度と、fastTextが提供している英語の学習済みモデル(fastText (en))における同じ単語での類似度を比較し、総合的に解釈した。その結果、単語の含意が年代や作品毎に変遷していることが数値により明らかになった。
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若林 直希, 杉浦 巧, 井原 史渡, 渡邊 凌也, 岸本 大輝, 日笠 敬大, 栗原 聡
セッションID: 1M1-OS-20a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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2019年にCOVID-19が報告されてから2022年現在においても収束の目途は立たず,ほとんどの国や地域に感染が拡大している.感染の拡大という不確定要素の高い事象を対処するうえで,感染者数や重症者数の予測することや,感染拡大を抑える政策の効果を推定することは重要である.これらの予測,推定を行うために数理モデルを用いた予測が一般的である.しかし,数理モデルのような統計的手法では人の行動変容を考慮した感染予測を行い予防策の効果を推定することは困難である.本研究では,現実世界を模した環境をべき乗則に従ってエージェントが行動し,エージェント同士の接触によって感染がスモールワールド状に広がっていくマルチエージェントシミュレーションを構築した.また,緊急事態宣言をエージェントの移動の抑制として,ワクチン接種を感染確率の減少としてシミュレーションに入れ込んで予防策の効果を推定することが出来るように設計し,過去の感染拡大の再現ができた.人流の多さを仮定し,最新の変異株を考慮した網羅的な感染拡散の予測のシミュレーションした.
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渡邊 凌也, 井原 史渡, 若林 直希, 杉浦 巧, 高村 大輝, 栗原 聡
セッションID: 1M1-OS-20a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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冪乗則に基づいた移動を行う人をエージェントとし,ネットワーク関係で繋がった都市を環境としたマルチエージェントシミュレーションを構築することで,COVID-19の感染現象に関する考察をした.COVID-19の感染現象の解明の多くには,SIRモデルを代表とする数理モデルが利用されているが,解釈性は高いものの,人々の接触ネットワークを均質なモデルで仮定しており,現実を反映しているとは言い難い.そこで,現実に即したネットワークモデルによってシミュレーションを行うことで,ワクチン接種や集団免疫に関する考察をした.現実の感染現象を観察することで得られた都市のネットワークに関する仮説に関して,シミュレーション内でいくつかのシナリオを比較することで検証することができた.本研究で得られた性質は,COVID-19だけではなく,他の感染症にも応用可能であり,数理モデルと比較することで,感染症の伝播に対する理解が深まると考えられる.
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伊藤 公人, 伊藤 正彦
セッションID: 1M1-OS-20a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により,科学的知見に基づき各国政府に流行対策について助言する専門家の役割が注目されている。近年の感染症の診断技術の発展と情報通信技術の利用により,世界の感染状況がリアルタイムに共有されるようになった。感染症の専門家は流行に関する多種多様なデータを迅速に解析し,政府が今どのような対策を取るべきか判断するに足る材料を提供しなければならない。本稿では,感染症の流行に係る諸要因について,情報可視化の観点から概説し,感染症対策において,どのような情報可視化が必要となっているかを考察する。多種多様な感染症データを同時に可視化し,数理モデルの構築・評価を可能とするインタラクティブな感染症データ可視化・解析システムが今後実現されることを期待する。
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水門 善之, 田邊 洋人, 和泉 潔
セッションID: 1M1-OS-20a-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は,人々の行動に様々な影響を与えている.未知なるウイルスの広がりに対する人々の警戒は,外出の自粛など,様々な行動変容をもたらしている.本研究では,コロナ禍における人々の感情の変化を計測するために,代表的なソーシャルメディアであるTwitterを通じて発信された,人々のコロナ関連のコメントに基づく,主要な感情の数値化を行った.更に,本研究では,数値化した“嫌気”や“恐怖"等の感情値の推移と,日本各地における人出との関係を検証した.結果,コロナに関連する人々のネガティブな感情値が高まると,1カ月程度のラグを伴って,人出が減少する(外出の自粛度合いが高まる)傾向を確認した.人出はサービス業を中心とした,様々な経済活動と密接に関連する.これらを踏まえると,本研究で示した,コロナに関するTwitter情報に基づく感情値が,人出(外出の自粛度合い)の変化に対して先行するという特性は,コロナ禍における短期的な経済活動の変化を予測する上での,Twitter情報の有効性を示す内容と言えよう.
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村上 弥夢, 橋本 康弘
セッションID: 1M1-OS-20a-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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COVID-19のパンデミックの下、ソーシャルメディア上では様々な正誤情報が拡散され、ユーザーの混乱を招いている。近年、Twitterのリツイートと呼ばれるメッセージ転送によって形成されるネットワークのコミュニティ構造を発見することによって、偽情報・誤報の拡散のメカニズムを探る研究が相次いで行われている。本研究では、COVID-19ワクチンに関連するリツイートネットワークを対象に、情報の流れ方向に基づくコミュニティ検出手法を従来手法と比較した。しかし、得られたコミュニティ構造は両者とも同様であった。これは、ネットワークの方向性が弱いためではなく、エッジの重みが同調し、グループ内に存在する経路に起因するものと考えられる。
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村上 綾菜, 伊藤 貴之
セッションID: 1M4-OS-20b-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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近年,個々のデータの関係性を表現する可視化手法であるグラフが多様な分野において使用されている.例えば,SNSの繋がりを可視化するために,各アカウントをノードで,アカウント同士のフォロー関係をエッジで表現する.グラフは有用な可視化手法である一方で,ノードのレイアウトが可読性の高さを非常に大きく左右する.特に,複数のノードの集合で構成される階層型グラフは,大規模なグラフの概要を効果的に可視化する手法として知られているが,接続関係の複雑化,メタ情報考慮の必要性の観点から可読性の高いレイアウトの生成が非常に難しい. グラフのレイアウト生成には,従来から多くの手法が研究されてきたが,必ずしも自在なレイアウトが実現できるとは限らない.また近年では,深層学習を用いたグラフレイアウト手法が活発に議論されているが,まだ階層型グラフのレイアウト生成には至っていない. 本報告では,階層型グラフのレイアウト改善に着目し,深層学習を用いたレイアウト生成モデルを提案する.評価の高いグラフのみを学習データとしたモデルを用いて,階層型グラフのレイアウト改善に取り組む.
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宮城 優里, 大西 正輝
セッションID: 1M4-OS-20b-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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本発表では,機械学習の品質評価支援を目的として,モデルの特徴やその調整作業の過程を可視化する手法を提案し,実行結果として複数のCNNモデル間の差分についての可視化事例を紹介する.近年,学習データの性質やモデルの構造,出力といったモデル自体の情報を対象とする可視化手法は多数発表されている.その一方で,モデルの設計者に関する情報を含めて可視化する手法は少ない.モデル作成過程での作業者の積極的な介入(Human in the loop)はモデルの精度向上に有効であると認められており,作業者の情報を含む可視化はモデルの性質の詳細な理解,調整作業の評価,有効な改善策の提示などに有用であると考えられる.そこで我々は,「複数のモデルの比較可視化」「モデル作成に関わった作業者の感性に関する可視化」に注目し可視化ツールの設計を進めた.機械学習の実験管理ツールであるComet.mlを用いてモデルの構造や精度を記録し,これらのログに基づいて作業者の調整内容やモデルの構造に生じた差分を算出し可視化する.
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中井 祐希, 伊藤 貴之
セッションID: 1M4-OS-20b-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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J-POPなどの歌唱曲の鑑賞において歌詞が与える影響は大きい。そこで歌詞にもとづいた楽曲の分類・探索が有用となる。ここで歌詞に対して抱く印象は主観的であるため、歌詞の探索基準への満足度にも個人差が生じやすい。この問題に対して我々は、歌詞の分布を可視化することで、能動的な歌詞探索を支援する研究に取り組んでいる。しかし、論文や記事などと比べて歌詞は語彙の自由度が高いため、満足度の高い可視化結果を得ることが難しい。そこで本研究では、ガイド付きLDAを用いて対話的にガイド単語を入力し、そこから算出された歌詞の分布を可視化する手法を提案する。この手法により、ユーザの求める視点にもとづいた歌詞の分類結果を可視化によって示すことが容易になる。また,他の音楽要素を加味せずに歌詞のみに着目して楽曲群を探索することが可能になる.ユーザは可視化結果を用いることで,楽曲やアーティストの個性や傾向の違い,歌詞の流行や多様さを観察できる.
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森越 彩楓, 大西 正輝, 伊藤 貴之
セッションID: 1M4-OS-20b-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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COVID-19の猛威により人流分析の議論が活発化し、その可視化の研究も進んでいる。ここで感染症対策の中でも「人の近接を減らす」ことの効果は大きい。一方で人流の可視化において、人の近接にもとづいた手法は少ない。そこで本研究では、近接者を接続したネットワークから近接者クラスタを発見し、その人々の歩行経路を可視化する手法を提案する。これにより、近接が発生しやすい場所や時間帯を発見し、また異なる集団にまたがる近接の原因などを発見できる。本手法は実測された人流だけでなく人流シミュレーションへの適用も可能である。
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澤田 頌子, 豊田 正史
セッションID: 1M4-OS-20b-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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機械学習モデルは多様な分野で高い性能を発揮しているが,実世界でモデルを用いた意思決定が為される場合にはモデルに対する信頼が必要不可欠である.モデルの解釈性を向上させ,モデルやその予測結果を信頼できるものにするために様々なアプローチが提案されている.その中でもモデルをブラックボックスと見なして予測の根拠を提示する手法は,機械学習の知識がない他分野の専門家やエンドユーザも理解できる有効な手法である.本研究ではこのような説明手法を採用して,モデルの信頼性の評価と改善を支援をするための可視化分析を提案する.具体的には個別の入力データに対して予測根拠を提示する局所的な説明手法を複数用いて,大量の入力データに対して局所的な説明を生成しヒートマップで可視化した.これによりモデルの広範囲に影響を及ぼす特徴量を明らかにし,同時に個別の予測結果に対する詳細な分析を可能にした.また本手法を糖尿病の分類タスクなどに適用し,モデルの信頼の評価における有効性を検証した.
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津田 幸悟, 柴田 祐樹, 高間 康史
セッションID: 1M5-OS-20c-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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本発表では,時空間動向情報の視覚的分析を対象として,可視化生成に至るインタラクションを可視化キューブに基づくインタラクションモデルに基づいて分析する方法について検討する.時空間動向情報の探索的分析におけるユーザの探索行為をモデル化するために,可視化キューブが提案されている.可視化キューブは視覚的分析インタフェースの設計に有効であるが,ユーザのメンタルモデルの外在化や,探索において発生したインタラクションの分析にも有効と考える.本発表では,可視化キューブに基づく視覚的分析インタフェースをVega-liteを用いて実装し,可視化キューブを提示した場合としない場合それぞれについてユーザ実験を行い,収集したインタラクションログを分析した結果について報告する.また,可視化生成に至る探索の過程をストーリーテリングに活用する可能性についても検討する.
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山中 理沙, 沖 拓弥
セッションID: 1M5-OS-20c-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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良好な住環境を形成する上で,住宅地を構成する街路空間の印象は重要な要素の一つである。しかし,①景観の変化によって,人々が街路から感じる印象がどのように変化するか,あるいは,②街路の印象向上のために,どのような景観変化が必要であるかを定量的に検討することは容易でない。そこで本論文では,大規模被験者アンケートをもとに構築した深層学習ベースの街路印象評価モデル[木澤・沖 2021]と,敵対的生成ネットワーク(GAN)をベースにした街路景観変化予測モデルを統合することで,街路景観画像と印象評価値の変化を統合的に予測可能なシミュレーション手法を開発した。街路景観変化予測モデルでは,(1)CycleGANを用いることで,特定の印象評価項目のスコアが高くなるように,街路画像の特徴の一部を変換した比較的自然な画像の生成を可能とし,(2)VAEGANを用いることで,CycleGANで生成した景観画像の変化量の調整や,複数の景観変化の折衷案に相当する画像の生成を可能とした。また,Google Street Viewで抽出した住宅地の街路景観画像を例に,施策検討や合意形成ツールとしての本手法の有用性を示した。
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上田 叶, 脇田 建
セッションID: 1M5-OS-20c-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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人間の共同活動において、会話は必須のアプローチである。こうした会話を分析することは政治学や社会学などの学術分野だけでなく、企業のマーケティングや流行の分析など様々な分野で関心を持たれている。そこで本研究は、数日間に及ぶ超長期の会話記録を用いた分析を行う。本論文では対象となる会話データとしてNASAが1961年から行なったアポロ計画のうち、有人月面探査を目的としたアポロ11号から17号までの会話通信記録を用いた。 会話データの対象となる期間が長くなることで、扱う発言数が膨大になるという課題が存在する。そこで本研究では複数の発言をまとめて一つの「会話」と定義し、会話単位で可視化分析を行った。それにより 1万を超える発言を最小で数百の会話列とみなし分析をする。また、本研究ではこの提案を踏まえてアポロ計画の会話記録を分析するための Visual Analytics システムを開発した。そしてこのシステムを用いたユースケースを通して、本提案手法により超長期間の会話記録の有用な分析が可能であることが示された。
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小林 一樹, 脇田 建
セッションID: 1M5-OS-20c-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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本論文では自然言語処理(NLP)におけるバイアスの緩和(デバイアス)の研究における新たな基準を提案する。近年のデバイアスの研究は、各論文の論文内で定義されたバイアスに関する指標の改善のみに注視しており、デバイアスによるNLPタスクを解く能力に対する影響はほとんど考慮されていない。我々はこの問題に着目し、デバイアスされた単語ベクトルがNLPのタスクを解く能力が劣化していることを数値実験を通して発見した。また、その原因をデバイアス前後のモデルをクラス単位、分類単位、サンプル単位で比較することができるVisual Analytics(VA)システムの作成や、既存の機械学習の説明手法を利用して調査し、単語ベクトルが分類タスクや質問応答タスクを解く際に重要な情報を失ってしまっている可能性があることを発見した。本研究は、NLPにおけるデバイアスによるモデルや単語ベクトルの劣化を調査した初めての研究である。
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高塚 遼市, 森山 甲一, 武藤 敦子, 松井 藤五郎, 犬塚 信博
セッションID: 1N1-GS-5-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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社会では個人の利益と公共の利益のどちらかを優先しなければならない社会的ジレンマという状況が存在する。私たち人間はそのような状況下で常に個人の利益を優先するわけではないことがわかっている。一方、強化学習エージェントは報酬を最大化することが目的なため、個々の利益を最大化してしまい社会的ジレンマ下では都合が悪い。そこで、報酬から効用を導出する関数を進化計算で求め、その効用を強化学習に適用することで、社会的ジレンマのモデルの一つである2人囚人ジレンマゲームで協調行動を導く手法が提案された。しかし、この手法では効用関数の形が決まっており、係数のみ進化させたためどのような関数が適しているか明らかでない。そこで本研究では、関数そのものを最適化するため、任意の関数を表現可能なニューラルネットワークの一種である3層パーセプトロンを用いて、その重みを進化計算で求める手法を利用し、相互協調は発生するのか、その際の効用関数について調べることを目的とする。2人囚人のジレンマゲームにおける実験の結果、中間層のニューロンが少なくても、相互協調が起こる特徴的な効用関数を得ることができた。
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