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堤 瑛美子, 郭 亦鸣, 植野 真臣
セッションID: 2D6-GS-2-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
近年,教育現場ではオンラインラーニングシステムで収集された教育ビッグデータをいかに活用するかが課題となっている.人工知能分野では,これらの教育ビッグデータを用いて学習者の能力値の変化や課題の特性を分析するための機械学習手法が多く提案されてきた.さらに,学習者の課題への反応を予測することにより,学習者への適切な支援を行うアダプティブラーニングが注目されている.Tsutsumiら(2021)はアダプティブラーニングのために深層学習手法と項目反応理論を組み合わせ,パラメータの解釈性をもちながら高精度な反応予測を可能とするDeepIRTを開発した.しかし,DeepIRTでは学習者の潜在的な能力値を推定する際に最新の学習データのみを用いるために,過去の学習データを十分に反映できず,能力値変化を適切に捉えられていなかった可能性がある.本研究では,DeepIRTに新たなhyper-networkを組み合わせ,学習者の過去の学習データと最新の学習データの重要性を推定することで両者のバランスを最適化しながら能力値推定を行う.評価実験では,提案手法が最先端の機械学習手法を上回る反応予測精度を示した.
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小関 義博
セッションID: 2D6-GS-2-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
敵対的サンプルとは、モデルへの入力に摂動を加えることでモデルが誤った結果を出力するように生成された入力であり、物体検知においては印刷されたパッチ画像を配置することで対象の検知を回避する攻撃手法が知られている。本稿では、このような物体検知における敵対的サンプルパッチ攻撃への対策技術として、入力画像において敵対的サンプルパッチによる攻撃が行われているか否かを検知する技術を提案する。本技術では、物体検知における閾値に達しない認識スコアの値を用いて敵対的サンプルパッチの位置を推定して塗りつぶしによる処理を行う。本技術がランダムな分類にくらべて十分に有効であるとINRIA Personデータセットを用いた検証によって示す。
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池田 健一郎, 浦野 昌一
セッションID: 2D6-GS-2-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
近年、再生可能エネルギーへの注目が高まっている中、太陽光発電は固定価格買取制度などの国の積極的な政策により導入量が増加傾向であり、それに伴い太陽光発電の活用が高まっている。太陽光発電は気象状態に影響を受けやすく、特に日射量が太陽光発電量と強い相関性を持つことから、太陽光発電量予測と同時に日射量予測の研究が盛んに行われている。しかし、太陽光発電は、気象に依存しやすいことで安定的な供給に課題がある。電力系統運用の発電計画を立てる際には、各発電の発電量を正確に把握する必要があるため太陽光発電量の高精度な予測が必要とされている。本研究では、気象データの特徴を捉えた分類モデルの構築を行い日射量予測の精度向上を目的とする。 筆者らはこれまでの研究において、気象庁が提供している天気概況を用いて決定木により分類モデルを作成し天気状況を予測した後、XGBOOSTを用いて日射量予測を行った。本稿では、気象データにクラスタリング手法を用いて新たな天気状況分類を作成し、より日射量予測に適した天気状況分類モデルを構築することで、日射量予測の精度向上を目指した。
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中山 聖也, 浦野 昌一
セッションID: 2D6-GS-2-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
電力は日々、各電力会社の需要想定に基づいて供給が行われている。電気は貯めておく事が難しい特徴を持つ為、常に需要と供給のバランスを取ることが重要であり、このバランスが著しく崩れた場合は大規模な停電に繋がる可能性も存在する。電力需要は人々の生活と密接に関係しており、1日の中で昼にかけて増加し夕方以降低下する事や冷暖房の使用によって夏冬に増加する事といった日ごとや季節ごとの周期的な変動をする事が知られている。そのため、高精度な電力需要予測には時系列データの解析に適した手法を用いる事が望ましい。これらを踏まえて、従来の機械学習の手法としてRNNを用いた手法が存在し、RNNは短期的な依存関係の学習は可能である一方、長期的な依存関係の学習が難しいという課題がある。この課題を解決する手段の1つとしてRNNの派生の一種であるLSTMが提案されている。本稿ではこれらの2つの手法を電力需要予測に適用し、比較・検討する事で電力需要予測の高精度化を目指す。
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澤村 勇輝, 谷津 元樹, 森田 武史
セッションID: 2E6-GS-3-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
自然言語文中のエンティティ名を大規模知識グラフのリソースと対応づけるタスクであるエンティティリンキング(EL)は,質問応答や対話システムなどの基盤技術として注目されている.DBpediaを対象としたELツールとして,DBpedia Spotlight(DS)が提案されている.DSは多言語に対応しているが,特定の言語に特化したELを行うためには,自然言語処理ライブラリOpenNLPの対象言語モデルが必要となる.DSの多言語対応モデルを日本語ELに利用可能であるが,OpenNLPの対象言語モデルを用いる場合と比較して精度は低い.2022年1月現在,OpenNLPの日本語モデルは公開されておらず,DSの日本語対応モデルも公開されていない.本研究では,日本語形態素解析器SudachiをDSに導入し,DSの日本語対応モデルを開発することを目的とする.本研究で開発したDSの日本語対応モデルを用いて,日本語Wikipediaからランダムに抽出した記事の定義文に対して日本語ELを行い,DSの日本語対応モデルと多言語対応モデルの比較評価により,日本語対応モデルの有効性を示した.
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古崎 晃司, 江上 周作, 松下 京群, 鵜飼 孝典, 川村 隆浩
セッションID: 2E6-GS-3-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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「ナレッジグラフ推論チャレンジ」は説明可能性を有したAI技術の体系化と普及促進を目的とした技術コンテストである.このチャレンジでは,知識グラフとして表現された推理小説を用いた「1.犯人の推定」と「2.推定理由の説明」をタスクとしている.提供する知識グラフは,説明生成に用いられることを念頭に,対象とする小説の追加や知識グラフとして記述する内容の検討等の改良を重ねてきた. 本研究では,これまでの考察をもとに,説明生成に利用することを想定した知識グラフ構築におけるガイドラインを提案する.推論チャレンジで公開している8つの短編推理小説を対象とした知識グラフを元に記述内容の修正方針を検討し,10項目からなる知識グラフ構築のガイドライン案を作成した.さらに作成したガイドラインをそれら8つの知識グラフに適用し,その妥当性の検討を進めている.本発表ではガイドラインの概要と知識グラフに適用して得られた知見を報告する.
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山田 隆弘
セッションID: 2E6-GS-3-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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共有可能あるいは再利用可能な知識グラフを構築するためには、知識グラフの構築方法についての統一的な基準が必要になる。筆者は、2020年の本大会において、データベースの概念設計に使用されているEntity-Relationshipモデル(以下、ERモデル)に基づいて知識グラフ構築のための統一的な基準を作成する方法を提案した。この方法では、様々な知識グラフで共通に使用すべき概念をERモデルを用いて定義する。しかし、ERモデルでは、個々の命題を表現するための概念は定義できるが、複数の命題間に存在する関係を定義することはできない。人間の知識には命題間の関係(例えば、因果関係や順序関係)も含まれる。本発表では、命題間の関係をグラフとして表現するための統一的な基準を分節談話表示理論(Segmented Discourse Representation Theory、以下SDRT)に基づいて作成する方法を提案する。SDRTは、本来は談話(複数の関連した文の並び)の構造を分析するための理論であるが、この理論で提案されている談話構造の表現方法を利用すれば、複雑な知識をグラフとして表現することが可能になる。
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山本 泰智, 藤澤 貴智
セッションID: 2E6-GS-3-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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膨大で多様な生命科学分野のデータが知識グラフとして表現されているが,複数の主体による分散的な構築体制などの理由で,同一概念を表すべき識別子のURIに表記揺れが生じている.このため,繋がるべきデータが繋がらない事態が発生しており,知識グラフの本来の価値が発揮されていない.この問題に対処するために,URIのキュレーション支援アプリケーションを提案する.入力はキュレーション対象のRDFデータであり,出力はShEx形式のRDFスキーマおよびURIの表記揺れ情報である.提案アプリケーションは,与えられたRDFデータを解析してShExスキーマを自動生成する.この際,互いに綴りが類似した異なるURIなどの事例を抽出して提示する.利用者はこの結果を確認しながら,自身のRDF生成プログラムなどを適宜修正し,新たな版のRDFデータを生成する.以上の作業を繰り返したのちに,今度は利用者が自動生成されたスキーマを編集し,RDFデータ更新時などに検証するために用いることとする.このようにして自身の生成するデータが,所望の構造に従っていることを確認しやすい環境を構築でき,知識グラフの価値を高めることが可能になる.
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濱 健太, 松原 崇
セッションID: 2E6-GS-3-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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知識グラフはオブジェクト間の関係に着目した知識表現であり、質問応答システムや情報検索の分野で広く活用されている。機械学習におけるデータセットの大規模化、マルチモーダル化に伴い、単一の知識グラフにおける情報の欠損や不足を、画像や属性値などを持つ他の知識グラフを用いて補完する研究が重要視されている。異なる知識グラフ間で同一の対象を持つオブジェクトを見つけるタスクを entity alignment と呼び、マルチモーダル知識グラフにおいては Multi-Modal Entity Alignment (MMEA) と呼ばれる手法が提案されている。しかし、MMEAはオブジェクト間の関係、属性値、画像から得られる表現を共通空間上で一つの点に近づけるよう情報を統合するため、各情報の粒度が考慮されていない。本研究では関係、属性値、画像から得られる表現に確率分布を用いることで、各情報の粒度を分布の広がりとして捉える手法を提案した。提案手法は2つのマルチモーダル知識グラフにおける entity alignment タスクで、MMEAを上回る精度を達成した。
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近藤 新太郎, 原田 誠一, 佐久間 拓人, 加藤 昇平
セッションID: 2F1-GS-9-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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我々は,Siriに代表される対話エージェントの人間らしさ向上を目的として,対話内容の感情を反映した読み上げ顔表情動画の生成モデルを研究している.著者らの先行研究では,読み上げ表情の生成に必要なリップシンク表情・感情的顔表情の知識を異なるデータセットから学習することで,人間らしい顔表情を生成可能なモデルを提案した.しかし,入力データとして音素を用いたことや,生成結果のフレームレートが不足していたことから,生成結果が不十分となっている.また,生成結果は顔表情を点群で表した表情点の生成のみで,実表情は生成していない.本稿では,著者らの先行研究で提案したモデルを改良し,入力データに音声を用い,生成結果のフレームレートを向上させることで,生成表情点の品質を向上させる.また,モデルで生成した表情点動画を実画像の顔表情動画生成モデルに入力することで,感情的な発話動画の顔画像を生成する.顔表情動画生成モデルには,Zakharovらの提案する,表情点を入力として任意の顔画像に対し顔表情転移が可能なモデルを用いる.また生成された顔表情動画について感性評価を実施し,先行研究の結果と比較し考察する.
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津村 賢宏, 山田 誠二
セッションID: 2F1-GS-9-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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人間から共感を引き出す擬人化エージェントを実現する方法として,エージェントと人間間のタスクに注目し,タスク難易度とタスク内容が人間の共感を促進する可能性について,仮説を立てて実験的に調査した.実験は3要因混合計画で,タスク難易度とタスク内容とタスク前後の共感値の2×2×2の8条件である.結果,タスク内容要因の主効果は認められず,タスク難易度要因の主効果は有意傾向であった.また,タスク難易度とタスク前後の共感値に交互作用が認められた.結果として,タスク難易度が高いとき,タスク難易度が低いときよりも共感を促進した.
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立崎 諒, 大倉 光輝, 市川 淳, 秋吉 政徳
セッションID: 2F1-GS-9-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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年代に関係なく学校や職場、健康などで悩みやストレスを抱えている人は多い。今後、その問題に対処するためにカウンセリングの需要がより増えてくるだろう。カウンセリングに求められる態度として傾聴が挙げられる。傾聴は悩みやストレスを抱えている方の話を肯定的に受け入れ、その人に共感しながら聴くことが重要である。本研究では汎用性や導入の簡便性を考慮した上で、ビープ音やLEDの明滅などの単純な表現でエージェントの内部状態を伝達する手法であるArtificial Subtle Expression (ASE)に着目し、ASEを用いた傾聴エージェントを提案する。ここでは、人の感情とエージェントの表情が一致すると共感が成立することが示唆された研究やネガティブ感情では発話の音量が大きくなり感情の判断がしやすいことが示唆された研究等を参考にした。具体的には、発話の音量からネガティブ感情を動的に判定し、その感情に同調するようにフェードインのビープ音を出力することで傾聴の内部状態を伝達するロボットを実装した。本大会では、傾聴エージェントの基本構成やASEのアルゴリズムを中心に発表する。
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川崎 一賢, 小川 浩平
セッションID: 2F1-GS-9-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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複数地点に設置された半自律型対話ロボットを同時に遠隔操作する場合、異なるロボットへの操作切り替え時に、オペレータは切り替え先の文脈情報を迅速に理解する必要がある。そのため、状況に合わせた適切な要約表示方法を明らかにすることで、ユーザーに対して複数対話ロボットを通じた、より適切な対話サービスを提供できる可能性がある。そこで、本研究では、さまざまな会話状況に適した要約方法を提案し、一般的な要約よりも迅速に文脈を理解できるかどうか検証した。検証のため、まず対話ロボットの利用が想定される状況を、タスク指向性という観点から分類した。その中で、最も典型的な例として、雑談とテイクアウトの電話対応という2つの状況を設定し、それぞれの状況で提案する要約方法と一般的な要約方法を比べることで最適な要約方法を検証した。実験の結果、提案手法は会話内容をより正しく理解するのに役立った。
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岡 夏樹, 横田 喬介, 畑中 佑介, 花田 昴, 吉永 塁, 田中 一晶
セッションID: 2F1-GS-9-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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対話システムが家庭の日常場面で使われ続けるためには、エージェントが嗜好や主体性を備え、また、日常生活の中での対話以外の立ち位置を持っていることが有効であると考える。そこで本研究では、以下の機能を備えた音楽共同聴取エージェントを構築することを目的とした。1)聴取した楽曲により選好を形成する;2)自分と相手の選好を考慮して楽曲を推薦する;3)選好が分からない楽曲をかけてみる(好奇心駆動推薦);4)相手の反応が良さそうな発話を選ぶ;5)相手の反応が予想しにくい発話をしてみる(好奇心駆動対話);6)大規模言語モデルが保有する知識の推定に基づく対話制御。本論文では、試作版の構築により明らかになった今後の課題と展望について論じる。
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渡邉 七江, 岡田 昌也
セッションID: 2F4-GS-9-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
人が,複雑かつ不確実な実世界を理解するためには,実世界の事象を抽象化,意味付けするなどの「経験からの学び」(経験学習)が重要である.本研究は,経験学習を,人-実世界間のマルチモーダルインタラクションに由来する,記号創発過程ととらえる.本研究の目的は,経験を駆動する人の内的な情報処理過程を計算論的に表現し,このことで,人の経験の生成状態を推定する基盤モデルを構築することである.本モデルは,知能ロボティクスの信念システムや認知科学理論を統合した点に,特徴がある.経験学習のモデルケースとして環境学習を選定してビデオ分析を行ったところ,「行動結果による,過去の経験列の更新」,「信念の計算によって,経験を駆動すること」に対応した振舞いが確認されるなど,提案モデルの仮定が定性的に支持される結果となった.本研究は,学習者に「意味のある経験」の自律的な生成の仕方を学ばせるなど,実世界における行動変容を志向した知的ユーザインタフェースの開発をはじめ,次世代HCI研究のための基礎と位置づけられる.
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日笠 敬大, 川野 陽慈, 須賀 聖, 栗原 聡
セッションID: 2F4-GS-9-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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近年,オンライン映像配信業者の急成長やゲーム市場の世界的拡大により,コンテンツ制作の市場は拡大し続けている.その結果ストーリーやシナリオの需要が高まっている.しかしシナリオライターの人材不足や,一人のシナリオライターが作成できるストーリーパターンの制限が深刻な問題となっており,シナリオ生成におけるライターの創造性を刺激できるシステムの開発が求められている.現在物語生成の研究がさまざま行われているが,依然としてストーリーとして一貫したものを生成する手法は確立されていない.そこで本研究では,物語構造を利用してプロットを自動生成する手法とインタラクティブにプロットを作成する手法を提案した.そして物語構造を利用せず生成したプロットと全て人手で作成したプロットを比較し.評価を行なった.その結果物語構造を利用しプロットを作成することが有効であることが確認できた.さらにインタラクティブにプロットを生成する手法による有用性と課題を見つけることができた.
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平井 龍, 大橋 厚元, 郭 傲, 東中 竜一郎
セッションID: 2F4-GS-9-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
タスク指向型対話システムの性能は改善してはいるものの,すべてのユーザがタスクを完全に達成できるわけではない.特に,システムについての知識の少ないユーザは,システムに対しての話し方が分からず,対話破綻を引き起こしたり,タスクが達成できなかったりする.本研究では,対話の冒頭でチュートリアルを行い,システムが理解可能な発話を伝達することで,ユーザの発話理解を改善することを目指す.具体的には,ユーザはシステムに理解されると予想する発話を行い,それに対するフィードバックを用いたチュートリアルを実施する.MultiWOZのデータセットを用いてチュートリアルシステムを構築し,被験者を用いた発話理解実験によりその効果を検証した.
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高岡 椋雅, 曽我 真人
セッションID: 2F4-GS-9-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
クリエイターが風景画を描く際,現実に存在する建物を参考にすることが多いが,思ったような建物を探すのには時間を要する.一方,近年注目されている画像生成技術の一つに敵対的生成ネットワーク(GAN)がある.そのGANの派生技術であるPix2Pixは画像から画像への変換を可能にする.そこで,Pix2Pixを用いることにより,概略の条件画像からリアリティのある建物の画像を生成することで,デザインアイデアを生み出し,人がアイデアを考える時間を短縮することが可能であると考える.本研究では,システム利用者にラベル画像を描画してもらうことで,リアリティのある建物画像をリアルタイムで生成するデザイン支援システムの構築を行った.SUSによるユーザビリティーの評価を行い,アンケート調査を行った.
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植野 泰史, 曽我 真人
セッションID: 2F4-GS-9-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
龍笛とは,日本古来の伝統音楽である雅楽における吹奏楽器の一つである.この楽器は初心者にとっては演奏技術を習得するのが難しいものである.龍笛の演奏技術を習得するには熟練者に学ぶのが一番良いが,雅楽は特に時間的または費用的な制約のために,その機会は限られている.そこで,本研究では,音声処理技術を用いて,初心者が龍笛を演奏すると,その演奏の音の高さやタイミングが正しいかどうかを機械的に判定し,結果のフィードバックを提示するシステムを構築し,これにより龍笛の演奏技術の上達が期待できそうかについての研究を行った.評価実験の結果から,本システムにより龍笛の演奏技術の上達が期待できるが,システムに改善すべき点が多くあることも分かった.
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鳥居 拓馬
セッションID: 2F5-OS-16a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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人間は既存の知識を転用して新規な問題を解ける.これは知識の転移と呼ばれる.これまで認知心理学などでは概念的な知識の転移に関して議論が見られるが,連続時空間的な運動スキルの転移に関しては議論は多くない.本発表では古典的な運動制御課題「倒立振子課題」を題材として運動スキルの転移を分析した.転移元課題の最適な制御器を転移先課題の最適な制御器に適合・一致できることを示した.
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小堀 聡
セッションID: 2F5-OS-16a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
本研究では,知覚運動課題として,消滅課題と反転課題についての実験を行った.消滅課題には,ターゲット消滅とカーソル消滅の2種類があり,それぞれ,ターゲットもしくはカーソルが,ある時間だけ表示されない.消滅課題の実験では,ターゲット消滅とカーソル消滅の間の非対称な学習の転移が示されたが,これはそれぞれの条件での異なる内部モデルの存在とそれらの内部モデルの階層的な関係を示唆している.一方,反転課題には,左右反転,上下反転,上下左右反転の3種類があり,ジョイスティックの操作方向とカーソルの移動方向の関係が,それぞれの方向において試行途中で反転する.反転課題の実験では,反転に対して被験者が学習すること,また,その制御成績は反転の種類によって異なることを示すとともに,学習の転移は正と負がともに見られることを確認した.そして,学習の転移に関わる要因について検討した結果,従来より言われていた単なる課題の類似や拮抗という点だけでなく,課題の難易度や学習の順序も転移に関係してくることが示され,内部モデルのモジュール性との関係も示唆された.
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江原 遥
セッションID: 2F5-OS-16a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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学習支援システムにおける適切な学習事項の提示には,学習者が既習/未習の学習事項の把握が重要である.外国語語彙学習では,初学者が学ぶ高頻度語は簡単とみなされやすいが,高頻度語の多くは多義語であり,学習者はその内の典型的な語義しか知らないと予想される.信頼できる語彙テストは典型的な語義の知識のみを問うているため,意外な語義についてはデータセットが未整備であり学習者の知識の計測が難しい. 本研究では,典型的な語義の知識を問う語彙テストの反応データを用いて,その学習者が意外な語義をも知っているかを予測する課題に挑戦する.そのため前者を訓練データとした後者の予測手法を提案する.意外な語義の知識を問う設問を英語母語話者の確認の元,作成した.意外/典型的な語義双方の設問を用意しクラウドソーシング上で反応を収集した.深層転移学習手法を改良し,学習者ごとに異なる予測の必要がある本課題に適用可能にする手法も提案する.深層転移学習手法と,能力のモデル化で多用される項目反応理論で予測性能を比較し,前者が高いことを示す.深層転移学習手法で,項目反応理論のように学習者の能力を抽出し解釈性を高める手法も提案する.
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塚村 祐希, 麻生 裕樹, 植田 一博
セッションID: 2F6-OS-16b-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
強化学習モデルのフレームワークは,人間の学習や意思決定を説明する枠組みとして支持されている.一方,強化学習において,状態の次元が増加すると,学習の効率が大きく低下するということが知られている.人間を取り巻く環境は多くの特徴次元を持っているため,人間がそれらをどのように処理しているのかについて近年盛んに調べられている.先行研究では,人間はすべての特徴次元を等しく処理していると想定しているが,次元間で学習への利用のされやすさに差があると考えられる. 本研究では,先行研究の課題を改変し,色などのより顕著だと想定される次元と,位置というより無視されやすいと想定される次元を含む学習課題を作成した.強化学習モデルをベースにした階層モデルに基づいて分析した所,次元間の学習率パラメータに差が見られた.このことから,「関係しうる次元の候補を制約する要因」の存在が示唆される.一方,条件間の学習率パラメータには大きな差が見られなかった.このことから,注意がその要因であるか否かは明らかにならなかった.
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上野 史
セッションID: 2F6-OS-16b-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
本研究では,マルチエージェント強化学習において,あえて限られた情報で協調行動を学習することで,学習する知識を単純でより効果的なものに蒸留し,その知識の転移と結合による未知環境への展開を目指している.本稿では,その知識の蒸留の手法として,エージェント間の暗黙的協調行動学習法を提案する.具体的には,報酬関数が主体となるエージェント自身の行動のみで変化する項,他エージェントのみの行動により変化する項,そしてエージェント間の相互作用により変化する項の三つに分割可能であるという仮定を置き,獲得報酬から他の項を想定した自身の獲得報酬最大化および安定的な学習を同時に実現させる.特にマルチエージェント強化学習では,獲得報酬に含まれる他エージェントの振舞いの影響を推定し,互いの獲得報酬を最大化させることが重要であるため,提案手法では獲得報酬に含まれる他エージェントの振る舞いの影響を暗黙的に推定する.実験では,従来手法よりも利用する情報を少なく同等以上の性能を発揮し,獲得した知識の有用性の高さを示した.また,本稿では提案手法による結果から知識転移に関する考察と展望を述べる.
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田澤 龍之介, 鳥居 拓馬, 日髙 昇平
セッションID: 2F6-OS-16b-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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身体は高次元・高自由度の系であり,特定の課題達成に向けて取り得る軌道が無数に存在する.つまり,不良設定性を有する運動系である.しかし,最適制御な難しさに関わらず,滑らかな特定の軌道の生成により目標運動を実現する.本研究では,人間の腕のモデルとして,二重振り子を用い目標に向けてボールを投げる投球課題の学習を行う.また,高次元・高自由度の環境における効率的な学習方法として,カリキュラム学習がある.これは,課題難易度の段階的な変更により学習性能の向上を図る手法である.本研究では,二重振り子を関節ごとに分割することにより,単振り子の最適制御問題として課題の学習を行う.これにより,次元・自由度が低くなり,課題の達成が可能にとなると考えられる.カリキュラム学習を用いた多関節制御器の投球課題シミュレーションにより,不良設定問題の解消,つまり,身体運動における特定の運動生成の機序の解明を目指す.
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小田 直季, 内田 智之, 正代 隆義, 松本 哲志, 鈴木 祐介, 宮原 哲浩
セッションID: 2G4-GS-2-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
フリー
順序木の集合を訓練データとする学習済みグラフ畳み込みネットワーク(GCN)の予測根拠を可視化する質問学習アルゴリズムを提案する。本稿で提案するアルゴリズムは、計算論的学習理論における学習モデルのひとつである質問学習モデルに基づいており、学習済みGCN Mをオラクルとして動作する。順序木の集合D中の複数の順序木Xを入力とし、オラクルMへの質問をXのサイズの2乗回程度繰り返すことで、順序木パターンを表現としたMの予測根拠を可視化する。さらに、順序木パターン(学習目標のパ ターン)がマッチする順序木の集合Dに対して、Dの部分集合を訓練データとする学習済みGCNを作成し、それをオラクルとして提案アルゴリズムを動作させ て、その出力である順序木パターン(可視化のためのパターン)の評価実験を行ったので、その結果を報告する。
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宮原 哲浩, 鈴木 祐介, 久保山 哲二, 内田 智之
セッションID: 2G4-GS-2-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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木構造データから特徴的構造を獲得するための機械学習手法が注目されている. 本研究では,正事例の木構造データのラベル情報を利用する進化的学習を用いて,正事例と負事例の木構造データを分類する複合的なワイルドカード付きタグ木パターンを獲得する手法を提案する.
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武田 直人, 内田 智之, 正代 隆義, 松本 哲志, 鈴木 祐介, 宮原 哲浩
セッションID: 2G4-GS-2-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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記号列の集合を訓練データとする学習済みLSTM(Long Short Term Memory)の予測根拠を可視化する質問学習アルゴリズムを提案する。本稿で提案するアルゴリズムは、計算論的学習理論における学習モデルのひとつである質問学習モデルに基づいている。提案アルゴリズムは、学習済みLSTM Mをオラクルとして動作する。記号列の集合Dの複数の記号列Xを入力として、オラクルMへの質問をXのサイズの線形回数だけ繰り返すことにより、Mの予測根拠を、線形パターンを表現として可視化する。さらに、線形パターン(学習目標のパターン)がマッチする記号列の集合Dに対して、Dの部分集合を訓練データとする学習済みLSTMを作成し、それをオラクルとして提案アルゴリズムを動作させて、その出力である線形パターン(可視化のためのパターン)の評価実験を行ったので、その結果を報告する。
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嶋田 香, 松野 省吾, 荒平 高章
セッションID: 2G4-GS-2-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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頻出アイテムセットを取得することなく、統計的特性を背景にもつ属性の組み合わせを発見する方法を世代継続的に成果を蓄積していくことを特徴とする進化計算を用いて提案する。この方法は、説明変数となる多数の属性と統計的特性の注目対象となる2つの連続変数からなるデータベースから、2つの連続変数の間に高い相関がみられるような属性の組合せを直接に発見する。提案手法は、大規模データからの統計的背景を有する小集団の発見を実現しようとするものであるが、頻出アイテム集合の概念の拡張、アソシエーションルール表現の一般化の基礎となるものである。
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隅田 莉香子, 山口 裕人, 中井 智也, 西本 伸志, 小林 一郎
セッションID: 2G5-OS-18a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
会議録・要旨集
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音声会話刺激における脳内状態推定において,音声スペクトログラムを音声特徴量として脳活動データに3種類の深層学習モデル(Bi-LSTM/Bi-GRU/Bi-RNN)を用いて推定する実験を行ない、それぞれのモデルの推定性能の比較を行った.どのモデルにおいても大きな差異はなく、音韻や文法処理を司るとされる耳に近い脳領域に反応が見られた. さらに、聴覚刺激をテキストに興し、言語特徴量を用いて脳活動推定を行なった.埋込ベクトルに変換する汎用言語モデルにはRoBERTa/BERT/word2vecを用いた.本実験では,耳の周辺領域に限らず脳内における広い言語領域で反応が確認できた.
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湯川 直旺, 鈴木 雅大, 松尾 豊
セッションID: 2G5-OS-18a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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脳活動データからのinner speechのデコードは, 障害を抱えた患者の意思疎通の円滑化や, メタ認知理解などに繋がると考えられる. 先行研究では, 深層学習モデルEEGNet を用いて実験が行われたが, 4 クラス分類のタスクで30% ほどの正答率であった. ここで, 転移学習を用いた特徴量抽出の精緻化が有効であると考えられる. しかしinner speech に転移学習が用いられた研究は未だなく, EEGデータ一般でも, 異なるタスクのデータや, EEG以外のデータの転移学習における有効性については, 十分に検証がなされていない. 本研究では, inner speech データセットに, ドメインやデータ量の異なるデータセットを用いた転移学習を行い, 特徴量抽出の改善を検証した. 結果, 異なる被験者のデータを用いた転移学習による精度の向上が確認できたが, 異なるタスクのEEGデータを用いた場合は精度は改善しなかった. 一方で画像データセットは, 凍結する層を工夫することで, EEGデータとは性質が異なるにも関わらず, 精度の向上が確認された.
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新田 恒雄, 桂田 浩一, 入部 百合絵, 田口 亮, 篠原 修二, 河合 剛
セッションID: 2G5-OS-18a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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音声言語に関する脳研究では,脳皮質上のセンサーを用いて発話時の脳波(electrocorticogram: ECoG) を検出する研究が先行している.一方,頭皮上のセンサーを用いて音声想起 (speech imagery) 時の脳波(electroencephalogram: EEG) を検出すると共に,言語情報を取り出す研究は,実現されるなら応用が格段に広がるが,現状,未解決問題が少なくない.本報告では,脳波から言語情報へのデコーディングを脳におけるロゼッタストーンを読み解く過程になぞらえ,両者を繋ぐ調和解析,言語表象(linguistic representation)抽出,およびアクセント情報抽出までに存在する諸々の課題と解決に至るまでの過程について,基本的考え方を中心に説明する.
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田口 亮, 新田 恒雄
セッションID: 2G5-OS-18a-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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近年,統計的機械学習や深層学習の技術を用いて,想起した言語情報を脳波からデコードする研究が行われている.学習には多くの教師ラベル付きデータが必要となるが,このような課題に適したラベリングツールは存在していない.我々は,学習データセットの構築を効率化するため,音声想起用ラべリングツールの開発を進めている.前報では,Hidden Markov Modelの音節アライメントを用いた半自動ラベリング機能の実現可能性について報告した.本報では,部分空間法や深層学習により算出された音節の類似度系列を用いたラベリング支援機能について報告する.
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山尾 元陽, 入部 百合絵, 田口 亮, 桂田 浩一, 新田 恒雄
セッションID: 2G6-OS-18b-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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音声想起時脳波から想起内容を識別するBCI(Brain Computer Interface)の基礎研究が始まっている.報告者らは,利用者への負担が少ない非侵襲的な方法で,頭皮から脳波(Electroencephalogram; EEG)信号を取得すると共に,これまで目視ラベリングの結果を用いて日本語の短音節情報を抽出し,短音節を認識する手法を提案してきた.本報告では,音声想起(speech-imagery)時の脳活動から線形予測分析 (LPA) 処理を行うと共に,電極の空間スペクトル情報を分析する.また,分析結果をもとに,5名の被検者に対して音節ラベリングを行い,音節区間から子音と母音データ抽出した後,音素毎の固有空間を学習し,不特定被検者に対する音素認識実験を行った結果を報告する.
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鈴木 大裕, 山尾 元陽, 入部 百合絵, 田口 亮, 桂田 浩一, 新田 恒雄
セッションID: 2G6-OS-18b-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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音声想起時脳波から想起内容を識別するBCI(Brain Computer Interface)の基礎研究が始まっている.現在の識別手法は,想起内容を識別するために想起区間を知る必要がある.しかし,取得した脳波(Electroencephalogram; EEG)データから想起区間を特定することは困難であり,音声想起(speech-imagery)の実験では,「無想起区間を含んだデータ」,または「目視による音節ラベリングを行ったデータ」に対する識別という形を取ることが多い.目視による音節ラベリングは,音声想起区間のみを識別に用いることができるが,この過程の自動化は実現していない.本報告では,音声想起区間を自動検出することを目的として,利用者への負担が少ない非侵襲的な方法で,頭皮から脳波信号を取得し,音声想起区間と無想起区間の自動分類を行った.音節ラベルのついた音声想起データと無想起データから複素ケプストラムを特徴量として抽出し,10分割交差検証(被検者1名の各100サンプル区間を使用)で分類・評価を行った結果について報告する.
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福田 拓朗, 澤田 隼, 大村 英史, 桂田 浩一, 山尾 元陽, 入部 百合絵, 田口 亮, 新田 恒雄
セッションID: 2G6-OS-18b-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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音声想起(speech-imagery)時における脳波から想起内容を解析するBCI(Brain Computer Interface)の研究が盛んに行われている。しかし、想起音声の言語特徴量である音高アクセントに着目した研究報告は少ない。本報告では、まず非侵襲的な方法で測定した脳波(Electroencephalogram; EEG)信号について,電極に対するプーリング処理から線スペクトルパターンを得て,目視による音節ラベリングを行い、音節想起区間を特定する。続いて,音節想起時EEG信号から振幅スペクトラムを計算した後,複素ケプストラムを求め,学習データからアクセント別に固有空間を設計する。最後に5分割交差検証により,部分空間法,およびテンソル積を用いた混合類似度によりアクセント識別実験を行った結果を報告する。
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伊藤 孝行, 松尾 徳朗, 大沼 進, 白松 俊
セッションID: 2H5-OS-11a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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概要本研究では、ソフトウェアエージェントと人間が一緒に参加するソーシャルネットワークでの民主主義(ハイパー民主主義)のための合意形成プラットフォームを実現する。AI、スマホ、インターネットなどの急激な発展とCovid-19による急激な環境の変化により、新しい社会システムの実現が一層現実味を帯びている。具体的には、民主主義の基盤としてのソーシャルネットワークの中に、複数のエージェントを常駐させ、人間の代理として働き、意思決定やインタラクションを仲介し、より良い合意形成や集団意思決定を支援する。特に、意見や好みを収集しながら、各参加者の感情にも寄り添った代理行動を行い、人間の主体的かつ納得感のある合意を効率よく得られるように支援する。すなわち、人間の主体感・納得感を醸造する寄り添う合意形成とエージェントの超効率的・超合理的な合意形成とのトレードオフを解決する。SNSでは、炎上、フェイクニュース、集団分極化、ゲリマンダリングなどの社会的諸問題が指摘されているが、エージェントが人間と協調しながら諸問題を解決する。
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Rafik HADFI, Takayuki ITO
セッションID: 2H5-OS-11a-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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Deliberation on social networks is shaping the future of democratic processes and public discourse. With the increasing scale of social networks, it is however difficult to understand how deliberative processes work at scale and how they could be automatically optimised. Identifying deliberative processes in online debates and understanding their evolution could shed light on how quality-deliberation occurs and how to harness it using AI technologies. In this paper, we quantify deliberation in online debates and then propose a principled methodology to study their evolution. We start by looking at debates structured around issues, ideas, and arguments. We then analyse the time series of such utterances using natural language processing (NLP) and information theoretic methods. Finally, we conduct a social experiment to evaluate the method on an online debate. We show how the method identifies stable behaviors that reflect deliberative patterns in debates. We also show the role that non argumentative utterances have in creating feedback loops that characterise deliberative processes.
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天田 雄大, 酒井 敦也, 佐藤 拓実, 伊藤 孝行
セッションID: 2H5-OS-11a-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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時間や空間的な制限を受けずに参加できるオンライン議論は、従来の対面で行われる議論に比べて遙かに多くの人を集めることが出来る。議論が収束して結論に辿り着くためには司会者の存在によるところが大きいが、このように大規模化したオンライン議論において、人間がその役割を果たすことは難しい。そこで、司会進行を行い議論を適切に導いていくことができる自動ファシリテーションエージェントが必要になる。本研究では、このエージェントの実現に必要なサブタスクの1つである議論のリンク予測におけるGated Attention Network(GaAN)を採用した手法を提案する。提案手法では、議論を木構造のグラフとして捉え、各意見の特徴量とその接続関係をGaANを採用した深層学習で直接学習させている。このとき、意見の特徴量とはBidirectional Encoder Representations from Transformers(BERT)によって得られる各意見の分散表現である。評価実験を通して、本手法がリンク予測において従来の手法よりも高い精度を実現できることが示された。
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小林 将大, 矢田 竣太郎, 若宮 翔子, 荒牧 英治
セッションID: 2H5-OS-11a-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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オンラインコミュニティにおける白熱した議論や会話は,円滑なコミュニケーションや協調的な意思決定を妨げるものである.この不健全な盛り上がりを防ぐためには,盛り上がりのきっかけとなる投稿に共通する特徴を理解することが重要である. そこで本稿では,熱を帯びやすい投稿と言語的特徴との間に関連性があるかどうかを比較分析によって検証した.まず,「井戸端」と呼ばれるWikipediaのコミュニティページに投稿された約47,000件のコメントからなるコメントデータセットを作成した.次に,議論における過熱現象と5つの言語的指標を定義し,全コメントの指標値を算出した.各コメントは過熱の定義に基づいて4つまたは2つのクラスに分類した.分析では算出した指標値を用いてこれらのクラスを比較した.結果としてこれらのクラス間には一定の言語的な差異があることがわかった.
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松本 宇宙, 白松 俊, 岩田 崇
セッションID: 2H5-OS-11a-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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本研究では、これまで社会問題に関心を持たなかった人々の当事者意識の向上を目的とするチャットボットを試作し、社会問題の利用者にとって身近な影響を示すことにより当事者意識の向上につながるという仮説を立て実証実験を行った。実証実験では、社会問題に関心を持ってもらうために社会問題の問題背景理解を支援することや利用者にとって身近な影響を示す提案手法の有効性を示唆する結果が得られた。
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相馬 ゆめ, 中澤 高師, 辰巳 智行, 大沼 進
セッションID: 2H6-OS-11b-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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デモクラシーの実現には、理念だけでなく実験的検証が不可欠である。公共的討議では、功利主義(最大多数の最大幸福)、平等原理、マキシミン原理(最不遇者改善)など多元的な価値の系からなる共通善に基づく議論が求められ、その質を複眼的に評価する必要がある。従来の討議の質評価指標は非連続的な尺度であり、分析に難があった。本研究では、福島県で貯蔵中の低濃度除去土壌県外処理問題を題材とした集団討議実験を行い、その議論を修正した評価指標と、議論参加者と第三者の採点で評価した。実験では、福島の人々の情報を議論前に提示する条件と、提示しない統制条件を設け、条件間の評価の違いを検討した。指標の評定結果では、両条件共にマキシミン原理の議論は他の価値の系より少なかった。一方、参加者と第三者の評価では、福島情報提示条件の方が統制条件よりマキシミン原理を考慮し、統制条件ではマキシミン原理が功利主義より結論で重視されなかったが、福島情報提示条件ではその差は生じなかった。さらに、福島情報提示条件でのみマキシミン原理と平等原理の連関が見られた。本研究は、AIがデモクラシーを評価できる要件整理に向けた実証的知見を提供した。
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松尾 徳朗, 細田 貴明, 丸山 博之, 岩本 英和
セッションID: 2H6-OS-11b-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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合意形成のための討論の多くは、討議テーマに多様な論点を含まれており、これらの論点に対する考え方が討論者の総論的な意見を決定づけている。日本国内のコンベンション関係者、自治体関係者30名以上が参加する国際観光シンポジウムにおいて、国際コンベンションの誘致・開催について議論を行った。本シンポジウムでは、コンベンションビジネスの課題を解決するために、オンライン議論・合意形成支援システムD-Agreeとオンライン上で口頭での議論を併用した議論が、参加者の思考にどのような変化をもたらすかについて社会実験を実施した。本稿では、バイヤーとしての参加動機、セラーとしてのコンベンションビジネスに対する考え方の変化について、事前アンケートと事後アンケートの結果を比較した結果を示す。
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Ryuta ARISAKA, Takayuki ITO
セッションID: 2H6-OS-11b-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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In this preliminary work, we present an idea of abstract framework of cooperation for handling argumentations by groups. We formulate group formability semantics in this abstract framework, paving a path to further study.
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服部 俊一, 村田 博士, 宮嵜 悟
セッションID: 2I4-GS-10-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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電力用油入変圧器(以下,変圧器)の内部異常(加熱,放電,絶縁油混入など)の監視のため,これらの内部異常で発生し絶縁油中に溶存するガスを分析する油中ガス分析が行われている.油中ガス分析結果からの内部異常様相診断のために,電気協同研究会ではガイドラインを作成しており,当所でも機械学習による異常様相判定手法を用いたツールの開発・提供を進めている.一方で,異常様相判定の高精度化だけでなく,異常予兆を推定する手法の開発が必要と考える.高度成長期に大量に設置された変圧器が高経年化する中でも電力の安定供給とコスト低減の両立が求められており,変圧器の状態に応じて点検および改修の要否を適切に判断できれば,事故を未然に防ぎつつ設備保全の効率化への貢献が期待できる.そこで本稿では,油入変圧器における異常様相の予兆推定を目的として,機械学習を用いて作成した決定境界との距離や分類確率から予兆推定手法構築に向けた基礎的検討を行った結果について述べる.
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内田 圭謙, 藤原 幸一, 斎藤 樹, 逢坂 武次
セッションID: 2I4-GS-10-02
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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本論文では多変量統計的プロセス管理(MSPC)とlinear non-Gaussian acyclic model(LiNGAM)を組み合わせた異常診断手法を提案する。MSPCは、T2統計量とQ統計量を指標としたプロセスモニタリング手法である。異常時のT2統計量とQ統計量に対する寄与を計算し、異常原因を特定する寄与プロットという手法が提案されているが、異常原因を必ずしも適切に診断できていないのが現状である。 LiNGAMは変数の因果関係を表すモデルの一つであり、入力データに対し、非巡回非ガウスの仮定をおくことで因果構造と変数の因果の強さを推定することができる。提案するMSPC-LiNGAMでは、LiNGAMによりT2統計量、Q統計量に対するプロセス変数の因果関係を計算し、T2統計量、Q統計量と有意な因果関係を持つ変数を故障の原因として推定する。本研究では、Tennessee Eastman(TE)プロセスにMSPC-LiNGAMを適用した。その結果、従来の寄与プロットでは正しく診断できない異常に対しても、提案するMSPC-LiNGAMは適切な異常原因を診断することができた。
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竺土 史弥, STEFAN BAAR, 徳楽 清孝, 倉賀野 正弘, 太田 恵花, 渡邉 真也
セッションID: 2I4-GS-10-03
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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神経細胞は細胞体と神経突起から構成されており,細胞の運動機能の大部分は 神経突起の伸縮により生み出されていることが知られている. そのため,細胞自体の活動度合い,運動機能を推し量るためには 神経突起部分に着目した詳細な分析を行う必要がある. しかしながら,神経突起領域については厳密な定義が難しい上, 多くの場合,人の目による判断となるため,主観的かつ定量性のない 評価しか行えていないという問題点がある. そこで、本研究ではルールベースアプローチを活用することで, 機械的に突起領域の検出を行い,より定量的かつ客観的な 突起領域に着目した評価方法の実現を試みた. 具体的には,マスク処理を施した細胞画像に対して 極座標変換を適用し,その極座標グラフの凹凸性より 突起領域を定義することで突起領域の自動検出を行った. 幾つかのアノテーションしたマスクデータに対してシュミレーション実験 を行った結果,適切な突起検出およびその検出結果に基づく突起運動に関する 定量的評価が行えていることを確認した.
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村田 淳哉, 目黒 拓己, ザナシル アマル, 高木 友博
セッションID: 2I4-GS-10-04
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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本稿では,グラフ畳み込みによる特徴埋め込みと教師なし学習を用いた異常検知手法で,内部脅威の検出を行う.近年サイバーセキュリティ分野において,機械学習を用いた内部脅威検出の研究が行われている.一般的に行われているのが教師あり学習による検知だが,実世界におけるデータには正解ラベルがついていることが少なく教師あり学習は困難である.また人間の行動のようなログデータを扱う際は,グラフ構造から特徴を得ることで,より人と人同士の関係を考慮することが可能である.本研究では、教師なし学習による内部脅威検知を行い,さらにデータセットからグラフを構築し,グラフ畳み込みを用いて特徴を埋め込むことで精度が向上することを示す.またデータセットの分析を行うことで実世界におけるデータとの差異を発見し,より現実的な問題設定で評価実験を行った.
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Stefan BAAR, Masahiro KURAGANO, Kiyotaka TOKURAKU, Shinya WATANABE
セッションID: 2I4-GS-10-05
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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Precisely characterizing cell activity is an important factor when evaluating potential cures for life-threatening diseases such as Alzheimer’s and cancer. It requires precisely registering the time-dependent cell location and especially cell morphology. In bright field black and white images, many cultured cells are especially challenging to distinguish from the background, contaminates, and within adhesive clusters of cells. A mixed approach, consisting of deep learning and physics-based methods, is used to estimate the cell response within a variety of in-house produced datasets. In this research, the morphology and motility evolution of human neuroblastoma, SH-SY5Y cells, in low-contrast time-lapse observations was evaluated. Temporal cell nuclei analysis was performed to aid cell separation from clusters and contaminants. This improves the segmentation results to achieve high mAP (>0.95) at high values for IoU (>0.8) and permits comparable cell activity characterization.
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佐藤 幹晃, 寺田 和憲
セッションID: 2I5-OS-9a-01
発行日: 2022年
公開日: 2022/07/11
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Win-Winの選択とは,自他の隠れた価値(選好)や意図・信念を理解し,対立を避け,両者の価値の総和を最大化する,創造的な解を選択することである.しかし,相手の選好や,どの程度で満足するかという心的状態は,直接観察することができないために,Win-Winの選択は難しい.本研究では,直接観察可能な表情から心的状態を推測する能力の向上と,Win-Win解を計算する能力を向上させることを目的とし,複数論点最後通牒ゲームにおいて,相手の価値体系とその感情的評価過程を可視化したトレーニングインタフェースを開発した.実験参加者(n=180)はトレーニングインタフェースが有無のいずれかの場合で複数論点最後通牒ゲームを行った.実験の結果,トレーニングインタフェースを使用した参加者は,使用しなかった参加者よりもエージェントと参加者が複数論点最後通牒ゲームで獲得するポイントが有意に高くなった.このことは,心的状態を可視化したトレーニングインタフェースの使用が心的状態を推測する能力とWin-Win解を計算する能力の向上に寄与する可能性を示唆する.
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