昭和17年夏, 北海道三菱伊達鑛山に於て自然電流電位法, 見掛比抵抗法及抵抗傾度法の三方法を以て實測を行つた。
本測定琿域は同鑛山に於て一部坑内探鑛を實施せる癌洞鑛床及その西方地画で, 測定には18本の測線を大體大通洞と平行に25m間隔に設置した。
先づ自然電流電位法に依て地表上で測定を實施した結果得れた等電位線圖より大通洞坑附近に於る鑛體賦存の歌況を考察するに, 鑛艦は大體G線44番附近に於る最小電位-463.0mvを負中心とし長軸が東北より西南方向に延びた楕圓形鑛塊であつて得れた電位の摘化が大いにも拘らずその啓示地域が比較的狭い事から考れば鱗の水平方向の拗は蜘大くはないと考られる。更に鑛體中を掘進せる大通洞に浩つて坑内測定を行つたが, やはり鑛體附近に於て顯著な啓示を得た。
次で鑛體の賦存歌態の判斷に費する目的を以て板歌の偏極された鑛體が地下に存在するものとしてその理論電位仙線を作成し, 實測に依て得れた電位曲線と比較してみた所, 推定せる鑛體の長軸及短軸方向等の断画に對て, 作成せる理論電位曲線と實測電位曲線はよく相似じ, 鑛騰賦存の歌態を推測するに或程度有効であつたと思れ.た。
見掛比抵抗法及抵抗傾度法は自然電流電位法に於て明瞭な啓示の得れた測線に對して實施したが, その得れた比抵抗及抵抗傾鹿曲線の一特徴は, 鑛體の賦存蔑域と推測される地域に方冬て却て高い比抵抗値を示し, 恰も不良導體が存在するが如く思しめた事である。併乍ら之等の曲繊の形がその電趣楕互悶隔に就て一定の附係を保ちつゝ次第に愛る事と, 坑内探鑛に於ても認られてゐる通り鑛體を園続せる母岩が趣端に桂化されてゐる事から考i察すれぽ, 鑛艦がその周園を極て抵抗の高い桂化された母岩に依て包まれその中に存在するものと考へればこの雨方法に於る特徴ある啓示と自然電流電位法に依る啓示とを矛透なく解鐸し得るものと考られる。
以上の如く大通洞坑附近に於ては何れの方法た於ても趣て典型的な鑛體賦存の啓示を得る事が出來たが, 之に隣接せる鐵の澤を境とする西方地逼に於ては何れの方法でも問題にするに足る程の明瞭な鑛體賦存の啓示は得れなかつた。
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