植物環境工学
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28 巻, 1 号
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連載記事
論文
  • 福地 健一, 嘉数(大野) 祐子
    2016 年 28 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
    ラッカセイ葉に放射照度1.0 Wm-2のUV-Bを照射し,波長300 nmから440 nmまでの多波長励起により蛍光スペクトル変化を測定した.併行して,320 nmの励起により蛍光画像を撮影し,葉表面における蛍光分布の変化を調べた.440 nmで励起した際のクロロフィル蛍光強度(F685)を基準として,各励起波長におけるF685の相対強度(Sλ)を求め,Sλの変化から,葉上面表皮の相対分光透過率の変化率(ΔRTλ)を非破壊で見積った.UV-B照射によって短波長領域のΔRTλは大きく変化した.UV-B積算照射量(H)が約100 kJm-2を超えると,Hの増加に対してΔRTλは指数関数的に増加し,蛍光画像においては,主葉脈付近において,青色蛍光とクロロフィル蛍光が周囲より強く観察される斑点が出現した.特にクロロフィル蛍光の赤斑点は,Hの増加に伴って葉の周辺部にも広がった.モデルを立て検証した結果,ΔRTλの増加と赤斑点の増加は密接に関連している可能性があることがわかった.また,440 nmで励起した場合,F685と緑色蛍光F530の強度比であるF685/F530は,UV-B照射直後よりHに比例して単調に減少することがわかった.以上の現象は可視被害が発生する以前に観察されることから,本手法は,ラッカセイ葉に対するUV-Bの影響の早期検出と定量評価に有効であると考えられる.
短報
  • 渡辺 慎一, 松尾 征徳, 北崎 一義, 鮫島 國親, 澤井 祐典, 諸岡 譲, 篠崎 正俊, 田中 健一郎, 田中 達也, 河野 智謙, ...
    2016 年 28 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
    人工光型植物工場での少頻度かん水を前提とした簡易な生産方式によるスプラウト生産に対するパルプ培地の有用性を,カイワレダイコンの生育や生産物の一般生菌数の点から調査した.パルプ培地を用いることにより,少頻度かん水条件下でウレタン培地よりも重量が大きく胚軸伸長も良好なカイワレダイコンの生産が可能であった.これは,パルプ培地の保水力の高さによるものと考えられた.また,パルプ培地で生産したカイワレダイコン中の一般生菌数は,ウレタン培地を使用した場合と比べて多くなることはないことが明らかとなった.よって,パルプ培地は,かん水装置のない簡易な栽培方式でのスプラウト生産において有望な培地であると考えられた.
  • オグントインボ ボラジ, 平間 淳司, 湯本 理人, 伊藤 友理, 柳橋 秀幸, 松井 良雄, 西堀 耕三
    2016 年 28 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,従前に実施した可視域波長の光に対するマイタケの生体電位応答と形態形成について,従前で行わなかった近紫外域波長に対するそれを追加するとともに,従前で報告した波長域におけるそれも再度調べた.その結果,従前と同様に420~480 nmの青色域で生体電位応答は大となり,当該範囲で再現性を得た.一方,540 nmにおいて今回は生体電位応答が大となり,小であった従前と比較し明確な差異が見られた.また,今回試行の360~380 nmの近紫外域でも生体電位応答は大となった.この結果に基づき,青色光下と緑色光下でマイタケを栽培し,その形態形成を比較した結果,両者ともに菌柄の伸長は抑制され,菌傘の生長が促進される傾向を示した.この形態は従前の研究から,生体電位応答が大となる条件下で得られるものであり,生体電位応答と形態形成との関係が改めて示唆されるとともに,緑色光に一定の成育効果が示唆された.菌傘の色は緑色光で褐色化が抑えられ,商品価値の優位性が確認された.また,栽培現場における作業者の目の疲労の軽減の観点から,青色よりも波長の長い緑色は有用であり,栽培現場での採用の可能性も示唆された.
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