金星探査機 「あかつき」に搭載された2 μmカメラI R 2によって,分厚い雲層内部の濃淡が熱赤外線のシルエットとして可視化されています.多数の特徴的な雲構造が存在する中で, 今回我々が着目したのは,緯度20˚付近に中心を持つ数千kmスケールの巨大な渦構造です.金星大気大循環モデルAFE S -Venus G CMを用いた数値モデリングによって,観測された渦と定性的によく似た現象の再現に成功しました.本稿では, G CMの結果から渦の形成に関わる力学不安定や,雲の濃淡コントラストを生み出すメカニズム,そして渦の背後にある雲層高度における大気の時間変動について考察した内容を紹介します.なお,本研究の詳細につきましては, Icarus誌にて出版されました論文 [1] を併せてご確認ください.
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