帯電プロセスをトナーからキャリア(正)およびキャリアからトナー(逆)への可逆的な電荷の移動と考え,速度論的モデルを導入した.一方,第4級アンモニウムタイプCCAをバインダー樹脂に付着させたモデルトナーを用いて二成分現像剤の帯電速度論を研究した.この速度論的モデルから飽和帯電量(
qe)の逆数(1/
qe)がトナー-キャリア重量比(
mt/
mc)に比例することが容易に導出され,1/
qe軸の切片の逆数がキャリアからトナーへの電荷の移動がないときの帯電量(
極限帯電量,α)であることがわかった.さらにこのモデルから導き出された1/
qeと
mt/
mcとの関係式は,表面状態理論から得られたそれと,形式上,完全に一致した.モデルニ成分現像剤の速度論から,正-逆帯電速度定数比(
k1/
k-1=
K)は一定であり,用いる材料固有の値であることもわかった.帯電速度定数(
kobs)がArrheniusの式に従い,得られた活性化エネルギー(
Ea)がVan der Waalsエネルギーに相当するものであることを初めて示した.この小さな
Eaの値から第4級アンモニウムタイプCCAでは,対イオンの移動が最も有利であると結論した.
qeは
kobsに依存せず,また
極限帯電量,αは電荷発生部位の数に依らず,CCAの個体の性質に依存することがわかった.
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