日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
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日本文化人類学会第43回研究大会
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第4回 人類学関連学会協議会合同シンポジウム
「飽くなき食への希求をめぐって」
A会場  (5月30日)
個人発表
A会場  (5月31日)
個人発表
  • 沖縄県北部X地区の事例から
    吉田 佳世
    セッションID: A-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、沖縄本島北部X地区を事例に、当該地域において祭祀の対象となっているウガンジュ(拝所)の種類や位置、そしてこれらの変化を見ながら、村落共同体の戦後以降の歴史的変遷を考察しようとするものである。戦後から現在にかけて生じた聖地の変化に関するいくつかの事例をとりあげ、歴史的・政治的文脈との関連で理解する。これらの考察を通して戦後から現在に至る沖縄の村落共同体の変遷と現代的様相を明らかにしたい。
  • 堂下 恵
    セッションID: A-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、過疎化・高齢化によって存続の危機に瀕している伝統祭事の活性化について、石川県能登地方の「キリコ祭り」への外部者参加の取り組みをもとに、外部者参加が与える祭事への影響も含めて検討する。なお、事例は文化人類学を専門とする大学教員による地域貢献・実地教育活動の一環であるので、活動結果を文化人類学の立場からどう評価すべきかも合わせて検討する。
  • ―浅草寺本尊示現会と三社祭の変容から―
    陳 珏勲
    セッションID: A-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    日本の都市祭礼には、様々な儀式、風流、見物を伴った「見せる/見られる」という特徴がある。「近世以前からの日本の伝統」を守りつづけていると言われる浅草の三社祭はその代表である。本発表の主な目的は、東京都台東区浅草地域の宗教と社会を中心にして浅草の人々の関係について考察を試みることにある。浅草寺と浅草神社に関係する宗教行事は数多いが、その代表は3月の浅草寺本尊示現会と5月の三社祭である。本発表は主として浅草寺本尊示現会と三社祭の関係を取り上げ、祭礼を担う団体の現状(特に平成18年から平成20年の3年間に起きた変化)を事例とし、分析を加える。
【分科会】 越境する宗教 ―宗教的「他者」はどのように「他者」でなくなるか―
【分科会】 オーストラリア先住民研究 ―国家・伝統・コミュニティと切り結ぶ日常的実践―
B会場  (5月30日)
個人発表
【分科会】 もの、動き、アッサンブラージュ ―人間中心主義を超えて―
  • 人間中心主義を超えて
    内山田 康
    セッションID: B-4
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    「もの、動き、アッサンブラージュ」というテーマの中心に、動きがあり、その前にはものが、その後にはアッサンブラージュが配置されている。ひとは、ものの中に、動きの中に、アッサンブラージュの中に分配されている。計画や意図ではなく、動き、スピード、強度、無意識が、感覚が重要な仕事をするだろう。民族誌的なケースを通して、人間中心主義的な接近方法では捉えきれない存在の生命的な過程を記述する人類学を試みる。
  • 内山田 康
    セッションID: B-5
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    意識が無意識や狂気をコントロールできないのと同じように、ダルマ(法)がコントロールできない部分が思いがけない飛躍を起こすのではないか。これを起こしている主体は何か?それはどのような性格のものなのか?非倫理的な生命力は、人びとが思い描くのとは質的に異なるアッサンブラージュを作っているのではないか?予測不可能で脱人間中心主義的な生成の性格を民族誌的に記述することを試みる。
  • 山口 恵里子
    セッションID: B-6
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    英国の現代作家リチャード・ロングは、歩くことによって作品を生み出してきた。石や木によるサークルや線の彫刻は彼が歩いた跡でもあり、実践的な作品でありつつ、目に見えない運動や時間を含んだ暗示的で詩的なものでもある。またその作品は一時的なものでもある。それは、歩く身体がロングの作品を生み出したように、作品もまた可傷的であり非永続的であるからだ。ロングが「モノ」と身体によって現す風景は、実践、詩的なるもの、抽象的なフォルムが接する場である。この風景からみえてくる人類学の営みを追ってみたい。
  • 秋山 晶子
    セッションID: B-7
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    自然現象、ひと、もの、動植物などのテンポが不調和を起すととき、農作業は遅れる。今回の発表では、有機農業の普及と農業の機械化、換金作物への転換が同時並行で進むケーララの農村で、農民が嘆く「遅れ」に焦点を当て、循環型農業におけるひと、もの、動植物などが織りなすリズムを考察する。何と何が介在して遅れを作りだすのか、そもそも遅れの基準点は何か、そして、どのようにして帳尻があうのか、あわないのか。人間と非人間の間のリズムとそのダイナミズムを考える話題を提供したい。
  • 吉田 ゆか子
    セッションID: B-8
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    バリの仮面の制作には、さまざまな人、モノが関わっている。芸術作品を動的に働く行為体(agent)と位置づけるアルフレッド・ジェルの視点を参照しながら、モノと人が相互に交渉しつつ、仮面というモノが作り出される過程を考察する。仮面の制作およびそれに伴う儀礼のプロセスで、人びとが意図せざる出来事が起きるという点にも注目し、人間中心主義的な視点からはとらえられない、モノと人が相互に働きかけるダイナミックなプロセスとしての仮面制作の側面について論じたい。
  • 風間 計博
    セッションID: B-9
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    中部太平洋・キリバス南部環礁における饗宴を事例として、過剰な感覚がもたらす感覚的事象のあり方を解釈する。踊りや共食を含む饗宴は、味や音、匂いといった感覚への刺激に満ち溢れている。感覚の過剰は、近代における理性的存在が隠蔽してきたものを、再現前化させる。日常的には忘却され、意識下に閉じ込められているのは、過去の残存である。過剰な感覚と緊張感の中で、キリバスの饗宴の踊り手は、キリスト教の文脈において抑圧されてきた精霊・祖霊の存在を、リアリティをもって体験するのである。
【分科会】 ミステリーの人類学
B会場  (5月31日)
個人発表
  • 1986-2006
    百瀬 響
    セッションID: B-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    アイヌの祖霊祭祀の変容:1986-2006                北海道教育大学札幌校 百瀬 響  1986年、旭川近文で行われたA家の祖霊祭祀では、同儀礼の参加者の約半数が中途で帰る事態となった。その理由は、近文のアイヌ社会を構成している成員から、同儀礼の様式が「アイヌの儀礼に正しくのっとっているか否か」が問われたためである。これ以降、1991年には祖霊祭祀に関する悉皆調査を試み、2006年、この調査内容を教えて欲しいとの要請を受けて、発表者による調査内容の還元を行う機会を得た。本発表では、2006年に行われた儀礼を中心に、現在旭川近文で行われている祖霊祭祀の実態を発表する。
  • 札幌市教育委員会作成の教職員用手引きを中心に
    品田 早苗
    セッションID: B-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    札幌市教育委員会では、1980年から2008年までに「アイヌ教育」の教職員用手引きを6冊作成している。本発表では、その手引きを調査資料として、作成理由、目的、教育方針、注意点、指導法などについて分析する。その結果をもとに、札幌市教育委員会の「アイヌ教育」に関する方針やアイヌに対するイメージの変化について考察する。
  • 首都圏に生きるアイヌ民族のライフストーリーから
    関口 由彦
    セッションID: B-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/05/28
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、首都圏に生きるアイヌ民族のライフストーリーをもとにして、文化・社会運動の場における固定的なアイデンティティと日常生活の場における柔軟なアイデンティティの双方を往復する人びとのしなやかな生そのものにアプローチする〈対話〉という実践を提唱したい。その〈対話〉の実践は、他者による自らの生の完結を拒絶する彼(女)らの日常的な抵抗のあり方を学ぶことにつながるだろう。
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