政府は、ドローンの有人地帯での目視外飛行の目標時期を2022年度目途としており、この目標に向けて、経済産業省では、関係省庁と連携し、技術開発や環境整備に取り組んでいる。その政策の動向について紹介する。
ドローンを他のデジタル技術とともに活用して社会の問題発見・解決を行える社会を「ドローン前提社会」とし、その実現に向けたドローンの利活用について論じた。まず、さまざまな産業分野における小型無人機・無人航空機の利用現状や、自律走行車両などとの統合活用について紹介する。次に社会受容性と安全運行管理、人材育成、都市への影響など、社会的に議論すべき論点を提示した。さらに、法規制の緩和や実証実験の在り方についても考察した。現在、我々が扱う小型無人機や無人航空機のみならず、自律航行や自律走行に関する技術全般をターゲットとした制度設計や実証実験を進めるのが望ましい。
マルチロータ型ドローンの技術的側面について解説する。まず現在、広く用いられているマルチロータ機に共通するメカニズムやハードウェア構成、GPSを用いた自動飛行について述べる。次に、今後の応用展開において研究開発が必要と思われる技術的課題と展望について整理する。さらに、高所作業への応用やより自由度の多いマルチロータ機の開発、環境認識や制御への機械学習の導入といったドローンの応用範囲をさらに広げ得る研究開発についても述べる。
日本国内におけるドローン、すなわち無人航空機の法規制について概観する。無人航空機には固定翼タイプ、ヘリコプタータイプ、多回転翼機のマルチコプタータイプなど、さまざまな形態が存在するが、2015年に改正された航空法、航空法施行規則によって、許可を得なければ飛行させることができない条件が明文化された。一般に、離陸重量が200g以上のものは、無人航空機として規制の対象になる。また、航空法以外の法規の遵守も求められていることはいうまでもない。飛行の要件、機体が備えるべき機能および性能基準など、多くの規制が存在するドローンではあるが、「空の産業革命」ともいわれ、将来の利活用が期待され、そのための議論も官民で始まっている。
近年、エジプトにあるギザの三大ピラミッドは、多面的な研究調査によって、文字資料や物質文化資料、そして環境データなど、さまざまな考古データが取得されている。しかしその一方で、ピラミッドそのものの形状の測量データはほとんどアップデートされていない。筆者は、産学協同プロジェクト『ギザ3D調査(Giza 3D Survey)』を立ち上げ、ドローンを用いたギザの3D計測調査を実施し、通史的な技術変化を含めたピラミッド建造の解明に挑んでいる。
本州の最北端に位置する青森県でも、すでにさまざまな産業分野でドローンの活用が見られるようになってきた。筆者は研究室の活動にドローンを取り入れ、学生とともに、まずは空撮を主体とした観光プロモーションへの活用実践として、青森県大鰐町や八甲田山温泉郷をフィールドに活動を行った。また今後は、農業分野での活用も研究の対象として視野に入れており、青森県内における農薬散布での活用をリサーチする中で、ユニークな取り組みを紹介する。また、青森県は真夏から豪雪まで全ての気候環境があり、今後、全天候型のドローン機体等を開発する際の実証実験環境にも適している。青森県における産学官金連携による産業振興体制やドローン関連研究開発企業の誘致に向けた取り組みについても報告する。
急速な技術開発に伴い、ドローン(または無人航空機:Unmanned Aerial Vehicle)を用いた物流の実用化が現実味を帯び始めている。2018年度には、国土交通省による5カ所でのドローン物流実験も実施され、その大いなる可能性と共に、種々の課題も明瞭になってきた。本稿では、その実験内容の紹介を足がかりに、現在のドローン物流の可能性について、技術的側面や市場成立条件、そして、航空法や電波法など、法制度の制約なども交えて簡潔に紹介する。
NEDOが進める「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現(DRESS)プロジェクト」の概要と、当該事業分野のトッププレイヤーが英知を結集したオールジャパン体制での推進状況を紹介する。特に、福島ロボットテストフィールドにおけるドローンの運航管理システムや衝突回避技術等に関する基礎研究・実証実験に加え、この研究成果を反映した国際標準化推進等の総合的な取り組みについて具体的な事例を用いて概観し、当該プロジェクトが目指す「多くの物流ドローンが都市部で飛行できる社会」や「有人ヘリコプター等と「同一空域」で安全に飛行できる社会」等を実現するための研究開発を解説する。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら