IATSS Review(国際交通安全学会誌)
Online ISSN : 2433-4537
Print ISSN : 0386-1104
46 巻, 2 号
交通の歴史と文化
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
論壇
特集:交通の歴史と文化
特集にあたって
論説
  • -交通の視点から-
    市 大樹
    2021 年 46 巻 2 号 p. 96-104
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2021/10/31
    ジャーナル フリー

    聖武天皇の治世下にあたる735(天平7)年・737(天平9)年、深刻な被害をもたらした疫病が起こった。本稿では、この疫病の実態を多面的に浮かび上がらせることを目的として、その被害状況について確認した上で、その交通に関わる諸現象を中心に検討を行った。具体的には、疫病を退散させるための道饗祭、対外交通に伴う疫病流入の可能性、治療法を記した太政官符の伝達方法、藤原麻呂という貴族に関わる呪符木簡と奥羽連結道路の建設事業について取り上げた。

論説
  • -讃岐国粟島と若狭国早瀬をめぐる海上文化史-
    河原 典史
    2021 年 46 巻 2 号 p. 105-112
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2021/10/31
    ジャーナル フリー

    本稿では、石見国(現・島根県西部)浜田外ノ浦の清水家所蔵の『諸国御客船帳』(1744〜1901年)を活用し、讃岐国(現・香川県)の粟島と若狭国(現・福井県南西部)の早瀬を事例に、北前船をめぐる海上文化史を論じる。この客船帳には、船印や帆印の他に船名、船籍、船主、沖船頭、入港や出港年月日なども記載されていた。また、売買記録から、当時の商品流通を知ることもできる。瀬戸内海に位置する粟島や若狭湾の早瀬は、日本海沿岸の諸地域と隣接諸国、時には大坂との中継ぎ港として重要な役割を果たしていた。

論説
  • -フランス鉄道の差別料金制度の文化的背景-
    栗田 啓子
    2021 年 46 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2021/10/31
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、フランスにおいて都市間鉄道の時間帯・曜日別運賃が広く支持されている要因を2種類の社会・文化的側面から解明することである。第一の側面として、フランスでは、通勤・通学客を主体とする都市内交通と観光客を主体とする都市間交通が明確に区別されていること、第二の側面として、フランスに固有の政府のエンジニアが公共交通の価格設定や差別料金の理論化に取り組み、差別料金が社会全体の利益に貢献することが納得的に示されたことを明らかにした。

論説
論説
論説
論説
  • -文化的視点を加味して-
    中村 文彦
    2021 年 46 巻 2 号 p. 147-156
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2021/10/31
    ジャーナル フリー

    本稿では、都市交通計画の中の公共交通としての都市バスシステムを対象に、バスの持つ文化的な視点を踏まえ、バスの特徴といえる即地性、多様性、そして、しぶとさの3つの切り口で、具体的な事例を踏まえて議論を展開した。次に、それを基に、未来の都市交通の重要な3つのキーワード、walkable、reliable、enjoyableとバスとのつながりを論じた。さらに、以上の議論を基に、自動運転やMaaS等に代表されるモビリティ新時代ともいえる、現代から未来に向けての都市バスシステムは、どうあるべきなのかを考察した。

報告
  • -「飛び出し坊や」の設置状況の分析-
    小川 圭一
    2021 年 46 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2021/10/31
    公開日: 2021/10/31
    ジャーナル フリー

    「飛び出し坊や」とは、子供の飛び出しに対する注意喚起をドライバーに促すために設置された、子供などの絵が描かれた看板である。滋賀県内では多数の飛び出し坊やが設置されている。これらは自治会やPTAなどの地域住民が自主的に設置したり、地域住民からの依頼によって地域の交通安全協会が設置したりしているものであるため、地域住民がどのような箇所を危険と感じているかを把握することができる。本稿では、滋賀県草津市、大津市の4小学校区を対象に「飛び出し坊や」の設置状況の実態調査を行い、その特徴を分析する。

feedback
Top