会計プログレス
Online ISSN : 2435-9947
Print ISSN : 2189-6321
ISSN-L : 2189-6321
2015 巻, 16 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 石田 惣平
    2015 年 2015 巻 16 号 p. 1-16
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本研究は世界金融危機に焦点を当てて,無条件保守主義が日本企業の資金調達制約にどのような影響を及ぼすのかを検証している。検証の結果,金融危機後,多くの企業は設備投資と人的投資を抑制しているが,無条件保守主義の程度が高い企業ではこれらの抑制幅が小さいことが明らかとなった。これらの発見事項は,無条件保守主義が日本企業の資金調達制約を緩和する可能性を示唆している。
  • 小谷 学
    2015 年 2015 巻 16 号 p. 17-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿では,アナリスト間に戦略的な相互作用が存在する場合に,コンセンサスはいかなる性質を持つのか,また公的情報はコンセンサスにどのような影響を及ぼすのかを明らかにする。分析の結果,以下のことが判明した。第1 に,コンセンサスの精度は,個々のアナリスト予想の精度および予想値の散らばりと正の関係がある。第2 に,アナリストの戦略的動機が強くなるほど,コンセンサスの精度は低下する。第3 に,公的情報の精度が向上すると,一般に個々のアナリスト予想の精度は上昇するものの,コンセンサスの精度が上昇するかはひと通りに決まらない。最後に,公的情報の精度とコンセンサスの精度との関係は,公的情報と私的情報の精度の比や戦略的動機の強さといった,複数のパラメータに依存して決まる。本稿の結果は,予想値の散らばりがコンセンサスの予測精度に貢献すること,および戦略的相互作用や公的情報は散らばりを縮小させる効果を持つことを示している。
  • シグナリング仮説の検証
    黒木 淳
    2015 年 2015 巻 16 号 p. 30-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿は,私立大学における会計情報開示の経済的帰結について実証的に明らかにすることを目的とする。Saxton et al.(2014)などの先行研究は非営利組織における会計情報開示がシグナルとして機能する可能性に言及しているが,シグナリングを参考にした検証と解釈がなされていない。そこで,本稿は,新規の会計情報開示が好業績をシグナルするというシグナリング仮説を検証することで,私立大学が新規に会計情報開示を実施した結果,どのような経済的帰結をもたらしたのかを明らかにする。具体的には,2007年度から2010年度までの財務データを用いて,私立大学における新規の会計情報開示が,検定料及び学生生徒等納付金の変化とどのように関連しているのかについて実証的に分析した。その結果,好業績であり,かつ新規に会計情報を開示した私立大学ほど,検定料や学生生徒等納付金を追加的に獲得できていることを発見した。この結果は,私立大学における会計情報開示が,相対的に好業績である場合に限り,シグナルとして有効に機能している可能性を示唆している。
feedback
Top