グローバル化の進展の中でその推進役となる組織は,個別組織から個別組織をその構成要素とする組織の集合体へと趨勢的に変化している。他方,1990年代後半のIASCからIASBの組織構造の変化は,このような組織の趨勢的変化とはかならずしも軌を同じくしていない。そこで,本稿では,IASC戦略作業部会の公表した報告書の分析を行うことを通じて,IASBが他のグローバル組織と異なった構造をしているのはなぜか,別の言い方をすれば,IASBの組織構造の決定要因に関する検討を行う。その際,代表性モデルと専門性モデルという2 つの理念型を分析枠組みとし,組織構造の変化を組織のロジックの変化によって説明しようとする。
本稿の分析によって,代表性モデル(1997年以前のIASC)から,代表性モデルと専門性モデルの共存(1998年「討議資料」),さらには専門性モデル(1999年「勧告書」およびIASB)への組織のロジックの変化が明らかとなった。結果は,このような組織のロジックの変化が組織構造の変化の要因となっていることを示唆している。
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