本稿では企業の採用する戦略のタイプ,管理会計担当者の役割および彼らの組織業績への貢献の知覚との間の関係について検討を行なっている。AICPAの会員2,500名を対象とした郵送質問票調査の結果,以下の点が発見された。第1に,管理会計担当者の役割としてビジネスのサポート役割,部門管理者との問題共有とトップへの情報提供役割および事業への積極的な介入役割の3つが発見された。第2に,管理会計担当者の組織業績への貢献の知覚を被説明変数とした重回帰分析の結果から,Prospector型の特徴の強い企業において管理会計担当者がビジネスのサポート役割をより果たしている場合に,管理会計担当者の組織業績への貢献が高く知覚される傾向があることが発見された。さらに,同程度の部門管理者との問題解決とトップへの情報提供役割を果たしている管理会計担当者では,Defender型の特徴の強い企業の管理会計担当者ほど組織業績への貢献を高く知覚する傾向があることが発見された。
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