会計プログレス
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2010 巻, 11 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 病院特性別の実施状況分析
    荒井 耕
    2010 年 2010 巻 11 号 p. 1-11
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     原価計算を何も実施していない病院は3割弱である。しかし実施している原価計算の中心は診療科別であり,診療行為別・診療プロトコル別・DPC別・患者別というより高度な各種の原価計算は1割程度未満の実施に止まっている。ただしこれら高度な原価計算を含めて,DPC経験・病床規模(体制)・原価企画実務・事務職積極性がある病院では相対的に原価計算が盛んで,DPC環境への適応度が高いことが判った。DPC制度の本格化に伴い重要となる診療プロトコル別などの高度な原価計算が普及していくためには,DPC経験年数を積むことが重要であるがそれだけでは不十分である。こうした高度な原価計算を実施できるだけの人的及び情報システム的体制を確保しうる医療法人グループとしての規模の確保も必要である。また医療サービス原価企画への積極的取り組みの促進や,診療プロトコル開発への事務職の積極性を引き出す仕組みを構築することが重要である。
  • 情報選択と組織設計の実証的研究
    新井 康平
    2010 年 2010 巻 11 号 p. 12-28
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本論文は,現代の製造環境のもとで,工場や事業所がマネジメントコントロールのためにどのような情報を採用しているのかを明らかにすることを目的としている。比較制度分析にもとづいて,現代製造戦略と不確実性のパターンという2つの要素が効率的な情報を決定しているという仮説を導出した。そして,97の工場・事業所から得られたサーベイデータをもとに,そこで用いられる情報選択についての仮説を実証的に検証した。
  • analytical approachを中心に
    片岡 洋人
    2010 年 2010 巻 11 号 p. 29-44
    発行日: 2010年
    公開日: 2021/09/01
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は,製品原価計算研究の3つの潮流に基づいて,近年の製品原価計算研究の動向(TDABCとLabro等の所説)を検討した上で,ABCの実行可能性を高め,今後の研究に有用な示唆を提供するために,潮流間の相互作用や新たに得られるインプリケーションを明らかにすることである。その際,Noreen(1991)他によるanalytical approachを中心に据えて議論を展開している。
     検討の結果,TDABCは,従来のABCの欠点である実施困難性に対処するために計算構造を簡略化し,実施段階における諸問題とコスト・ベネフィットの問題に対応することを企図していると評価できる。Labro等の所説は製品原価数値に焦点を当てた研究を展開しており,実施段階における諸問題に対処するための示唆を得ることができる。その一方でanalytical approach内における計算構造自体に焦点を当てた研究と製品原価数値に焦点を当てた研究との相互作用が希薄になる傾向が見受けられた。
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