日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
選択された号の論文の237件中101~150を表示しています
R3:高圧科学・地球深部
  • 小野 重明
    セッションID: R3-02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    本研究ではコーサイト・スティショバイト相転移境界の精密な再決定を試みた。 高圧実験では、マルチアンビル型装置を用い、放射光X線回折実験を行った。過去の研究の中で比較的信頼性が高いと思われるデータと比べて、相転移圧力に関しては大きな矛盾はなかった。注目すべき点は、相転移境界の傾きが、過去の放射光実験と若干食い違っていることである。一方、熱力学データから見積もられた相転移境界の傾きは、我々の実験データと良い一致を示している。傾きに関する食い違いは、相転移カイネティクスの効果が原因であると考えられる。今回、再決定された相転移境界は、X不連続面の深さと良い一致を示した。したがって、コーサイト・スティショバイト転移がX不連続面の成因であるというモデルを支持する。
  • 赤荻 正樹, 河原 愛理, 姉川 由輝, 石井 貴之, 糀谷 浩
    セッションID: R3-03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    MgCr2O4・Mg2SiO4組成の高温高圧実験を行い、10~27GPa、1600℃での相関係を明らかにした。その結果、12.5GPaではオリビン+クロムスピネルが安定であるが、15~18GPaではガーネット+変型ludwigite型相+anhydrous phase B (Anh-B)が安定になることが示された。20~22GPaではリングウッダイト+カルシウムタイタネイト(CT)型相、24GPa以上ではブリジマナイト+CT型相+ペリクレスが安定になった。以上から、超高圧クロミタイトの起源として、オリビン+クロムスピネルが安定な、ほぼ上部マントル内に限られることが示唆される。
  • 糀谷 浩, 井上 徹, 野田 昌道, 赤荻 正樹
    セッションID: R3-04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    MgSiO3アキモトアイトは、MgSiO3高圧多形の一つであり、イルメナイト型結晶構造を持つ。さらなる高圧相であるMgSiO3ブリッジマナイトへの相転移境界線は、高圧高温実験だけでなく夏力学的手法によっても決定されてきた。最新のMgSiO3ブリッジマナイトのエンタルピー値と従来の熱力学データを組み合わせて計算される相転移境界線は、高圧高温実験によるものと調和的ではない。このため、本研究ではホウ酸鉛溶媒を用いた落下溶解熱量測定を行うことにより、MgSiO3アキモトアイトのエンタルピー値を再検討した。熱量測定用のMgSiO3アキモトアイト試料は愛媛大GRC設置の川井型マルチアンビル高圧発生装置を用いて合成した。4回分の落下溶解熱量測定データの平均から、落下溶解エンタルピー値は57.67±2.16 kJ/molと決定された。この値は、従来の値に比べて少し大きい。本研究により再検討されたアキモトアイト-ブリッジマナイト間の25℃での相転移エンタルピーは、従来の熱力学計算に用いられたものとほぼ同じとなった。
  • 入舩 徹男, 川上 航司, 有本 岳史, 古田 大祐, 大藤 弘明, 國本 健広, 新名 亨
    セッションID: R3-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    マルチアンビル装置を用いた高温高圧合成法により得られた、グロシュラーを中心としたナノ多結晶ガーネット試料の可視光領域での透光性、TEM観察、硬度測定などをおこなった。この結果、ナノ多結晶グロシュラーが可視光領域で単結晶に匹敵する透光性を有することや、単結晶に比べて30%程度硬度が高いことが明らかになった。超高圧を利用した本手法は、従来困難であった透明ナノセラミックスの合成に道をひらいたといえる。
  • 加藤 正人, 興野 純, 佐野 亜沙美, 町田 真一, 服部 高典
    セッションID: R3-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    ハイドロガーネットであるKatoiteの高圧単結晶XRD,高温高圧中性子回折実験を行った.その結果,Katoiteは5GPa以上で空間群Ia-3dからI-43dに相転移した.また,Katoiteは,8GPa,900℃で,corundumとportlanditeに分解した.
  • 大藤 弘明, 井川 舜太, 門林 宏和, 木村 友亮
    セッションID: R3-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを用いて高温高圧下におけるブリッジマナイト(MgSiO3)とCH4に富んだC-H-O還元流体間の相互作用について実験的に検討を行った.実験の結果,マントル遷移層~下部マントル条件,ブリッジマナイトがペリクレースとスティショバイトへと分解することが明らかとなり,還元流体存在下において,代表的な下部マントル鉱物であるブリッジマナイトの熱力学安定性が大きく変化することが明らかとなった.本実験結果を踏まえると,ダイヤモンド中の包有鉱物は必ずしもマントルのバルク組成を反映していない可能性が高い.
  • 井上 徹, Greaux Steeve, 野田 昌道, 柿澤 翔, 肥後 祐司, 丹下 慶範
    セッションID: R3-08
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    ブリッジマナイトは下部マントルの主要構成鉱物であり、その弾性波速度を明らかにすることは下部マントルの鉱物構成(組成)を明らかにする上で重要である。本研究では、Alに富んだ各種ブリッジマナイトの物性測定の1つとして、良質な焼結体合成を試みることにより、高温高圧下での弾性波速度測定実験を行った。その結果について報告する。
  • 柿澤 翔, 井上 徹, 中野 泰斗
    セッションID: R3-09
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    本研究では、下部マントル上部で安定なsuperhydrous phaseB(SuB: Mg10Si3H4O18)へのAlの固溶及び安定領域と置換様式の決定を目的とした。実験装置には、愛媛大地球深部研設置の川井型マルチアンビル高圧発生装置”ORANGE-2000”を用いた。出発物質にはMgO, Mg(OH)2, Al2O3, Al(OH)3, SiO2を事前の予備実験から予想されるAlに富むSuB組成に混合した粉末を用いた。実験条件は25 GPa, 1600-2000℃で行った。ほとんどの回収試料でAlに富むSuBの合成に成功した。トータル欠損から見積もられた含水量はいずれもAlを含まないSuBより多く、Alを伴った含水化置換が起こっていることが予想される。また、合成温度の上昇と共に含水量が減ることから温度上昇と共にチェルマック置換が卓越してくることが予想される。Alの固溶に伴ってSuBの含水量は増え、さらに安定領域は著しく高温側まで拡張した。すなわち沈み込むスラブに伴って生じるAlに富むSuBは下部マントル上部での重要な水のホストとなっている可能性がある。
  • 佐野 亜沙美, 服部 高典
    セッションID: R3-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    地球下部マントル条件で安定であると含水鉱物δ-AlOOHにおいて、第一原理計算により水素結合が対称化すると報告され、その後のX線回折実験やブルリアン散乱実験により、高圧下において圧縮挙動の変化が報告されている。本研究では、これらの物性の変化と水素結合の対称化の関連を明らかにするために、高圧下における中性子回折実験を行い、水素位置の決定を試みた。その結果、空間群の変化がd-AlOOHでは8 GPa付近で観測された一方、AlOODではその圧力は12 GPa付近と高圧であった。また差フーリエ解析から、この相転移圧力においては水素はディスオーダーした状態であり、対称化はより高圧でおきることが明らかとなった。
  • 土屋 旬, 土屋 卓久, 西 真之, 桑山 靖弘
    セッションID: R3-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    Recently, we have reported the existence of new DHMS in lower mantle pressure conditions above about 45 GPa. This phase has MgSiO4H2 chemical composition and named as phase H. In this study, we further extends our exploration of this hydorus phase, such as the spin transition of Fe and the possibility of further phase transition of FeOOH using first principles calculation techniques and discuss the possible effects of this hydrous phase at the bottom of lower mantle.
  • 大谷 栄治
    セッションID: R3-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    We made in situ-Xray diffraction experiments of the stability of 10Å phase and 3.65 Å phase. 3.65 Å phase can be a water carrier in the cold slabs.Hydrous ringwoodite and phase Egg as inclusions in diamond strongly suggeststhe wet transition zone. Water may be transported as far as the bottom of the lower mantle by phase H-δ solid solution. The dehydration and separation of fluids or hydrous magmas at the base of the lower mantle can produced the hydration zone at the base of the lower mantle.
  • 浦川 啓, 寺崎 英紀, 田窪 勇作, 下山 裕太, 黒川 冬華, 町田 晃彦
    セッションID: R3-13
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    FeSメルトの密度を3.5GPa,1373K~1773Kの圧力と温度でX線吸収法 により測定した。FeSメルトの密度はこれまでの報告(Nishida et al, 2011; Chen et al., 2014)より約8~10%小さい値を示した。過去のデータは1気圧の密度とつなぐ際に,0.5GPa以下での異常な密度上昇が必要であり,メルトの構造変化が予想されていた。今回のデータは1気圧のデータとスムーズにつながり,このような密度変化に伴う構造変化を必要としない。発表では構造の観点からも議論する。
  • 坂巻 竜也, 福井 宏之, 大谷 栄治, 鎌田 誠司, 筒井 智嗣, Baron Alfred
    セッションID: R3-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    地球最深部に位置する内核の組成を議論する上で、核条件下で鉄や鉄合金の音速・密度を測定し、地震学的観測モデルと比較するアプローチは有効である。そこで我々は核の主要元素である鉄の音速・密度を163万気圧、3000Kまでの条件下で測定に成功している。本研究では、次の対象として鉄-ニッケル合金に着目し、高温高圧下での音速・密度測定から内核組成に制約を与えることを目的としている。
    SPring-8のBL35XUで実験を実施し、レーザー加熱式ダイアモンドアンビル高圧発生装置とX線非弾性散乱・X線回折を組み合わせることで鉄-ニッケル合金の音速(縦波速度)・密度を測定する。
    実験は162万気圧、2300Kまでの圧力・温度条件下で行った。高温ほど縦波速度が減少し、高圧ほどその減少量が低下することが示される。また、同じ密度条件で鉄と鉄-ニッケル合金を比較すると、鉄-ニッケル合金の縦波速度の方がわずかに低速であることが明らかになった。本研究成果を内核-外核境界(圧力329万気圧、温度は5000Kと仮定)まで外挿し、PREMと比較すると密度欠損は6.5%で音速欠損は2.9%であった。
  • 野口 直樹, 奥地 拓生
    セッションID: R3-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    高圧氷VII相の5GPaから17 GPaまでの水素の自己拡散係数の圧力依存性において、10 GPa近傍で極大値をとることが分かった。また、酸素の拡散係数は、同一温度圧力条件での水素の拡散係数に比べると2桁以上低いことが分かった。これは、水素が水分子の形態ではなく、プロトン(H+)の形態で拡散することを示している。このことは、ネルンスト―アインシュタインの関係式を用いて、水素拡散係数から求められるプロトン伝導率が、実験値[1]とよく一致することからも裏付けられる。氷のプロトン拡散はプロトンホッピングと分子回転の2つのメカニズムが協同して起こる現象である。10 GPaでプロトン拡散の律速過程がプロトンホッピングから分子回転に転移している可能性がある。
  • 米田 明
    セッションID: R3-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    有限要素法(FEM)は解析対象を細かい領域に分割し、数値解を求める手法である。FEMは、弾性、熱、電磁気などの現象を解析できる。複数現象を連立して解析することも可能であり、応用性が高い。FEMは直接研究に活用することもできるが、装置の設計など技術開発での活用の方がより重要と考えている。直接研究に活用する場合は、異方性や複雑形状など理論的手法が適用できないケースで有利である。例えば結晶中のインクルージョン周囲の応力場解析である。講演ではFEMが活用可能な研究テーマを幾つか提案する予定である。
  • 野口 直樹, 奥地 拓生
    セッションID: R3-P01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    タイタン、エウロパなどの大型氷天体内部には内部海が存在することが人工衛星探査によって分かっている。内部海の厚みは、H2O, NH3, CH4などから成る多成分系の低温高圧下の相図に依存して決まるが、まだ、明らかになっていない。これを決定するためには、低温高圧環境を実現できる光学セルが必要になる。そこで、安価で、かつ、振動を発生させずに物体を冷却できるペルチエ素子に着目し、これとダイヤモンドアンビルセル(DAC)を組み合わせた低温高圧セルを開発した。現在のところ、-60℃までの冷却に成功しており、低温高圧条件下でのラマンマッピング測定も可能となっている。本発表では、いくつかの応用例とともに装置を紹介する。
  • 吉田 侑起, 奥野 正幸, 荒砂 茜, 藤井 俊介, 遠藤 太佳嗣, 高橋 憲司, 水上 知行, 阿藤 敏行
    セッションID: R3-P02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    彗星核のモデル物質として、シリカゲルに対して出発温度を変更した衝撃回収実験を実施し、それぞれの構造変化を調べた。実施された衝撃圧力は約20 GPaであり、出発温度は100K(低温)と293K(室温)であった。回収されたサンプルはそれぞれTG—DTA測定、固体1H→29SiNMR(CP/MAS)測定, Raman分光測定によって分析された。その結果、約20 GPaの衝撃圧力では、シリカゲルは多様な結合状態を取り始め、出発温度が低温の方がわずかながら、構造変化の度合いが小さいことを明らかにした。
  • 久保 友明, 岩里 拓弥, 肥後 祐司, 吉田 雄祐, 今村 公裕, 加藤 工, 上原 誠一郎, 丹下 慶範
    セッションID: R3-P03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    地球深部に沈み込むスラブかんらん岩層では、深さ60-300km(圧力2-10GPa)でいわゆる稍深発地震が起こっている。これまでアンチゴライトの脱水に起因した岩石の脆性化が主要な原因とされてきたが、1-2GPa以上の高圧下におけるアンチゴライトの脱水脆性化や剪断不安定化の詳細はよく分かっていない。我々は放射光X線と高圧変形装置、AE測定システムを組み合わせ、開放系の実験セルを用いて圧力約8GPaまでの一軸圧縮変形場でアンチゴライトの固相変形、脱水変形実験を行ってきた。本発表ではこれまでに行った高圧変形実験の結果から、特に固相領域でのアンチゴライトの強度と剪断不安定化について報告する。これまでのところ固相変形、脱水変形ともに剪断不安定化につながるような現象は確認されていない。今後は剪断変形場や流体のpermeability、部分的に蛇紋化した組織の影響などを検討していく必要があり、それに関する予備的な実験結果もあわせて報告する予定である。
R4:地球表面・環境・生命
  • 佐久間 博, 河合 研志, 片山 郁夫
    セッションID: R4-01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    雲母・粘土鉱物は断層面に存在する場合があり、断層の摩擦強度やすべり挙動に影響を与える。雲母・粘土鉱物は層状の構造を持ち、すべり面に対して劈開面が平行に配向することが多いため、劈開面における摩擦挙動を理解することが重要である。本研究では、雲母・粘土鉱物の結晶構造や原子間相互作用に着目しながら、現実的な大きさの雲母・粘土鉱物の摩擦を理解することを目的とする。①2軸摩擦試験機による実験では、白雲母の単結晶について法線応力を5 MPaから60 MPaまで変化させてせん断応力を測定した。せん断応力を法線応力で除して求めたすべり摩擦係数は、法線応力の増加とともに減少し、見かけ上アモントン・クーロンの摩擦法則から外れているように見える。②DFT計算では、理想的に平滑な白雲母・粘土鉱物の劈開面について法線応力を変化させながらせん断応力を計算した。DFT計算から、凝着力の起源および雲母・粘土鉱物の摩擦に関する法線応力依存性を議論する。また実験と理論計算をつなぐことができるかを議論する。
  • 落合 朝須美, 宇都宮 聡
    セッションID: R4-02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    希土類(RE)元素は核分裂生成核種であるとともに三価のアクチノイドと性質が類似しているため、表層環境中での挙動が注目されている。本研究は室温条件における単一希土類(La-Lu)と全希土類(Mix)リン酸塩の結晶化学的特性、初期結晶化過程とその反応の支配因子をナノスケール分析により明らかにした。REPO4の構造は平均イオン半径によって決定されることがわかり、構造別に三グループに分類できた。MixPO4は異なる2相からなることがわかり、30日後には単一の構造へと変化した。同様の熟成効果による構造変化がTbPO4にも見られた。一方で室温合成した初期結晶の熱安定性は最大300 ℃と高く、結晶の乾湿状態により安定な構造が異なることが示唆された。またREPO4形成時に軽希土類の優先的な収着やテトラド効果が見られることがわかり、REPO4ナノ結晶の析出によって希土類の収着が進行した。本研究の結果より、希土類元素やアクチノイドは表層環境条件下で、リン酸塩鉱物近傍におけるRE3+の平均イオン半径に依存したREPO4ナノ結晶の形成により挙動が抑制されることが示唆された。
  • 中野 友里子, 宇都宮 聡
    セッションID: R4-03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    Phosphate in EPS inhibits CeNPs aggregation by changing their surface charge. Saccharides in EPS possibility have an influence of inhibiting aggregation by increasing phosphate adsorption. Amino acids in EPS can neutralized the negative charges by their dipolar property. As a consequence, each inorganic and organic molecules in EPS has its specific effect on the mechanisms of inhibiting nanoparticles aggregation.
  • 向井 広樹, 田村 堅志, 矢板 毅, 小暮 敏博
    セッションID: R4-04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    2011年の福島原発における事故以来,放出された放射性Csの土壌における存在状態について明らかにすることが求められている.本研究では試料として,その一部がバーミキュライト化した風化黒雲母やゼオライトなどを用いてCsの吸脱着実験を行った.その結果,極低濃度でのCs溶出実験では風化黒雲母ではCsが非常に強固に固定されていたのに対して,ゼオライトではイオン交換によって容易にCsが溶出すること示唆された.
  • 小暮 敏博, 瀬川 浩代, 向井 広樹, 市村 康治, 高橋 嘉夫, 西山 直毅
    セッションID: R4-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Recently existence of radiocesium (Cs)-containing microparticles has been reported in the field (aerosols, soils, plants, and so on) of Kanto area, which were definitely released from Fukushima nuclear plants. These microparticles are 0.5 - 2 mm in diameter and substantially silicate glass containing Fe, Zn, Cs, Rb, K, Cl and Sn as major elements. We tried synthesis of bulk glass with similar compositions using a conventional glass synthetic technique. 
  • 松本 恵, 瀬戸 雄介, 佐野 拓郎, 鈴木 康太, 兵頭 政幸, 三宅 亮, 浜根 大輔, 境家 達弘
    セッションID: R4-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    中国レスの土壌化に伴う磁気増大は,磁性粒子の生成が原因であると考えられているが,光学顕微鏡レベルでは未だ確認されていない。そこで本研究では,磁気増大現象の素過程を理解するため,中国レスについて,XRDとSEM/STEM観察を行い,磁性粒子の結晶相・体積比率・存在形態を調べた。XRDの結果,レス中の磁性鉱物(hematite, magnetite)の体積比率は非常に低い(< 1vol.%)ことがわかった。TEM観察の結果,これらの磁性鉱物は,土壌化(風化)の進んだmuscovite中にナノサイズの包有物として含まれていた。包有物はmuscoviteの土壌化(風化)に伴って二次的に形成した可能性が高い。特にmagnetiteは強い磁性をもつため,主にその生成が磁気増大の原因になっていると考えられる。発表では,これら土壌化起源magnetiteの特徴を詳しく紹介する。
  • 末岡 裕理, 榊原 正幸, 大藤 弘明
    セッションID: R4-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    本研究は地衣類-スラグ相互作用における重金属の挙動を明らかにすることを目的とした.地衣類が着生するスラグ風化部は,菌糸の貫入によって物理的に破砕されていた.また,主要重金属ホストである珪亜鉛鉱およびMDの仮像は地衣酸によって化学的に分解され,鉄水酸化物に変質していた.スラグ風化過程で溶脱した重金属の一部は,着生地衣体内に吸収される.吸収された重金属は地衣体の皮層-髄層境界付近に濃集しており,Cu・Znは菌糸細胞に,Fe・Asは菌糸表面にそれぞれ分布していた.Fe・As濃集部には低結晶性鉄水酸化物が晶出しており,正電荷を帯びるZn等も微量に検出された.したがって,この鉄水酸化物には,微生物由来の鉄水酸化物と同様に,有機物が混在していると考えられる.以上,本研究は1. 地衣類がスラグの風化を促進させ,溶脱した重金属の一部を吸収していること;2. 地衣体内に吸収された重金属が,細胞内および菌糸表面に分布していること;3. 菌糸表面の鉄水酸化物が有機物との混合物である可能性があり,Asの他,Zn等の正電荷を帯びる重金属も微量に含有していることを明らかにした.
  • 三浦 保範
    セッションID: R4-08
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    活動地球の鉱物岩石は、元素分配と鉱物結晶化が進み物質データベース化されている。本件では、炭素・水銀含有物の共生物を走査電顕観察(分析)して生成過程処理に応用するのが目的である。炭素は揮発性元素であり、炭素含有鉱物も柔らかいが、極限状態では炭素化する特徴を示す。炭素は、生命体の主要構成物であるが、水と炭酸ガスで始まり分解する中間有機物の生命体は消滅すると鉱物等で置換された「化石」が僅かに形成残存している。地球・生命・水の議論では、物質過程が充分考慮されない事が多い。水銀は、その特異性(炭素関与)から多くの海底堆積性起源物質に広く含まれている。赤色の水銀鉱物(辰砂、日本産)は、炭素・カルシウム含有物質と置換関係を示す。これは、海底生成物の炭酸カルシウムを分解して辰砂ができている事を示す。水銀や炭素の起源から広く海底堆積物に微量混在するため、少量であるが鉱石や資源物(工業製品)に広く混在する。水銀規制条例には、この地球的な循環利用処理が必要である。以上から、地球物(鉱物資源・生命体)の変化特性として、海底堆積起源の炭素・水銀含有物の共生物の生成過程等を解明した。
  • 田村 知也, 興野 純, 癸生川 陽子, 中藤 亜衣子, 西宮 ゆき
    セッションID: R4-09
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Bundeleva et al. (2014)は, シアノバクテリアの細胞外多糖類(EPS)によるカンラン石の溶解と炭酸塩鉱物の生成は一連にして起きるというモデルを提唱した. しかし, このモデルを裏付けるシアノバクテリアとケイ酸塩鉱物の接触界面のナノスケール観察を行った研究は乏しい. 本研究では集束イオンビーム(FIB), 透過型電子顕微鏡(TEM), 走査型透過X線顕微鏡(STXM)によるシアノバクテリア-カンラン石界面のナノスケール解析を行った. 寒天培地上にシアノバクテリア(NIES-2095, Anabaena variabilis)を接種した後, カンラン石粒子を散布し30日間培養した. 培養後, FIBによりそれらの界面の断面試料を作成した. STXMより得た炭素のX線吸収端近傍構造(C-XANES)スペクトルは, シアノバクテリアのEPS中における炭酸塩もしくは炭酸塩イオンの存在を示した. しかしTEM観察の結果, 炭酸塩鉱物を確認できなかった. したがって, EPS内には炭酸塩イオンが存在し, 炭酸塩鉱物に対して未飽和状態であったと考えられる.
  • 橋爪 秀夫
    セッションID: R4-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
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    コンクリートの劣化についての基礎研究として炭酸カルシウム化について、水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応を行った。二酸化炭素を系内で発生するために、炭酸水素アンモニウムの飽和溶液を30分間、70℃に加熱して得た。1週間水酸化カルシウムと二酸化炭素を反応させた結果、炭酸カルシウムが合成されていた。しかしながら、短時間であるが、水蒸気と二酸化炭素が共存したため、炭酸カルシウムが合成された可能性もある。
  • 川野 潤, 豊福 高志, 長井 裕季子, 河田 佐知子, 永井 隆哉
    セッションID: R4-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    炭酸カルシウムの成長/溶解時の原子レベルの素過程、特にHCO3-イオンの振る舞いに制約を与えることを目的とし、成長/溶解する炭酸カルシウム近傍におけるpHおよびCaイオン濃度変化の可視化を試みた。その結果、溶解するカルサイト、アラゴナイト表面近傍で、結晶が溶解するにしたがってpHが変化していく様子を可視化することに成功した。さらに、結晶形成時の結晶核近傍のpHの様子を観察し、大きなpH勾配がないことを確認した。これは、有孔虫内における殻形成時の様子とは異なっており、本結果の結果と、有孔虫における結果をさらに比較検討することより、有孔虫の石灰化において、生物が果たす役割を明らかにできる可能性がある。
  • 福士 圭介, 鈴木 雄真, 大野 剛, 小川 雅裕, 家路 豊成, 高橋 嘉夫
    セッションID: R4-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    モノハイドロカルサイト(MHC)は含水カルシウム炭酸塩の一種であり、CaCO3. H3Oの化学組成をもつ。MHCは自然界では塩湖における生成が一般的であるが、淡水湖であるモンゴル・フブスグル湖やウギー湖から採取された湖底堆積物コア中での産出も報告されている。MHCの結晶構造に従うとCaの配位数は8であり、8配位をとらないMgは構造内のCaを置換しないはずであるが、自然界で見いだされるMHCは普遍的にMgを含む。本研究では、様々なMg含有量のMHCに対する放射光を利用したX線吸収端近傍構造(XANES)測定からMHCと共存するMgの存在状態を検討した。
  • 市村 康治, 菊池 亮佑, 小暮 敏博, 酒井 陽一
    セッションID: R4-P01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    阿武隈花崗岩帯における新鮮または風化した黒雲母に対して,電界放出型電子線マイクロアナライザを用いたflank-methodによるLβ/Lαとメスバウアー分光法による平均の鉄の価数との間できれいな相関が確認された。このことから,この地域における風化黒雲母の微小領域における鉄の価数の分析が可能となった。
  • 眞鍋 達郎, 小西 博巳
    セッションID: R4-P02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ヒ酸(As(V)) と亜ヒ酸(As(V))をそれぞれ吸着させた2-line ferrihydriteを鉄還元バクテリアに与える培養実験を行い,生成鉱物のキャラクタリゼーションと,固相・液相に含まれるAsの濃度の測定を行った.液体培地に,吸着ferrihydriteと鉄還元バクテリアを加え,約40日の培養実験を行った.その結果,ヒ酸か亜ヒ酸のどちらが吸着しているかにより還元後の生成鉱物がことなり,前者ではヒ素は固相に保持され,後者では液相に放出された.
  • 菊池 亮佑, 向井 広樹, 小暮 敏博
    セッションID: R4-P03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    セシウム収着の速度論的側面の理解のために、加水黒雲母の層間内におけるセシウムの拡散特性を単結晶状試料と放射性の137Csトレーサー、及びイメージングプレートによるオートラジオグラフィを用いて調べた。実験で得られた粒子内でのCsの分布に基づいて、25, 44ºCにおける見かけの拡散速度はそれぞれ0.5, 2.0×10-13 m2s-1と見積もられた。 
R5:地球外物質
  • 三浦 保範
    セッションID: R5-01
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー


    地球惑星は、創成期の固化物から大気・海水圏を形成し鉱物結晶を生成している。本件では、水流体と生命問題を隕石の水発生実験から議論して地球外水・生命体を議論するのが目的である。地球生成物は、揮発性元素を大気・海水層に放出してできた鉱物結晶に変化している。地球外天体は、地球創世期に太陽恒星や宇宙間照射された軽元素イオン等を介在した複雑な固化物のままで、地球的な固化物ではない。アレンデ炭素質隕石を少量分離して、水分離試験管で加熱して、放冷後水分子を生成する事ができた。これは、隕石内に分離していた分子構成イオンが蒸発し、放冷時に水分子が二次的にできたことを示す。生命体の主要構成物の炭素化合物は、水と炭酸ガスの極限実験で有機物の巨大分子を形成し、加水分解で無機の水・ガスに変化し消滅する。鉱物が置換した化石固体が残物である。大気水圏のない地球外天体は炭素生命体の出発分解物の場がない。以上から、地球外の固体は分離が不十分なため、分子(水・流体)は加熱後の二次的生成物である。地球の炭素生命体は、反応の供給物と破壊放出場となる大気・海水圏が存在するので、地球外生命活動に必要な事である。
  • 宮野 優美子, 本宮 秀朋, 鳥羽瀬 翼, 奥部 真樹, 吉朝 朗
    セッションID: R5-02
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Stevns Klint K-T境界粘土層中のCr, Mn, Fe, NiのXAFS解析を行った。測定は高エネルギー加速器研究機構(筑波,日本)PF、BL-9Cビームラインで行った。XANESおよびEXAFS解析より、K−T境界層中のCr, Fe, Niの局所構造はそれぞれCr2O3, FeOOH, Ni(OH)2と鑑定できた。隕石衝突時、テクタイトガラスや粉塵に含まれていたこれらの元素は、堆積後に地球表層で風化と続成作用を受けて、ガラス質から安定した水酸化物、酸化物に変化している。しかし、同じ鉄属であるMnは二価であり、MnCO3の局所構造を有していた。これまで、Mnの異常濃集が他の鉄属と異なり認められていなかったのは、Mnが炭酸塩固溶体、あるいは生命の必須元素として生命活動により、拡散したことで解釈できることを明らかにした。
  • 中田 亮一, 臼井 寛裕, 潮田 雅司, 高橋 嘉夫
    セッションID: R5-03
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では,火星隕石(Yamato 980459)中のガラス包有物と石基の局所X線吸収端近傍構造(μ-XANES)分析からO2を明らかにし,火星マグマ進化に伴うfO2変化を議論する.
  • 三河内 岳
    セッションID: R5-04
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ナクライトとシャシナイトはそれぞれ普通輝石とカンラン石を主体とする集積岩であり、火星表層近くの貫入岩体もしくは厚い溶岩流中で形成したと考えられている。NWA 10153ナクライトは、他のナクライトと同様に普通輝石と小量のカンラン石・メソスタシスから成る。しかし、メソスタシス量はガラス質のメソスタシスを持つナクライトと同量であるにもかかわらず、結晶質であり、カンラン石の冷却速度は100度/年でNakhlaなどとほぼ同じ値であった。ナクライトの起源岩体には、層状の集積構造が提案されていたが、NWA 10153については、このモデルがうまく当てはまらず、ナクライトは同時代にマグマから結晶化した複数の岩体を起源とすることが示唆された。一方でシャシナイトについては、均質なカンラン石から主に成る集積岩であるが、3隕石でカンラン石組成は大きく異なるものの、カンラン石の冷却速度は30-100度/年でいくつかのナクライトとほぼ同じであった。これらのことから、ナクライトとシャシナイトは火星の同じ地域で同時代に形成されたものの、同一岩体中で形成されたものではなく、別々の岩体として形成されたと考えられる。
  • 竹之内 惇志, 三河内 岳
    セッションID: R5-05
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    火星隕石には鉄ナノ粒子の存在により黒色化したカンラン石が報告されており、これまでの我々の研究ではそれらは高圧相転移に伴い形成されることが示唆されている。カンラン石の黒色化は強い衝撃により普遍的に引き起こされる可能性があるが、これまでに火星隕石以外ではほとんど報告がない。唯一、赤色化したカンラン石が月隕石中(Dhofar 303とそのペア隕石)で報告されているが、その詳細な観察や着色過程の議論は行われていない。本研究では月隕石Dhofar 307中の赤色カンラン石を詳細に観察し、その着色過程の推定を試みた。観察の結果、赤色化領域とカンラン石組成に相関はないが、赤色化領域は風化に弱く結晶度の悪い黒色カンラン石と似たような組織を持つことが明らかになった。また、内部にはヘマタイトのナノ粒子が存在し、それらは晶出した鉄ナノ粒子が地球上での風化により酸化したものだと考えられる。鉄ナノ粒子は反射スペクトル等を変化させることが知られている。火星以外の天体でも強い衝撃によりこのような現象が起きた場合、本来表層に存在しているはずのカンラン石をリモートセンシングで見落とす可能性があり、広く注意を必要とする。
  • 中村 智樹, 茂木 郁, 山下 小百合, 松岡 萌, 佐藤 勇大, 古川 善博, 奥村 聡, 中嶋 大輔, ロッシュ テッド
    セッションID: R5-06
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    我々は火星衛星のフォボスとダイモスの構成物質の推定を行うために、火星衛星の反射スペクトルとの類似性が指摘されているD型小惑星物質(Tagish Lake炭素質隕石)とC型小惑星物質(Murchison炭素質隕石)の真空加熱実験(真空、加熱温度400、600、900℃、加熱時間50時間、酸素分圧IW)を行い、加熱物の反射スペクトルをフォボスと比較した。その結果、フォボスの3μmバンドの吸収は非常に浅く、加熱なしの炭素質隕石の3μmバンドの吸収とは一致しないことがわかった。また、Tagish Lake、Murchisonともに400、600℃加熱物がフォボスと比較的良い類似性を示すが、フォボスに見られる0.65μmの吸収は再現されず、また、中間赤外領域のクリスチャンセンフィーチャーの位置がフォボスの方が少し短波長にある傾向が見られた。
  • 江島 輝美, 昆 慶明, 横山 隆臣, 赤坂 正秀, 平田 岳史
    セッションID: R5-07
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
     鉄隕石のパラサイトメイングループ(PMG)のQuijingue隕石,Brahin隕石中のかんらん石におけるFe酸化数とその存在状態について報告する。Feの酸化数の決定には、メスバウアー分光法を用いた。Quijingue隕石は、かんらん石およびニッケル‐鉄より構成される。かんらん石(Fo87)は、緑色を呈し、クロマイト, トロイライトを包有する。Brahin隕石は、主にかんらん石、およびニッケル‐鉄により構成される。かんらん石(Fo89)は、黄緑色を呈し、トロイライト、リン酸塩鉱物を包有する。メスバウアー分光法のための粉末試料の純度評価は、X線粉末回折法(XRD)およびフィールドエミッション型電子線微小部分分析装置(FE-EPMA)を用いた。メスバウアー分光分析の結果、Quijingue、Brahinパラサイト中のかんらん石からそれぞれ少量の3価の鉄が検出された。
  • 井上 優, 三河内 岳, Goodrich Cyrena
    セッションID: R5-08
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ユレイライトは部分溶融残渣としての形成過程が考えられてきたが、普通輝石を含むユレイライトのいくつかは、集積岩的な成因が提案されている。その中でも、Hughes 009タイプユレイライトには斜長石を含むものもあり、これらの形成過程を解明することは、ユレイライトの経た分別過程を理解する上で重要であるといえる。今回は、Hughes 009タイプユレイライトの一つであるNWA 3222の鉱物学的研究を報告する。NWA 3222は他のHughes 009タイプユレイライトと多くの共通点を示すが、普通輝石には顕著な化学累帯構造がみられた。他のHughes 009タイプユレイライトも分析したところ、同様の化学累帯構造を持つものがあることが分かった。このことから、これらのユレイライトは同一母天体で、同じメルトから晶出したと考えられる。
  • 山口 亮, 白井 直樹
    セッションID: R5-09
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Dho 007の岩石片とEET 92023は、岩石学的に集積岩ユークライトに類似するエコンドライトである。一見角礫化を受けていないにもかかわらず、コンドライト隕石に対して10%ほどの親鉄元素を含む。鉱物や岩石組織の観察から、高温で比較的早い速度で冷却したが、低温では非常にゆっくり冷却したと考えられる。これらの事実から、Dho 007とEET 92023は、母天体形成初期に大規模衝突を経験したと考えられる。
  • 大野 遼, 竹之内 惇志, 三河内 岳, 山口 亮
    セッションID: R5-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    シリカ鉱物は、例えば集積岩ユークライト隕石中の石英脈などのように水を示唆する鉱物として扱われることがある。そこで本研究では、ユークライト隕石中のシリカ鉱物に着目し、小惑星ベスタの地殻表層部の形成環境について議論した。試料には、ポリミクトユークライトのYamato-75011隕石を用いた。観察から、玄武岩質岩片中には石英とクリストバライトからなる集合体及び単結晶石英の2種類のシリカ多形が確認された。集合体中に見られた組織から、一部転移の可能性があるが、全体は連続的に晶出したことを示唆している。また、これらの多形は水やNaを含むマグマや熱水環境下で同時に晶出することが知られており、水の存在を示唆する可能性がある。単結晶で存在した石英は、その形や周囲には金属鉄が共存していたことから、この石英はSi-richマグマから晶出したと考えられる。以上より、Yamato-75011中の玄武岩質岩片に含まれるこれらのシリカ多形は、水の関与により晶出したものが存在すると考えられる。本研究と地殻深部での水の存在を示唆する先行研究などを合わせて考えると小惑星ベスタの地殻では広く水が存在していた可能性がある。
  • 金丸 礼, 山口 亮, 西戸 裕嗣
    セッションID: R5-11
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ユークライト隕石は、分化エコンドライトの一種であり、小惑星ベスタを起源とすると考えられている。これまでユークライトに見出されるシリカ鉱物の成因に関し、結晶化学的性質を指標にして母天体における冷却過程や二次変質作用の考察がされてきた。本研究では、玄武岩質ユークライト4試料から見出される石英の鉱物学的化学的特徴から、その形成過程について考察した。カラーCL像観察では、JuvinasやNWA 1466中のトリディマイト(~400μm)のリムや付随する割れ目に弱い赤紫色発光鉱物を見出し、Raman分光分析によりこの部分が石英であることを確認した。これら石英のCLスペクトル波形分離解析では、640 nm付近に非架橋酸素空孔(NBOHC)の強い発光成分を検出した。NBOHCは石英結晶構造中の-OH基に関わる構造欠陥を含み、熱水起源の石英でよく見られる。また石英中のTi固溶量は温度依存性を持つことを利用し、Juvinasに含まれる石英の結晶化温度を推定すると780℃ほどである。以上の結果は玄武岩質ユークライト中の石英の熱水交代作用による晶出プロセスを支持している。
  • 安武 正展, 山口 亮
    セッションID: R5-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    ロドラナイト隕石は始原的コンドライトの一種、である。本研究はロドラナイト隕石Y-791491のファブリック分析を行った。その結果、Y-791491のかんらん石はb軸に極集中、その他の軸が大円上に配向する特徴的なファブリックを示すことを発見した。このようなファブリックを形成するプロセスとして、マグマ中の集積作用、またはメルト存在下での固相変形が考えられる。前者は、線構造を伴うことが多いが、Y-791491には線構造は確認されない。加えて、Y-791491の溶融度が約20%であることは集積作用と不調和的である。後者のプロセスは、実験的に、高温高圧下での変形で形成されている。Y-791491中にはメルトの存在が示唆される脈が確認されている。輝石温度計から推定される平行温度は約1050℃である。カンラン石の組織から、Y-791491は衝撃作用を受けたと考えられる。もし、その天体衝突が変形を引き起こしたとすると、Y-791491中のb軸集中かんらん石ファブリックは部分溶融中の母天体での天体衝突で形成された可能性が高いと考えられる。
  • 長谷川 輝, 三河内 岳
    セッションID: R5-13
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    始原的エコンドライトの1グループとされるBrachiniteであるReid 013とBrachinite-likeな隕石とされるMiller Range 090206/090340/090405について岩石鉱物学的研究を行なった.その結果,これらの隕石を構成するカンラン石にb軸が集中する結晶方位定向配列が見つかった.b 軸集中のカンラン石結晶方位配列は地球上の集積岩によく見られるものであり,これらの隕石が母天体で集積岩として形成されたと考えられる.Brachinite では,Elephant Moraine (EET) 99407 と Allan Hills (ALH) 84025 中でカンラン石の結晶方位定向配列が報告されており,集積岩として形成されたと考えられている.しかし,EET と ALH に見られるパターンは c 軸集中であり,MILs や Reid 013 の b 軸集中とは異なる.これらの隕石は共に集積過程を経験したと考えられるが,カンラン石の結晶方位配列パターンが同一ではない.その差異がどのような形成プロセスの違いに対応しているのかをさらに詳細に調べる必要がある.
  • 木村 眞, ワイスバーグ マイケル, 高木 阿沙子
    セッションID: R5-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Almahata Sitta is a polymict breccia, consisting of many kinds of clasts. Here we present our mineralogical and petrological results on an EL3 clast, MS-177-1. We compare the results with an EL3 chondrite, Asuka (A) 881314, and discuss the unusual thermal history of this clast. 
  • 宮原 正明, 大谷 栄治, 山口 亮
    セッションID: R5-15
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Four CB type carbonaceous chondrites, Gujba, Bencubbin, NWA 4025 and NWA 1814 were investigated to describe high-pressure polymorphs formed in their melting textures. Many kinds of high-pressure polymorphs were identified from all samples, implying that the parent-body of CB type carbonaceous chondrite was heavily shocked. 
  • 野口 高明, デュークス キャサリン
    セッションID: R5-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    小惑星イトカワ上での10,100,および1000年の照射期間に相当するフルエンス量の低エネルギー(1 keV/amu)のH+とHeイオンを,Tuxtuac LL5コンドライト隕石に照射し,その表面組織の変化をFE-SEMおよびTEMで観察した。TEMによる鉱物表面の断面観察から,非晶質層(再凝縮層と考えられる)とその下の部分的に非晶質化した層の2層からなる組織変化が認められた。特に,1000年の照射期間に相当する実験では,鉱物表面にブリスタリングが観察された。
  • 中牟田 義博, 浦田 佳奈, 柴田 葉子
    セッションID: R5-17
    発行日: 2016年
    公開日: 2020/01/15
    会議録・要旨集 フリー
    Lindsley 輝石温度計の修正された補正計算を使ってLL5-LL7コンドライト隕石の変成温度の推定を行った.CPxのから求められた温度は,Tuxtuac (LL5),Dhurmsala (LL6),NWA 2029 (LL6/7),Dho 011 (LL7)それぞれで,793(32),835(39),872(45),917(30) °Cとなり,これはOPxから求められたそれぞれの隕石の温度,767(25),818(48),892(57),936(26) °Cとよい一致を示す.このことから,CaのCPxとOPxへの分配はtype 5-7隕石で平衡に達していたと考えられる.今回の結果は,より高い岩石組織タイプのコンドライト隕石はより高い変成温度を経験したことを示している.
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