日本看護管理学会誌
Online ISSN : 2189-6852
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19 巻, 1 号
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原著
  • 長尾 雄太, 角濱 春美
    原稿種別: 原著
    2015 年 19 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:看護師の共感性および社会的スキルが感情労働に与える影響を明らかにすることである.

    方法:対象は経験年数7年目までの急性期病院に勤務する看護師720名である.尺度は多次元共感測定尺度,看護における社会的スキル尺度短縮版,看護師の感情労働測定尺度を使用した.研究への協力が得られた323名のうち,有効回答は307名であった.

    結果:因子分析の結果,多次元共感測定尺度は【個人的苦悩】,【視点取得】,【空想】,【共感的配慮】の4因子,看護師の感情労働測定尺度は【適切な感情の探索と表出】,【表層適応・深層適応】の2因子,看護における社会的スキル尺度短縮版は【患者尊重スキル】,【タッチング】,【情報の収集・提供スキル】の3因子から構成されていた.共感性のうち【個人的苦悩】は【患者尊重スキル】に,【視点取得】は【患者尊重スキル】と【適切な感情の探索と表出】に影響を与えており,【情報の収集・提供スキル】は【適切な感情の探索と表出】,【表層適応・深層適応】を促していた.

    結論:【視点取得】と【個人的苦悩】は【患者尊重スキル】に影響を与えており,看護師個々の共感性が患者に配慮を示し安心感を与えるのに必要な要素であることが示唆された.また,社会的スキルの向上により,適切な感情を考えた表出につながる可能性がある.

報告
  • 倉岡 有美子
    原稿種別: 報告
    2015 年 19 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2018/08/10
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,看護師長が,自身を成長させたと認識する仕事上の経験において,上司から,どのような支援を受けたのかを明らかにすることであり,研究デザインは,質的帰納的研究である.首都圏にある6病院と1有床診療所の看護部長に,優れた看護管理実践をしている看護師長の推薦を依頼した.推薦を受けた10名の看護師長に,約1時間の半構成的面接を実施した.調査データを質的帰納的に分析したところ,看護師長の成長に影響を与えた上司の支援として,【挑戦への後押し】,【乗り越えるためのバックアップ】,【成果を発展させる支援】が抽出された.はじめに,上司が【挑戦への後押し】をすることで,看護師長が,挑戦的な課題に取り掛かることができた.続いて,困難に直面した看護師長に対して,上司は,挑戦的な課題を【乗り越えるためのバックアップ】をしていた.最後に,上司が,看護師長の取り組みによって出された【成果を発展させる支援】をしていた.本研究の結果は,若手や新人を育てることが上手な指導者の調査結果と共通性がみられ,上司は,経験学習サイクルに同期した支援を看護師長の主体性や自律性を尊重しながら行なっていた.一方で,先行研究で,部下の成長に効果的とされた上位者との対話機会の提供は,あまり行なわれていなかった.

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